REPORT

VINYL、横道坊主と静岡「CLUB ZOU」で激突 対バンで「ずっとそばにいて」披露

NEW

9月12日、静岡・清水のライブハウス「CLUB ZOU」で、結成40年以上を誇るロックバンド・横道坊主と、90年代ヴィジュアル系シーンを駆け抜けたVINYLが激突した。

VINYLにとっては、年内最後となるバンド編成でのライブ。ステージでは、今年6月に配信された「ずっとそばにいて -Roots Edition-」を披露したほか、今後予定されている「VINYL unplugged」のスケジュールも発表された。

このイベントを主催したのは、普段は水道工事の仕事に汗を流す〝ツトム〟こと黒岩努氏。車屋、設備屋、飲食店、バー、タトゥースタジオなど、約20社もの地元企業・店舗が協賛に名を連ねた。

芸能プロダクションや大手イベント会社が仕掛ける興行とはひと味違う。「ツトムがやるなら」と友人たちが集まり、そこからミュージシャン、タトゥーアーティスト、地元の店へと人の輪が広がっていく。今回のライブは、まさにその〝友達の輪〟が形になったイベントとなった。

ステージに立ったVINYLは、冒頭から会場を巻き込んだ。

ボーカルの福井祥史は「皆さんも飲んでますか? 今日はいっぱい飲んで、いっぱい騒ぎましょう」と呼びかけ、さらに「曲を知らなくてもリズムに乗ったり、手拍子したり、歌って叫んで一緒に騒ぎましょう」と客席を煽った。

ステージとフロアの距離が近いCLUB ZOUならではの空気も相まって、演奏が進むにつれて観客の熱量は上昇。福井の呼びかけに客席から大きな声が返り、手拍子や拳を上げる動きも次第に演者と重なっていく。

「清水の大きな声を聞かせてください!」

「まだまだいけますよね、清水!」

福井が繰り返し客席へ投げかける言葉に、観客も負けじと応える。終盤には「最後の最後に一番大きな声を聞かせてくれ!」と呼びかけ、会場全体を巻き込んだ一体感を生み出した。

この日の福井の煽りは、いつにも増して激しかった。演者と観客が拳を上げるタイミングまで重なり、ステージとフロアが一体となっていく様子が印象的だった。

ギターの鈴木新は、師匠である44MAGNUMの広瀬“JIMMY”さとしから受け継いだ、音だけではなくステージ上の姿まで含めて〝魅せる〟ギタープレイを披露。華やかなステージングで観客を魅了した。

単にJIMMYのスタイルをなぞるのではなく、そこから受け継いだ〝魅せる美学〟を鈴木新自身のステージングへと昇華していることが伝わるプレイだった。

サポートドラムの直樹(DEATHGAZE)も強烈な存在感を放った。元となる楽曲の特徴を瞬時に捉え、その持ち味を最大限に引き出すテクニカルなプレイに加え、会場を揺らすような迫力ある生音で演奏を支えた。

一方、サポートベースのJun(Valentine D.C.)は、ステージを降りて観客との距離を一気に縮める場面も。客席とほぼ〝0距離〟でベースを奏でるという大胆なパフォーマンスで、フロアを沸かせた。

ライブ中盤には、今年6月にデジタル配信・ストリーミング配信された楽曲として「ずっとそばにいて -Roots Edition-」を披露。

福井が「次にやる曲は、今年6月にデジタル配信やストリーミング配信もしている曲です。それをやります。『ずっとそばにいて』です」と紹介すると、会場からは大きな拍手が起こった。

同曲は、1998年5月にリリースされたシングル「ずっとそばにいて」の再録バージョンとなるVINYLの5thシングル。6月13日に配信リリースされ、現在各種配信サービスで聴くことができる。

ステージ終盤には、今後のライブスケジュールも発表された。

福井は「バンド編成でやるのは年内は今日が最後ということになります」と報告。さらに「VINYL unplugged」について「二人でやるやつ」と説明し、9月26日の下北沢、10月16日の上野、11月7日の岡崎公演を告知。「もしよかったらじゃなくて、絶対来てください」と呼びかけると、会場から大きな歓声が上がった。

そして、この夜のフィナーレを飾ったのがアンコールだった。

福井祥史、鈴木新、サポートドラムの直樹が横道坊主とステージ上でセッション。世代や活動フィールドの異なるミュージシャンが同じステージに立ち、最後まで会場の熱気を途切れさせることなく、熱い夜を締めくくった。

今回のライブは、単なる豪華対バンではない。

昨年に続き横道坊主のライブを自ら企画し、今年はVINYLまで加わった背景には、ツトム氏を中心とした地元の人々のつながりがある。

横道坊主との交流は約15~16年。VINYLについても、地元のタトゥースタジオ「INK-HIGH-TATTOO」のFUTOSHI氏から声をかけられたことをきっかけに出演が実現した。

水道職人からタトゥーアーティスト、そしてミュージシャンへ――。

肩書や業種を越え、人と人との縁が音楽を通じて一本につながっていく。

さらに今年は、イベントのチケット収益を子ども食堂の支援に充てる予定だという。

音楽を愛する一人の地元人が、「好きなことで地元を盛り上げたい」という思いから始めたライブ。それに共感した仲間たちが集まり、約20社もの協賛が生まれ、清水のライブハウスにロックファンが集結した。

ステージから響く爆音と、フロアから返される歓声。

この夜、CLUB ZOUで鳴っていたのはロックだけではない。

〝好き〟を起点にした人のつながりが、確かに清水の街を熱くしていた。

■VINYL vs 横道坊主 静岡・清水公演

2026年9月12日(土)@静岡・清水 CLUB ZOU
OPEN 17:00/START 18:00
出演:VINYL/横道坊主
※横道坊主TOUR 2026「CHANGE TO STAY THE SAME」の一環として開催


■VINYL unplugged

2026年9月26日(土) 下北沢
2026年10月16日(金) 上野
2026年11月7日(土) 岡崎
※詳細はVINYL公式Xにて


■配信情報

VINYL 5thシングル
「ずっとそばにいて -Roots Edition-」
好評配信中

VINYLは、福井祥史(Vo/元D’ERLANGER・STRAWBERRY FIELDS)と鈴木新(Gt/元黒夢)によるユニット。1996年のhide主催コンピレーション参加や千葉マリン出演で注目を集め、活動停止を経て2024年に再始動した。

横道坊主は1984年結成の長崎県出身ロックバンド。バンド名は長崎の方言で「悪ガキ」という意味で、1989年に東芝EMIよりメジャーデビューしている。