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KISAKI率いる「MIRAGE」新メンバーを加え、第三期として始動。25th ANNIVERSARY、1st FULL ALBUMの発売&LIVE決定!!

KISAKI PROJECT MIRAGE

衝撃の歴史は、いつの時代もより強い衝撃によってのみ塗り替えられてきた。90年代からここまで、様々な形で衝撃をもたらしヴィジュアル・シーンを牽引し続けてきたKISAKIが、この2022年にまたしても我々により強烈なショックを与えようとしている。「MIRAGE第三期始動」――この事である。

激震の予兆はあった。去る2021年12月1日、KISAKIのSNSで発信された「MIRAGE第三期始動、詳細近日解禁」という謎のWEBフライヤーである。1997年の結成から2000年1月16日の解散までわずか3年という短い活動期間ながら、シーンに残した数々の爪痕やその深さは伝説的に語られ、その後のKISAKIのキャリアを俯瞰する上でも決して小さくないレガシーがこのMIRAGEというバンドにはある。そんな90年代のインディーズ・ヴィジュアル・シーンの一翼を担ったバンドが、解散から22年の時を経たX-DAYである1月16日に、再び命を吹き返すというのだ。

蛇足ながらここでMIRAGEのキャリアについて少しだけ触れておきたい。結成は今から25年前、1997年1月16日。リーダーであるKISAKIの前身バンド「La:Sadie’s」の解散翌日に電撃的に発表され幕を開ける。それから約2週間後の1月28日に心斎橋MUSE HALLで敢行したシークレット・ライヴを皮切りに、その活動はいきなりトップスピードで展開された。そうした中でリリースされた1stシングル「Silhouette」がいきなりTV朝日「Break out」のエンディングに起用されたことで一躍全国区のバンドに押し上がり、同年10月にはメジャー・レーベルからミニ・アルバム「Arcadia」を発表する。また、当時若干二十歳だったKISAKIが後に巨大レーベルとなる「Matina」を立ち上げたのもちょうどこの頃である。以降もライヴとリリースを勢力的に行いながらも、活動休止や初代ヴォーカリストTOMOの脱退など、バンドを取り巻く環境は必ずしも順風満帆ではなく、むしろ波乱と隣り合わせであったと言えた。しばしの活動休止を経た1998年9月1日に新ヴォーカリストAKIRAを迎えて第二期が始まると、すぐさま再びメジャー・レーベルより復活第一弾となるミニ・アルバム「Risk en Eve」が放たれた。その後もシーンの中枢としてライヴを軸に勢力的な活動を展開するも、2000年1月16日の大阪HEAT BEAT公演をもって3年間の活動に終止符を打つ。

ところが、停止したと思われた歯車はそれから13年の時を経て再び動き出すことになる。2013年に突如として飛び込んできたAYAME(Ds)の訃報が、結果的に再びメンバーを引き寄せることになったのだ。追悼イベントという形で十数年ぶりに実現したライヴが運命の歯車を動かすトリガーとなり、2018年にAKIRA加入20周年&KISAKIバンド活動25周年期間限定復活イベントと題して、「BURIAL OF EPISODE」が新宿BLAZE、大阪アムホールで開催された。また、復活記念ミニ・アルバムとして「BURIAL」&LIVE ALBUM「LIVE ARCHIVE 1997~1999」がリリースされたことも追記しておきたい。

話を冒頭に戻そう。解散から22年、結成から25年を迎えたこの日。MIRAGEは自らの歴史に三つ目の轍を刻もうとしている。「MIRAGE第三期始動」である。新メンバーに覇叉羅、JILSなどの活動で知られる舜(G)、[zo:diaek]のYOMIを迎え、いきなりキャリア初となる1stフル・アルバム「BIOGRAPH」のリリース、さらにライヴ情報が解禁された。メイン・ヴォーカルはAKIRAがつとめる一方で、アルバムにはなんと第一期ヴォーカリストTOMOが2曲に電撃参加している。新曲、新録、リミックス楽曲を含む全10曲構成で、第二期の代表曲「…Air」のアグレッシヴなリテイクをはじめ、バンドの代名詞でもある「百花繚乱」と「MOON LIGHT DANCE」が艶やかな2022年ヴァージョンにアップデートされている点も特筆すべきだろう。また、AYAMEの追悼として捧げられた「BURIAL」を筆頭に新曲も搭載されていることから、この復活がただの思い出の焼き直しではなく、過去を総括しながら未来への一歩を踏み出す内容であることから、往年のファンはもちろん、リアルタイムでMIRAGEに触れられなかった方々にとっても入門編となるに違いない。

最後に。ついに発表された今回のMIRAGE第三期始動。しかしこれはまだ、次なる衝撃の予兆に過ぎないのではないか? KISAKIを知るものとしてはそんな胸騒ぎがしてならない。波乱に満ちた歯車が、とうとう動き出してしまったのだから。そう、賽は投げられたのだーー。

文 : 柳本 剛(元FOOL’S MATE編集部)