INTERVIEW

llll-Ligro-ロングインタビュー【前編】

llll-Ligro-

4年間に及ぶ活動休止期間を終え、ついに再始動を果たしたllll-Ligro-。Full MVが公開された新曲「INVICTA」は、新メンバーGuitar.Jesse、Bass.羽鳳を迎え入れた新生llll-Ligro-の「進化」を雄弁に物語る大曲となっている。
活動休止期間中、果たして彼らはどんな思いを抱いていたのか?再始動までの道のり、そして「INVICTA」に込められた思いとは――?バンド史上初となるロングインタビューを通し、メンバーそれぞれの胸中に迫る。

取材・文 清水大輔
 

4年間を支えた1つの「約束」


――まずは再始動おめでとうございます。
一同 ありがとうございます。

――再始動発表を経て、現在の心境はいかがでしょうか。
羽鳳 「やっとだぜ」って感じですね!僕は最後に加入が決まったので、メンバーの中ではため込んでいた時間が一番短いんです。それでも、2年近くllll-Ligro-として動きだせなかったのはつらかったですね。でも、時間の経過に比例してフレーズの1つひとつが濃くなって、「INVICTA」が素晴らしい曲になっていくのを肌で感じていたので、やっとこいつを世に出せる!って感じです。
Jesse 僕も「やっとだな」という感じです。間違いなく今このシーンに必要なバンドですよ、llll-Ligro-は。ストイックだし、表現力もすごいし。ただ暴れて満足出来るとか、そういうバンドじゃない。伝えたいものを、曲と視覚で伝えてる。

――活動休止以前からのメンバーであるお2人はいかがですか?
kazari こんなに心強い面々に囲まれて再始動を打てるのは、間違いなく嬉しいです。ただ、心境で言うと実はそんなに変わらないんですよね。今までのようにこれからも、今まで以上にいい曲を作っていいライブをして、自分達の音楽を形にしてたたき付けることを愚直に頑張ろうって感じです。
ヒナタ 僕も感情の形はあまり変化していないですね。発表した瞬間の客席の声が喜びに寄っていたので、一応の安堵感があるくらいです。

――お2人にとって、この4年間は長く厳しいものだったのではないでしょうか。
kazari 正直いろいろあったんですが、再始動の主催(注:2017年12月1日EDGE ikebukuro 時限式:uadjet主催「Raphaelesque Head Bursting」)を終えて振り返ってみると、こまごまとしたことは忘れちゃってるんですよね。僕は、再始動するなら進化して帰ってこなきゃ意味がない、それが出来なかったらただの自己満足にしかならないと思っていて。「当時よりものすごいものを作れるようにならなきゃ」って思いを抱えてひたすら曲を書いていた時期だったので、他のほとんどの出来事も感情も、その思いと記憶に塗りつぶされちゃってるのかもしれないです。

――llll-Ligro-としての再始動を、絶対に実現させたいという思いがあったんですね。
kazari そうですね。唯一、活動休止が決まってラストライブをした日のことは鮮明に覚えてるんです。「頑張ろう」ってヒナタ氏と約束して、拳を突き合わせて別れたっていう……。
ヒナタ お互いがお互いに、お互いが自分自身に楔(くさび)を刺した感覚だったような気がします。有り体(ありてい)に言えば、あの瞬間に「降りられなくなった」というか。辞める選択肢は2人ともなかったんですが、それでも確認せずにはいられなかったというか。それくらい、失ってしまった感覚が大きかったんです。
kazari あれから時間はかかりましたけど、こうして「この人たちと切磋琢磨したい」と思える人に囲まれて音を出せる今があるから、活動休止してた4年間も決して無駄じゃなかったと思えますね。今になって、ですが。

――ヒナタさんはいかがですか?
ヒナタ とにかく自己否定の毎日でした。バンドがないと、ここに居てもいい理由がどうしても見付けられなくて。活動休止してからは身の置き場がないというか、客観的に見て僕は「バンドマン」ではないんです。ましてや「アーティスト」や「表現者」なんて名乗れるわけがない。
kazari うん、その葛藤はすごくあったよね。自分たちで決めたことではあるものの、あらためて「バンドのない自分」に向き合うと本当にびっくりするくらい何もなかったというか。
ヒナタ 自分の置かれた立場を可能な限り客観視してわきまえつつ、理想の音楽を作り提示していけるメンバーを探さなければならないというのは、その根底にある自己矛盾と常に向き合うことになるわけで……。
kazari 「自分探し」なんてかっこつけて、ふらっと地方に行ったりしましたからね。まあそれは僕だけなんですけど(笑)。

――4年もの期間が空いたということは、メンバー探しも難航したのでしょうか。
ヒナタ そうですね。もちろん、僕らの力不足が一番大きな理由だったと思います。それでも何人か、今のメンバーとは違う人から「入りたいです」と言ってもらったこともあったんです。ただ、いざ曲作りを始めてみるとみんな「自分の力では足を引っ張ってしまう」と去っていってしまって。
kazari うん、いっぱいあったね。
ヒナタ バンドとして提示していきたい音楽、姿勢の、あらゆるハードルが高すぎたのかもしれません。

――妥協できないからこそ壁にぶつかってしまった、ということですね。
ヒナタ 最初から見えていた壁なんですけどね。だけど、理想を曲げる選択肢はなかったんです。バンドをやる上で、曲げた理想は掲げられないですから。語弊はありますけど、身の丈に合わないレベルを求めてるのかな、という疑念はずっとあって。だからやり方に迷って、否定して、あがいての繰り返しでした。身の置き場がないから、心のやり場がない。そんな状態がずっと続いていました。支えになるものが、kazariとの約束だけでしたから。
kazari まったく同じです。正直、自分たちのことを知ってくれていた人たちも、僕らが活動休止となったらその穴を埋める何かをすぐに見付けるだろうし、時間が経てば僕らのことなんか忘れていくんだろうな、というのは分かっていて。「このまま時間とともに僕らなんてなくなってしまうんじゃないか」と思ったことも何度もありました。でも、その時に一番最初にその考えを遮ってくるのがまさにその日のことで。クサいかもしれませんけど、あの約束は本気で交わしたものだし、「待ってます」って声も少なからず耳にすることがあって。「誰か1人でも求めてるなら戻れよ」「戻ってくるまではどれだけかっこ悪くてもあがけよ」って、もう1人の自分がそう言うんですよね。
ヒナタ 約束を盾に、強がることしか出来なかった時期でした。


 

100%でぶつかり合える「バンド」への道のり


――苦難の中、新メンバーのお2人と出会ったきっかけは。
kazari よくよく考えれば、2人ともものすごく近くにいたんです。顔見知りだったし、何回か打ち上げの席で一緒になったりしてて。なので灯台下暗しというか(笑)。最初に名前が挙がったのはJesseだったっけ?
ヒナタ そうだね。いろんなバンドさんのライブを拝見する機会があって、一目ぼれしたのがJesseだったんです。ステージでの存在感というか、オーラというか、「持ってる」んですよね。腕の角度や目線、指先にまで意識が届いていて、「あぁ、この人だ」「ビジュアル系の意味を理解してる人をやっと見付けた」って。当時の彼のバンドが解散することが決まってからは、あの手この手で口説き落としました。

――Jesseさん、llll-Ligro-加入の決め手は何でしたか?
Jesse お誘いを受けた時、ヒナタ君に「どこまでいけるの?」って聞いたんです。そしたら熱い答えをサラッとくれたので、迷いはありませんでした。その答えがどういうものだったのかは、これからllll-Ligro-の活動を通してお見せしていくつもりです。kazariくんのギターも素晴らしいですし、一番はやはり曲ですね。圧倒的なクオリティの中に溶け込む歌声。完璧です。ファンです、僕。ツインギターのアプローチって結構王道になりがちですけど、kazari君とやってるとそういうのがないんです。どっちもリズムで、どっちもリード。そのイコールを出せるのが、ギタリストとしてとても楽しいです。
kazari ただ、そこからのリズム隊探しが難航しまして、どうしようかと(笑)。そんな時にJesseが羽鳳の名前を挙げたんです。
ヒナタ 「ベースはこいつ以外考えられない」くらいの強い薦めもありまして。

――熱烈ですね!Jesseさん、羽鳳さんを強く推した理由を伺ってもいいですか?
Jesse 羽鳳とは前バンドから一緒なんですが、天才なんです彼は。そして努力家で、音が大きい(笑)彼のベースを体感しちゃうと、他じゃ物足りなくなるんですよね。僕自身llll-Ligro-が最後のバンドだと決めているので、彼以外に選択肢はなかったです。
羽鳳 大げさですけどね(笑)。僕もJesseが一足先に時限式:uadjet(注:活動休止期間中、ヒナタ、kazariにサポートメンバーを加え活動していた際の名義)のサポートを始めたころから、気になって曲を聴いてみたり、ライブを観に行ったりしてたんです。その中で、衝撃を受けることが多くて。あらためて本腰を入れて曲を聴いて、ライブを観て、気が付いたら「自分も仲間になりたい」と思ってました。
kazari 僕自身彼のことも知っていたし、当時彼がやっていたバンドでは完全にベースヒーローだったし、何せ縦に長いからものすごいインパクトで覚えてたんです(笑)。そして、いざ話してみたらまあ熱くて。2人とも共通していることなんですが、内面がすごく熱いんです。2人ともキッズの心がちゃんとあるというか。それで、とにかくこの面々で何かやってみたいと思って。
ヒナタ 「じゃあ4人で曲作ってみようか」という話になっていざ制作に入ってみると、今までやりたくても出来なかったことや、僕らの引き出しにはなかったようなアプローチがどんどん飛び出してきて、「バンド」になれた気がしたんです。なので入る入らないとか、口説くとかそういう話し合う段階を飛ばして、気付いたら加入することになってました。ちなみに、その時に作っていたのが『碧落の暁り』(注:ライブ会場限定6th single、2016年12月19日発売) なんです。

――それは驚きです。ゲストとしてクレジットされていたお2人が、実は制作にも携わっていたとは。
kazari 「碧落の暁り」はヒナタ氏、「鴉食」は僕のデモなんですが、完成までに「何か足りない」っていう感覚的なところを何回も話し合って。ああでもないこうでもないと言いながら、それでもいろんなフレーズを提示してくれる2人を見て、この2人の姿勢は間違いないと思いましたね。
ヒナタ だから、実はあれが新体制で初の音源なんです。当時はまだ公表するわけにもいかなかったので、llll-Ligro-、時限式:uadjet両名義でリリースするという苦肉の策ではありましたが、勘のいい人ならすでに予兆を感じていたかもしれないですね。
kazari あの作品から気持ち的にはllll-Ligro-をやってるつもりでしたし、実質作品もほとんどそうなってると思います。

――新メンバーのお2人にも伺いましょう。初めてllll-Ligro-の制作に携わり、どんな発見がありましたか?
Jesse まず新鮮だったのは、リハで曲を練っていくのではなく、データでやりとりすることですね。あと、それぞれが自分以外のパートに対しても意見を出すので、客観的な視点が入ってとてもクリエイティブな制作が出来るんです。そうやって限界を超えていく感覚がとても心地よいですね。たまーに、ちょっと傷付くこともありますけど(笑)。
kazari 「予想の範疇(はんちゅう)を超えてない」って名言も出るくらいに(笑)。それは僕ではないんですけど、いろいろ言うのは主に僕ですね。でも彼らは基本的なポテンシャルが高いので、「そうじゃない!」と思ったところはどれだけ突っ込んでも大丈夫だと思えるんです。これってすごいことだと思うんですよ。
羽鳳 正直、最初は無茶振りって言葉を知らない人たちなのかなと思いました(笑)。決して悪い意味ではないんですけど、「個」の考えがぶっ潰れることの多さに驚くこともありましたね。それでも、結果的に素晴らしいものが出来上がったと胸を張って言えるのは、「個」ではなく「集合体」としてどうあるべきかに重きを置いて制作にあたった結果だと思っています。メンバーそれぞれの個性を柔軟に取り入れて構築していくと、こんなにも他にはないフレーズを作り出せるんだなって。僕は、今まではラウド!ハードコア!って感じでフレーズを考えることしか出来ていなかったんですけど(笑)。自分の中でひもといて、考えて悩んで出した形がバンドの色に一致してくれたのは嬉しいですね。ざっくりした風景とか、時には匂いや色からフレーズを考えていかないと満足のいくものにならないので、これからも頑張ります(笑)。

――お2人とも、最初はかなりの衝撃を受けたようで(笑)。
Jesse 「碧落の暁り」も「鴉食」も、デモから相当変わったもんね。普通のバンドなら挫折しそうなくらい(笑)。
kazari うん、でも2人ともすごく変化したと思います。うまいってすごいですよ。
ヒナタ 本当にね。やろうと思えば、多分全員が1からデモを作って、曲を100%まで持っていけるんです。特にkazariはデモから相当作り込んできますし、Jesseも羽鳳もフレーズの1つひとつに意味とこだわりを持ってる。なので、デモ1曲を通して連続する整合性をいったん壊して、新たに構築するのはものすごい労力なんですよね。だけど、そこを超えた先に「バンド」としての「音」があると思うんです。1人で作ったモノを押し通すのなら、「バンド」という形をとらなくてもいい。「バンド」ならそれぞれが100%を出し合ってぶつかって、そこで起こる化学反応にこそ意義があるんじゃないかと。「バンド」の解釈は人それぞれなので答えは十人十色だと思いますが、よくもまあこんな厄介なバンドに入ってくれたものだとあらためて思います。

――妥協せず理想の音楽を追求出来るメンバーに、ようやく巡り合えたんですね。


★後編は近日公開予定!




★LIVE情報★

【ワンマン情報】

llll-Ligro-再始動ONEMAN
「THE BEGINNING OF THE END」

日時:2018年3月4日(日)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:EDGE ikebukuro
出演:llll-Ligro-
チケット:\3,000(ドリンク代別途)
イープラスにて2018年1月20日(土)10:00より販売開始
http://eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002245753P0030001

問い合わせ:EDGE ikebukuro 03-6907-1811


【イベント情報】

撃剣霊化SP

日時:2017年12月29日(金)
OPEN 15:30 / START 16:00
会場:EDGE ikebukuro
出演:llll-Ligro-/VRZEL/SAVAGE/グラビティ/IGGY/ノスタルジックアナーキー/L-THE WORLD/JACK+MW
チケット:前売券 \3,500 / 当日券 \4,000(ドリンク代別途)
イープラスにて販売中
http://eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002245321P0030001
問い合わせ:EDGE ikebukuro 03-6907-1811

Takadanobaba AREA presents コスモタウン -ツインテールの日-
日時:2018年2月2日(金)
OPEN 16:30 / START 17:00
会場:高田馬場AREA
出演:llll-Ligro-/SAVAGE/ギャロ/BUKBUK/逆襲の自作自演屋。/LANTANA
チケット:前売券 \3,500 / 当日券 \4,000(ドリンク代別途)
イープラスにて2017年12月23日(土)10:00より販売開始
http://eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002246776P0030001
問い合わせ:高田馬場AREA 03-3361-1069


llll-Ligro- official website
http://llll-ligro.info/

llll-Ligro- official Twitter
https://twitter.com/official_llll