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【ASAGI】2026.2.16ZEPP SHINJUKUライブレポート!

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ASAGI

2月16日、ZEPP SHINJUKUは熱狂と静寂が交錯するASAGIの世界に包まれた。

ASAGI solo works 20th Anniversary Tour chapter I「Another me」ツアーはASAGIと浅葱が織りなすソロ活動20周年Yearの始まりであり、FINALは培ってきた彼の音楽人生における魂を再定義する一夜となった。

ジャンルという枠を超え、新たなロックを導きながらも、根源的な「自己との対峙」を体現したステージは単なる記念ライブではなく、ASAGIから生み出されるあらゆる存在「もう一つの自分」と再会させた。

リフレインのようなSEと共に幕が上がると、ASAGIを筆頭に幻想的なシルエットが浮かび上がった。一曲目はツアータイトルでもある「Another me」。

タイトルチューンでありながら、ツアー全体の核として位置づけられたこの曲は、イントロの印象的なフレーズが会場全体を震わせ、ASAGIのヴォーカルとメッセージが胸に鋭く突き刺さる。

ステージとフロアがまるで鏡のように反響し合った。

続く「Sleeper」「弾丸」はASAGIがD時代に作り上げた名曲であり、ASAGIの歌声と盟友HIROKIのドラム捌きのコンビネーションに観客もヒートアップが止まらない。

そして畳み掛けるように「HUNTING」が続き、序盤はASAGIが持つ鋭利さと、エモーショナルの絶妙なバランスが心を躍らせた。

中盤へ移ると「赤い森のロゼ」「LEVEL INFINITY」と幻想的なナンバーが並び、照明はステージを赤く染めあげる。

MCを挟んでの「Destrier」「花惑」「メテオ ~夢麻の刻~」と続き、再び世界を闇に侵食させ、ASAGIの声質が持つ独特の艶と毒が存分に発揮されていた。

「天啓」「R.E.D. ~Regenerate Emerge Dawn~」と続くブロックは、それまでの世界から一転、誰も手の届かない孤高の世界であり、破壊と創造が無限に繰り返されてるようにも思える。観客は息を詰め、その世界に没入する。

後半戦は「GORE」「Fea[the]r」「屍の王者」と、闇の力が加速し続ける。「アンプサイ」「Unknown」、彼のソロでのキャリアを象徴する楽曲群が連なり、ソロの始まりの曲「Corvinus」はまるで闇に差し込む一筋の光のようだ。

そしてここでASAGIの獣のような咆哮がZEPP  SHINJUKUに轟く。

Dの無期限活動休止以来、初の披露となる「鬨の声」が披露されたのだ。

観客のテンションもクライマックス、ステージとひとつになった熱狂が伝わってくる。

そして迎える本編ラスト。

MCを経て再び「Another me」が再演される構成はドラマティックであり、ASAGIの表現力が極限まで引き出される構成だ。

ツアーの始まりと終わりを繋ぐループは、20年という長い歳月を「再生」させる象徴として完璧に機能していた。

曲中に演奏がピタっと止まり、オーディエンスのASAGIを呼ぶ声が谺する。

ASAGIはそれを愛おしそうに眺めていたのが印象的だった。

全体を通して、ASAGIの歌声は20年前よりさらに深みを増し、痛みと美しさが同居する独自のロックを確立していた。

サポートメンバーも所謂ソロアーティストのバックバンドに終わることは決してない。

Gu.HIRO、 Gu.ギル、Ba.亜季、Drs.HIROKI、4人の隙のない秀悦な演奏は推進力となり、ASAGIのヴォーカルを引き立てるのだ。

ASAGIは「Another me」を通し、「もう一人の自分」に救われたという。

今までにも膨大な「もう一人の自分」と向き合ってきた彼だが、今のASAGIを救ったのは奇しくも過去の自分だったのだ。

20周年という節目を単なる祝賀ではなく、新たな始まりの宣言として刻み、ファンとの血の繋がりを再確認できた夜になったのではないだろうか。

本編の激情を終えるや否や、鳴り止まぬアンコールの声が鳴り響く。

そこに登場したASAGIは黒い打ち掛けを羽織り、一瞬で和の世界へと誘い出す。

ファンへ新たなスケジュールが告知され、夏からは浅葱としての活躍が期待されるようだ。

アンコールの和の曲ではゲストである燿(摩天楼オペラ/Ba.)が加わり、「魍魎 - MIZUHA-」の幻想的なイントロからASAGIの声が水のように広がる。

続く「物の怪草子」「狐華火」と、妖艶で古風な世界観の連鎖。

燿の低音が支えるリズムは、曲に新たな重厚さを与え、ASAGIの歌唱に妖しい艶を乗せていた。

会場は息を潜め、まるで古い物語に召喚されたような没入感に包まれる。

「魑魅 -SUDAMA-」へ移行すると、Ba.は燿から再び亜季へ。

鬼女の悲鳴は会場を切り裂くようだ。

「天地行きて来る小舟」が静かに流れると、空気は一変し浅葱のメジャーデビュー曲「月界の御子」へ。

叙情的な深みを帯びながらも浅葱の力強い声が天を貫くように響く。

「桃太郎伝記 ~我武者羅~」では浅葱独自の桃太郎の持つ鬼の力と人間らしさが観客にエールを与える。

「鬼眼羅」では再び、燿が加わり、亜季と燿のツインベース、HIROとギルのツインギター、HIROKIのドラムが炸裂し、浅葱は人とも思えぬ歌を咆哮する。

圧倒的な音圧と感情の奔流にフロアの揺れが止まらない中、浅葱はおもむろに階段からフロアへ。

屈託のない表情で会場を駆け回る浅葱に会場のファンは沸き立った。

そして嵐の後の静けさのように最後を飾った曲は彼の名が含まれた「アサギマダラ」だ。浅葱が持つ声はそれまでよりもさらに生々しく、まるで生き様を歌うかのように切なく美しく響く。蝶の旅の終わりは完璧な円環を描きながらこの日の終焉を伝えた。

終演後に発表された夏までの彼の次なる章が、どう歪み、どう輝くのか。

彼の音楽人生はまだ終わらないのだ。

次なる扉の先が楽しみな夜となった。