INTERVIEW

佐倉仁 インタヴュー「佐倉仁、配信アルバム「迷宮」を全曲解説。さらにZoomを用いた「無観客ライブ生配信」の最新スタイルについての新しい可能性も提示!!」


 

  先日、渋谷TAKE OFF 7を舞台に佐倉仁が「無観客ライブ生配信」形式で行ったイベント「ViSUALIVE」。同ライブで彼は、とても斬新な双方向コミュニケーション方法を取った。それが、視聴者側がZoomで参加するスタイル。フロアに用意した巨大なモニターに、Zoomを用いて参加者たちの姿を投影。数多くの人たちの視線を浴びながら、佐倉仁を筆頭としたZinTheBaritonist.(佐倉仁(Vo)・Yuto(G)・MiA(G)・人時(B)・そうる透(Dr)・菊地圭介(key))の面々がライブを行った。

  注目したいのが、視聴者たちがミュートを解除。演奏に合わせ、一緒に声を上げてライブへ参加していたこと。もちろん、自宅からライブ参加していたこともあり、上げる声の大きさにも限度があったとはいえ、観てくれる人たちの声援も受けてのライブは、まさに双方向なスタイル。まだまだ改良の余地もあることから、佐倉仁はこのライブ配信スタイルの精度を高めながら、引き続きイベント「ViSUALIVE」を行うことも伝えてくれた。

  この日、佐倉仁はデジタル配信という形のもと、アルバム「迷宮」もリリースした。今回、同作品へ収録した曲たちを全曲解説してくれたので、以下へ彼の想いを記したい。

 

いろいろ改善の余地があるとはいえ、双方向という形を考えたら、今は「無観客ライブ生配信」を伝えるうえでZoomが最適な手段。

 

――先日、渋谷TAKE OFF 7を舞台に「無観客ライブ生配信」形式で行ったイベント「ViSUALIVE」では、とても斬新な双方向コミュニケーション方法を取りました。それが、視聴者側がZoomで参加するスタイル。注目したいのが、視聴者たちがミュートを解除。演奏に合わせ、一緒に声を上げてライブへ参加していたことなんですよね。

佐倉仁 僕自身が、以前にSHOWROOMを通してライブ配信していたときに感じていたのが、目の前にお客さんがいないことから、まるで壁に向かって歌っているような感覚でした。ライブなのに、肝心のお客さんからの反応が見えてこない。もちろん、チャットに書き込んだメッセージを文字として見れますが、そこにもタイムラグが生まれ、よほど大きなモニターを目の前に設置しないことには、ライブをしながら文字を追いかけるなんて不可能なこと。そういう経験を「無観客ライブ生配信」をしながら感じていたからこそ、「どうやったらお客さんたちと一緒に声を掛け合ったり、共に歌えるんだろう?」と頭の中でズーッと考え続けてきました。

 

――そこで見つけた最適な双方向コミュニケーション用のツールが、Zoomだったわけですね。

佐倉仁  現状では、それが最適だったという形でした。他のコミュケーションツールの中でも、タイムラグが断然短いぶん一番リアル感を覚えられる。しかも、大勢の人たちの顔を観ながら一緒に一体感を味わえる。ミュート機能を解除することで、観ている人たちが声を上げられるし、その声さえもみんなで一緒に共有していける。ただし、そこにも課題があって。もともとZoomは会議用のツールなので音質面で優れているわけではない。それに、観ている人たちの環境で、流れ出る音にいろんな音が入り混じってもいる。とはいえ、ライブ中お客さんたちも、ミュートしたほうが良い場面ではミュートをしながら、声を上げたいときは解除してなど、それぞれに楽しみ方を見出していました。いろいろ改善の余地があるとはいえ、双方向という形を考えたら今はZoomが最適な手段。あとは、今回生まれた課題をアップデートしながら、より快適なライブ・コミュニケーションの方法を作りあげていければなと思っています。

 

――ということは、今後もZoomを用いた「無観客ライブ生配信」スタイルを追求してゆくということですね。

佐倉仁  6月に「ViSUALIVE」と題して行った「無観客ライブ生配信」は、あくまでもテストも兼ねて行いました。今後、システムも含めアップデートを重ねながらベストな形へ持っていくまでは、今のスタイルを追求してゆくつもりです。

 

――他の人たちがやってないことを…というよりも、世の中の常識にとらわれず、いかにお客さんたちの欲求も満たしたうえで最適な表現スタイルを追求し続ける姿勢こそが、佐倉仁さんの生き方ですからね。

佐倉仁  他の人たちがやっていることをなぞるのではなく、まだ開拓されていない新しいことへ果敢に挑戦してゆくことが佐倉仁の姿勢だし、その意識でつねに活動をしています。

 

――その姿勢があるからこそ、ギターとベースを同時に演奏できるハイパーバリトンギターやSakuraCasterなど、独自の楽器まで開発してしまったわけですからね。

佐倉仁  その通りです。

 

――6月に行った「ViSUALIVE」に、佐倉さんはZinTheBaritonist.というバンドを従えて参加。そのメンバーが、佐倉仁(Vo)、Yuto(G)・MiA(G)・人時(B)・そうる透(Dr)・菊地圭介(key)と豪華な面々でしたよね。

佐倉仁  僕は一度音楽活動から離れ、再びシーンに舞い戻ってきたわけですが。以前活動をしていたときに共演したいと思っていた憧れの人たちが、今回のメンバーたち。中には、MiAさんのように新たな出会いの方もいますが、一流どころのミュージシャンたちと共演できたことで、僕自身の中では一つの目標を達成できた嬉しさもありました。しかも、旧知の仲のYutoはもちろん。憧れの方だった菊地圭介さんには、僕の作品用楽曲の演奏やアレンジにまで参加していただけた。そこも、すごく嬉しかったことなんです。

 

同じ楽曲でも、表現する人の感性や演奏するスタイルなどによってこんなにも異なる個性が出てくる。だから僕等は、音楽の魔力に取り憑かれてしまうんです。

 

――佐倉さんは先日、デジタル配信という形でアルバム「迷宮」を発売しました。

佐倉仁  以前から楽曲のレコーディングを重ね、発売をするタイミングを伺っていた中、6月23日に「ViSUALIVE」という形でライブ配信を決めたことから、同じ日にアルバムも配信リリースしました。

 

――1曲1曲、かなり作り込んでいますよね。

佐倉仁  もともと1曲入魂の姿勢のもと、楽曲ごとにベストな環境を整えてレコーディングを重ねてきました。配信した全曲ともシングル単体としてリリースしても遜色ないクオリティを持っています。しかも、レコーディングに参加しているメンバーも1曲ごとに異なる。そこもまた面白さだと思います。

 

――ここからは、収録した全楽曲の魅力を解説していただきたいなと思います。冒頭を飾ったのが、アルバムのタイトルにも掲げた「迷宮」になります。

佐倉仁  「迷宮」は、22-23年前に作った楽曲。それを、今の時代に合わせアップデート。「迷宮」と「S」に関しては、僕がドラムを叩き、ベースとギターを同時に奏でるハイパーバリトンギターを用いて演奏。その後、ヴァイオリンの演奏を重ねて録り、最小限の人数でレコーディングをしています。一番注目して欲しいのが、音の厚みを持ったあの演奏は、ヴァイオリンの音色以外一切音を重ねることなくハイパーバリトンギター1本のみで表現していること。それを言わないと絶対にそうは感じないと思います。この時代の中、ここまでシンプルな形で重厚な楽曲を作り出せたのはエポックメイキングなことだと思います。

  歌詞はあえてストレートな表現を避け、罪深くも、でもいとおしい想いと言いますか。恋愛に於ける苦悩と喜びを巧みに織りまぜながら書きました。

 

――「迷宮」の歌詞は、いろんな風に想像を巡らせてゆく内容ですよね。

佐倉仁  生きていくことは、口で言うほど簡単なことじゃない。それぞれに悩み、苦しみ、葛藤しながら。それでも立ち上がり、前へ進んでいく。そういう人たちって、自分に限らず多いと思います。だけど、頑張れば頑張るほど迷宮に陥ってしまうこともある。それでも、人は前へ進まなきゃいけない。そんな心模様を恋愛に置き換え、ここに記しました。

 

――2曲目は「傷」になります。

佐倉仁  「傷」も「迷宮」と同じ時期に生まれた楽曲です。このラフ音源を菊地圭介さんに聴かせたときに、「この楽曲をレコーディングするのなら、アレンジさせてもらって良いかな」と言っていただけたことから、しっかり環境も整えた上で菊地圭介さんにレコーディングやアレンジのディレクションをお願いしました。出だしは緩く始まりながらもアウトプットがものすごい展開になっていく。そこへ菊地圭介さんの「傷」へ込めた熱意を感じることが出来ました。

  歌詞には、汚れなき少年が、この世界で生きてゆくため、みずから汚れることを経験。心が純粋ゆえにいろんなことで傷つきながらも、それでも前へ進もうとしてゆく心模様を記しています。

 

――続いては、佐倉さんのデジタル配信デビュー曲となった「Diablo」の(Original mix ver)になります。

佐倉仁  この歌は、作詞:池永康記/作曲:樫原伸彦という黄金コンビが制作。プロの作家さんの中でもトップクラスの方が手がけただけあって楽曲のレベルは本当に高いです。  曲を聴かせていただいたときから感じていたのが、本当に美しい旋律を持った歌であること。今回の作品中、唯一ハモリを入れてない曲でありながら、そこに頼らずとも独創的な世界観を描き上げているところに作家陣の匠の技を感じていました。すでに配信リリースしているバージョンとはギターのアレンジが異なります。その違いを聞いていただきたいのと、この楽曲が持つ高揚感と言いますか、熱情も感じ取っていただけたらなと思います。

 

――「海月」は、とても美くも儚いバラードナンバーに仕上がりました。

佐倉仁 「海月」は水の中を漂っているようなイメージを持って作ったバラードになります。この歌では、人の世に虚しさを感じながらも、それでも進んでいこうとするけど、でも消えてしまうという内容。テーマは「生まれてこない」。その真意は、ぜひ「海月」を聞いて紐解いてください。

 ピアノの旋律がとても印象深く、そこへヴィオラの音色も絡むことで、楽曲は美しく切なくも、壮大な世界観を描き出します。佐倉仁と言えば、ロックテイストを押し出した印象を強く持たれますが、こういう表情もあることを伝えたくて今回収録しました。

 

――最後は「S」になりますが、ここには「S」「S(Metal mix ver)」「S(Dance mix ver)」と3つのスタイルで収録しています。

佐倉仁  これも、以前にバンドで演奏していました。この曲は、僕の後輩ミュージシャンたちが制作。その楽曲が非常に魅力的だったことから「ぜひ(当時の)バンドで演奏させてくれ」とお願いをし、あの頃から演奏をしてきた楽曲です。

  「S」は、以前から。もちろん今も、ライブで支持の高い歌。同時に楽曲の持ついろんな魅力も感じてもらおうと、「S(Metal mix ver)」をギタリストのYutoに。「S(Dance mix ver)」をキーボディストの菊地圭介さんにアレンジをお願いしました。結果、3曲とも同じメロディーなのに、まったく異なる表情を持って聞こえる形へ進化。これこそが、音楽を表現してゆくうえでの醍醐味なんですよね。つまり、同じ楽曲でも、表現する人の感性や演奏するスタイルなどによって、こんなにも異なる個性が出てくる。だから僕等は、音楽の魔力に取り憑かれてしまうんです。

 

これからも「無観客ライブ生配信」を通した双方向のライブコミュニケーションスタイルであるイベントライブ「ViSUALIVE」を追求し続けます。

 

――最後に、これからの佐倉さんの動きも教えてください。

佐倉仁  これからも双方向ライブコミュニケーションスタイルである「無観客ライブ生配信」イベント「ViSUALIVE」を追求し続けます。同時に、オリジナル楽器ブランド「The Baritonist」内で制作したSakuraCasterの販売のため、近々クラウドファンディングを行う予定でいます。まずは、その製品化を始めようと思っています。今、新たな音源制作や、先に伝えたことの準備のため、SHOWROOMを通しての配信はお休みしていますが、いろいろ状況が落ち着いたら再開します。そちらも楽しみにしていてください。

  もちろん、これからも情報はコンスタントにお届しますので、その報せをチェックしていただきつつ、これからも佐倉仁の動きを追いかけ続けてください。

 

 

LIVE PHOTO:柳延人

TEXT:長澤智典

 

 

 


 

 

   INFORMATION   
 

 

◆佐倉仁NEWアルバム「迷宮」配信中

 

 

―配信曲リスト―

「迷宮」

「傷」

「Diablo(Original mix ver)」

「海月」

「S」

「S(Metal mix ver)」

「S(Dance mix ver)」

 

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