鬼ヶ島 × 浅葱 ツーマンライブ「桃鬼伝来物語」ライブレポート
2025年6月8日、東京・池袋EDGEにて、浅葱と鬼ヶ島によるツーマンライブ「桃鬼伝来物語」が開催された。即日完売の会場は、開演前から異様な熱気に包まれ、満員の観客がその瞬間を待ちわびた。桃太郎をテーマにした浅葱と、鬼をモチーフにした鬼ヶ島のボーカル・こう鬼が織りなす、和とロックの融合は、唯一無二の音楽体験を創出する。
箏の音色で幕が開き、「桃鬼伝来物語へよくぞ参った!」と浅葱の一声でステージが始まった。幟や鬼の面を用いた荘厳な演出と、扇子が作り出す影絵のような視覚効果が、会場を戦国絵巻さながらの幻想空間に変えた。浅葱(Vo.浅葱、Gu.you、Gu.ギル、Ba.亜季、Dr.HIROKI)のセットリストには「桃太郎伝記~我武者羅」や「鬼火」が並び、浅葱の妖艶かつ力強いボーカルと、重厚な和ロックが桃太郎の勇敢さを体現。感動を誘う「アサギマダラ」の切ない旋律と魂の歌声は、情感豊かな表現力で聴衆の心を捉えた。特別に、5月リリースの「GORE」を披露。浅葱は鎖を用いた大胆なパフォーマンスで観客を魅了し、会場は最高潮の盛り上がりを見せた。

続いて登場した鬼ヶ島(Vo.こう鬼、Gu.威吹、Gu.YOSHIHIRO、Ba.SHUSE、Dr.志雄、Key.藤原泰斗)は、鬼ヶ島をテーマにしつつポップなサウンドで会場を圧倒。こう鬼の迸る歌声と、緻密かつ力強い演奏が織りなす音の厚みと推進力は、観客を一瞬にして熱狂の渦へと引き込んだ。特に「恋囃子は宵に舞い散る」は、和の情緒溢れるメロディとこう鬼の切なくも力強いボーカルが融合し、まるで宵闇に舞う花びらのような儚さと美しさを表現。観客は、その情感豊かな世界観に引き込まれ、会場に静かな感動が広がった。一方、「それもいつか終わること」では、哀愁漂う歌詞が心を掴み、鬼ヶ島のエモーショナルな一面を際立たせた。こう鬼の想いを込めた歌唱と、バンドのダイナミックな演奏が織りなすコントラストが、フロアを熱狂と余韻の両方で満たした。

MCでは、元レーベルメイトの浅葱と幸樹(こう鬼)の先輩・後輩らしい軽妙なやりとりが披露された。浅葱が「鬼ヶ島は善鬼か悪鬼か見極めに来たが良い鬼だった!」といった場面は、両者の親密さとライブの温かみを際立たせた。
アンコールのツインボーカルセッションは、この夜の白眉だった。浅葱の「桃太郎伝記~我武者羅」と鬼ヶ島の「反抗声明」が披露され、両者の声が織りなすハーモニーと対比が、対バンのテーマを鮮やかに体現。特に「桃太郎伝記~我武者羅」では、浅葱が巨大なおにぎりを手に登場するユーモラスな演出が、和の厳かさと調和し、ライブの多面性を印象づけた。このサプライズは、浅葱の遊び心と観客への親しみを象徴する瞬間だった。

こう鬼が「東名阪でもやりたい!」と話すと、次なる展開への期待が高まった。「桃鬼伝来物語」は、浅葱(you、ギル、亜季、HIROKI)と鬼ヶ島(こう鬼、威吹、YOSHIHIRO、SHUSE、志雄、藤原泰斗)の個性が火花を散らし、互いを高め合う稀有な一夜となった。和とロック、桃太郎と鬼が交錯し、音楽の力で新たな物語を紡いだこの公演は、観る者の記憶に深く刻まれるだろう。
浅葱セットリスト
20250608
浅葱セットリスト
1.桃太郎伝記 ~我武者羅~
2.桃太郎伝記 ~鬼火~
3.桃太郎伝記 ~祝詞呪~
4.月界の御子
5.物の怪草子
6.隠桜
7.狐華火
8.鬼眼羅
9.アサギマダラ
10.GORE
20250608
鬼ヶ島セットリスト
1 OI
2 恋囃子は宵に舞い散る
3 あさきゆめみ史
4 とおりゃんせ
5 月光遊戯
6 わたしばっか
7 君に見せたかった景色があるとしたなら
8 一世風靡ファクト
9 祭祭られRPG
10 飛翔ブロッサム
11 それもいつか終わること