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el:cid インタビュー「螺旋の先へ、音の新時代へ。el:cidが放つ『ReGenesis』。」

「古くて新しい音楽」——再生と復活がテーマの2ndアルバム『ReGenesis』が完成

懐かしさの中に新しさを宿す──そんな感覚で制作されたel:cidの2ndアルバム『ReGenesis』が、8月8日にHAUNTED HOUSEよりCDリリースされる。全15曲というボリュームに加え、HAUNTED HOUSE BASE SHOPで予約購入した方には、5曲入りの特典音源『Metamorphosis』がダウンロードで付いてくるという。
本作の魅力について、バンドを代表してヴォーカルのShigetaに話を聞いた。


──今回のアルバム『ReGenesis』にはすべての曲に“○○mix”というタイトルが付けられています。これはリミックス集という位置づけでしょうか?

Shigeta:過去曲のリミックスも含まれていますが、新曲も同じくらい収録しています。あえて新曲にも“mix”と付けたのは、その曲が示すスタイルを統一したくて。タイトルの一部として受け止めてもらえたらと思っています。

──作品全体としてどのような狙いがあったのでしょうか。

Shigeta:僕らは長く活動してきて、好きなスタイルも自然と絞られてきました。ただ、時には「昔の曲のほうが良かったな」と思うこともある。でもそれは、懐かしさではなく“本質”に惹かれていたからなんですよね。
ドイツの哲学者・ヘーゲルが言った「螺旋的発展」という言葉がありますが、el:cidの楽曲もまさにそのイメージ。上から見たら同じ場所をぐるぐる回っているようでも、横から見ると少しずつ高みに上がっている。過去の曲も再構築して、価値を加えることで新たな作品として生まれ変わるんです。

──エレクトロと生音のバランスも絶妙ですね。

Shigeta:今は打ち込みを使うのが当たり前の時代。その中で、アレンジの工夫こそが個性になる。Adoのようなアーティストも、既存のフォーマットに新しい解釈を加えることで音楽をアップデートしている。el:cidも、過去や流行に縛られない音楽性を追求しながら、今の耳に馴染む音に仕上げています。たとえるなら「ゴジラ」が「シン・ゴジラ」になったような感覚かもしれません。

──“mix”という統一されたタイトルがあることで、楽曲の本質がより際立っているように感じました。

Shigeta:そう感じてもらえたらうれしいですね。本来は新曲にまで“mix”を付ける必要はなかったんですが、あえてそうしたのも今回の特徴。メロウでフワッとした曲も多くて、たとえば『love me do (dream pop mix)』なんかは、今の気分を象徴していると思います。

──そういった「今の気分」って、どういうものでしょう?

Shigeta:もともとシューゲイザーのような浮遊感のある音が好きなんですが、ただ歪ませるだけでは出尽くした感がある。だからこそ新しい解釈で、より現代的に表現しています。共通しているのは、「古いけど新しい」という感覚ですね。

──90年代のUKギターロック、ニューウェイブやゴシックなど、多様なジャンルが感じられます。

Shigeta:その時代に、自分たちも時代性に呼応しながら曲を作っていた。その影響が今も残っているんでしょうね。最近の音楽も聴きますし、HIP HOPも耳に入る。でも自分がラップをやるかといえば、それは自然に溶け込まない。自分たちらしさを大事にしたいので、得意な表現を突き詰める方がいいというのが今のel:cidのスタンスです。

──新曲とリミックスの境が分かりにくいのも、本質がぶれていないからこそでしょうか。

Shigeta:そう思います。たとえば公衆電話と携帯電話、形は変わっても「電話する」という本質は変わらない。el:cidの楽曲も、時代に合わせて表現は変わっていっても、根底にあるものは変わっていないんです。

──特典音源『Metamorphosis』にも、独特な魅力を感じました。

Shigeta:本編とは少しカラーが異なるけれど、el:cidの枠の中にはある曲たち。スピンオフのような位置づけで、アルバムを予約してくれた方に楽しんでもらいたくて制作しました。

──今作では“振り幅”も印象的でした。

Shigeta:ファン層はミドルエイジが多いと思いますが、幅広い世代に聴いてほしい。そのためにも、さまざまな音楽性を散りばめています。ただ、どんなジャンルであれ、メロディーを生かすという点だけはブレていません。フォークソングが好きな自分としては、少し懐かしさのある旋律を作りたがる傾向もありますね。

──おすすめ曲を挙げるとしたら?

Shigeta:そうですね、まずは『new age (war mix)』。ラウド寄りだけど歌モノとしてのバランスも大切にしました。『piledriver (loud mix)』も攻めた楽曲ですが、キャッチーさは残してあります。『cyber doll (80's mix)』は、高校時代に作った曲で、当時の理想にようやく追いつけたという感覚があります。原点回帰しつつ、付加価値をつけた形での完成ですね。

──そうした楽曲は“出世魚”的な進化を遂げた曲たちだとも言えそうです。

Shigeta:まさにそう。曲が成長するたびに名前を変えていくような感覚。『cyber doll』も90年代の空気感を残しつつ、さらに針を巻き戻して新しい表現にたどり着けました。本作全体が、そうした再構築と進化をテーマにしています。

──かなりのボリュームですが、その意図は?

Shigeta:うちは頻繁にリリースをしていないからこそ、詰め込めるだけ詰め込んだ感はあります。今はライブをやらない分、音源制作にすべてを注いでいます。ライブの再現性に縛られず、理想の音を突き詰められる今だからこそ作れた1枚ですね。

──まさに“ReGenesis(新たな創世)”というタイトル通りの作品ですね。

Shigeta:その通りだと思います。過去の空気感と現代の感覚、どちらも感じられる作品。懐かしさの中に、どこまで“リアル”があるか。それを大事にしました。

──最後に、この作品がShigetaさんにとってどんな1枚になったか、教えてください。

Shigeta:古いものに付加価値を加えて新しくしていく。その中に“再生”や“復活”というテーマが根底にある。懐かしさと新しさが共存する作品に仕上がったと思っています。

TEXT:長澤智典


el:cid / ReGenesis

品番 : HH-041

価格 : \3,300[TAX IN]

JAN : 4589792580977

発売日 : 2025.8.8(FRI) ON SALE


[紹介文]

el:cidのセカンドアルバム『ReGenesis』は、「進化」と「再生」をテーマに、90年代の未発表曲と新曲を再構築。

インダストリアルやシティポップなど多彩な要素を融合し、独自の世界観を描き出す。

el:cidの音楽的探求の深化と、新たなサウンドスケープへの挑戦が凝縮されている。


[収録曲]

01.blue sky blue(blue ocean mix)

02.depth interview(singularity mix)

03.シルエット(angel mix)

04.new age(war mix)

05.piledriver(loud mix)

06.muder game(Government deception mix)

07.lasting chase of love (retro future mix)

08.time after time(heaven mix)

09.love me do(dream pop mix)

10.この声よ届け(night mix)

11.no longer human(Earth mix)

12.cyber doll(80's mix)

13.窓辺に咲く花(metropolis mix)

14.芸術の都(memento mori mix)

15.退屈な世界(trap mix)
 

[予約サイト]

https://hauntedhouse.base.shop/


[HAUNTED HOUSE BASE SHOP通販特典 : ご購入の方にデータにて送信]

“Metamorphosis”

assemblage(drum’n bass mix) / crying limit(jazz mix) / In my eyes(Acoustic mix) / never free(rescue mix) / this is common(rerecording)


X

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official site

https://elcid-japan.com/