REPORT

stylish wave NEXT #02 -40分、ガチンコ勝負!- 2018.12.15 新宿RUIDO K4 ライブレポート

JILUKA シェルミィ てんさい。 未完成アリス 無能なルシッド

 

12月15日(土)に新宿RUIDO K4を舞台に行われた「stylish wave NEXT #02 -40分、ガチンコ勝負!-」。各バンドが40分ステージでライブを実施。出演したのは、シェルミィ/JILUKA/てんさい。/未完成アリス/無能なルシッドの5バンド。その日の模様を、ここにレポートします。

TEXT:長澤智典

 

■無能なルシッド
 


イベントのトップを飾ったのが、期待の新鋭バンドこと無能なルシッド。冒頭から彼らは狂気じみた表情を全開に、『狂喜の国のアリス』を通しファンたちを煽りだした。メンバーに触発され左右にモッシュを行えば、折り畳みしてゆく光景も。挑発する姿勢のまま、ヤバい感情を垂れ流し続ける無能なルシッド。触れたら危険な雰囲気こそが、彼らの魅力??。意外とキャッチーな歌に心惹かれる?!。彼ら、多様な面を持っているのは間違いない。

ジャジーな雰囲気から、一変。荒れ狂う音を洪水のように浴びせ、無能なルシッドは『密売』を通し観客たちの感情の鎖を次々と解いてゆく。激しく疾走する演奏に触発され身体は熱を求めるが、心はつかみを持った歌に魅了される。途中、ふたたび登場したジャジーな表情など、変幻する楽曲にも耳は惹かれていた。

「僕たちの伝えたい想いを詰め込んだ2曲を聞いてください」。無垢の言葉に続いて流れたのが、悲哀さとホラーな香り、ダークでラウドな音楽性へ哀愁抱いた歌声を重ね合わせた『死にたい君に贈る歌』。気持ちの内側から沸き上がる想いを吐露するように歌う無垢の姿を凝視せずにいれない。暴れるのではない、心を切なく騒がせる音楽性も彼らの魅力を形作る要素だ。

続く『何も無い...』も、打ちひしがれた気持ちを嘆くように歌や演奏に塗り替えた楽曲だ。沸き上がる痛い感情を心壊れそうな表情で歌う、そんな無垢の姿をじっと見つめていたかった。重厚な演奏を用いたのは、それだけ心に痛い感情の圧が伸しかかっていたからか…。

「ここからは、ブチ上がっていきたいと思います」。頭を振り演奏するメンバーらに触発され、『コンフリクト』に合わせ頭を振る観客たち。彼らの感情とシンクロし熱狂する人たちもいれば、その様を凝視している人たちも。反応は様々だ。でも、誰もが舞台上へ視線を注いでいたのも事実だ。

突き上がる拳、『陰口ピエロ』を武器に煽るメンバーらに触発され、次第にフロアーに上がる拳の数も増えていた。無垢に触発され沸き上がる声。猛々しい音が舞台上から雪崩のように押し寄せる。その音へ、拳を突き上げ想いを返す人たち。場内は、次第に熱を帯びてゆく。

最後は、感情を解き放つ熱狂ヘドバン曲の『自我殺傷』だ。思いきり前のめりな姿で観客たちへ挑みかかるメンバーたち。無能なルシッド流の煽りナンバーを通し、彼らはファンたちへ熱い刺激を与えていった。熱狂する人と凝視する人、相変わらずフロアーは二つに分断されていたが、はっきりと好みの別れる姿勢こそが、むしろ無能なルシッドの魅力だ。
 

[SET LIST]
1.狂喜の国のアリス
2.蜜売
3.死にたい君に贈る歌
4.何も無い…
5.コンフリクト
6.陰口ピエロ
7.自我殺傷

 

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■未完成アリス

 


ライブは、晏の掻き鳴らすソリッドなギターの演奏を合図に幕開けた。妖しさと華やかさを重ねあわせた『逆襲シンデレラ』を魅力に、未完成アリスはフロアー中の人たちの身体を優しく揺らしだした。熱を抱いた演奏とはいえスタイリッシュな楽曲のように、身体は疼きを覚えながらも、誰もが爆発したい感情を抱え込む形で受け止めていた。ワクワクとしたその気持ちこそが、むしろ彼らに対する好奇心を嬉しく煽ってゆく。

熱した感情を、未完成アリスは『花一匁』を通し一気に解き放った。気持ちが熱く沸き立つ。激しく疾走する演奏に身を預けたとたん、身体がうずうずと騒ぎだす。フロアーの前方では、両手を上げ飛び跳ねる観客たちの姿も。はしゃぎたい、右へ左へモッシュしたい、一緒に熱狂しながら「花一匁」を楽しみたい。その楽曲は、胸を熱く掻きむしってくれた。

熱した演奏は、勢いを加速するように『2次元ラヴァーズ』へ。未完成アリス流の激烈なギターロックサウンドが炸裂。理性の留め金を壊すその楽曲が、いつしかフロアーの後ろの人たちまでも喧騒の中へ巻き込んでいった。夢中になってはしゃぎたい。でも心の中では、胸つかむ歌を有栖川塁と一緒に口ずさんでいたい。まさに、バーストした歌物ブリット系ギターロックチューンだ。

それまでの熱狂の風景から、一変??。クールな始まりを描いた『NaNa~私の中の7人の少女~』だ。内側に仕舞い込んだ感情を、有栖川塁はザクザクとしたギターサウンドに乗せ解き放つ。ソリッドでバードエッジ、何より疾走する演奏にも関わらず、その歌は気持ちの内側をえぐり続けていった。最後に描いたスケールあふれる展開にも、心は強く惹かれていた。

「君との別れを悲しく思えるのは、君と出会えて本当に良かったと思えるから」。心苦しく悲しい気持ちを、未完成アリスは『愁いのアリア』へ投影。胸の内に仕舞っていた大切な人との物語を思い返すように、哀切さを抱きながら歌う有栖川塁。その横では、唯依葉が壊れそうな感情を猛り狂うギターの音に乗せ彩っていた。切々とした気持ちを狂騒とした形へ昇華してゆくメンバーたち。これも、感情のドラマを歌へ投影する未完成アリスらしさを遺憾なく発揮した楽曲と言えようか。

止まることない演奏も、何時しか後半戦へ。有栖川塁に合わせ、一緒に振りへ興じる観客たち。ゆったりとした三拍子の表情を描けば、いきなり疾走したりと、いろんな感情を『あなたのオモチャ』に乗せ繰り出す未完成アリス。駆ける演奏の中へ描き出す変幻した音のドラマがとても心地好い。

演奏は、『捻くれモンスター』を手に、さらに激しく駆けだした。モンキーダンスに興じる有栖川塁に合わせ、フロアーでも一緒にモンキーダンスをしながら観客たちがはしゃぎだす。スリリングな空気さえ、この熱気の中では気持ちを騒がせる嬉しい刺激だ。MCを排除、一度火のついた感情を冷ますどころか、彼らはどんどん加熱させてゆく。そのスタイルこそ、ライブモンスターな未完成アリスらしさ?!。

「みんなでバカになって、ここを夢の世界に変えましょう」。最後も未完成アリスは、歪みを上げたギター音を激しく掻き鳴らし、観客たちを喧騒の中へ巻き込んだ『夢世界少女』を叩きつけ、止まない逆ダイの風景も含め、この会場を暴れ狂う宴の様へ染め上げていった。

未完成アリスのライブも、全力で騒ぎ狂う人たちと、その様を凝視する人たちとにくっきり分かれていた。その差がしっかり見えるのも、それだけ彼らの個性が際立っている証拠と、ここは捉えようか。
 

[SET LIST]
1.逆襲シンデレラ
2.花一匁
3.2次元ラヴァーズ
4.NaNa~私の中の7人の少女~
5.愁いのアリア
6.あなたのオモチャ
7.捻くれモンスター
8.夢世界少女

 

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■てんさい。


てんさい。のライブが幕開けたとたん、フロアー中の人たちが右へ左へ駆けだした。スリリングさを抱きながらも胸をくすぐる『センパイの彼女』に飛び乗り、客席中の人たちが、突如沸きだした祭りの中へその身を溺れさせていた。カルトの熱い誘い(煽り)に合わせ、絶叫を上げ、熱狂の渦の中へ落ちてゆく。誰もが理性の扉を閉じ、右手やタオルを振り上げ全力で暴れていた。

「お前らの本気を見せてくれ!!」「頭振れ!!」の言葉を合図に飛び出したのが『ペルソナイフ』。感情を熱く沸き立てる楽曲だ。誰もが昂る気持ちを胸に大きく手を振り、跳ね続けてゆく。感情を剥き出しに煽り続けるメンバーたち。本気な姿勢に誰もが楽しさを覚え、喧騒の中でメンバーらと一緒にはしゃいでいた。おもちゃ箱をひっくり返したら、かなりトゲトゲでヤバい玩具(楽曲)だらけなのに、それが心を嬉しくはしゃがせる。まさに、そんな気分だ。

「ここは非日常の場です。当たり前が好きですか、ルールに縛られた毎日か好きですか。ロックは死にましたねぇ、糞みたいなこのヴィジュアル系というシーン。自分を信じる人だけついてこい」。続いて演奏したのが、今やひな型に収まった表現ばかりのヴィジュアル系音楽を思いきり皮肉った『MARIA?禁断の呪われし堕天使の涙と共に繰り返す悲しきワルツと終わらないレクイエムに支配されし女王の亡骸に添えし一輪のたんぽぽ?』だ。ヴィジュアル系音楽を通してよく耳にする音楽スタイルを1曲の中へたくさん取り入れ、彼らは揶揄していく。その皮肉った姿勢によって、逆につかみを持ったヴィジュアル系ナンバーとして昇華させたところもポイントだ。後半には、ヴィジュアル系というスタイルを逸脱した要素をたくさん投影。まさに多彩な音楽スタイルの坩堝のような楽曲だ。すべてがつかみを持った表情だからこそ、誰もが無邪気に『MARIA?禁断の呪われし堕天使の涙と共に繰り返す悲しきワルツと終わらないレクイエムに支配されし女王の亡骸に添えし一輪のたんぽぽ?』に身を預け騒ぎ続けていた。

「俺らが伝えたいことはたった一つ、楽しもうぜー!!」。EDM STYLEと弾けたパーティチューンをミックス。身体を嬉しく騒がせる、キャッチーでフリーキーなダンスロックチューン『チャラ男番長』を奏で、てんさい。はフロアー中の人たちを宴の中へ巻き込んでゆく。客席前方では、扇子を振りながら騒ぐ人たちも。『チャラ男番長』に触れていると、演奏に合わせ飛び跳ねずにいれない。まさに頭を空っぽに、気持ちを思いきり開放してゆく音楽だ。

「その場で走れ!!」「バカになれへんと、てんさいにはなれへんぞ」。音頭ナンバー『クソワロタ音頭』に合わせ、フロアー中から響く「クソワロタ」の叫び声。楽曲は一変、凄まじい勢いで疾走。祭りビートとハードコアな要素をミックス。いやいや、多彩な音の要素を組み込みながら、てんさい。は振れた人たちの理性を粉々に打ち砕き、会場中の人たちを踊り騒ぐ馬鹿に塗り替えてゆく。途中には『U.S.A.』の振り真似も加えてと、徹底して楽しむ要素を濃縮。音楽とはスタイルではない。自分を開放し、笑顔で楽しむもの。その本質を、ブラックな要素を満載した音楽とゲスなキャラクターを通し、てんさい。は形にしてゆく。

「これは愛と金に溺れた悲しい女の歌です」。身体を熱く弾ませるヘヴィでダンサブルなグルーヴロックチューン『諭吉ROCK!!』に合わせ、身体疼くままに飛び続けろ。カルトの煽りに導かれるまま、馬鹿になって騒げばいい。シリアスな歌詞さえも、祭りビートに身を委ねていると、極上の感情アッパーチューンとして楽しみたくなる。何時しか大勢の人たちが大きく手を振り、全力で跳ね続けていた。

最後は、『俺is俺』だ。感情が勝手にアガり続ける。熱くメンバーコールをしながら騒ぎたい。いや、会場中の人たちが扇子を手に、右へ左へモッシュをしながら夢中でメンバーの名前を叫んでいた。音楽なんて理屈じゃない、そのときの沸き上がった感情のままに自分を解き放ちぶち上がるもの。そんな「楽しい」を、この日のてんさい。は全力で伝えてくれた。
 

[SET LIST]
1.センパイの彼女
2.ペルソナイフ
3.MARIA?禁断の呪われし堕天使の涙と共に繰り返す悲しきワルツと終わらないレクイエムに支配されし女王の亡骸に添えし一輪のたんぽぽ?
4.チャラ男番長
5.クソワロタ音頭
6.諭吉ROCK!!
7.俺is俺

 

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■JILUKA
 

会場の空気を塗り替える、荘厳でシンフォニックな音が流れだした。そこへ重なるのは、JILUKAらしい重厚なギターサウンド。Rickoのハイトーンを生かした歌声は、天を突き抜けるほどの迫力だ。JILUKAは『Faizh』を通し、いつものように轟音が支配する世界へこの場を染めあげていった。Rickoに煽られ絶叫を上げる人たち。誰もが、耳をつんざく音に負けない気迫をメンバーらへぶつけてゆく。それを共に味わってこそJILUKAのライブと言えようか。

躍動する演奏とシンクロするように突き上がる無数の拳。ワイルドなビートに触発され頭を振らずにいれない、鋭利で豪圧なギター演奏に合わせ身体を折り畳まずにここにいれるわけがない。『Parasite』に身を委ねた大勢の人たちが、みずからの心も野生に塗り替え騒ぎ続ける。突き刺さるその音に刺激を受け、身体の奥底に眠っていた原始の魂が騒ぎだす。

絶叫と拳のやりとりから『Screamer』へ突入。唸りを上げ疾走する演奏へ飛び乗り、大勢の人たちが絶叫を上げ、天高く拳を突き上げる。Rickoを先導に、一緒に熱狂を味わい尽くしたい。突き上げた拳は、JILUKAに対する崇拝の証。熱くなった感情は、冷めることを忘れたようにどんどん熱を蓄えていった。

「全員でぶっ壊れていくぞ!!、高まった感情、互いにぶつけあおうぜ」。JILUKAの演奏は、さらに低音域の音量を上げてゆく。身体中へ突き刺さる演奏が、むしろ気持ちを昂らせる。デジタルな要素も加えた『Matrix』を通し、JILUKAは会場を騒ぎ祭る風景に描き上げた。全力で身体を折り畳む姿や右手を高く掲げ飛び跳ねる様も、JILUKAのライブにはお馴染みの光景。いや、それくらい感情を吐き出さないとJILUKAのライブは楽しめない。

フリーキーでサディスティックでホラーな色を携えた『Mephisto』が、炸裂。ラウドでハードコアな音を背景にスクリーモし続けるRicko。観客たちも凄まじい轟音の中、全身全霊をぶつけ騒ぎ続ける。互いの感情を黒く塗りつぶし一つに溶け合う、この感覚が刺激的なほどに心地好い。

「拳を上げろー!!」「ぶち壊れようぜ!!」、凄まじい勢いで轟音を叩きつけるリズム隊の演奏の上で鳴り響くSenaのハードロック然としたギターリフも印象的。お馴染み、Rickoのスクリーモも轟き渡る『Hellraiser』だ。フロアーへ落ちんばかりの姿勢で挑みかかるRicko。拳と絶叫をぶつけあい、互いに気持ちを熱狂に染めあげる、その光景がとても刺激的だ。騒げ、騒げ、そして叫べ、それ以外に何が必要だ。それこそが、JILUKAのライブを味わい尽くす最高のスパイスだ。

「今しか味わえないこの空気をもっともっと味わいたいんだよ。爆発するくらい熱いライブをやれるよな!!」、Rickoの煽りを合図に飛び出したのが、凄まじい速度でラウドな演奏を叩きつけた『Twisted Pain』だ。サビはとてもメロディアスで開放的な表情を示しながら、その前後は、徹底してラウドな音で感情を攻めたてる。胸をつかみながらも、身体は轟音に包まれ騒ぎ狂いたい。この感覚がホント堪らない!!

「0から100に一瞬でぶちアガれ!!」、最後は絶叫アッパーチューンの『D.O.J』だ。ブルータルな演奏の上で、絶叫混じりに煽り続けるRicko。身体をつんざく音の衝撃に触発された観客たちは、全力で身体を揺さぶり続けていた。これは戦いだ。互いに限界を超えるくらいに感情と体力をぶつけあおうぜと気持ちの熱を戦わせ合うバトルだ。その姿勢を最後にしっかり示してくれたところがJILUKAらしいじゃない。
 

[SET LIST]
1.Faizh
2.Parasite
3.Screamer
4.Matrix
5.Mephisto
6.Hellraiser
7.Twisted Pain
8.D.O.J

 

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■シェルミィ
 

イヘントのトリを飾ったのが、シェルミィ。 この日は「渦を巻く」と題して実施。ライブは、場内にヒヤッとした空気を注ぐように『御礼参り』から幕を開けた。冷たい音色と重厚な演奏を重ね合わせた演奏は、スリリングさを抱きながらも暴れたい衝動を痛く突きつけてゆく。観客たちも、暴れるときは全力で暴れるが、それ以外は曲の持つ世界観へ浸ってと、『御礼参り』が描き出す物語の住人と化し、気持ちや身体を同化させていた。

『ファッションマイスリー』が流れたとたん、フロアー中が思いきり頭を振り乱す空間に塗りつぶされた。メンバーらの煽りに身を預け、折り畳みや飛び跳ねてと、楽曲の持つ世界観とリンクしながら、誰もがシェルミィが描き出す物語の中へ溶け込んでゆく。祭り上がる観客たち、その様を見ながら、さらに熱い刺激を注ぎ込むメンバーたち。気持ちを掻き立てる演奏に身を預け、今は思いきり騒ぎ狂いたい。

「どうして、あの子を、救えなかったんだろう」。重厚な音を上げ疾走する『赤い部屋』に身を任せた観客たちが、演奏とシンクロするよう手拍子をしたり、咲いたりと、場内に一体化した風景を描き上げる。ノイジックな轟音が、騒ぎたい気持ちを掻き立てる。和心抱いた音色が、そこへ美しいスパイスも加えていた。

「夢を追い求めてゆく中で、しんどくなることが多くて。信じていた人に裏切られたり。自分が好きなことを求めてゆくうえで、誰かに助けを求めるのは嘘になると思って。でも、どうしても誰かに聞いて欲しくて、僕はこの曲を作りました」(豹)

『メイデイメイデイ』は、豹の中の、出口の見えない心の叫びを辛辣な言葉の数々へ投影したナンバー。この歌でシェルミィは、豹自身は、「助けて欲しい」心の叫びを沸き上がる感情のままに、痛く揺れ動く気持ちのまま楽曲へぶつけていた。絶叫し続けたその姿は、どうしようもない心の叫び。そうしないと自分でいれなかった。そんな豹の心の嘆きを、誰もがじっと凝視しては、心の手で受け止めていた。


ふたたびライブは熱を帯びてゆく。同じく、魂の叫びをぶつけるように、豹は『絶望産まれのセルロイド』を嘆く感情のままに歌っていた。揺れる気持ち以上に熱く唸る演奏のように、心は歌に惹かれながらも、身体はその熱をしっかり感じ取っていた。


「こんな負け犬の僕たちに拍手を」。跳ねる演奏に飛び乗り、会場中の人たちが笑顔で飛び跳ねる。「絶交、絶交、絶交」と叫ぶ『絶交』の登場だ。絶交の言葉と重ね合うように跳ねる観客たち。サビでは思いきり頭を振り乱す光景も。絶交と歌いながらも、その気持ちや演奏自体が前向きだからこそ、誰もがその演奏を明るく受け止めては気持ちを一つに騒ぎ続けてゆく。「絶交」の声に合わせ全力で飛び跳ねれば、終盤では一緒に歌う光景もシェルミィは描きあげていった。

豹の手首を切るポーズから、楽曲は『今日も後悔の血が垂れる』へ。終盤へ向かって熱を上げる演奏。大勢の人たちが大きく手拍子をしながら、ときには右手を高く掲げ、もっともっと熱狂を味わいたいとおねだりをするように彼らへ想いを捧げてゆく。

お馴染み、不条理な世界の中で押し殺した悲しみを歌う『優しい世界』の登場だ。会場中の人たちが扇子や拳を振れば、爆走する演奏に身を預け全力で頭を振ってと、誰もが己自身をこの空間の中へ開放してゆく。この場所を一歩出れば厳しい現実が押し寄せる。だからこそ、今だけは痛みさえ共有しながら、この世界の中で無邪気にはしゃごうではないか。シェルミィが作り上げた宴の中で笑顔で騒ごうじゃない。

最後にシェルミィは、感情のストッパーをすべてぶち壊すように『噂』をぶつけてきた。シリアスなテーマを、気持ちを熱く昂らせる楽曲に乗せ、シェルミィは熱狂を相棒にぶつけてゆく。フロアーはすっかり暴れる人たちで埋めつくされていた。最後を締めくくるに相応しい暴れゆく光景を描きあげ、シェルミィはイベントのトリをしっかり飾ってくれた。騒ぎ祭るあの楽しい熱狂の様が、素敵じゃない。
 

[SET LIST]
1.御礼参り
2.ファッションマイスリー
3.赤い部屋
4.メイデイメイデイ
5.絶望産まれのセルロイド
6.絶交
7.今日も後悔の血が垂れる
8.優しい世界
9.噂

 

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12月30日・渋谷REXを舞台に「stylish wave NEXT #03 -お正月はすぐそこ-」を開催!

今年最後の「stylish wave」が、12月30日・渋谷REXを舞台に「stylish wave NEXT #03 -お正月はすぐそこ-」と題して行われる。出演は、the Raid.(guest) / BabyKingdom / FIXER / i.Rias / TRNTY D:CODE / ジグソウ / アルファリア / ヴァージュ / グラビティ / AIOLIN / 虹彩☆RaveL / HAKLO。この豪華なメンツと一緒に、年内最後のバカ騒ぎをしようじゃない。

TEXT:長澤智典
 

▶NEXT EVENT

stylish wave NEXT #03 -お正月はすぐそこ-

12月30日(日) 渋谷REX
出演:the Raid.(guest) / BabyKingdom / FIXER / i.Rias / TRNTY D:CODE / ジグソウ / アルファリア / ヴァージュ / グラビティ / AIOLIN / 虹彩☆RaveL / HAKLO

OPEN 14:00 / START 14:30
前売り ¥3,800(tax in) 当日券 ¥4,500(tax in)
オールスタンディング、入場整理番号有り
※ドリンク代は各会場ごとに異なります。

入場順:Aチケット(club Zy.月額コース会員優先予約→club Zy.チャンネル会員優先予約→club Zy.無料会員優先予約)→Bチケット
 

一般(B)チケット発売中!
ローソンチケット 0570-084-003(Lコード:71690)‣購入ページ
イープラス http://eplus.jp/ ‣購入ページ
ライカエジソン東京 03-3369-3708
ZEAL LINK渋谷:03-5784-9666/高田馬場:03-6908-9682


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