stylish wave CIRCUIT'14 冬将軍≪カウントダウン前夜祭≫ 渋谷REX公演ライブレポート!
今や、冬の恒例行事となった??「stylish wave CIRCUIT 冬将軍」。2014年12月30日に渋谷REXを舞台に行われた「「stylish wave CIRCUIT '14 冬将軍」には、FEST VAINQUEUR(ゲスト)/MeteoroiD/えんそく/Blitz/Glam Grammar/AvelCain/ALIVE/ワンネス/Xepher/RevleZ/少年記/ジンと、計12バンドが登場。翌日に行われた「stylish wave COUNTDOWN '14-'15」の前夜祭としての役割も担ったこの日のイベントの模様を、ここにお伝えします。
TEXT:長澤智典
□ジン(Opening Act)
「stylish wave CIRCUIT '14 冬将軍~カウントダウン前夜祭」。同イベントのオープニングアクトとして登場したのが、ジン。
雅な旋律が場内に響き渡った。演奏は、和の要素を抱きながらも激しく唸りを上げだした。ジンが冒頭に持ってきたのは、雅さと激しさを重ね合わせた『憐想レイン』。和の旋律が胸に印象深く残りながら、歪みを上げたギターサウンドが全身を直撃。身体は揺れながらも、心は華麗に舞い踊る感覚?!そこへ、彼らの魅力を憶えた。
激烈なリフビートが身体を直撃。「頭振れ!!」。重く突き刺さる剛圧音に合わせ、前方ではヘドバンや逆ダイが起こっていた。『偽モラトリアム』を叩き付けたジンは、観客たちを暴れの空間へ導き、疾風の如く去っていった。
「雅」と「過激」二つの表情を、短い時間の中へ組み込んだジン。インパクト与えるステージを、彼らはしっかりと魅せてくれた。
[SET LIST]
1.憐想レイン
2.偽モラトリアム
□Xepher
イベントの先陣を切って登場したのが、Xepher。「頭から飛ばしていくぞ!!暴れなさい!!」。歪みを上げたラウドなグルーヴが舞台上から客席へ降り注いだ。感情を高ぶらせる演奏に身を預け、暴れ、拳を振り続ける観客たちも。『The Raven.』を通し、Xepherが場内に作りあげた風景だ。煽りを軸に置きながらも、サビは歌で攻めてゆくのも、この手のバンドの特徴か?!
フリーキーなリフギター音が脳を直撃。視神経を痛く刺激する豪圧な『影ノ行方』 の演奏の上で、ヴォーカルの爛-ran-が艶かしく歌いあげてゆく。艶を持った歌声は、このバンドの放つ楽曲に妖艶な華を添えていた。
「お前ら全員かかってこい!!」。重厚なウネリの中へ巻き込むように、メンバーらが満員の観客たちを煽ってゆく。感情を武者震いさせた『鬼神卿』。
最後も、激しく雄大な景観描き出した『獄焔』を演奏し、Xepherは会場に暴れの風景を作り上げていった。耳くすぐる歌メロを持ちながらも、先にノイジックな轟音がインパクト強く身体を直撃していく。今は、目の前の観客たちを熱狂させることへ視点を向けているだけに、それは有効な手段。でも、もっと歌の良さも味わいたいと思ってしまうのは贅沢か?!
[SET LIST]
1.The Raven.
2.影ノ行方
3.鬼神卿
4.獄焔
□少年記
幕が開いたとたんに流れ出したのが、耳にこびりつくサタニックなイントロ。デジタル音と生々しくもアグレッシブな演奏が重なり生まれる、身体揺らすグルーヴ。妖艶な声を魅力に、歌をしっかり聞き手の胸に届けてゆくヴォーカルのコウ。少年記が冒頭に持ってきた『BANG ME』に触れながら、激しくも独創的な物語の中へ気持ちがスーッと引き寄せられていた。楽曲のアレンジセンスの巧みさも魅力だが、何より、歌に酔えたのが一番の喜びだ。
歪みを上げたリフビートが、重厚な演奏に乗り舞台上から次々襲いかかってきた。激しさと雄大さ抱いた『窃盗』だ。誰もが手を上げ、その場で跳び跳ね、音のウネリに楽しく身を預ければ、後半では逆ダイに興じていた。
腹の奥底にズーンと音が響いてきた。一転、歌が始まったとたんに、楽曲は一気に開放的な熱を発し出した。耳をくすぐるとても妖艶な歌と唸りを上げたヘヴィグルーヴが混じりながら、心と身体のエナジーをどんどん逆流させていった、激しくも歌に心が惹かれた『破恋』。
最後の『ガゼルバベル』では、マジカルな呪文を唱えながら妖美にスタート。が、すぐに楽曲は、暴れの風景描くに相応しい爆撃音を次々と放ち出した。サビでは歌を生かしながら。間奏では雅な旋律も響かせつつ、終始観客たちのアドレナリンを掻きだす演奏を通し、少年記は場内に熱狂を作り続けていった。
[SET LIST]
1.BANG ME
2.窃盗
3.破恋
4.ガゼルバベル
□RevleZ
暗鬱な香りと重厚な音が握手をしたとたん、そこにはカオスな音のウネリが生まれていった。サビではたおやかに歌いあげてゆくとはいえ、その前後を彩るのは荒れ狂った暗黒のグルーヴだ。RevleZが『DIVINITY』を通して描いたのは、まさに狂気と熱狂渦巻く風景。
サイコティックな旋律とダークでヘヴィな音が混じりながら猛り出した。『Punishment』の演奏に身を預け、狂ったように暴れ、踊り狂う人たち。かなり黒くコアなエナジーを放つバンドだ。その螺子の外れた狂気な音が、場内に凄まじい狂喜を導いていたのも事実。
「アゲていこうぜ、踊ろうか」。『Sweet Night Party』の演奏が始まったとたん、会場中の人たちが一斉に左右に駆けだした。いや、身動き出来ないほど密接な空間だったように、左右に動こうとも動けず、誰もがその場で左右に大きく身体を揺さぶってたと言ったほうが正解だ。それくらい、熱狂巻き起こすゴスパーティな高揚をRevleZは届けてくれた。
演奏に説得力があるからだろう。誰もがその荒れ狂うダークなウネリに嬉しそうに飲み込まれていた。最期に叩きつけたヘヴィコアな『LIKE A DEAD』でも、会場にいた大勢の人たちが拳振りあげ、頭振り乱し、暗黒な宴の中へ思いきり溺れ続けていた。RevleZ、なかなかの衝撃を持った存在じゃないか。
[SET LIST]
1.DIVINITY
2.Punishment
3.Sweet Night Party
4.LIKE A DEAD
□Glam Grammer
昨今のバンドが、体感的な衝撃を通し目の前の観客たちを熱狂させるところへ表現の視点を置いている中、Glam Grammarはワイルドなパーティロックスタイルを標榜。明らかに他とは一線を隠す、ロック然とした姿で攻めていた姿勢が恰好いいじゃない。この日も、激しくドライブしたワイルドなパーティロックナンバー『少女A』を冒頭からぶつけ、観客たちに華やかな歌の衝撃を与えていた。
続く『憧れの整形美人~beauty cyborg~』では激しい煽りの要素も組み込みながら。むしろ、トランシーな要素とモッシュナンバーなテイストをスパイスに加え、グラマラスでハードなロックンロールスタイルで観客たちを攻めていたと言ったほうが正解か。カラフルながらも激しいノリに、誰もが笑顔で身を預け騒いでいたのも、印象深く瞼に焼きついてきた。
「最強に愛しあいましょうか!!」。ケバケバしくもトランスな要素と唸るヘヴィグルーヴが、疾走する音の上で激しく踊り出した。『東京名無しちゃん♀』を通し、Glam Grammarは会場中の人たちの身体をグラグラと揺らしていった。途中、ヴォーカルの歩が拡声器を使って煽る場面も。なんてカラフルな風景が似合う連中なんだろう。
最後に演奏した『MONSTER』でGlam Grammarは、観客たちを折り畳みの風景へ連れていった。歪みと唸りをあげたソリッドな音をガンガン叩きつけながら、場内中の人たちも何時しか暴れの空間へ溺れていた。
カラフルでメロディックでノリ良いロックンロールなスタイルを通し、暴れゆくパーティ空間へ導いてゆくGlam Grammar。この手のバンドにも、ぜひ熱い視線を注いでいただきたい。
[SET LIST]
1.少女A
2.憧れの整形美人~beauty cyborg~
3.東京名無しちゃん♀
4.MONSTER
□MeteoroiD
とても変則的で激しいビートが場内中に轟き出した。民族音楽的なリズム要素も交えたダークでアグレッシブな楽曲が、観客たちへ突き刺すよう襲いかかってきた。途中、猛り狂った表情のまま、幻想的な音色加えながら悠久な世界へ誘う面も。なんてサイコティックかつテクニカルな要素を内包した楽曲なんだ。でも、変則的な演奏の割に歌がとても親しみやすい。まさに『racrimosa』は、新生MeteoroiDが求めてゆくべきスタイルを指し示した楽曲だ。
続く『慟哭の間』も、ダークで過激な要素をたっぷりと含んだ楽曲だ。冒頭では誰もが座り込み、思いきりヘドバンに興じていく。満員の観客たちが一斉にしゃがみ、頭振り乱す風景は、なんて異様で見応えのあることか。『慟哭の間』もダークに荒れ狂う楽曲ながら、歌は親しみやすければ、雄大な景観広がるパートも中へ組み込み、1曲の中へしっかりドラマを描きあげていた。それにしても、楽曲の半分近くを座ってヘドバンしていた様は、なかなか異様な光景だった。
呪詛唱える様をさらすよう歌うヴォーカルの幻鬼。猛々しく荒れ狂った『呪殺』が場内に作り出したのも、暴れの風景だった。
最後に叩きつけた『この愛を手放せば自由だろう』も、以前よりもさらに激烈度と煽り要素を数倍増しにし、観客たちを凄まじい黒い熱狂の中へと飲み込んでいった。どの楽曲でも、サビの持つキャッチーさに耳がホッとしつつ。終始MeteoroiDは、アグレッシブでダークコアな轟音のウネリの中へと観客たちを巻き込み、思いきり狂わし酔わせ続けていた。
[SET LIST]
1.racrimosa
2.慟哭の間
3.呪殺
4.この愛を手放せば自由だろう
□ワンネス
ファンキーな音色が場内をカラフルに染め出した。ライブハウスという空間を舞台に勝負していることもあり、演奏自体は激しく攻めゆく姿勢も見せているが、あくまでもそこは、ライブに於けるノリを描くうえで必要な要素としてのこと。ワンネスの魅力は、触れた人の心を瞬時にグッとつかむ親しみを持った歌にこそある。初めて『刹那炸裂少年』に触れた人たちでも、何時しか思いきり手を振りながら、笑顔を浮かべはしゃいでいたように…。
キラキラとしたエレクトロな要素もスパイスにしたのが、ハートフルな香り伝わるスペイシーなポップロックナンバー『A storyteller』だ。歌がスーッと胸に溶け込んでいく。でも、躍動した演奏がしっかり身体も揺らしていく。歌に酔い、何時しか熱狂にも身を預けてゆく。その感覚が、とても心地好いじゃない。
「俺たちが見たいものを見せてくれますか?!」。『イカサマSpeakers』の演奏が始まったとたん、会場のアチコチでタオルや掲げた拳が振りまわされた。演奏が進むごと、嬉しいくらいに感情を高ぶらせてゆく楽曲だ。間奏では折り畳みしてゆく様も見せていたが、何より、軽快に疾走してゆくキラキラ輝くカラフルなロックワールドに笑顔で溺れ続けていたい気分だった。
どんどん激しさを増してゆく演奏。そのままライブは『star light chain』へ。最後も、キラキラとした輝き放つポップ&スペイシーでファンタジックな空間へ、その場にいた人たちを導いてくれた。心をくすぐるキャッチーでポップな歌物キラキラ系スタイルが好きな人は、ぜひワンネスの描く空間に触れて欲しい。そこには、気持ちをウキウキ笑顔に連れていくハッピーな空間が広がっているはずだから。
[SET LIST]
1.刹那炸裂少年
2.A storyteller
3.イカサマSpeakers
4.star light chain
□Blitz
「楽しんでいこうかー」。その言葉に相応しい、とてもカラフルで開放的な楽曲が流れ出した。キラキラとした光を放つまばゆい曲調。でも演奏は、しっかり躍動している。観客たちも、演奏が進むごとに広がる輝いた物語の中へ身を預け、青春な物語彩る一人と化していた。Blitzが、『オレンジデイズ』を通して作りあげたのは、そんな眩しい風景だ。
「2014年はみんなの本命の年だった」とヴォーカルのGAKUがカリスマ然としたポーズを決めながらセリフを唱えたところで、演奏は『脳☆No HOLIC』へ。フリーキーでポップメロな旋律とアグレッシブなギターサウンドが絡みながら、『脳☆No HOLIC』を通し、Blitzは場内の熱気をしっかりと上げていった。クールに歌いながらも、そこへ熱を感じたのも、楽曲自体が持つパーティ感が強かった故か。
雅な旋律が軽快に高鳴り出した。つかみを持ったフレーズとは裏腹に、演奏は荒々しく迫ってゆく。『快楽に溺れた夜、可憐に散る華』というタイトルに相応しい、華やかさと弾けた要素を重ね合わせた楽曲だ。場内では、ヘドバンから、手の花を咲かせてゆく人たちまで。思い思いに歌の持つ世界観へ浸っては、心地好く熱狂をその身に感じていた。
会場のアチコチに輝き出したカラフルなサイリウムやリングライトの光。最後を飾った『HEART』を通し、Blitzは会場中の人たちの心を優しい歌を通して一つに繋ぎ合わせていった。スーッと胸に溶け込む歌。だからこそ、初めて触れた人たちも光の輪の中へ参加し、素直に身を、心を預けていったのだろう。キラキラとした気持ち一つに溶け合った空間は、とても素敵だった。
[SET LIST]
1.オレンジデイズ
2.脳☆No HOLIC
3.快楽に溺れた夜、可憐に散る華
4.HEART
□FEST VAINQUEUR
スリリングでソリッドな演奏が響き出すと同時に、サビ歌始まりの『ヴァレンシアとヴァージニア』が流れ出した。会場中の人たちが、FEST VAINQUEURの突き付けた気持ちを嬉しく高ぶらせる疾走熱狂ナンバーへ、思いきり拳や髪振り乱しながら舞台上へ熱い想いを届けていた。とてもポテンシャルの高い演奏だ。瞬時にしてグッと感情をつかむ歌。アグレッシブながら切れ味鋭い演奏に触れていると、ヒリヒリと気持ちが上がってゆく。その場にいるだけで、感情がどんどん高揚していく。なんて心地好い空間なんだ。そんな刺激的な演奏がそこには生きていた。
「上がっていこうぜ!!」。武者震いが止まらない。激しく疾走した『RUSSIAN ROULETTE』の演奏に身を預け、会場中の人たちが左右に駆けだすよう身体を揺らし続けていた。間奏では折り畳みしてゆく様も。彼らのライブに触れていると、自然と熱狂の渦に巻き込まれたくなる気持ちも納得だ。無条件に感情揺さぶる、エナジー放出しまくりの演奏がとても刺激的じゃないか。
手拍子からの始まり。そのままライブは、モッシュや咲いてと様々なノリを描き出していく。『Evil Disco~somnambulism~』を通しFEST VAINQUEURが作り上げたのは、この空間を彩るに相応しい様々な熱狂のスタイルだ。ヘドバン/折り畳み/咲く/飛ぶ/モッシュなど多様なノリ方を導きながら、FEST VAINQUEURはパーティムード満載なダンスビートロックナンバーで、場内を思いきり祭な空間へ染め上げていった。
「遊びの時間は終わりだー!!全力でかかってこーい!!」。凄まじい破壊力と速度を持ったバーストナンバー『現代的疑惑都市"DOUBT"!』が場内に轟き出した。コアなエナジー放ちながらも、感情高ぶらせゆくリフメロや高揚与える歌に触れていると、自然と暴れ、はしゃぎたくなる観客たちの気持ちも納得だ。
それまでの熱狂を受け継ぐ形のまま、最後は、スケールあふれた疾走メロディアスな『LIONHEART~lifetime wish~』へ。誰もがFEST VAINQUEURの歌や演奏へ身を任せ、思いきり右手を振りながら、心地好い熱した気持ちを、忘れたくない想いとして胸に、その身へ刻んでいた。
[SET LIST]
1.ヴァレンシアとヴァージニア
2.RUSSIAN ROULETTE
3.Evil Disco~somnambulism~
4.現代的疑惑都市’DOUBT’
5.LIONHEART~lifetime wish~
□ALIVE
若手バンドの中、頭角を現し始めてきたALIVE。その理由も、この日のライブを見て納得だ。冒頭から観客たちを頭振り乱す空間へ導いていったALIVE。でも、楽曲がとても明るくキャッチーなこともあり、騒ぐというよりは笑顔ではしゃぎたい気持ちになっていく。『BUG_NOISE.zip』に触れた場内の人たちも、笑顔で手の花を咲かせ、舞台上にハートフルな想いを返していた。ALIVEの歌を通して恋する想いを交わしあう?!そんな感覚にも近いのだろうか??
一気に駆けだした演奏。心地好く弾けた『HONEY TRAP』が、さらに気持ちを熱く高ぶらせていった。どんどん顔がニヤけていく気分だ。
ここで、1月7日に発売する最新シングルの『オトギバナシ』をいち早く披露。激しくドライブしてゆく表情に、これまでのハッピーな雰囲気とは異なる荒々しい姿を実感。この日も、演奏に合わせ思いきりヘドバンに興じてゆく人たちも大勢いたように、ライブを通しエナジーをぶつけあうに相応しい楽曲だ。
「思いきり暴れて帰ろうぜ。最高の笑顔で終わろうぜ」。デジタルハードポップナンバー『FULL COLOR REVOLUTION』の演奏に合わせ、観客たちが左右に揺れ出した。ヴォーカル・ソラの煽りへ応じるよう、舞台上へ声をぶつけてゆく人たちも。開放的なポップスタイルを全面に標榜していくバンドが今のシーンに少ない中、彼らがそこのポジションをしっかりつかんでいくのか、そこは今後に期待しよう。
[SET LIST]
1.BUG_NOISE.zip
2.HONEY TRAP
3.オトギバナシ
4.FULL COLOR REVOLUTION
□えんそく
「みなさん、This is」「a pen」のやりとりからライブはスタート。えんそくのライブではお馴染みの光景。「それでは聞いていただきましょう」と、ドラムがカウントを鳴らし始めるが、ギターの音が一向に鳴らない。なんとギターのポジションにいたのはJoeではなくぜんぜん違う一般人。「こんなはずじゃなかった」のぶうの言葉を合図に、演奏は『This is a pen』へ。会場が一つになって大騒ぎするに相応しい、スケールあふれたスタジアムナンバーが、舞台上から一気に飛び出した。
えんそくのライブと言えば、小芝居も魅力の一つ。この日も、ギターのJoeの偽物登場を題材に冒頭から演じていたわけだが。えんそくファンたちが、コントの行く末を気にしながらも、ズッとクスクス笑っていたのも印象的だった。それにしても、『This is a pen』という楽曲題材を、ここまで雄大な様式美コミカルハードロックナンバーへ昇華してゆくとは。その手腕がすごいじゃないか。奴ら、相当なコミックと音楽センスを隠してると見た。
続く『惡のミカタ』は、ハートフルな歌が魅力の楽曲。とてもキャッチーなJ-POP風に始まりながら、途中から一気に極悪なヘヴィロック&青春パンクナンバーへと進化してところが、えんそくらしさ?!。1曲の中、多彩な要素を組み込み、観客たちをお腹抱え笑いながらクシャクシャの笑顔で熱狂してゆくパーティ空間へ導いてゆく手腕は、さすがだ。
「すごいstylishな俺たちなんでね、ライブもstylishにやります」。最後に叩きつけたのが、『最後のえんそく』。ぶうの煽りに合わせ、会場中の人たちがその場でくるくるまわれば、思いきり祭りのようにはしゃぎだした。その様は、まるでクラブで繰り広げられるバブルパーティのよう。むしろ、えんそくのライブのほうが、ポンポン泡のように弾けていけるから断然楽しいんだけどね。青春パンク風な楽曲を通し、場内を大騒ぎの空間へ変えていったえんそく。彼ら自身がすでに「笑い袋」のような存在。そんなエンターテイメント満載な彼らのライブに触れて、楽しまないほうが損というものだ。
[SET LIST]
1.This is a pen
2.惡のミカタ
3.最後のえんそく
□AvelCain
これまで場内に作り続けてきた熱狂のパーティ空間は、AvelCainの登場と共に一変した。ヒリヒリとした感情へ痛い刺激を塗り重ねるよう、歪みを上げた攻撃的な音を、AvelCainは舞台上から次々と打ち放ってきた。感情を、感覚を掻き乱す『ブラッディメアリー』の演奏へ、無我夢中でぶつかってゆく観客たち。「殺れるかー!!」。業-karma-の叫びと同時に始まった『手首の切り方』を通し、絶叫はさらに高ぶり出した。狂ったように歌い叫ぶ業-karma-。そんな彼の狂気な姿を際立たせるよう、暗鬱攻撃的な演奏が思いきり唸りながら襲いかかってきた。まさにここは、感情と感情を晒しながら戦いあう場。でも、その痛みがむしろ心地好い。
心に闇や痛みを抱えた人ほど、AvelCainの楽曲は最高の快楽になる。扇子を手にした業-karma-と観客たち。『いろはにほへと』の演奏に合わせ、観客たちが左右へ一斉に駆けだした。いつしか場内は、暗鬱な高揚歌に合わせ、暗黒の宴の空間に様変わっていた。ヒステリカルなギターの旋律が脳細胞の中を駆けまわってゆく。むしろ、視神経を痛いくらいに刺してゆく、その刺激が快楽を生み出していた。
早くもライブは最後の楽曲へ。『花一匁』の演奏に合わせ、両側の人たちと手を繋ぎあった人たちが、フリーキーな演奏に身を預け、絶叫しながら跳び跳ねていた。触れた人たちを奈落へ堕としてゆく、切なさも抱いた狂気じみた楽曲だ。でも壊れた感情には、とても心地好い熱狂の子守歌にも響いていた。「あの子が欲しい」「そうしましょ」など、お馴染み花いちもんめのフレーズも組み込みながら、AvelCainは、会場中の人たちを絶叫と熱狂の暗黒の舞台劇の中の一人として招きながら、狂気な物語を見せ続けてくれた。
[SET LIST]
1.ブラッディメアリー
2.手首の切り方
3.いろはにほへと
4.花一匁
◆stylish wave CIRCUIT'14 冬将軍《–カウントダウン前夜祭-》
12月30日(火) 渋谷REX
出演:FEST VAINQUEUR(ゲスト) / MeteoroiD / えんそく / Blitz / Glam Grammar /
AvelCain / ALIVE / ワンネス / Xepher / RevleZ / 少年記 / ジン(O.A.)
OPEN 14:30 / START 15:30
前売り ¥4,000- /当日¥4,500- (消費税込み)
※オールスタンディング / ドリンク代別途