REPORT

僕らが見た熱狂という幻だったのか?!。みくの公演をレポート!!

Lc5 アンティック-珈琲店- みく

みく〜39 for “my family”〜ライブレポート
あれは、僕らが見た熱狂という幻だったのか?!。みくの公演をレポート!!
アンティック-珈琲店-活動停止後、音楽活動から遠ざかっていた"みく"。彼が、1月6日と7日にMt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREを舞台に「みく アンティック-珈琲店- /【Lc5】〜39 for “my family”〜Plane』」と題し、ワンマン公演を行なった。次にふたたび動き出すか未定だけに、この2日間のライブは、みく自身はもちろん。ファンたちにとっても嬉しい再会の場になっていた。ここでは、1月6日の公演の模様をお届けしたい。少しでも、あの日の興奮と感動が伝わったら幸いだ。
PHOTO:折田琢也  HAIR & MAKE:北瞳  TEXT:長澤智典


ほぼ1年前、EX THEATER ROPPONGIの舞台で別れを交わしたときから、心の中では「何時かは帰ってきてくれる」と思っていた。でも、その前から「アンティック-珈琲店-だから僕は歌っていたし、アンティック-珈琲店-がないのならステージに上がる理由はない」とみくは語っていた。その言葉通り、1年前に舞台を下りたときから、みくは「また活動します」という声を上げることはなかった。twitterの更新が止まり、月日を重ねるごとにみくの決意が固いことを実感。「このまま一生、ステージで歌うみくの姿を観ることはないのかも」という気持ちの比重が、何時しか高くなっていた。その報告を聴くまでは…。

昨年もWeb上で、1月6日に行なったワンマン公演の日にも語っていたが、Lc5のメンバーであり、大切な仲間のAkiからの強い誘いが無かったら、みくは音楽活動の封印を解くことなく、ずっと眠りにつきっぱなしだったのかも知れない。実際、復帰ステージを決めた理由も、「アンティック-珈琲店-とLc5の楽曲を歌うなら」という条件があったうえでのこと。みく自身が人生を賭けた音楽を、曲たちを歌うのであれば、彼は舞台上で歌う意味も理由を見い出せると改めて宣言。だからこそ今回のステージも、アンティック-珈琲店-とLc5の楽曲をほぼ均等に用意。メンバーも、アンティック-珈琲店-とLc5のメンバーたちと一緒であるならという理由から、Reo(G:【Lc5】)/カノン (B: ex.アンティック-珈琲店-)/Aki (Dr:【Lc5】/Bräymen)という布陣で臨んだわけだ。
MCでみくは「アンティック-珈琲店-とLc5のメンバー2人ずつと思ってこのメンツになったけど、よくよく考えたら僕は両方やっているから、3対1にもなるんだよね」という冗談も放っていたが。話を聴いていたら、人見知りなカノンは、なかなか2人には打ち解けられず、ライブ当日もReoのことをAkiと呼び間違いもしていたらしい。それでも、カノンなりにコミュニケーションを取って関係を縮めていたことを、MCで語っていたこともお知らせしておこう。

ライブでは、アンティック-珈琲店-とLc5の曲たちを、ときに交互に。ときには幾つかのブロックごとに固めながら届けるなど、極力バランス良く並べ、アンティック-珈琲店-とLc5の魅力を甦らせるように伝えてきた。用意した楽曲はほぼ一緒ながら、初日と二日目ではセットリストの構成を変え、同じ曲たちでも、描き方次第で舞台に作りあげるドラマが変わってゆくことを示していたのも、2日間ライブを行なう意味にもなっていた。 

初日公演は、アンティック-珈琲店-の「Spring Snow」からスタート。胸の奥から込み上がる気持ちを少しずつ解き放つように歌うみくの姿も、印象深く瞼に焼きついた。ジワジワと感情のボリュームを上げてゆく様を観ながら、満員の観客たちが、同じように心のレベルゲージを大きく揺らしだす。


次第に熱を孕む気持ちへ一気に熱を加えるように届けたのが、Lc5の「Only you~キミとのキヅナ~」。心が沸き立つのが自分でもわかるくらい、気持ちが浮き足立っている。みくの歌声も、どんどん熱を上げてゆくのがしっかり伝わってきた。

「みんなに会うのが照れくさかったです。でも、みんなに会えるのが楽しみでした。今日は、楽しさや感謝を伝えるライブにしていきます」。みくの言葉を受けて届けたのが、この季節にピッタリの「スノーシーン」。少し哀切な心模様で、失くした心の隙間を埋めるように歌うみく。その声が伝える悲しい恋の物語に、心が切なく疼くのを抑えられない。悲しさを塗り重ねるように歌った、「Loveless」。フロア中の人たちが、気持ちを切なく揺さぶる歌を届けるみくの姿をじっと見つめていた。いや、じっと見入ることで、心や瞼から涙が落ちないようにしていた。

表情は,一変。会場中を艶やかな色へ塗り替えるように、みくは「Only you~キミとのキヅナ~」を歌唱。気持ちを開放する楽曲を受け、フロアからも声が上がれば、身体を折り畳む様も生まれていた。昂りたい気持ちを触発するように、みくは「一秒間の愛し方」を歌唱。みくの甘い歌声に触れ、甘くとろけそうな気持ちに心包まれる観客たち。拳を振り上げ「はいはい」声を上げて騒ぐ様を見ていると、一緒に心が沸き立つ。
ギターを手にしたみくが弾き出したのが、「メープルガンマン」だ。満員の観客たちが銃のポーズにした両指を振りかざし歌った「Shoot away Shoot away」の声が、フロア中に飛び交う。その声がみくのハートを撃ち抜くたびに、みく自身の顔がほころんでゆく。この楽しさが、とても懐かしい。

優しさと切なさを交錯させるように届けたバラードの「STORY」。想いを零すように歌うみくの姿や歌声へ引き寄せられる。込み上がる感情に胸が締めつけられる。Akiが演奏したいと説に願っていた「願い事は1つさ」の登場だ。軽快に走る楽曲に気持ちを乗せ、この場所で、大切な仲間たちと歌う喜びを。その幸せを噛みしめるようにみくは歌っていた。哀愁浪漫を覚える「refrain」では嘆くように、言葉のひと言ひと言を確かめるように歌うみくの姿がそこにはあった。

アンティック-珈琲店-という場所を手放し、月日を重ねてゆく中で改めて感じていた、大切な存在。そして、自分らしい生き方。自分の自信が欠けてゆく中で得た、今回の二夜限りのステージ復帰という場。みくは、この経験を通してふたたび歌う…のではなく、自分らしい生き方を見つけたいと、MCでは語っていた。
そんなシリアスな語りや、先ほどまでの曲ごとの世界観へ気持ちを溶け込ませる表情を一気に塗り替えるように届けたのが「ダックのマジカルアドベンチャー」。ダックの人形を手にしたみくが、アヒルの声真似をしながら、勢い良く駆ける演奏を通し、仲間たちと一緒に満面の笑顔ではしゃぎだす。みくも、仲間たちも、ライブという最高に楽しいオモチャを通して戯れるように大はしゃぎしていた。その楽しさを一気に攻めへ転じてゆくように、みくは「BLACK MONSTER」を熱情した想いや歌声を通してぶつけだす。フロア中がどんどん沸き立つ。興奮が止まらない!!
勢いをさらに膨らませるようにみくが「覚醒ヒロイズム」を歌いだすや、急に演奏がストップ。一瞬、戸惑うみく。その姿へ向かって流れだした「Happy Birthday」の演奏。嬉しい驚きの表情を見せる、みく。でも、本当のサプライズはここからだった。なんと舞台へバースデーケーキを持って出てきたのが、元アンティック-珈琲店-のtakuyaだった。まさかの人物の登場に、破顔した表情でtakuyaを見つめるみく。さらに、バースデーのセレモニーが終わったあと、takuyaはギターを手に「覚醒ヒロイズム」の演奏に参加。まさかまさかの出来事に、みくはもちろん、会場中の人たちが壊れんばかりの笑顔で大熱狂。声を張り上げ、拳を振りかざし、5人と一緒に「信じた光を守り抜け 理想の世界が欲しいんだろう?」と歌いながら、まさしく、目の前に現れた理想の光景に興奮し続けていた。

ライブは、熱狂を膨らませるように「TELL ME!!」へ。ふたたび4人になったメンバーたちが荒ぶる演奏を叩きつけ、観客たちを煽りだす。フロアに生まれた大きく身体を折り畳む光景。最後にみくは「MY HEART LEAPS FOR"C"」を歌唱。「ハイハイ」飛び交う熱狂の声を膨らませるように、この会場を魂の解放区へと導いていった。

「ステージに立てるのも、仲間がいてこそ。今は、幸せな気持ちでいっぱいです」と感謝の想いを届けたあとに、みくは甘い衝撃をと「苺」をプレゼント。フロア中の人たちが、両手でハートマークを作り、大きく手を振りながら想いを届けていた。温かい空気に包まれてゆく、その感覚がとても心地好い。続く、「Angel or Devil?」を通して描き出した攻めの姿勢。会場中を埋めつくした仲間たちへ、その笑顔をずっとずっと忘れないでと伝えるように、みくは最後の最後に「♀スマイル一番イイ女」を一人一人の笑顔を見つめるように歌っていった。もちろん、あの頃も。この日も、会場中の誰もが本気で楽しさを感じているときに見せる笑顔を、舞台上のみくやメンバーたちに見せていた。

今回の2日間のライブに続く、みくの新しい公演の予定は現状白紙状態だ。今回が、たった二夜の幻の公演になってしまうのか。それとも、ふたたびステージに立って歌うのか、今は、みく自身も心の中で想いを巡らせているのではないかと想像する。だからこそ、この日に見た景色を醒めないように、ここへ記しておきたい。

 

「みく アンティック-珈琲店-/【Lc5】〜39 for “my family”〜」
2020年1月6日 (月) Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

<セットリスト>

01.Spring Snow
02.Only you ~キミとのキヅナ~
03.スノーシーン
MC
04.Loveless
05.Cherry咲く勇気!!
06.一秒間の愛し方
07.メープルガンマン
MC
08.STORY
09.願い事は1つさ
10.refrain
MC
11.ダックのマジカルアドベンチャー
12.BLACK MONSTER
13.覚醒ヒロイズム
14.TELL ME!!
15.MY HEART LEAPS FOR“C”

EN
01.苺
02.Angel or Devil!?
03.スマイル一番イイ♀

みく アンティック-珈琲店- /【Lc5】
https://twitter.com/mikuppy
https://twitter.com/mikuvocal2


[メンバー]
Vo.みく ( アンティック-珈琲店- /【Lc5】)
Gu.Reo (【Lc5】)
Ba.カノン ( ex.アンティック-珈琲店-)
Dr.Aki (【Lc5】/ Bräymen)