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Dacco20周年記念スーパー・ウルトラ・グレート・デリシャス・ワンダフル・ミラクル・ワンマンコンサート 『Daccoは続くよどこまでも…』 (2025.7.5 ニッショーホール)コンサートレポート

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Dacco

当たり前のことをやっていたら20年経っていた


 2005年7月に結成した、LidaとYURAサマによるエンターテインメントユニットのDaccoが、この夏に20周年を迎えた。

 結成初期はアコースティックを中心とした弾き語りスタイルがメインだったが、Daccoらダンサーズというバックダンサーが加わることになると、楽器を使わず打ち込みで独特の振り付けでの歌唱が中心になっていく。2013年にYURAサマがAFAA(現JWI)認定のエァロビクスインストラクターのライセンスを取得してからは、振り付けというより運動と言った方がふさわしいほどハードな動きになっていった。

 そうやって進化と変貌を遂げてきたDaccoだが、本人曰く「好きなこと、自分たちが楽しいと思うものをやっているだけ」で、そのマイペースで自由なところは今もずっと変わっていない。楽しいを追求していたら20年経っていた……というのが本音なのだろう。もしかしたら本人たちが一番驚いているのかもしれない。

 そんなふうにして過ごしてきた20年を全国のファンと一緒に祝うべく、2024年11月から『そうだ47都道府県、行こう」』と銘打って20周年記念47都道府県イベントツアーをスタートさせた。そして、その大千秋楽となるコンサート『Daccoは続くよどこまでも…』がニッショーホールにて開催されたのである。

 

 

 

 [この物語が20年続くとは誰が想像しただろう]という文字がスクリーンに映し出され、いつものSEの中、2人はめでたい感満載のキラッキラのシルバー&ゴールドタキシードで登場。そして挨拶代わりとも言える『どうぞよろしく』でアニバーサリーコンサートをスタートさせた。Dacco初のホールコンサートということもあって、いつもより広いステージに戸惑いを見せてはいたが、途中からノリさん(高橋のりひこ)・わっしょい後藤(後藤雄太)・にぎりめし男(十見健人)の3人のダンサーズが入ると、2人は安堵の表情になる。改めて自己紹介をし、20周年の節目+初のホールではあるが、「気持ちはいつも通り」と話して『Fall in LOVE in the Spring』へ。YURAサマはウォーミングアップと言ったが、実はそんなに軽くないエクササイズが盛り込まれている曲。それでも客席とのコール&レスポンスをはしゃぐように2人が楽しんでいるので、本当にウォーミングアップにしか見えない。そしてもう次の『Fall in LOVE in the Winter』で、運動量が一気にハードになった。Lidaの自由な煽りにつられて、観客の熱量もどんどん上がっていく。『FLY』では、イントロで2人が体を45~50度ほど倒しダンサーズに体を預けるパフォーマンスがあるのだが、傾きが大きくなってしまいダンサーズが支えきれなくなって2人とも崩れ落ちるハプニングが。リハーサルでは一度も失敗しなかったそうだが、それによって出だしから笑いが巻き起こり、ちょっとクールな印象のある曲がDaccoらしいコミカルな空気をまとっていく。フィギュアスケートのペア競技のように、手を広げた2人がダンサーズによって高くリフトされると、さらに笑いと歓喜の声が強まった。水分補給と軽いトークを挟んで、それまでの雰囲気を変える、観客を巻き込んでのステージングが特徴のミディアムナンバー『さぁ行け!サイケデリック』へ。47都道府県ツアーは2人で舞台に立っていて、ダンサーズのいる5人でのコンサートが久しぶりということもあってか、全員での位置移動が多い『掌~たなごころ~』では、立ち位置や距離感が不確かで少しあたふたするシーンも。曲のエンディングの歌詞〈見つめよう〉をリフレインする2人は、終わり時を見失い延々と続けることに苦笑い。直後のMCでYURAサマが「今日、ライヴレポート入っているんですけど、コレどう書かれるんやろう(笑)? “見つめようを何回言ったでしょう?”とか書かれるんかな(笑)?」と言ったので、リクエスト通りに(笑)! でも、何回言ったかは数えていないので……。さて、これまでのDaccoのコンサートに出演してきたDaccoらダンサーズ。毎回メンバーが違うこと、舞台俳優や芸人などで構成されており、ダンスを本職としている者がいないことも長年のファンなら承知のこと。そんなダンサーズのお芝居をメインにした曲に……ということで作られた『初恋のヒト』で、コンサートは折り返し地点に近づく。メインダンサーズ3人に、かとうさん(加藤学)と四次元(羽根光祐)が加わって、幼少期の淡く切ない初恋ストーリーの歌詞にそってお芝居が繰り広げられ、LidaとYURAサマは舞台袖で歌いながらそれを温かく見守った。そして夏にふさわしい『だっこ音頭』になると、ダンサーズの洋輔山(柳下洋輔)と岩井ロビン(岩井祐樹)が追加投入され、にぎやかな盆踊り会場と化してゆく。お祭りムードそのままに疾走感溢れる『フラッシュ!クラッシュ!』に入ると、PALO(大川原歩)とアイザー(芹沢あい)でダンサーズ増員。曲の間奏には“ダンサーズで一番売れた芸人”という紹介でアキラ氏(アキラ100%)が登場するも、その時だけ照明が落とされて、暗い中にそれらしい人影とシルバーのお盆がうっすら見えるという演出ですぐにステージから消えてしまった。配信もおこなっていた為の措置だったのだろうが、明るくなった舞台の中央にいたのは、アキラ氏のトレードマークであるお盆を持ったババ・クー(馬場けいた)だった。歴代のダンサーズに囲まれたLidaとYURAサマは、嬉しさと楽しさで子供のような笑顔を見せる。MCでそのお祭りモードを一旦リセットし、「振り付けの難しい曲は、踊らなくてもニコニコしてくれていればいい」とYURAサマが促して、振り付けの難しい『Enjoy!』へ。間奏には、20周年を意味する“2”と“0”を指で作り、客席へ2人が降りていき、ファンの祝福を間近で味わった。続く『スーパー・ウルトラ・グレート・デリシャス・ワンダフル・ミラクル・TOUGH!』もDacco史上一番激しいと言われる振り付け……というより難しいではなくものすごくハードなエクササイズ曲で、観客も必死になって体を動かし汗を流す。エアロビクスをメインにしたコンサート、通称“エアコン”で筆者も一緒に踊った経験があるが、1コーラスが終わらないうち息切れをした。それをLidaは伸びやかな安定した声で歌い続け、YURAサマにいたっては動きの説明をきちんと盛り込み、さすがインストラクターという姿を見せつけた。ダウンタイムになるような『Eternal Dreamer』は、会場にいた小さな子供たちが一緒に踊って手拍子ができるくらい優しく、微笑ましい光景が広がる。本編最後のMCではこの20年を少し振り返りつつ、「20年応援してくれている人も(コンサート参加が)2回の人も関係ない。Daccoを知ってもらえただけでいい」(Lida)、「今日は“楽しかった”で帰ってもらえたらいい」(YURAサマ)と話す。ただDaccoを続けてこられたこと、それを楽しんでくれただけで幸せだという気持ちがストレートに伝わってきた。これからの自分たちを奮い立たせるような『チャレンジャー』、そしてラストは歴代ダンサーズ全員+LidaがYURAサマの為にサプライズとして呼んだ福助。(ADAPTER。/メトロノーム/THE BEETHOVEN)も登場しての豪華な『エキセントリック』で2人が再び客席に降り会場を一体化させ、Lidaの「Daccoはもう21年目に入ってるぜー!!」という叫びの中、大円団となった。

 

 アンコールは、9月27日にニューデジタルシングル『CooL』のリリースと、10月からワンマンコンサートツアー開始、愛知・大阪・兵庫・福岡・東京の5公演(詳細はDacco_officialのX)+αという日程発表の嬉しい映像から始まる。告知が終わると、20周年Tシャツに着替えた2人が再登場しメインダンサーズを呼び込みながら『ダッコール』。曲の最後の音が途切れてしまいビックリする2人だが、オケなしで自らの口でメロディを補い見事にやりきった。そして先ほど発表になったばかりのツアーの+αを、この場でしかもルーレットで決めるという斬新な試みに2人はとてもワクワクしながら挑み、5ヶ所を除いた42府県が書かれた大きなルーレットを交互に回して、長野・宮城・静岡の3ヶ所が決定する。そんな遊び心いっぱいのMCでファンと楽しんだ後は、『フレッシュ&エナジー』へ。イントロでLidaが即興でダンサーズとYURAサマを使って“20”の人文字を作る。相変わらず自由でのほほんとした時間を作るところがなんともDaccoらしい。Lidaが次の曲の為にアコースティックギターを準備している間に、「20年やれたこともすごいけど、20年楽しかったのがすごい。バンド(Psycho le Cému)も一緒にやっているけどバンドとも少し違う。長くやろうと思っていなかったけど、当たり前のことをやっていたら20年経っていた」とYURAサマが真面目にこの20年という月日への想いを語った。直後にLidaは何も語らず弾き語りで『心からうたを』を披露。2コーラス目に入る時にYURAサマが歌に参加しようとするが、それを撥ね除けて続けた。YURAサマがキョトンとしているところへLidaが間奏で「僕はDaccoで何もできない。YURAサマが舞台を用意してくれて、そこで僕は好きにやらせてもらっているだけ。だからこの20年の一番の功労者はYURAサマです」とメッセージをギターの音に乗せて届けた。それは直前のYURAサマの、直接ではないけれど言葉の裏に隠されていた「一緒にDaccoを続けてくれてありがとう」という感謝の想いに対する、Lidaなりのお礼なのだろう(後で聞いたが、この曲はLidaのサプライズ第二弾だったそうだ)。最後は、Daccoの始まりの歌『コイガオカ』。LidaのギターとYURAサマのタンバリン、そして2人のハーモニーが、20年前の初々しい姿を思い出させる。[20年、隣でいつも笑わせてくれてありがとう]とYURAサマが歌詞の一部を変えて歌った。こちらもまた、Lidaの弾き語りサプライズに対するYURAサマのお返しなのだなと思うと同時に、この先もDaccoは変わらず続いて、気づいたら30周年、さらにその先のコンサートをやるんだろうなという確信に限りなく近い未来予想図が見えた。

 

 

 結成当初はヴィジュアル系ユニットとも言われたDaccoだが、アコースティックから始まったものの、エクササイズをメインにした“エアコン”だけでなく、ダンサーズとのコミカルかつ涙を誘うようなお芝居をメインにしたドラマコンサート“ドラコン”、さらには子供と一緒に家族(親子)で楽しめるファミリーコンサート“ファミコン”といったように、とにかく様々なことにチャレンジしてその概念を崩してきた。そして音頭や体操、幼児向けの覚え歌にまで幅広く展開していく。時にはコンサートだけでなくディナーショー(ランチショー)などでも、Lidaはハードなギターを、YURAサマはダイナミックなドラムを歌なしで聴かせ、Daccoのほっこりしたイメージとは真逆のプレイで魅了することもあった。Daccoのモットーでもある“好きなこと、楽しいと思うことをやる”が、きっとこの先も多くの人たちを笑顔にしてくれるに違いない。


(文:袖山綾子)


Dacco20周年記念コンサート「Daccoは続くよどこまでも…」

アーカイブ発売中(7/13まで)¥2,500


『CooL』 09/27(SAT) DIGITAL SINGLE RELEASE!


 ワンマンコンサートツアー「CooL」

10/07(TUE)名古屋UNLIMITS OSU

10/08(WED)大阪Rumio 

0/09(THU)姫路Beta

10/10(FRI)福岡DRUM SON 

0/18(SAT)初台DOOR'S

+α(公正なるルーレットの結果、長野,静岡,宮城に行く事が決まってます) 詳細近日発表!


Dacco公式HP

https://dacco.life