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2025.1.4(土)渋谷公会堂 since2009〜2025 ν[NEU] FINAL LIVE 『エンドロール 〜何よりも大事な君へ〜』【ライブレポート】ν[NEU]、“完全完結”で見つけた終わりの旅の答え。「僕らにとっての“希望”は、みんなです」

ν[NEU]

ν[NEU] の旅が、ついに“ゴール”を迎えた。活動期間5年を経て、過去には一度解散を迎えるも、それぞれの人生を送っている中で解散から5年後にメンバーが再会したことをきっかけに再び動き出してから5年と、実に15年に及ぶ旅路だった。これは、その壮大な物語を締めくくる最後の日の記録。

2025年1月4日、“あの日”と同じ渋谷公会堂という名の会場にて迎えたファイナルライブ『エンドロール 〜何よりも大事な君へ〜』。開演と同時にスクリーンに映し出されたヴィンテージな箱の中には数々の思い出の写真や映像が入っていて、最後は笑顔を浮かべたリアルタイムな4人の写真を収めて閉じられた。「“あの日”、1曲1曲を棺桶に入れるような思いで演奏していた」と、10年前の解散ライブを振り返るたびに語っていたメンバーの言葉がふと頭をよぎったが、先ほどまで見ていた箱は棺桶という寂しいニュアンスのものではなく、未来へ残すためのタイムカプセルか、もしくは宝箱のようなポジティブな意味を成すものに感じられた。

 

 

思いを馳せる映像が流れる最中、静かにメンバーが各々のポジションにセットすると『PLUSE』からライブはスタート。唯一無二を目指してガムシャラに生きた誇れる過去に目を向けるように足並みを揃え、彼らの“原点”である曲から時は“完全完結”の瞬間へのカウントダウンをはじめた。これ以降もセットリストには10年前の解散ライブの流れを汲んでいるところが散見できたものの、ここでν[NEU]が見せたかったものはただ思い出を辿るような懐かしさではなく、この期に及んでもなお進化を続ける姿だった。それは『カレイドスコープ』や『LIMIT』で示した高みを目指す飽くなき精神を示した場面や、抜群なロックテイストで聴かせた『Jumping Lady!』と、いずれもパワーアップしたバンド力を発揮するところに表れていた。

「ν[NEU]ファイナルライブ『エンドロール 〜何よりも大事な君へ〜』、お越しくださりありがとうございます。あけましておめでとう! まさかこの挨拶から始まるとは思いませんでしたが、今日は本当にきてくれてありがとうございます」と挨拶したmitsuは、きてくれたすべての人へ「最後の機会に会えて嬉しい」と伝えながら、ν[NEU]の復活は求めてくれる声があってこそ叶えることができたという感謝も伝えていた。〈最後〉ということを噛みしめるあまりどうしても力が入ってしまうがゆえに漂っていた緊張感を打ち砕いたのは、メンバーの和気藹々とした様子をライブカメラで映しながらハートフルに包んだ『The 25th Century Love』や、『妄想接吻』『LAB』のようにν[NEU]が最も得意とするライブ感。その中でも一際印象的だったのが、バンドサウンドのアタックを格段に強めた『NewWorld』だった。自然と表れる進化した部分と変わらない良さを絶妙なバランスでミックスしている、これが復活以降、過去を凌駕する勢いで築き上げてきた“今”のν[NEU]の姿であり、そこへ挑戦し続けてきた一つの成果でもある。

前日、眠れずに落ち着かなかったというmitsuと同じく、この日を迎えるにあたっての感情は集まった人の数だけあったことだろう。話を振られたЯeIが「今日がいちばん調子がいい」と言ったのにはヒィロも「嬉しい」と話したが、体の不調を訴えながらも一向に病院へ行かないЯeIがこれまでも度々話題に挙がっていたことから、「ν[NEU]完結後、病院に連れてきます! これがリーダーとしての最後の使命です!」と笑いを誘っていたところにも、“いつもの”感覚が蘇ってくるようでもあった。そして、ライブのちょうど中心部、言わば“心臓”部分に位置していたのが、メジャーシーンでリリースした楽曲たち。直前のMCで、「ν[NEU]を体感する最後の時間をかけがえのないものにしよう」と心を一つにしたことを画にするようにメンバーが中央を向き合いながら届けた『RED EMOTION~希望~』をはじめ、ポップな『恋模様』と激情を露わにした『最愛と渇望の日々』で“愛情”を届けると、『APOLLON』では人が生きる上で必要なことを優大に歌い上げていく。そして、しばし暗転を挟んで披露された『ひとりじゃない』。途中、湧き上がる感情を堪えるようにメンバーの方を振り返りながら歌うmitsuにヒィロが微笑みかけたシーンは、いよいよカウントダウンも残り少なくなっていることを実感させた。“絆”を感じさせる“ひとりじゃない”というストレートな言葉の持つ意味が、時を越えてこの先も生きていく上でのエールのような形になるとは、誰が想像できただろう。当時、心や技術が追い付かずに自信を持って届けることができなかったと語られたこれらの楽曲に力を持たせることができたのは、紛れもなくメンバーの成熟したこれまでの人生があってのことだ。

 

 

 

終盤に差し掛かった頃、ヒィロは「ν[NEU]は10年前に完成していて、曲も出し尽くしました。バンドの気持ちも伝え尽くしたんですけどただ一つだけ、“終わり方”がよくなかった。長くやってきたバンドなのに、ファンの子を裏切る形で終わってしまったことが悔しくて、むなしくて、だから僕はガムシャラに他の仕事をしていたんだと思います。でも、解散してから10年かかったんですけど、ちゃんと終われそうです」と、復活に至った胸の内をしっかりと伝えていた。まさしく、ν[NEU]の復活において最もエネルギーとなったのが“後悔を払拭する”ということ。そして、今度こそ“終わり”という事実を納得のいく形で皆と共有することだった。その心構えを十分に整えて臨んだラストスパートにはν[NEU]のライブにおいてクライマックスを作り上げる楽曲が用意されていた。〇・×をサインして一体感を持って楽しめる『YES≒NO』ではゼロヒャクで活動してきた信念が引き立ち、“楽しいが一番であるべき”といわんばかりの『cube』『in my secret...』。極めつけと言わんばかりに畳みかけたキラーチューン『ピンクマーブル』でダンスフロアと化する会場は“これぞν[NEU]が作り出した伝説”というべきものだったが、「みんなの気持ちが形になって見えるような曲」と表したmitsuもまた、曲中に何度も「ありがとう!」という言葉を交えるドラマチックな形を作り上げていた。

「生まれ変わってもまた、ν[NEU]やろう。そのときまた俺、リーダーやるから。そう思えば寂しくないよ。また会えるから、大丈夫」というヒィロの言葉が、最後の瞬間を迎える覚悟を与えくれたように思う。そしてmitsuの「そろそろ行くわ」の一言に、その背中を見届けるときが、ついにきたのだと感じた。「一生懸命歌います、みんなの心にずっと残るように」と突入したのは、『エンドロール』。曲調やここに綴られた言葉が力強いものであるように、ν[NEU]が描き出す“エンドロール”には、いかにもお涙頂戴な演出などない。そこにν[NEU]というバンドの持つ強さを感じながら、“もっと一緒にいられるよう解けない魔法で願いを叶えて”と何度も繰り返したシンガロングを通してメンバーとν[NEU]フリーク(ファン)が心を一つにする景色が絶景であればあるほどこみあげるものがあった。しかし、この“終わり”に向かう実感こそ、完全完結に必要なものだったのだ。「俺たちの“希望”はみんなです。気づけてよかった、本当にありがとうございました――これから俺らも、みんなもきっと、大丈夫です」と、『everlasting light』でウイニングランを全員で踏みしめるように一歩ずつ進んでいく。この日用意された楽曲を「僕らν[NEU]というものを見せるための曲」と話していた通り、『everlasting light』こそ、“何よりも大事な君へ”刻み込むべきメッセージであり、ν[NEU]が現在に見つけた生きざまでもあった。

 

 

アンコールに応えてメンバーが登場すると、1人ひとり言葉を残していった。

「最後まで楽しかったです。解散のはずなんですけど楽しかったな、それくらい色濃い時間でしたね。この光景を目に焼き付けてこれからの人生、元気で生きます。皆さんも、元気で! 泣かなかった~、ごめんなさい(笑)。本当に、泣くよりも楽しい方が強かったので。お互い元気に生きて行きましょう、バイバイキン!」(タクミ / Gt)

「今、タクミの言った“楽しかった”がすべてなんですよね。過去を大切に思ったり、今を大切に思ったりしてるから復活って当たり前に賛否両論あったと思うんです。自分も個人的には否定的な人間だったから、簡単に賛同なんてできないと思ってたんですけど、彼らとたくさん旅をしていて、少しずつ普通のお兄さん?おじさん?(笑)からν[NEU]になっていって、気づけば毎回ライブがかっこよくなっていって。この復活劇は、相当上等なものになったと思います。だって、泣いたり笑ったりっていう空間をちゃんと今も作れてるから。それは、崇高なものだと思う」(夢時 / サポートGt)

「〈復活してよかった〉としか言えないですね。みんな、ありがとう。生きていればまたみんなで集まれるかもしれないしね。……病院、行きます(笑)」(ЯeI / Dr)

「不思議と寂しくもないし、悲しくもない。僕らにとっての“希望”は、みんなです。僕にとっての“希望”も見つかりました。僕は、“希望”を探したくてヴィジュアル系バンドマンを目指しました。そして、“希望”を見つけられたから、今日で終われます。僕にとっての“希望”は、ν[NEU]でした。本当に、どうもありがとうございました」(ヒィロ / Ba)

「タクミがどこかで言ってたけど、ボーナスタイムみたいな、もう二度とないような時間をもう一度味わわせてもらった気分です。もう一度愛してもらうことは簡単じゃないと思いながらも、本当に楽しいと思える時間を過ごさせてもらいました、ありがとうございました。まあ、死ぬわけじゃないんで。俺も歌っていくし、みんな各々生きていくから、たまには顔出して〈元気だよ〉って言ってあげてください。一方通行じゃないよ、お互い思いあってると思うよ。泣いたり笑ったり、いい時間をありがとうございました」(mitsu)

「泣いて悲しい終わり方だけは嫌だったんで、何の曲がいいかな?と思って、1曲選びました」と、正真正銘のエンディングを飾ったのは、「明日からも頑張って生きてこうな!」とmitsuが会場中に笑顔で語り掛けながら歌った『スプラッシュ!』だった。メンバーチェンジ前の、初期のν[NEU]から演奏し続けてきた楽曲ということにも触れていたが、この曲を通してこれまで繋げてきたすべてのν[NEU]という歴史に終止符を打つことができたようにも思う。演奏中、10年前の解散ライブでは泣けなかったと話していたヒィロが涙を流せていたこと、そこへタクミが思いかけず駆け寄っていたのを目の当たりにして、思わず「ああ、これで終われる」とふと心の中でつぶやいたのだった。こうして、ν[NEU]はしっかりと“完全完結”という目的と“希望”を伝えるという使命を全うし、ゴールテープを切ったのである。

ν[NEU]が旅を続けていた目的は、《希望を探すこと》だった。その答えを探す旅の終着地点で、ν[NEU]は人々の心の中で永遠となることができた。mitsuの言葉を借りるならば、「形がなくなっても、消えてないよ。思いだすたびにそこに存在してる」ということ。この日からν[NEU]という生命体は、彼らに出会った人々の心の中で未来永劫生き続けていく新たな旅に出たのかもしれない。それぞれの人生の中で《永遠》となったν[NEU]へ〈Bon Voyage〉――これからのそれぞれの人生が、よき旅になりますように。

Photo◎菅沼剛弘

Report◎平井綾子


[セットリスト]

01.PULSE

02.カレイドスコープ

03.LIMIT

04.Jumping Lady!

05.The 25th Century Love

06.妄想接吻

07.LAB

08.NewWorld

09.RED EMOTION ~希望~

10.恋模様

11.最愛と渇望の日々

12.APOLLON

13.ひとりじゃない

14.YES≒NO

15.cube

16.in my secret...

17.ピンクマーブル

18.エンドロール

19.everlasting light

en.スプラッシュ!


【ν[NEU] OFFICIAL】

◆Official Site  https://neu-official.com/

◆Official X  https://twitter.com/neu_official