DEZERTが、5月22日に東京・恵比寿The Garden Hallで『DEZERT LIVE TOUR 2026 「study」 study#16-「特製・脳味噌絶倫スープ」と「タイトルなし」の復習-』を開催した。

「study」は、DEZERTが2018年から不定期に開催してきた企画ライヴシリーズ。
“復習”という言葉通り、バンドが過去曲と向き合うステージであり、ファンにとっては普段なかなか聴けないレア曲を楽しめる機会でもある。
バンド結成15周年を迎えた今年は、studyシリーズを初のツアー形式で開催。東京のみならず、名古屋、大阪も含め、全8公演を行なう。
その初日公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

3月に幕張メッセでのワンマンライヴを終えたDEZERT。約2か月のインターバルを経て迎えたこの夜、彼らが“復習”するのは、2013年から2014年にかけてリリースした『特製・脳味噌絶倫スープ〜生クリーム仕立て』と『タイトルなし』。
グロテスクな表現や攻撃的なサウンド、繊細なメロディを内包したこれらの作品は、DEZERTがヴィジュアル系シーンで存在感を高めてきた時期の重要なアルバムだ。
10年以上の時を経たいま、初期衝動の詰まった楽曲たちがどう表現されるのか。自然と期待が高まる一夜となった。
久々の再会となるステージは、SEの「Human Soupe」からスタート。
赤ん坊の不気味な笑い声に続いて、Sacchan(Ba)が「----」のヘヴィなフレーズを繰り返し、リバーブのかかった千秋(Vo)の声が浮遊。
そこにSORA(Dr)の繰り出す地鳴りのような重たい打音、Miyako(Gt)の放つ怪しいサウンドが加わり、ヒリヒリとした切迫感を醸し出していく。
そのまま「「嘔吐」」へ突入すると、千秋のロングデスボイスが炸裂し、ライヴ開始3分でオーディエンスを圧倒。DEZERT特有の異様な緊張感をホール内に充満させた。
張り詰めた空気は、続く「メリーさんの自殺未遂」「胃潰瘍とルソーの錯覚」で一気に解放。フロアでは激しく髪が振り乱れ、徐々に会場の熱も上がっていく。
この日は前方のスタンディングゾーンと後方の指定席に分かれていたため、後のMCで千秋が「後ろ、暴れたくないの? 遠慮しがちだよね。
指定席だからって暴れちゃだめってことないですからね。みなさん好きに、音楽で殴り合いましょう」と、会場全体を煽る場面もあった。



「My Unhappy Life」「「無修正。」」と最新の楽曲もセットリストに挟みつつ、ライヴのテンションを高めていく4人。
その一方で、メロディの強さが際立つ「「軽蔑」」では、千秋の伸びやかな歌声とSacchanの洗練されたコーラスワークにより、高揚感が切なさへと塗り替わっていく。このコントラストもまた、初期から続くDEZERTの魅力の一つだ。
楽器隊による心地よいアンビエントが陰鬱なイントロへと変化して始まったのは、「さぁミルクを飲みましょう。」。
Miyakoの叙情的なギターソロが、オーディエンスの心を揺さぶる。続く「「擬死」」では、「もっと触って、もっと抉って」と原曲にはない歌詞を虚ろに繰り返す千秋の姿が、深い余韻を残した。
その余韻と残響を断ち切ったのは、「「絶蘭」」。ステージの中心に向かい合い、しびれるような爆音を放つ彼らは、恐怖すら感じるほどのオーラを携えていた。
「このアルバムが出てからもう10年以上経ちましたが、短いようで長いようで、いろいろ経験させていただきましたよ。


見たところ、みんな10歳は超えてるはず。ってことは、このアルバムたちが出た時代を、一緒に生きてくれてたあなたたちってことですわ。
四六時中、一緒におれるのが音楽やと思います。なので、これからもいっぱい音楽作って、いっぱい苦しんで、いっぱい良い思いして、いっぱいライヴやりましょう!」(千秋)
オーディエンスに寄り添うこの言葉は、きっと本心だったに違いない。しかし、その温かさに浸ったまま帰らせてはくれないのがDEZERTだ。
「体力なくなったやつ、病気になったやつ。そんなやつのために指定席ってのも用意したい。
ただ! やっぱライヴはオールスタンディングだよな?! な?! な?! ……最後に言うことじゃないけど、ぬるい」(千秋)
本編があと一曲で終わるというタイミングで、突如フロアに活を入れた千秋。
Sacchanと共にブーイングのサインを出したり、中指を立てたりと好き放題に挑発しまくり、最後には「教育しなおしてやるよ、おい」と吐き捨てる。



始まったのは、もちろん「「教育」」だ。その言葉で完全に火がついたオーディエンスは、「お前が嫌いさ!」と大声で叫び、折り畳みや拳ヘドバンで勢いよく暴れだす。
フロアとステージが互いに煽り合い、激しいぶつかり合いが繰り広げられながら、本編はラストを迎えた。
アンコールは和やかなメンバートークからスタート。Miyakoが「久しぶりー!」と笑顔を見せつつ、ライヴのなかった2か月間に触れ、「47(ツアー)で毎週末ライヴやってたから、すごい変な感じだったけど、こうやって帰ってこられて嬉しいです!」と素直な気持ちを伝える。
するとSORAが「みーちゃん(Miyako)のDEZERT史上、一番綺麗なMCだったんじゃない?」と突っ込み、それを肯定するようにフロアからは大きな拍手が沸き起こった。
さらに、studyにちなんだ過去の裏話も。「飼育部屋」の無料配布CDの余剰分をSORAが実家に保管していたことや、「脳みそくん。」を“脳みそさん”にするか“脳みそ氏”にするか真面目に議論したこと、当時別のバンドに所属していたMiyakoが、千秋とツーショット写真を撮って「(お互いの衣装が)白と黒だね」とだけ言い残して去っていったことなど、微笑ましいエピソードが次々に飛び出し、会場は笑いの渦に。
DEZERT黎明期の様子が垣間見える貴重な時間でもあった。
リリース当時から好評だったという「さくらの詩」をじっくりと聴かせたあとは、同じくファン人気の高い猟奇的なナンバー「飼育部屋」へ。
しかし、ここで千秋が2回連続で歌詞をド忘れし、舞台袖のスタッフに歌詞を見せてもらうという不測の事態に。



千秋本人は悔しさのあまり膝から崩れ落ちていたが、久しぶりに演奏する楽曲の多いstudyならではのハプニングに、会場は逆に大盛り上がりだった。
想定外に和やかになってしまったムードを掻き消すよう、「infection」「doze.」とハイテンポなハードナンバーを連投。
ステージから放たれる熱量はフロアへと着実に伝播していき、「オイオイオイオイ!」と勇ましい声が飛び交う。
体力の限界まで互いに暴れ狂う中、ライヴはいよいよラストナンバーへ。この日最後に投下されたのは、MCの思い出話にも出てきた「脳みそくん。」だった。
オーディエンスは拳を振り上げながら左右に大移動し、ホール全体を大きく揺らす。
そして、轟音と熱狂のさなかに放たれた「元気じゃなくても生きて行けよ!」という千秋の不器用なエールと共に、ライヴは幕を下ろした。



音楽こそが、誰かと共に在り続けられるものだと信じ、過去作にも向き合い続けるDEZERT。
この日のステージからは、初期から続く狂気と生々しさを保ちながら、オーディエンスが心を預けられる大きなバンドへと進化した姿が表れていた。
DEZERT LIVE TOUR 2026 「study」は、残る6月19日、20日の東京公演に続き、6月26日、27日に名古屋公演、7月3日、4日に大阪公演が開催される。
DEZERTの歴史を復習できるこの機会を見逃さないでほしい。
カメラマン:Megumi Iritani
ライター:南 明歩
study#16-「特製・脳味噌絶倫スープ」と「タイトルなし」の復習-
2026年5月22日(金)恵比寿The Garden Hall
SETLIST
1.----
2.「嘔吐」
3.メリーさんの自殺未遂
4.胃潰瘍とルソーの錯覚
5.My Unhappy Life
6.「軽蔑」
7.脳姦少年
8.「無修正。」
9.さぁミルクを飲みましょう。
10.「擬死」
11.「絶蘭」
12.ストロベリー・シンドローム
13.「殺意」
14.「死刑宣告」
15.「教育」
EN1.さくらの詩
EN2.飼育部屋
EN3 infection
EN4 doze.
EN5 脳みそくん。
≪ライヴ情報≫
■DEZERT LIVE TOUR 2026 「study」
2026年6月19日(金) 東京:恵比寿The Garden Hall OPEN 17:45 / START 18:30
study#18-TODAYとblack holeの復習-
2026年6月20日(土) 東京:恵比寿The Garden Hall OPEN 16:15 / START 17:00
study#19-RAINBOWとThe Heart Treeの復習-
2026年6月26日(金) 愛知:名古屋ボトムライン OPEN 17:45 / START 18:30
study#20-「暫定的オカルト週刊誌①」とTODAYの復習-
2026年6月27日(土) 愛知:名古屋ボトムライン OPEN 16:15 / START 17:00
study#21-「最高の食卓」とblack holeの復習-
2026年7月3日(金) 大阪:Yogibo META VALLEY OPEN 17:45 / START 18:30
study#22-「タイトルなし」とRAINBOWの復習-
2026年7月4日(土) 大阪:Yogibo META VALLEY OPEN 16:15 / START 17:00
study#23-「特製・脳味噌絶倫スープ」とThe Heart Treeの復習- ※SOLD OUT
【チケット料金】
◇東京公演のみ:前方スタンディング 7,000円(税込)/後方指定席 8,000円(税込)
◇名古屋公演・大阪公演:スタンディング 7,000円(税込)
※入場時ドリンク代別途必要
【チケット発売中】 https://linktr.ee/DEZERT_study
※大阪公演のみローチケでの発売
■ホールツアー
2026年9月12日(土) 大阪:NHK大阪ホール
2026年9月19日(土) 愛知:Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
2026年9月27日(日) 東京:Kanadevia Hall(TOKYO DOME CITY HALL)
※詳細後日発表
DEZERT オフィシャルサイト https://www.dezert.jp
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