INTERVIEW

<対談>【70.(XANVALA)×Natsuki(DuelJewel)】それぞれが考えるオリジナリティと、混ざり合うことで生まれるシナジー。

DuelJewel XANVALA

XANVALA・70.による対談シリーズ、4回目となる今回は、Natsuki(DuelJewel/Ba)を招いてお届けする。

12月6日に池袋EDGEで開催された『Aiming』では、XANVALAとDuelJewelが本イベントで3度目の共演を果たした。そしてなんと、2026年3月には念願だった2MAN TOURが東名阪で開催されることも決定!

いつのまにか仲良くなっていたという70.とNatsukiの“初対面”エピソードに始まり、互いが「良い」と感じる価値観を存分に語り合ってもらった。バンドとして、そしてベーシストとしてシンパシーを覚える部分がありながらも、それぞれが確固たる“個”を築いている両者。そんな二人ならではの、興味深いトークに注目だ。


――70.さんの対談シリーズ、今回はNatsukiさんをお迎えしました!

70.:嬉しいです。ありがとうございます!

Natsuki:こちらこそ、ありがとうございます。


――直近では『Aiming』(12月6日@池袋EDGE)で共演されていましたけれど、その際にXANVALAとDuelJewelの2マンツアーが、2026年3月に東名阪で行われるという発表もありました。もともと、両バンドが初めて対バンしたのは……。

70.:2023年の『森羅万象』ツアーですね。そのとき、すでにお話したんでしたっけ?

Natsuki:いや、話したのはそのあとだったんじゃないかな?

70.:しっかりお話させていただいたのは、同じ年の12月に初めて2マンをさせてもらった、『Aiming』のときですね。XANVALAとしても、メンバー全員とお話できる先輩ではあって、すごく貴重な存在なんですよ。

Natsuki:なんか、不思議な感じだったよね。大概、楽屋で話して仲良くなって「じゃあ、ご飯でも行こうよ」みたいな流れがあると思うんですけど……。

70.:特にそういうこともなく、本当にいつのまにかこんなに仲良くさせてもらってという感じなんです。


――初めてしっかりお話したときというのは、どんな話題が出たんですか?

Natsuki:すごく明確に覚えてるのが、70.くんがATELIER Zっていうメーカーのベースを使っていて、それに対して「ATELIER Z使ってるんだ!?」って言った気がする。

70.:そうでした! 俺としては、もちろんDuelJewelさんもNatsukiさんの存在も知っていましたし、ベースもメチャクチャ上手い方だと思っていたので、対バンできるのをすごく楽しみにしていたんですよ。で、リハのときにNatsukiさんの(エフェクター)ボードを見させてもらったら、俺と同じように機材がたくさんあって「これは音を歪ませる、同じタイプのベーシストだ」って余計に興味が沸いたといいますか。

Natsuki:僕も、アナログ派なんです(笑)。

70.:しかも、リハ中にYuhma(XANVALA / Gt)がShunさん(DuelJewel / Gt)のところに「メッチャ良いっすね!」って話しかけに行ってて「アイツ、スゲェな」と(笑)。

Natsuki:結構、怖いものなしだよね(笑)。良いことだよ!

70.:俺は、「おい、DuelJewelやぞ!?」と思ってましたけどね(笑)。でも、Shunさんもすごく優しく接してくれて、その勢いに乗っかって俺もNatsukiさんのところに行ってお話できたんですけど。


――Yuhmaさんの積極性に感謝ですね! Natsukiさんは、XANVALAの存在をどんな風に認識されていたんでしょうか?

Natsuki:正直なところ、実は知らなかったんですよ。なので初めは、『森羅万象』で一緒に回った新しいバンドっていう印象だったんですけど、70.くんに対してはさっきも言った通り、ATELIER Zを使ってるっていうところですごく興味を持ったんです。ベーシスト界隈で見てみると使っている人はいるんですけど、今のヴィジュアル系シーンの中でATELIER Zを使ってる人をほぼ見ないので、珍しいなと。

70.:一時期みんな使ってた時期があったんですけど、その流行り出す前ぐらいから俺は使っていて。

Natsuki:じゃあ、長いね。

70.: 今4本持ってるんですけど、ずっと使っていたらどんどん使っている人がいなくなっていきました(笑)。

Natsuki:実際にすごくいい音を出してると思ったし、ただ、割と特徴があるメーカーでもあるんで、そもそもなんでATELIER Zを使おうと思ったのか好奇心が生まれてしまって。個人的に、特にベースは流行のペースがすごく早いスパンで流れてると思うんですよ。その中で、同じメーカーを使い続けるっていうのはよっぽどのこだわりがあるんだろうな、と。

70.:本当に「最近見なくなったな」って如実に変わってくるんですけど、俺的にはもう、ATELIER Zしか嫌だなって(笑)。


――その流行りに伴って、ベースのアプローチに関する傾向みたいなものもあるんですか?

Natsuki:単純に多弦が圧倒的に増えてるんで、その中でオリジナルな音をどうやって出せるようにあがいてるのかっていうのはすごく注目しますね。人それぞれに音の構成が違ったりもして、機材もどんどん進化してる分、システムの枝分かれが複雑というか。

70.:頭のいいベーシストが増えた気がしますよね。ボードの中で音を作って、アンプは増幅装置みたいな。

Natsuki:逆に、それが今の主流だよね。

70.:それこそ昔は、ボードを組んでいるベーシストってあんまりいなかった気がするんですよ。本当に、MXRかSansAmp ぐらいで。

Natsuki:あとは、飛び道具をポンポン置いてるぐらいだった。

70.:今は歪み一つとってもエフェクターがすごく増えてきていて、どれが好みかとか、どのエフェクターを組み合わせるかがその人の個性に繋がってる部分も増えてると思いますね。それもあって、Natsukiさんといると機材の話が止まらないんですよ。いろいろと教えてくれるので。

Natsuki:ただ情報共有してるだけなんですけどね(笑)。今日も、会って速攻新しいマルチエフェクターの話をして。割と、二人とも敬遠していたものだったんですけどね。

70.:俺も、メインボードになることはないだろうとは思っていたんですけど。

Natsuki:なんか、それを12月にくれるらしいので! 公の場で言っとこうと思って(笑)。

70.:いやいや! とんでもないクリスマスプレゼントじゃないですか!(笑)


――今となってはこういった具合に交流がありますけれど、70.さんからするとNatsukiさんに対しては、それこそ「DuelJewelやぞ!?」と思うような存在ではあったと思うんですけれども。

70.:そうですね。2016年に一度解散される前からもちろん知っていましたし、そのバンドさんと今や同じステージで戦えるってなったときはすごく嬉しかったのと、是非とも仲良くなりたいとも思っていたので。覚えてるのが、かなり昔に高田馬場AREAの年末イベントで俺のバンドは午前中に出演だったんですけど、DuelJewelさんはトリに近い出順だったんで、お客さんがとんでもない量で会場の中に入れなかったんですよ。だから、AREAの事務所のモニターで「スゲェ」って言いながら観てた記憶がすごくあります。ちなみに、DuelJewelさんはメンバー全員が作曲されるじゃないですか。ウチもそうなんですよ。

Natsuki:そうなの!?

70.:はい。巽(XANVALA / Vo)以外のメンバーですけど……。

Natsuki:あ、じゃあウチの勝ちですね(笑)。ウチは、隼人(DuelJewel / Vo)も作曲するので。

70.:(笑)。そういうところでも、結構個性が分かれるじゃないですか。

Natsuki:作曲者が違うといろんな楽曲が生まれるから、どんどん幅は広がっていくよね。

70.:それでもDuelJewelの曲として成立してるっていうのは、“隼人さんが歌えばDuelJewelになる”っていうことだと思うんですけど、ウチも作曲者によって個性が分かれるものの“巽が歌えばXANVALAになる”ところもあって。そういうところは、似ている部分でもあるのかなと。

Natsuki: XANVALAがヴォーカル以外全員で作曲してるっていうのは今知ったんだけど、確かにブレがないもんね。XANVALAに対して印象的だったのが、メロが激しいバンドは他にもいるけど、その中でも割と幅が広くて、メロディーが立ってるバンドだなっていうところだったんですよね。


――その辺りを踏まえると、両バンドとも当たらずとも遠からずの部分があるのかなと思ったりしました。

70.:ウチもジャンルに囚われてない音楽をやってるので、そういう意味では似ている部分はあると思います。実際に、2マンをやっていても毎回同じにはならないというか。いろんなエッセンスが両バンドにあるから、いろんな戦い方ができるというのは毎回すごく楽しみなところでもあるんですよね。それに、Natsukiさんに対してはプレイヤーとしてすごくリスペクトしてるところがあって、系統として前に出ていくベーシストっていうところでは、“Natsukiさんを見ていれば成長できる”っていうお手本だなと思っていて。

Natsuki:いやいや。でも、いつもライヴを観てくれた後に楽屋に来て「悔しいです!」って言ってくれるんですよ。そんなことないのに!(笑)


――バンド単位に限らず、お2人はプレイヤーとしても前衛的なスタイルとして当たらずとも遠からずのところがあるのかもしれませんね。

Natsuki:自分は、目立ちたがり屋なだけなんですよ。ただ、根本にはそれがあったと思うんですけど、今となってはどうして今のプレイスタイルになったのか覚えてないんですよね。これは上からの言い方になっちゃいますけど、70.くんは華があるベーシストだと思っているので。華があるって自分の中では2パターンあると思っていて、一つはメッチャ動きがかっこいいタイプと、派手に動き回るわけではないけど佇まいがかっこいいタイプ。70.くんの場合は、どちらかというと後者かな、と。

70.:そう言ってもらえて嬉しいです! 確かに、メリハリはつけていますね。でも、本当にNatsukiさんのステージングからは、結構頂戴してるところがあるので……。

Natsuki:どうぞどうぞ! みんな、良いものはマネするじゃないですか。むしろ、そんな風に言ってもらえるのが嬉しいですよね。あと、スラップ上手いよね!? 教えてほしいぐらい(笑)。それに、弾く位置がブリッジの外側だから男らしいなと。その辺りは、“ある方”をリスペクトしてるんだろうなと思うけど……。

70.:はい、Jさん(LUNA SEA)ですね。Natsukiさんって、ギタリストみたいなピッキングをするじゃないですか。あれって、ちゃんと狙って当ててるんですか? それとも、感覚で?

Natsuki:感覚でやってるし、それこそ昔「ギタリストみたいなベーシストになりたい」と思ったことがあって。ギタリストって、ストロークがデカくてかっこいいじゃん?

70.:はい。実際、Natsukiさんってストロークがメチャクチャデカくて、すごくステージングが大きく見えるんですよ。俺は、それが唯一できなくて。さっき、ブリッジ側で弾くっていう話がありましたけど、だから俺、弦に当ててないと弾けないんですよ。


――“ギタリストみたいなベーシストになりたい”というのは、なるほどなと思う部分もありました。

Natsuki:昔、対バンしたギタリストの方ですごくかっこよかった人がいて、その人のストロークがメッチャデカかったんです。身長が高くて手足が長かったんですけど、「ベーシストでああいう形の人、いないな」と思って。そういう意味では、若い頃は特にいろんな対バンのかっこいい人を見て「これ、かっこいい」と思うものをどんどん取り入れていったっていうのはありますね。かっこいいと思ったものを自分でもやってみようっていうことの繰り返しというか、積み重ねというか。あとは、ライヴ中に意図せずやったかっこいい動きを再現するっていうのをやっていたこともありましたね。

70.:そう考えると、“前衛的”と言えば近しいところもありますけど、細かく見ていくと違いもあっておもしろいですよね。だから、まだまだ吸収できるかっこいいところはたくさんあると思うんです。前に出るっていう動き一つとってもNatsukiさんのステップがすごくかっこいいんで、それはパクらせてもらってます(笑)。

Natsuki:いくらでもマネしちゃってください(笑)。


――ちなみに、NatsukiさんがXANVALAや70.さんに対して気になっていることやこの際聞いてみたいことはありますか?

Natsuki:エフェクターをかましてない音を、どうしたいと思っているのかは気になりますね。俺はそこが根幹だと思ってて、全部に繋がってくる部分だから、そこがよくないといけないと思ってるところがあるんですけど。

70.:俺、イヤモニには自分のドライの音(※エフェクトなしの原音)を外音とブレントして返してるんです。昔は結構ドライの音をそのまま返してたんで、「俺、とんでもなく下手クソだな」と思ってましたけど(笑)。そこで、ピッキングって大事だなと思った時期もあって、今Natsukiさんも言ってたように、そこが根幹というか一番大事なことだなっていう風に気づいたんです。大事だからこそ、レコーディングでも苦行にならない程度のテイク数を録らないと納得できないんですよね。ドライの音って、ニュアンスも出るじゃないですか。

Natsuki:メッチャ出る。

70.:ATELIER Zはクリーンアンプが入ってるので、もちろんある程度はいい音がするんですけど、混ざるとコンプ感もなくなるのでピッキングの荒とかも出てくるし。

Natsuki:そうだよね。だから、そこがすごく大事だなって思ってて、元をいかに綺麗にするかですね。ライヴ中は逆ですけど。

70.:レコーディングは、メチャクチャ気にしてますね。ドライを聞いてOKかNGかっていう。しかも、ウチの場合は宅録なんで全部自分ジャッジなんですよ。だから、永久に弾いてますね(笑)。

Natsuki:自分ジャッジは難しいよね。ウチはレコーディングスタジオなんですけど、逆にお仕事でベースだけ納品するときはもう全然弾かないです。それこそドライだけ送るし、もうキリのいいところを見つけないと耐えられなくなるから。それに、どんどん人間味が無くなっていっちゃうんで、「だったら打ち込みでいいじゃん」ってなってしまうから、人間が弾くからこその揺れを大事にしているというか。

70.:俺の場合は曲にもよるんですけど、結構人間じゃなくしちゃうタイプですね。抑揚は付けるんですけど。


――ライヴとレコーディングでも違いはあると思いますけれど、やはりドライの音は綺麗にというところは意識をされているところなんですね。

Natsuki:特に、最近はそこに重きを置いてますね。あとは、曲のアレンジをするときに何を考えてフレーズを作ってんだろう?と思って。結構70.くんの場合、(フレーズが)動いていると思うんだけど。

70.:ウチの場合は、デモの段階である程度完成されてはいるんですけど、まずはベースレスのデモ音源を聞いて自分の中で出来たベースラインを具現化していくという感じです。仮で録ってみて、ヴォーカルの邪魔をしてないかとかコードアウトしてないかっていうのを探って修正していくっていう感じですね。

Natsuki:頭で鳴ってるものを組み立てていくんだ。でも、場合によっては(コード)アウトしてても上手くいくときがあるよね。一瞬の不協和音がかっこいいというか。

70.:ありますね。アウトしてて音としてはハマってないんだけど、気持ちのいい音になるっていうのはあります。そういうときは、作曲者に「ここ、外れてるんだけど入れてもいい?」って聞いて、OKをもらえたらそのまま使うこともありますね。俺、『感情六号線』(DuelJewel)のベースがすごいなと思っていて。ジャジーな感じで、あれは俺には作れないです。

Natsuki:そんなに難しいことやってないけどね!?

70.:いや、ムズいっすよあれは!

Natsuki:『感情六号線』の最後の方なんかも半音ずつ下がっていって、そこはアウトしてるんだけど。結構、レコーディングをしながら曲が出来上がっていくというか、録りながら「ここはこうやって動いたらいいんじゃない?」っていろいろ試していって、エンジニアさんとも話しながらできたのが『感情六号線』なんですよね。


――では、ここで一つ話題にしたいことが“バンドを続ける”ということでして。昨今70.さんは“バンドを長く続けていくこと”に着目している節があると思うので、DuelJewelは累計25年の活動歴がある中で、Natsukiさんはその点についてどのように考えているのか伺ってみたいと思うのですが、いかがでしょう?

Natsuki:そうですね……“長く続ける”っていうことに対して意識していることは、正直特に何もないんですよ。たぶんメンバーも同じだと思うんですけど、結局は単純に仲がいいっていうところだと思うんですよね。あとは、普段口に出すことはなくても、メンバーそれぞれが少なからず尊敬し合ってる部分があって、そこが成り立たないとダメなのかなとは思うんですけど。

70.:確かに、メチャクチャ仲がいいですもんね! メンバー同士リスペクトがある上で、一人ひとりのことが本当に好きなんだろうなっていうのがわかるというか。

Natsuki:本当に、未だに中学生みたいですもん(笑)。それは、全然変わってなくて。たまに、道を歩いてて脅かしたりしますからね。いきなり肩掴んで、耳元で(低い声で)「すいません」って声をかけるみたいないたずらを未だにします(笑)。

一同:(笑)

70.:毎回メンバーと一緒にご飯行ってますもんね?

Natsuki:ほぼ、そうだね。逆に、「今日はいいや」っていうメンバーがいる方が「どうした!?」ってなる。だから、それもあるかもしれないですね。“同じ釜の飯を食う”じゃないですけど、そういうのも割といいことなのかもしれない。


――きっと5人でいることが自然なことなんだと思いますし、それが結果長いことバンドが続いていくことにも繋がっているんでしょうね。

Natsuki:紆余曲折はスゲェありましたけど、「気づけば長くやってる」っていう感覚なんですよね。いろいろあっても、メンバーが変わらず20年以上できるっていうのは奇跡的だし、ありがたいし、すごく嬉しいことですね。

70.:再結成して復活されたとき、俺も嬉しかったですもん。同時に、いつか対バンしたいなと思ったりもして。実際に、今となってはこんなに仲良くさせてもらっていますから。


――そうですね。実際、2マンツアーを回るに至ったわけですし。どうやら昨年の『Aiming』で70.さんが「ツアーをやりたい」とおっしゃっていたとのことで、それが叶ったということにもなりますよね。これを機に、相互にもっといい影響があるんじゃないかとも思っています。

Natsuki:それはあると思いますよ。せっかくだから、音源でも出しますか!


――お!? 両バンドで、作曲できるメンバーが9名いますから……。

Natsuki:そうだ、じゃあできますね!? まあ、“何か”はまだわからないですけど、ただ一緒にツアーを回って終わりっていうんじゃなくて、せっかくだから何かやりたいよね。

70.:そうですね! そのあたりもメチャクチャ楽しみです!


取材・文 平井綾子

写真 Kiwamu Kai


DuelJewel × XANVALA 2MAN TOUR

開催決定!!

3月20日(金・祝)大阪MUSE 

3月21日(土)名古屋ell.FITS ALL 

3月27日(金)Veats Shibuya 

詳細後日解禁