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【ライブレポート】大盛況となった、XANVALA、ミスイ、Z CLEARを擁する〈PARAGUAS inc.〉初のレーベルイベント「TRISULA」。「これを大きくしていきたいです、あなたと一緒に」(巽 / XANVALA)

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PARAGUAS inc. PRESENTS 3MAN LIVE「TRISULA」

2026年1月21日(火) 池袋EDGE

出演:XANVALA / ミスイ / Z CLEAR


XANVALA、ミスイ、Z CLEARを擁する〈PARAGUAS inc.〉初のレーベルイベント「TRISULA」(トリシュラ)が、1月21日、池袋EDGEにて開催された。

〈PARAGUAS inc.〉は、2020年のXANVALA始動と同時に、レーベル代表と二人三脚で立ち上げられたレーベルだ。その後、2023年にミスイ、2025年にZ CLEARが所属し、それぞれに信念を抱く3バンドは“同じ志を持つ仲間”として、大きな“傘”のもとに集結した。こうして、満を持して開催されることとなった初のレーベルイベントに冠されたのは、“三叉槍”を意味する「TRISULA」。“3つ”の突出した個性を突き立てる場を表すものとして、これ以上にない鮮烈なシンボルである。

記念すべき初のレーベルイベントの先陣を切ったのは、広島が生んだ誇り高き荒くれ者、Z CLEAR。幕開けと同時にAKIRA(Vo)がかき鳴らすアコースティックギターの音色が哀愁を帯び、そこへ続々とメンバーが登場。流れるように『束孤』からスタートすると、まさに“孤独を束ねた”歌詞が心に沁みるエレジーが会場を包み込んでいった。冒頭から最新曲で勝負をかける潔さがありながらも、どこか謙虚さも感じられる……が、それは一瞬にして覆されることとなる。

「おいEDGE、『TRISULA』始めようか!〈PARAGUAS〉一番後輩のZ CLEAR、夜露死苦(よろしく)!!!!」

“待ってました”と言わんばかりの威勢のよさでAKIRAが叫びをあげるや否や、Z CLEARたる覇気を爆発させ、“後輩面”をかました『豚の貯金箱』へ突入。東京で一旗揚げるべく、故郷への誓いを炸裂させた『広島』、続いて『サイン』では、ソロ回しの見せ場を含めた切ない激情に満ちた旋律を轟かせ、彼らの本質には骨太なロックサウンドがあることを印象付ける。そして、間髪入れずに鳴り始めたドラムのビートに合わせて起こる手拍子が、『ぶちROCK』の合図。ここで宗馬(XANVALA)と湊人(ミスイ)も加わり、“好きな音楽を貫く”アンセムを声高らかに歌い上げたのだった。

ここまで来れば、Z CLEARの暴走は止められるはずもなく、「後輩ナメてもらっちゃ困ります。新しい風を吹かせにきたんで……一緒にバイク乗りませんか?」と強引に“先輩”2人を誘い、『八丁左回り』へ。モッシュのみならず、「ウォール・オブ・デスじゃないんです。俺らを轢き殺しにくるんです」と、客席に降りたAKIRAの物騒な物言いもハマってしまうほどの狂騒ぶりの中、70.(XANVALA)までもが乱入するというなんともカオスな状況に発展。しかし、この痛快なハチャメチャぶりが、なんともZ CLEARらしいところ。

「XANVALAに、ミスイに、“俺らの先輩になってほしい”と思って入りました。ヤンチャ坊主のZ CLEARですけど、末永く、よろしくどうぞ!」と、不器用ながらも真っ直ぐに尊敬の念と気合いのこもった言葉を告げ、ラストに渾身の一撃『JUNKIE』を通し、自身が信じる最高のロックをかましていった。

3月からは5大都市ONEMAN TOUR『四大至剛』が控えており、4月28日には渋谷WWWにてツアーファイナルが行われる。Z CLEARのように義理人情で生きる人間にとって、最大の武器はいつだって“仲間”だ。レーベルメイトとのステージで屈託のない笑顔を浮かべていたメンバーの姿がそれを物語っており、仲間との絆があればこそ、これからZ CLEARはさらに強くなっていくことだろう。

2番手を務めたミスイのライヴ中、柳(Vo)は〈PARAGUAS〉所属の3バンドを「XANVALAが“夢を見せるバンド”、Z CLEARが“夢を追いかけるバンド”なら、ミスイは“現実を突きつけるバンド”だ」と秀逸に言い表していた。その言葉通り、この日のミスイは、自分たちの在り方をしっかりと提示していたと言える。

暗転とともに、けたたましくメンバーを呼ぶ声がこだまする中「1月21日、池袋EDGE、遂行します」という柳の宣誓から幕を開けると、すぐさま『抹消』から観る者をダークネスへと引きずり込んでいく。続けざまに「“無様”な声を!」と歓声を煽り、天音(Gt)と湊人(Gt)のギターユニゾンが冴えわたる『...嗚呼、無様』、Tetsuya(Ba)のベースがうねる『ごめんなさい』と畳みかけるように展開。さらに『あたし左利き』では、モッシュやヘッドバンギングが渦巻くフロアの熱量に呼応するかのように、メンバーの動きも一層アグレッシヴさを増していった。

世界観への没入感と、容赦のないせめぎ合いとの絶妙なバランスで成り立つミスイのライヴは、単調にならない演奏陣が起こすグルーヴと、柳が自在に操るシャウトと歌唱という表現のレンジの広さがあってこそ成り立つ。「当然、今日はお祭り騒ぎです。ですが、我々ミスイのやるべきことは、ただにこやかに、どんちゃん騒ぎするだけじゃ意味がないと思うんですよ。いかに我々の“生きざま”を刻み込むかが重要だと思うので、ここ(心)に来るものがあったら、その心と体を預けてください」と柳が話していたように、初のレーベルイベントという場でミスイの真骨頂を見せつける意義を明確にしていた。

中盤、場内をしんと黙らせるほどに惹き付けたのは、『廃人、謳歌せよ』や『こんなはずじゃなかった』といった、ミスイなりの嘆きと救いを内包したバラードセクション。生々しい感情をさらけ出したのちに突入したラストスパートでは、誰もが抱える劣等感を爆発させていった。「生きてる証を見せろ」と扇動し、LANA-ラナ-(Dr)の打ち付けるビートに乗せて始まった『「限界です」』での阿鼻叫喚にはじまり、曲中に登場する“スクワット”を柳自ら“ミスイ名物・嫌がらせ”と自虐した『グルグル巻き』を経て、ラストはお馴染み『ヒトニアラズ』。「現実に向き合う」という言葉を添えて披露されたこの曲では、知哉(XANVALA)とトミー(Z CLEAR)も登場し、トミーが天音に代わってギターソロを担う場面も飛び出した。

「また、いつでも弱虫しにきてください」と締めくくったミスイは、5月30日に赤羽 ReNY alphaにてツアーファイナルを迎える春の単独公演ツアー『毒ヲ食ラワバ皿マデ』を開催する。“弱虫”(ファン)一人ひとりに向き合い、決して現実から目を逸らさない強さを共に見出していく彼らのライヴは、単なるネガティブの発散に留まることなく、むしろ漲る生命力すら感じることができる。その在り方こそ、ミスイの“生きざま”に等しいのだ。

“Destruction and CULTURE”――大トリを務めたXANVALAが1曲目にドロップした『CULTURE』のこのワンフレーズが、このイベントの真髄を端的に象徴していた。かつて巽(Vo)は、この曲に込めたメッセージとして「新たな文化を“創造”するためには“破壊”が不可欠である」と語っている。さらに、“トリシュラ”とは“破壊”と“創造”を司る神・シヴァ神と共に語り継がれている存在であり、その意味を重ね合わせることで、XANVALAというバンドが一つひとつのアクションをいかに重要視しているかが浮かび上がる、見事なオープニングとなった。曲中、巽が上品な物言いで「ようこそ」と告げると、圧倒的な存在感を纏ったバンド感に魅了されたオーディエンスは、一体感をさらに高めていく。

『クロコダイル』では、Yuhma(Gt)の“魅せる”要素も兼ね備えたシャープなリードギターが冴えわたり、70.(Ba)はベースソロを鮮やかに決める。後方からとてつもないオーラを放つ知哉(Dr)のドラムロールに手拍子が起こった『落ちていく魔法』では、宗馬(Gt)の独特な浮遊感のあるギターが炸裂。それぞれが己のポジションを全うすることで迫力ある音塊が形成され、そこに生じる研ぎ澄まされた重厚感は、バンドとしての成熟度を物語っていた。

中でも、リアルタイムな心情としてひと際インパクトを残したのが最新曲『アイライナー』だ。巽の歌声がなぞる、勝負心を露わにした言葉が際立つ小細工なしのストレートなロックチューン。2月1日に控える恵比寿ザ・ガーデンホールでの6周年記念ワンマンへ向けて『ROLL THE DICE』ツアーの真っ只中にある彼らが、明確な目的意識を纏いながら前進している姿を潔く突きつけていた。

「レーベルイベントっていうのは、このご時世なかなかできることじゃないと思うんです」と話し始めた巽は、3バンドのスケジュールが噛み合い、念願とも言えるイベントが開催できたことを「幸せです」と語った。「だから、これを大きくしていきたいです、アナタと一緒に」と今後への意気込みと共に付け加えた「〈PARAGUAS inc.〉いいところだな」という思いは、ファンのみならず、ステージに立つ仲間たちにも共有されていたのではないだろうか。

ここからは、巽がギターを構えた『Stray』で人間のドラマを描き出す凄味を見せ、『joke』ではメロディアスにフロアを翻弄。さらに、XANVALAの艶やかな側面を堪能できる『鱗粉』など、バンドの持つ振れ幅を惜しみなく発揮していく。その表現力は、積み重ねてきた貫禄の成せる業(わざ)であると同時に、“ファミリー”が集う心許せる空間だからこそ生まれたアプローチだったようにも思える。こうして『ヴァジュラ』では、音圧を跳ね返すほどの歓声が起き、躍動するフロアを巽が指一本で魅了。ラストは、Tetsuya(ミスイ)とみやこ(Z CLEAR)も登場し、この日ならではのファニーなテイストを帯びた『十三』で締めくくられた。

最後は〈PARAGUAS inc.〉オールキャストが登場し、「全部まとめて突き刺してやるからな!」とイベントタイトルに準えた巽の一喝が口火を切って、『CREEPER』で大セッションを繰り広げた。しかし一度では飽き足らず、「今この瞬間さらに欲張るか、家に帰るかで、可能性は広がるんじゃないかと俺は思ってるんですけど……まだ欲張れそうですか?」と、巽の巧みな先導に対して“欲張る”選択をしたフロアは、再び『CREEPER』へとなだれ込み、入り乱れるようにして幕を閉じていった。

70.も「ここから先はそれぞれ頑張って、EDGE以上にすごい会場にみんなを連れて行こうと思います!」と語っていた通り、〈PARAGUAS inc.〉は大いなる可能性を秘めているといっても過言ではない。“トリシュラ”は、先端が鋭利に三叉に分かれてこそいるものの、一本の強靭な軸の元に成り立っている。それはすなわち、3バンドそれぞれの力が不可欠であり、それが1つに交わったときに大いなる力を発揮するということ。記念すべき初のレーベルイベントは、そのポテンシャルが十分に備わっていることを確かに証明してみせたのだった。


写真 かわどう(Tabata Daiki)

レポート・文 平井綾子(Ayako Hirai)


セットリスト

[Z CLEAR]

1.束孤

2.豚の貯金箱

3.広島

4.サイン

5.ぶちROCK

6.八丁左回り

7.八丁左回り

8.八丁左回り

9.JUNKIE


[ミスイ]

1.抹消

2. ...嗚呼、無様

3.ごめんなさい

4.あたし左利き

5.廃人、謳歌せよ

6.こんなはずじゃなかった

7.「限界です」

8.グルグル巻き

9.ヒトニアラズ


[XANVALA]

1.CULTURE

2.クロコダイル

3.落ちていく魔法

4.アイライナー

5.Stray

6.joke

7.鱗粉

8.ヴァジュラ

9.十三

ENCORE

1.CREEPER