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9/8 Luv PARADE主催DEVIL'S PARTY 2022 Vol.2ライブレポート!

 悪魔的な魅力、という類の言葉が抗い難いほどに人を惹きつける何かのことを指す表現となるように。このたび、今年6月に続いて渋谷Spotify O-EASTにて盛大にLuv PARADEのオーガナイズによって開催された[DEVIL'S PARTY 2022 Vol.2]もまた、そこに集う人々の心をある種の絆で結ばれた演者たちが、それぞれに蠱惑的なパフォーマンスの数々で魅了していくまさに悪魔的な一夜となった。

 ちなみに、Luv PARADEとは2011年6月に惜しまれつつ解散したD’ESPAIRSRAYのメンバーであるKaryu(Angelo)、ZERO(THE MICRO HEAD 4N’S/OFIAM)、TSUKASA(THE MICRO HEAD 4N’S)が集うバンドで、今回の[DEVIL'S PARTY 2022 Vol.2]が行われた9月8日はD’espairsRayの結成日=9月9日の前日でもあった。そればかりか、前回と同様にこのイベントに出演したのはいずれも何らかのかたちでD’ESPAIRSRAYとの縁を持つアーティストばかり。

 そうしたお膳立てがあった中、今宵まず舞台上に姿を現したのはD’ESPAIRSRAYでフロントマンをつとめていたHIZUMIがMASATO(defspiral)、岸利至と共に組んでいるユニット・NUL.だ。もっとも、ユニットとは言えど現在の彼らはサポートとしてベースにKOHTA(Angelo) 、ドラムにLiSAやLM.Cなどのツアーメンバーとしても知られる石井悠也を迎えての5人編成にて目下[LIVE TOUR 2022 “EVILA”]にいそんしでいる最中であり、8月にリリースされたセカンドアルバム『EVILA』にもKOHTAと石井悠也は何曲かでレコーディング参加しているのである。
 当然、この場では最新アルバム『EVILA』からの楽曲たちを集中的に披露してくれることととなり、我々は現在進行形にしてちょうど旬を迎えているNUL.の濃密に熟したサウンドをあれこれ堪能することが出来たと言えよう。
「こんばんは。はじめましての人も多いと思うんですけど、NUL.です。今日は昔の仲間が集まっているこういうイベントなんで、とにかく思いっきり楽しんだヤツが勝ちだからな(笑)。メチャクチャ楽しませてやるから!」(HIZUMI)
 D’ESPAIRSRAYが解散してからというもの、2019年にNUL.が始動するまでは喉の回復につとめていた一方でデザイナーとしての活動を行っていたHIZUMIは、6月に行われた[DEVIL'S PARTY]でも出演者としてではなくデザイナーとして全面協力をしてくれていたわけだが、ここに来てその彼がヴォーカリストとしてLuv PARADEの主催イベントのステージに立ちその歌声を堂々と聴かせている、という尊き現実はこれまでの経緯を知るオーディエンスの多くの胸を熱くさせ、何よりそのパフォーマンスをもって全ての観客たちを楽しませてくれたに違いない。
 そもそも、やはり今も変わらずHIZUMIの放つ声はそれこそ悪魔的なほどの魅惑をたたえ続けているのだ。10月1日の横浜Bronthまで続くという今回のツアーでも、きっとNUL.は各地で待っているファンの心を派手にかき乱してきてくれるものと確信する。

 さて。このあと2番手として登場したのはH.U.G。このなんとも目新しい名前を掲げた彼らの正体とは前回の[DEVIL'S PARTY]でKaryu Session BANDとして登壇していたKaryu、ryo(HOLLOWGRAM)、マニピュレーター・横山和俊の3人にほかならず、今思えば6月の時点で新曲「HUG」をプレイした際にKaryuが「これから長く愛される曲になっていくと良いなと思ってます」と発言していたのだった。
「今日この場所から、我々はあらたにH.U.Gとしての活動をスタートさせます。せっかくなのでみなさん、祝っていってください。よろしくお願いします。そして、短い時間ではありますが新曲も持ってきたので聴いてください」(ryo)
 「DROP」と題されたこの楽曲はH.U.Gの幕開けを飾るにふさわしい明るいトーンのもので、Karyuが得意とする美麗なメロディラインをryoが鮮やかに歌いあげる様や、横山和俊の描き出すセンスフルな音像から生まれる彩りたちが、H.U.Gの未来を予兆させるような突破力と魔力を醸し出していたと言っていい。
 前回のステージでも演奏された、微妙な陰影を映し出した音世界が印象的な「熾-OKI-」や、D’ESPAIRSRAYの原曲を横山和俊がリミックスしてKaryuがあらたにギターアレンジを施したという「Mary of the blood」など、ダークな雰囲気をまとったH.U.Gの音も素敵ではあるが、なんでもH.U.GとはHyper Undead Geniusの略であるそうなので、彼ら3人の擁する才覚からは何にもとらわれることのない様々な可能性がここから次々と提示されていくことになるのかもしれない。H.U.G…末恐ろしい!!!
 現状では次の予定として12月17日に赤羽ReNY alphaにて開催されるLuv PARADEとの2マンが決まっているそうなので、彼らの持つ不思議な魔力をさらに感じたいという方はぜひとも現場へ足をお運びいただきたい。

  さて。前回の[DEVIL'S PARTY]にはLuv PARADEのメンバーと同世代もしくは彼らの先輩にあたる面々が多く参加していた一方、Vol.2となった今回の[DEVIL'S PARTY]にはLuv PARADEの後輩にあたるバンドとしてGOTCHAROCKAがこのイベントに佳境を前にしたここぞのブースター役として見参してくれることに。ただ、後輩とはいえ彼らも気付けば今年5月でめでたく10周年を迎えているため、経験値に裏付けされたステージングの完成度は実に圧倒的だった。
 最新シングル『愛錠』が7月に発表されているにも関わらず、敢えてその収録曲たちを外してイベント向けの楽曲を取り揃えたと思われるセトリの組み方からも、彼らのライヴバンドとしての手腕の高さは強くうかがえたのだが、特に1曲目にこのイベントタイトルと被せたのであろう「BRAND NEW DEVIL」を持ってくるあたりの忖度力(これは純粋な褒め言葉の意としてご理解いただきたい)はお見事の一言。
「こんばんは、GOTCHAROCKAといいます。まずはラブパ(Luv PARADE)の皆さん、今日は呼んでいただいてありがとうございます。知ってる人も知らない人もいると思うんですが、ラブパの御三方とNUL.のHIZUMIさんとは僕が前にやっていたバンドで一緒の事務所にいたことがありました。あれから月日が経ってもう10年以上が過ぎましたけど、こうやってまた同じステージに立てることをとても光栄に思います」(樹威)
 ということで、簡潔に[DEVIL'S PARTY]への参加へ至った説明がなされたMCの内容もさすがといった印象。もちろん、それ以上にさすがだったのは彼らの繰り広げてくれた実演ぶりそのもので、「サプライズ」で聴けた貫録ある樹威のヴォーカリゼイションや、「OUT OF SERVICE」で見ることの出来た文字通りに頭の先から爪先まで全身を真っ赤でコーディネートしたド派手ギタリスト・JUNと、シックな装いで粋かつ実直なギターワークをキメていく十夜によるツインソロなど、GOTCHAROCKAの美味しいところを凝縮して彼らはここに届けてくれた次第だ。11月より来年1月まで続くという[winter tour '22~'23「Once upon a time」]にも、今から期待がかかる。

 こうしてキャリアと実力を兼ね備えたアーティストが相次いで臨戦していった中で、本編のトリとして現れたのは当イベントの主宰者であるLuv PARADEにほかならない。
今回もゲストヴォーカリストとしてTAKA(defspiral)を迎え、初っぱなは先日の来日公演が話題になっていたレディ・ガガのカバーとなる「Poker Face」からスタート。以降はブリトニー・スピアーズのカバー「Toxic」、そしてビョークの「Hyper-Ballad」と大御所女性海外アーティストたちの楽曲が連打され、それらをこのメンツだからこそ叶うLuv PARADEならではのデカダンなモードで聴かせていく秀逸なスタイルは、おそらく他のどこにもない唯一無二のものだ。
「お待たせしました、Luv PARADEです。今夜もゲストヴォーカリストとして参加させていただいていますが、本当に回を重ねるたびに僕もLuv PARADEの一員としての想いが芽生えているとかいないとか(笑)。(中略)今日は[DEVIL'S PARTY]なので、みんなの中の悪魔的なものをもっと見せてもらいたいなと思ってます。おい、見せてくれよ!じゃあ行こうか!!」(TAKA)
 と、ここでフロアを揺らすことになったのは[DEVIL'S PARTY]の語源になったとも推測出来るD’ESPAIRSRAYの「DEVILS’ PARADE」。〈種族越えて不思議な音を引き連れて〉という歌詞は[DEVIL'S PARTY]の真髄と主旨を表すことにもなっており、この曲についてはもはやこのイベントに不可欠なテーマ曲と考えても良さそうだ。
 なお、前回に引き続いてこの後にはdefspiralではなく前身バンド・the Underneathの「GETTING CLOSER」がラブパver.にて披露されるくだりもあり、ここではかつて全米イベントツアー[Taste of Chaos 2008]を通じD’ESPAIRSRAYとthe Underneathが親交を深めた頃のことをあらためて回想した方も多いのでは?
 最後の曲として選ばれていたアゲ系チューンの「LOVE IS DEAD」も含めて、かなりD’ESPAIRSRAYのようでいてそれでも決してD’ESPAIRSRAYではないLuv PARADEの独自世界は、この場に集った人々をこぞって心酔させたはず。

「アンコールありがとうございます。前回の時は2階の関係者席で盛り上がっていたヤツが約1名いましたけど(注・HIZUMIのこと)、みなさん今回はアンコールでアイツが出てくるんじゃないかと予想していた人もいるんじゃないかと思います。ただ、僕らは今日Luv PARADEとしてここに出ていますし、Luv PARADEのヴォーカルはTAKAさんなのでそこは汲んでいただければと思います。またいつかHIZUMIと一緒にステージに立つ日がやってくる時には、きちんと事前にみなさんにお伝えしますので、その時まで震えて待っててください(笑)」(ZERO)
 この言葉のあとに続けられたのは、意図してLuv PARADEの3人のみで奏でられたD’ESPAIRSRAYの「DEATH POINT」と「MIRROR」の2曲。これらについては観客に対してスマホでの動画撮影が許可されたことを考えても、長い年月を経てもいまだにずっとD’ESPAIRSRAYのことを支持してくれている人たちに向けた、彼らからの真摯なファンサービスであったのではなかろうか。
 とりあえず、来たる12月17日に赤羽ReNY alphaで行われるLuv PARADEとH.U.Gの2マンを今は何よりも心待ちにしていたいが、やがて訪れる2023年には…[DEVIL'S PARTY 2023 Vol.3]が実現することを切に願いたいところ。悪魔的な魅力にあふれた夜は何度あってもいい。

文◎杉江由紀
撮影◎Lestat C&M Project


2022年12月17日(土)Luv PARADE vs H.U.G 公演決定!!

AKABANE ReNY alpha
詳細は後日!!


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