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【umbrella】結成記念日の無観客配信ライヴを開催ライヴレポート!

umbrella



「全ての人の、心に傘を」をコンセプトに結成されたumbrellaの

本来であれば2020年3月14日の10周年記念日に行われていたはずのライヴ。

未曽有の状況に陥った1年を経て10周年+11周年の記念すべき日に

無観客配信という形で行われたこの日の公演は、彼らのコンセプト通り未だ降りやまない雨の中、

そっと差し出された1本の傘のぬくもりのようで、雲間に差した一筋の光のようでもあった。

 

折よく昨日までの雨もあがった日曜日、拠点となる大阪でも屈指の人気会場味園ユニバース。

独特のレトロ感と歴史を持った会場の中では、お昼前からライヴ当日ならではのバタバタとした雰囲気の中、

久々に味わう高揚感も相まって、何ともいえない独特の空気に包まれている。

 

楽屋ではメンバー個別のインタビュー撮りも並行して行われていた為、

メンバーとスタッフの慌ただしさは想像以上だっただろう。

それでも、やはり生の音を届けられるライヴハウスという空間は特別で、他のなにものにも代えがたい。

この1年、何度準備した公演の中止や延期に追い込まれたことか。

今まで普通に行っていたことが普通でなくなった現在で、

誰もがライヴハウスで音を届けることの改めての意義を感じているはずだ。

 

ステージは通常よりもドラムセットがかなり前にセッティングされ、メンバーがほぼ一列に並ぶ配置になっている。

通常、映像では少し映りにくくなるドラムセットが前に来ることで、

メンバーの様子が余すことなく捉えられるようになっている。

 

配信用のカメラは客席フロアのど真ん中、最上手、最下手に設置され、

普段観客が見る目線そのままで見られる配慮がなされていた。

 

リハーサルでは入念に音の確認を行っていくメンバー。

なるべくお客さんが生のライヴを見ている感覚に近づけるため、

なおかつ配信ならではの繊細な音のこだわりも表現しようとするとそのバランスの舵取りは難しい。

 

映像に撮って確認したり、本番さながらの流れの確認をしたり、

味園ユニバース名物のネオン管ライトの演出を確かめて興奮する一面も。

(ボーカルは前を見て歌っているので一番綺麗なところが見えないらしい…)

ホールの天井が高いため音の反響が凄まじく、会場全体が音に包まれる感覚になる。

リハーサルにもどんどん熱が入り、本番への期待は高まっていく。

 

当然ながら、無観客配信では目の前のお客さんの反応をリアルタイムで

見ることができない。ライヴ独特の予想を超える高揚感や盛り上がりを

その場で実感することができない上に、観客が現場にいない分、

数えきれないほどの視線に晒されている独特の緊張感がある。

 

ただ、その状況をものともせず、逆手にとって活かしてしまうのが、彼らの11年積み上げてきた実力だ。

 

SE.アマヤドリの醸し出す雨音の中、静かに登場したメンバーと、幻想的な明かりとともにスタートした「月」は、

結成当初につくられた彼らの始まりともいえる曲。

慈しむように歌い上げる唯(Vo)が持つ独特の空気が、会場と画面の向こうをumbrellaの世界に染めた。

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時に激しく、疾走感がありながら艶めいた楽曲の数々は、彼らが大切に紡いできた歴史でもある。

思わぬブランクに見舞われながらも鍛え抜かれたバンドアンサンブルは、記念すべき晴れ舞台にその力強さを増している。

 

リフレインが印象的な「流星群」、キャッチーで情感溢れる「レイニングレター(Re:arrange)」

お待ちかねのネオン管の演出が、まるでレトロな映画を見るようだった「軽薄ナヒト」。

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柊(Gt)の一見物静かないで立ちから繰り出されるエモーショナルなギターが空気を揺さぶる

「造花」や、将(Dr)のテクニカルで重厚なドラムソロからスタートした「叩けば誇り。」

では、普段のライヴと同じもしくはそれ以上に激しい唯の煽りも相まって、

画面の向こうで興奮する観客の姿が目に見えるようだった。

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激しい赤の照明に晒された「シェルター(Re:arrange)」や観客が一体になってジャンプするであろう「Witch?」など、

惜しみなく次々に楽曲を繰り出し、ボルテージが上がりきったところで、前半ラストの曲は「スロウレイン」。

楽曲の幅が豊富な彼らの音楽の中でも、最もumbrellaらしい楽曲だ。

 

大きな黒い傘を手にして歌う唯の姿は、11年分の貫禄と少年のようなあどけなさの二面性を持っている。

叫ぶような〝さよなら”の言葉に、時が止まったような静寂が訪れると、拍手にも似た雨音を置いてひとりずつ去っていった。
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転換(配信ではMVが流れている間)を経て再び登場したメンバーは、

序盤の黒い衣装から一昨年に発売された新曲「リビドー」の衣装にチェンジ。

官能的なピンク色の照明とこの曲は、味園ユニバースの会場に良く似合う。

 

「去年着るはずだった衣装、調子に乗って着てみました!去年の分も楽しんでいいかい?」

そんな唯のMCでスタートした後半戦は、星空を思わせる爽やかなギターサウンドが気持ちいい「ヨルノカーテン」から。

「明日の世界は不確かで震えるけど立ち止まる程見えない僕には時間が無いんだ」

という歌詞がこの1年を思わせてグッとくる。

 

繊細な歌が響き渡る「造型アリス」、春(Ba)のバンドのグルーヴを自在に操る

色気のあるベースが炸裂する「箱庭」と、後半になってもその勢いは止まらない。

ストリングスの音色とバンドサウンドの融合が壮大な世界観を生み出す「管」は圧巻だった。

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「今日は10周年・11周年を同時にお祝いする誕生日会です!!

心残りは君たちがここにいないことだけど、それでも幸せですありがとう!

こんな状況でも、配信という世界最新技術を通して届けられるのはすごいこと。

とってもいいお知らせがあります。じゃーん!!!」

と前置きした上で、唯から発表されたのは最新音源「愚問」のリリース。

「2020年、いろいろ考えておりました。そして、11周年を機にいろいろ進むことに決めました、みんなついてきてください!」

と力強い言葉で次に演奏されたのは、「Door」。さらに、指揮棒を手にした唯に合わせて大声で合唱したくなる「アラン」。

耳をすませば画面の向こうからサビの「ウォーウォー」の大合唱が聴こえそうなほど、感動的なエンディングだ。

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そして雨上がりをイメージさせる壮大に拡がる楽曲「夕立」のあと、この日はじめてメンバーひとりひとりからのMCとなった。

 

「最高の形ではなかったかもしれないけど、今日この公演ができてよかった」と将。

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柊の「前に進むための決断としての無観客ライヴでした。先を見据えていく」という言葉。

「11年、応援してくれた人が途切れなかったからやってこれた」という春の一言には重みがあった。

「年間100本ぐらいライヴをやってた年もあったのに、今は1本1本が貴重になってしまった。

またこれから、今日からちょっとずつ皆に会いに行きます。今日を境に、もっかい動き出しましょう!!」

 

昨年予定され延期になってしまった公演を楽しみにしていた観客は大勢いるはずだ。

そしてそれ以上に楽しみにしていたのはメンバーだったはずだ。

葛藤の中、決断された“無観客配信”という形。今日の日は、umbrellaの歴史にとっても

忘れられない日になったことは間違いないし、彼ら自身も手ごたえを感じたと思う。

 

 

最後は、本日のスタートにも演奏され、そこから10年の時を経てリアレンジされた「月(Re:arrange)」。

冒頭に演奏された幻想的な雰囲気よりも、前向きなニュアンスが追加された気がする。

メンバーはとてもいい顔をしていて、見ている方も幸せな気持ちで聴くことが出来るこの楽曲は、

これから12年目をスタートさせるumbrellaの記念すべき日にこれ以上ない相応しさだった。

 

今日という日はまさに彼らの今までの歴史の集大成といえるライヴで、

画面越しにたくさんの人々の記憶に残ることになっただろう。

 

現場では、メンバーはもちろん、スタッフが技術を結集し一丸となって

少しでもこの熱を届けたいという熱い思いが伝わってきた。

また、それと同じぐらい強い思いで今すぐ有観客のライヴを見たい、

皆とこの思いを分かち合いたいという衝動にも駆られる良い空間だった。

 

10周年(11周年)という大きな節目を迎えたumbrella。

シングルリリースの発表をはじめとして2021年も「いろいろ進む」と

豪語していた彼らの今後の動向に注目しておきたい。

カメラマン:おにてん。 

ライター:岡本恵里

 

■umbrella 10-11th Anniversary ONEMAN 【Chapter.10-11】

「長い雨の日々、全ての心に傘を差す」 無観客生配信ライヴ

2021年3月14日 SETLIST

 

SE(アマヤドリRe:arrange)

01 「月」

02 五月雨

03 ヤマアラシの涙

04 ワスレナグサ

05 anima

06 流星群

07 レイニングレター(Re:arrange)

08 軽薄ナヒト

09 造花

10 レッドシグナルデイ

11 叩けば誇り。

12 Frontier

13 アンドロイドと果実

14 「シェルター」(Re:arrange)

15 Witch?

16 スロウレイン

17 リビドー

18 ヨルノカーテン

19 造型アリス

20 箱庭

21 「管」

22 Door

23 アラン

24 夕立

25 「月」(Re:arrange)

 

■umbrella 10-11th Anniversary ONEMAN 【Chapter.10-11】

3月28日(日)23:59までアーカイブ配信中

【チケット料金】3,500円

【配信サイト】TwitCasting https://twitcasting.tv/umbrella_data/shopcart/55830  

 

 

 

≪リリース情報≫

■2021年6月11日発売 NEW SINGLE  「愚問」

・各種配信サイトで配信。

・Tシャツ付きCD(ライヴ会場、通販限定) 価格4000円

通販:umbrella official STORES https://bit.ly/3l7Xk2G

 

 

<Information>

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