INTERVIEW

the GazettE 葵(g)×REITA(b) ロングインタビュー第1回(全4回)「そうか。僕は、いつでもエモいので(笑)。どの曲にもエモさを感じているし、常にエモくいっていますから。メンバーが追いついてくるのを待つだけですから(笑)」

the GazettE

最新アルバム『NINTH』(2018.6.13)のリリースに伴い、昨年7月からロングツアーへと旅立ったthe GazettE。ホール・ツアーで幕を開け、ライブハウスをまわり、海外ツアーも行うという彼らの精力的な動きに圧倒されたリスナーは多いに違いない。1年以上をかけて行われてきた<the GazettE LIVE TOUR18-19>も、9月23日に横浜アリーナで行われる最終公演<「第九」>を残すのみとなった。今の彼らがどんなことを思っているのか知りたくて、葵(g)とREITA(b)に今回のツアーを振り返ってもらった。

Interview:村上孝之

 

 「そうか。僕は、いつでもエモいので(笑)。どの曲にもエモさを感じているし、常にエモくいっていますから。メンバーが追いついてくるのを待つだけですから(笑)」


――『NINTH』を完成させてツアーに出る前は、それぞれどんなことを思っていましたか?
 どうだったかなぁ……なにしろ、もう1年くらい前の話なので。
REITA 覚えてない?
 うん(笑)。
REITA 俺は、覚えているよ。『NINTH』は曲が出揃うまで時間がかかって、曲が揃ってからは急ピッチに作業が進んだんですよ。だから、すぐにツアーが始まるのに、ベースのフレーズがあまり身体に入ってきてない状態だった(笑)。
しかも、“ライブを意識したアルバム”というコンセプトだったから、ライブでそれをしっかり具現化しないとダメじゃないですか。だから、ツアー初日から身体でちゃんとノリを出せるかなという心配は、ツアーが始まる直前までありました。いざやったら、意外といけましたけど。
 REITAの話を聞いて、思い出しました(笑)。比べるのはなんですけど、『DOGMA』と違って『NINTH』はナチュラルなバンド感を押し出したアルバムなので、僕は単純にツアーが楽しみだなと思っていました。変なプレッシャーみたいなものは、なかった気がしますね。

――REITAさんも始まってみたら大丈夫だったということは、いい状態でツアーが始まったんですね。では、ツアーの話をしましょう。今回のツアーはホールをまわる<PHASE #01-PHENOMENON->からスタートしました。
REITA ホール・ツアーは、日本が日に日に猛暑になってきている中でのツアーだったんですよ。去年の夏は、本当にヤバかったじゃないですか。だから、ホールなのに、すごく暑かったことを覚えています。かなり過酷でしたね。ライブハウスだったら、死んでたと思う(笑)。あとは、ライブで初めて曲を演奏する時は、たぶんこういうノリになるだろうなと想像するんですけど、『NINTH』の曲はイメージを上まわっていた。
ファンの子達のスタートする位置が高くて、初日からノリが良かったんですよ。いつも「初日って」とか「初日だから」みたいなことを言いがちだけど、今回はそういう感じではなかったです。『NINTH』の曲は緊張してやる感じでもなくて、それも良かったと思うし。と言いつつ緊張しましたけど(笑)。初日を終えて、これはいけると思って、いい意味で肩の力が抜けました。
 ホール・ツアー全体のことはあまり覚えていないけど、ツアーの初日に手応えを感じたことは覚えています。今思うと最近とは全然違うライブだけど、良かった印象がある。ツアーの初日というのは、なにをするのも自由なんですよ。ライブを重ねていく中で固まっていくものが、まだ全くない状態だから。僕は初日のそういうところが好きで、今回はそれを楽しめたんですよね。

――ファンの皆さんと同じように、バンド側のスタートの位置が高かったことがわかります。では、ホール・ツアー中の出来事で、印象に残っていることなどはありますか?
 ないです(笑)。というか、今回はなにもないと思う。ライブ中のトラブルとかがなかったし、オフステージも平穏だったし。
REITA たしかに、気の効いたエピソードはなかったね。
 どんどんインタビューウケしなくなってきている(笑)。ただ、エピソードではないけど、僕はホールでのライブが好きなんですよ。なにがいいって、客席からの距離感がいい。ライブハウスよりもホールのほうが、バンド感が出るようになってきたことも感じるし。今となっては、いろんな勝手がわかるのはホールかなという気がしますね。
REITA ホールはやりたいことが一番できるというか、ステージの環境面では申し分ないですよね。あと、楽屋も広いし(笑)。ファンのウネリとかを肌で感じるのはスタンディングだけど、だからといってホールで物足りないかといったら、そんなこともなくて。ホールはホールで、ファンはみんなカッコよくノレているんですよ。だから、今となっては、優劣はつけられないですね。

――ホールでも毎回熱いライブをされたんですね。ホール・ツアーに続いて行われた<PHASE #02-ENHANCEMENT->は、大きいライブハウスでのスタンディング・ライブでした。
REITA “#02”の時は、それまでと変えたことはなにかあったっけ?
 いや、ここまでは特になかったと思う。ホール・ツアーでマイナー・チェンジしながらライブを重ねて、どんどん良くなっていっていたから、それをそのまま引き継いで、さらに磨きをかけていこうという話になったんです。
REITA そうだった。スタンディング・ツアーが始まってからは、やっぱりホールよりも熱がこもるなと思いましたね。ホール・ツアーで演奏に慣れたから、なにも考えなくても指が動くわけですよ。それで、パフォーマンスのほうに比重がいったりするから、一層熱くいけた。その分疲れるので、大変は大変でしたけど(笑)。

――な、なるほど(笑)。でも、REITAさんはライブが終わった後は立てないくらいクタクタになっていないと納得できないと、以前おっしゃっていた気がします。
REITA 言いました。だから、ホール・ツアーの初日も熱中症になって、病院にいったんです。衣裳が暑かったんですよ。なので、次のライブから衣裳の背中を、思いきりメッシュにしてもらいました(笑)。
 そんなことが、あったね(笑)。エピソード、あるじゃん。
REITA いや、しょうもなさ過ぎて、話すまでもないかなと思って(笑)。

――そんなことはないです。葵さんは、スタンディング・ツアーはいかがでしたか?
 忘却の彼方です(笑)。

――ええっ?
 そういうわけには、いかないですよね(笑)。なにか、あったかなぁ……。REITAはパフォーマンス重視になったみたいだけど、僕はステージングは変わらないんですよ。ステージの広さとかで変えるということがない。ギターの音作りとかも、デジタルにしたから変わることもなかったし。デジタルにしたから、“#01”の時からずっとストレスがなかったんですよね。
出音(客席で聴こえる音)もステージで鳴っている音とあまり変わらないし、イヤモニを使っているから、箱(会場)によってモニターのバランスが変わったりすることもないし。だから、昔みたいに箱が変わるたびに神経質になることはないし、会場の大きさによる違いも感じないんですよ。
REITA それは、俺も同じですね。でも、ツアーが始まって感じたこととか、気づいたことはありました。たとえば、『NINTH』に入っているバラードはしっとりするだけはなくて、熱かったり、エモい感じがあったんですよ。音源を聴いている時はしんみり系になるのかなと思っていたので、それはちょっと意外でしたね。
 そうか。僕は、いつでもエモいので(笑)。どの曲にもエモさを感じているし、常にエモくいっていますから。メンバーが追いついてくるのを待つだけですから(笑)。なので、そういう“意外な気づき”みたいなものはなかった。
スタンディング・ツアーの時も、特に話すようなことはないんですよ。ツアー中にインタビューを受けたりしたけど、なにも面白い話がなくて困ったから(笑)。
REITA 葵さんが釣りにいったくらい(笑)。すごく平和なツアーでしたね、今回は。面白いエピソードとかがなくて、取材という意味では申し訳ないですけど、その分ライブに集中できた。だから、俺らとしては、いいツアーでした。

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