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Chanty 13th Anniversary『Chantyの世界へようこそ』 2026.09.18 五反田BLAZE ライブレポート!

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Chanty

2026年9月18日。

4月29日の芥(Vo.)の生誕からスタートし、各メンバーの地元を含めて北海道から沖縄まで全国11ヶ所をまわったワンマンツアー『深々呼吸』のファイナルであり、バンドの13周年記念公演でもあるこの日。

公演に先駆けてサブスクリプション先行配信が開始されたミニアルバム『深々呼吸』と共に辿り着いたのは、まだ立った経験のないライヴハウス・五反田BLAZE。天井の高い空間に響く彼らの音楽はきっと格別だろうな、と期待が募る。

定刻、『piano#6』の繊細な音色が流れ、様々なテクスチャーの白い生地を組み合わせた新衣装に纏った野中 拓(Ba.)・shota(Dr.)・白(Gu.)が順に姿を現す。

最後に、今日という日に辿り着いたことを確かめるように一歩一歩を踏みしめて芥がマイクスタンドの前に立ち、繰り返す深い呼吸音から「深々呼吸。」と口にすると、4人の呼吸が重なり『唯一輪』でライヴは幕を開けた。

“捨てたくない記憶は飾ったままで 今日をまたはじめよう”

ミニアルバムでもオープニングを飾る大切な楽曲で、内なる炎を丁寧に灯していく。

芥はXに「僕らはいつだって唯一輪。誰かと出会って花束になるのだ。」と記していたが、芥・白・野中 拓・shotaが集まってできたChantyという花束にオーディエンスが重なり、さらに大きな花束が形作られていく。

芥が衣装の裾をふわりと揺らしてターンすると、『奏色』のイントロがその花束を光で照らし出す。

「『深々呼吸』ツアーファイナル、Chanty13周年。五反田BLAZE、最後までよろしく。さぁ、居場所を教えてくれ!」

色とりどりの光に満ちた音色に合わせ、“私はここだ”と伝えるように大きく手を振るオーディエンス。その1人1人を確認しながら、優しい笑顔でフロアを見渡すメンバーたち。

「探して探して、今日2026年9月18日。ここまで、辿り着けました。」ステージを指差しながら言い、“やっと会えたね そう空は飛べないけどずっとずっとそばで笑っていて”と歌う。

4人が今一度息を合わせ、「せーの!」の掛け声に合わせてエンディングを迎えると、間髪入れずに『犬小屋より愛をこめて』へ。

「さあ、五反田BLAZE!早速、おまえたちのその腹の中にあるもの、全部ここでぶつけてくれよ!いけるだろ、五反田!かかってこいよ!」

フロント3人がお立ち台へと駆け上がり、shotaも身を乗り出すようにしてフロアを見つめながらリズムを刻むと、一斉に拳が突き上がる。

「on drums、shota!on bass、野中 拓!on guitar、白!on vocal、芥!そして、五反田BLAZEに集まった“おまえたち”で作るぞ!」

あっという間に熱を帯びていく空間、続く『無限ループ』でイントロから白と野中が気合い漲る煽りを聞かせ、“おまえたち”もジャンプしながら声を上げてさらに急スピードでアクセルを踏み込んでいく。

芥が「足りないな。預けてくれよ!」と胸を差して叫べば、白が突き抜けた音色のギターを響かせる。早くもお立ち台とステージ際の僅かな隙間に下りる野中と、一面にまわるタオルを見て笑顔を浮かべるshota。

「BLAZE!聞こえてますか?見えてますか?改めまして、13周年記念公演。Chantyの世界へ、ようこそ!」

大歓声に迎えられ、最初のMCへ。

「やってまいりました、『深々呼吸』ツアーファイナル。そして、13周年記念公演。初めてのライヴハウスに周年をあてて、お互いの初めてを奪い合う。そんな愛すべき日になれば、と思っています。こう言うと語弊を生むかもしれませんが、なぜ縁もゆかりもないこのライヴハウスを周年に選ばせて頂いたか。長く続けていると、どんどん当たり前になっていってしまうもの・・・そういうものに対して、“歩いていく先には、常に新しいものがたくさんあるよ。”という気持ちを込めました。この会場に初めて来たあなたにとっては忘れられない1日にしますし、来たことがあるあなたにとっては『このライヴハウスで観たライヴの中で、Chantyの13周年が最高だった』と思ってもらえる、そんな1日にしたいと思っております。」と想いの丈を伝え、「さぁ、五反田。まだ始まったばかりですが、準備はいかがでしょうか?」と問い掛ける。

「眠れない夜があっても、朝までおまえと居てやるからさ!踊り明かそうぜ、『USHIMITSU DANCE』!」

勢いよくタイトルコールして再び音の洪水になだれこめば、フロアは一斉に左右にモッシュで大きく動く。

shotaのリズミカルなドラミングが冴え渡り、白のクレイジーなギターソロから野中のグルーヴィーなベースソロへと、それぞれの見せ場もたっぷりなダンサブルな新曲に否がおうにもテンションは急上昇。

掻き鳴らされるギターに乗せて「さぁ、まだまだでっかい声ここまでぶつけて欲しいんですよ。お相手頂けますか?」と続けざまに『ねえ。』を畳みかけ、お望み通りの“でっかい声”と拳が返されると「届いてます!でも、もっと!」と貪欲に求めてみせた。

「求めていいかもなんだ。夜は長いぞ、五反田。そう、こんな夜はきっと、あなたのことを思って、夜中の夜中まで・・・『魔がさした』。」

重々しく鳴らされたシンバルと地を這うようなベースの重低音が空気を一変し、妖しく焦燥感漂うギターが迫ると、徐々に狂気が浸食していく。

「ただ求めたくて、奪って欲しくて、奪いたくて、ここに来たんだろ、五反田。」「夜明けなんてこなくていいよな。」「そうだ、眠らせないよ。」

お立ち台に座り込んで、うわごとのように口にする芥。捕らえた獲物を見つめるように、ベースを立ててネックを凝視しながら演奏する野中。ギターを掲げ、大きく身を反らせてソロを弾き倒す白。じわじわと追い詰めていくようなドラムを聴かせるshota。フロアは一斉に折り畳み、混沌とした様相を呈していく。

アコースティックギターを抱えた芥がアカペラで「世界は僕に、興味がないから・・・」と歌ったアウトロは、「9月16日、真夜中。そう、世界は僕に興味が無かったんだ。」と呟いて『誰』へと繋がった。

まるで世界にただ1人取り残されたかのような感覚に陥り、どんどん深い場所へと引きずり込まれて、知らず知らずのうちに呼吸が浅くなる。何度も“誰。。誰。。誰。。”と繰り返し、「そんな君を、僕は・・・」と今度は『貴方だけを壊して飾ってみたい』を弾き語り始める。

“いつも僕だけにむけて笑って 僕だけに涙流して ずっと見てるから”・・・くるりと身体を翻してshotaの一打と共にバンドインすると、真っ赤な光の中、加速していく激情を圧倒的なサウンドと歌声で突き刺していく。

「置いていかないでよ、この夜の奥底に・・・君と一緒にいられないなら、今日はもう、『おやすみ』。」

深い深い水底を浮遊するような楽器陣のサウンドが、先ほどまでの狂気の赤を深淵の青へと塗り替えていった。

「9月16日、1人だった。世界は、どこか違うほうを向いていた。夜が明けても、そわそわしててさぁ・・・“なぜ、ライヴが無いんだ?”って、そんなことを思ってた。眠るのも怖くて、起きるのも怖くて。そんな9月16日の亡霊を今日、殺しにきました。」

例年は結成日に開催されている周年公演、2日後の18日に開催というイレギュラーな形となった今年の9月16日に芥が感じていたことが、とつとつと語られていく。

「この13年、当たり前みたいに、9月16日は主人公になれると思ってた。今日という日があるのに、どこか不安になって。会えるのかどうかもわからない、保証もないこの時間軸を通過することで精一杯だったんだ。だからこそ、改めて思うよ。Chantyという世界、唯一無二のこの世界を、一緒に作ってくれてどうもありがとうございます。」

ここまでの言葉を聞いて、先ほどの『魔がさした』から『おやすみ』までのブロックは9月16日の芥の心境を表現したセットリストだったのだろうと感じた。

「この曲の歌詞を書いた時以上に、“この歌を今日、一緒に作り上げたら最高だろうな”なんて思いながらここに来ました。どうか、どうか・・・二度とない2026年9月18日、ひとつになれたら嬉しいなと思います。」

願いを込め、白のギターに乗せて歌い出した『Emaj7』。

「“この夜にもし君と会えたら 願ってた答えが見つかるかな 交わし合った声に火花が散って 流れ星のように連れ去ってく できればこの景色と一緒に眠ってみたい”・・・さぁ、五反田BLAZE!届けてくれるか?」

2日前に感じていた不安も亡霊も一瞬で消し去るようなレスポンスが、天井高く響き渡る。

「すぐ不安になるから、理由とか証明とか、そんなものばかり求めてしまうけどさ。そんなものは形が無くて、目の前にあるこのステージ、俺とあなたが全てだろ?」

この曲が持つあたたかな空気感の中で、幸せそうな笑顔を浮かべて血の通った音楽の温度を圧巻のバンド力で伝えていく姿に胸が熱くなる。

同時に、Chantyにはこんなにも心強い“あなた”がついているから大丈夫。心から、そう感じた時間だった。

「もっとやれるか?踊れますか?頭空っぽにしてまいりましょう、『空々』!3.2.1、GO!」と叫べば、フロアは再び左右にモッシュで大きく揺れる。

“理由なんてものは必要ない この瞬間が全てだろ”その歌詞を体現するべく無我夢中で一瞬一瞬を心と身体に刻み付けると、続けざまに『逆上のパルス』を投下して一気に駆け抜けていく。張り詰めたバンドサウンドを牽引するエネルギッシュでパワフルなshotaのドラミングを軸に、昂る感情を叩きつけながら弦を弾く野中の轟音と、激情と冷静を自在に行き来して彩る白のサウンドが映える。

「凍てつく太陽に焼き殺されて、地に伏せちまえよ。・・・Next song、『累々』。」

イントロからヘドバンの波が埋め尽くすフロア、細かなフレーズを盛り込んだテクニカルな楽器陣の演奏に乗せ、比喩的な歌詞をメロディアスに歌い上げる芥。

ヒリヒリとしたタイトなグルーヴに身を任せずにはいられない新曲は、早くもライヴのキラーチューンのひとつとして大きな存在感を放っていた。

「そう、地に伏せて何かを諦めたように、夏の空を見ているわけではない。そう、13年前に見た夏の日は、もっと青かった。そう、13年前に居たあの夏の日は、もっと暑かった。だが、今日見たこのBLAZEという、ひとつの夏の日。まだまだ、もっともっと、すべてをぶつけ合いたいと思っています。BLAZE、ついてこれるか!?」

Chantyの始まりの曲である、『終わりの始まり』。

“さあ、目を開いて 終わりの始まり”

期待と不安、理想と現実、願いと覚悟。13年前、その全てを抱えて歩み出したバンドは、今も真っ直ぐに唯一無二の音を響かせ続けている。そして、今現在のChantyが書いた『終わりの始まり』に匹敵する楽曲が、次に演奏された『微熱』ではないだろうか。

「ある晴れた夏の日に、“耳をふさぐ音楽”ではなく、この曲があなたの背中を押してくれるように作りました。」

初披露の時点で、圧倒的な熱量を育てながらバンドの核を担う重要な1曲に成長することを確信させてくれたこの曲は、疾走感あふれる新たな前奏からメンバーによるパワーコーラスが入るライヴバージョンに進化を遂げ、さらなる一体感と高揚感を生み出していく。

駆け出すようなギターリフ、ステージ目掛けて全力で繰り出される声。

“誰かが生きたかった今日だとか わかってんだよ、だからさ、もがいてるんだろ?”

13年という時間の中で、たくさんの出会いと別れを経験し、幾度となく堂々巡りの明日を繰り返しても、今なお変わらず大切に抱いているもの。それはきっと、彼らが走り続ける原動力でもあり、何にも代えがたい武器でもある。

“ただなんとなく息をしてる僕らは”“ああもっともっともっともっと遠くへ”

心を震わす音楽とは、こういう曲のことをいうのだろう。メンバーとオーディエンスが一体となった大合唱を聞きながら、そう実感している自分に気付く。

「あなたの背中を押してくれるように」と生み出された楽曲はきっと、この先のChanty自身も支えてくれる。

「こんなにさ、近くに居ても。こんなに、熱気が伝わってくるのに。聞こえないことばかりだ。見えないことばかりだ。伝わらないことばかりだ。もどかしいからさ、『深々呼吸』というアルバムで歌詞を綴って、この曲を最後にしました。このもどかしい距離が少しでも縮まって、もっともっと近くになれますように。ラスト、『真空透過』。」

ミニアルバム同様、『唯一輪』で始まり『真空透過』で終わる本編のセットリスト。

“こんなに近くにいるのに僕らは遠くて 目と目を合わせてみたって何も聞こえない 真空の夜空瞬く星々の群れ どうか君の呼吸くらい 救いとれるように 耳を澄ませたら”

祈りにも似たその言葉とメロディーはどこまでも美しく、1分半程の決して長くはない楽曲に込めた熱量が強烈な余韻を残す。

「深々呼吸ツアー。on drums、shota。on bass、野中 拓。on guitar、白。on vocal、芥。そして、“あなた”と創りました。Chantyでした、どうもありがとう。」

心を込めた声色で伝えて一礼すると、大きな拍手に包まれた4人はステージを降りた。

姿が見えなくなった瞬間から沸き起こったアンコールの声に応え、発売されたばかりのTシャツに着替えて「アンコールありがとうございます!」と嬉しそうに再登場したメンバーたちは、和やかな雰囲気で新グッズについて話し始める。

“何かと控えめなことが多いChantyが、初めて4人揃った写真で作った自己顕示欲強めなTシャツ”と、芥が書いた歌詞から印象的なフレーズをチョイスした“歌詞アクリルキーホルダー”について語り合う。いずれもデザイン番長である白のセンスが冴えた素敵な出来栄えなので、ぜひチェックして頂きたい。

そして、9月15日に誕生日を迎えたshotaに「先日は、おめでとうございました!」と改めてお祝いの言葉と拍手が送られると「誕生日を迎えた翌日がChantyのおめでたい日、幸せですね。」と笑顔のshota。「どうですか、楽しんで頂けてますか?」心からの大きな拍手に安堵の表情を見せ、「何か今、夢の中に居る感覚。ふわふわはしてないけど。」と続ける。その言葉に「ちょっとわかるかも!」と頷いた芥が、「おかげざまで13周年を迎えることができました。またこれからも色々チャレンジもしたいし、音源も、今回お待たせした分、またなるべく早く次のものを届けられたらなと。で、来年の1月半ばから、またワンマンツアーをやります。」と、新たなツアーの開催を告知すると歓声が上がる。

「今度のワンマンツアーのタイトルは、『アンコンテンポラリー』にしました。“コンテンポラリー”は“現代的”みたいな意味だけど、僕らの奥底に流れる大切なものは“現代的”とかそういう観点で簡単に図れるものではなく。もしかしたら、“手間”だったり“面倒”だったり、非現代的なもので構成されているのではないか。そんなことを頭の中に想い描きながら、“現代的”とは逆の意味を込めたツアーをまわりたいなと思った。」

何事も時代と共に変化していくことは当然の部分もあるし、必ずしもそれが悪ではないこともわかっている。でも、“新しいもの至上主義”“効率化至上主義”に偏りすぎて、積み重ねてきた時間や経験の尊さを軽視しがちな現代には、疑問を覚える場面もとても多い。

この13年間、音楽を作る方法・伝える方法も多様化していく中で、Chantyは“自分たちに必要なもの”と“必要でないもの”をしっかりと取捨選択しながら進んできた。そんな彼らが、今一度“守るべき大切な核”を再確認しながらまわるツアーは、この先も続く未来を歩んでいく上で重要な時間となるに違いない。

「このツアーも、今までワンマンをやったことが無いライヴハウスと、出演したことのないライヴハウスということをテーマに選びました。」と、浜松・浦和・滋賀・郡山・岡山・京都・新潟へ向かうこと、そして、ツアーファイナルは「照明や音の感じが良くて大好きなのに、Chantyとしては2回くらいしか出演できていないから、じっくり腰を据えて出てみたい」と、2027年4月9日・Spotify O-Crestで行われることを発表した。

「段々と物事を控えめに言うようになってしまうものだから、ここでちゃんと言っておきたいんだけど。もっと、上に行きたいんだ。ツアーファイナル、ソールドアウトするつもりで頑張ります。よろしくお願いします!」

ぐっと決意を込めた表情と声色で発された言葉は、さらにこう続いた。

「こうやって何度も、凄く嬉しい気持ちも経験させてもらって・・・これは凄く言い方が悪いかもしれないけど“何とかなっちゃってる”んだよ、バンドが。それって、本当にありがたいことであると同時に怖いことでもあって。自分たちの立場とか置かれている状況をわかっているからこそ、言いたいのに言えないことがどんどん増えてきて。それはきっと、バンドに限らず、それぞれが生きている人生の中で同じなんじゃないかと思う。“私はこんなものなんじゃないか”とかさ。・・・僕らは、縋って生きるには頼りない状況だと思う。この時間、このバンドに人生を懸けて、じゃあ『一生、死ぬまでこのまま生きていけるのか?』と言われたら、冷静に見て“いや、(今のままでは)無理だろう”ってなると思う。だけど、そうなりたいし、そうなる。その気持ちは全く忘れていない。僕らは、あなたの自慢のバンドになりたいんだよね。あなたが誰かに『Chantyに通ってるんだ!』と言った時、『めっちゃいいじゃん!』と返してもらえるバンドになりたい。そのためには、口だけではダメだって改めて思うので。また迷ったりすることもあると思いますが、改めて、ひとつ目標。『アンコンテンポラリー』ツアーのファイナル、O-Crestソールドアウトに向けて頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いします!」

力強い口調で宣言した芥の言葉に合わせて楽器陣も一礼すると、この日一番の大きな大きな拍手が4人を包み込んだ。

アンコール1曲目は、『よまいごと』。

白のアルペジオと芥の歌声が優しく空間を彩り、先ほどまでのMCに込めた想いがこの曲の歌詞と重なって、いつも以上に心の真ん中に響く。

“ここで君が笑って つられて僕も笑ったりして”“なんとなく辿り着いた今日がきっと奇跡ってやつなんだ”

そんな幸せな日々をこの先も繰り返していくために、Chantyは臆せず挑んでいく。

「BLAZE、まだ聞かせてくれるかい?全て預けてくれるかい?さぁ、まだまだ始めよう。控えめにするなよ、全員かかって来い!」

新たな始まりを感じさせる『ALIVE』、ビリビリと空気を震わせる野中のベースソロに触発されて爆音に負けない大きなレスポンスがステージに返されれば、「届いてるぞ!」と嬉しそうなメンバーたち。声・拳・ヘドバン・・・熱量と一体感は、とどまるところを知らずに増幅していく。

「そうだよ、生きていたらいつだって、あなたに『想巡』。」

フロアの最前柵に足を掛け歌う芥の姿からは、“少しでも近くに”という強い意志を感じた。突き刺す音楽でバンドとオーディエンスがお互いに想いを重ね、ライヴはクライマックスへ。

「バンドが始まって、13年。このツアーだけでなく、たくさんの場所へ行きました。でね、つい数か月前に、やっと気づきました。どこに行こうが、我々はあなたの前へ向かう途中。終わらない、終わらない、夜を超えてまた会いに行きます。ラスト、『帰らない』。」

Chantyとして音楽を生み出し続けられること、その音楽を届けるため機材車で旅をしながら全国へ足を運ぶこと、行く先々で待っていてくれる“あなた”と出会うこと、それを13年間続けてこられたこと。全ては“当たり前じゃない当たり前”であることを忘れないように。

“これは終わりの夜じゃない始まりの夜”“見せたかった未来もあるから”“何度だって夜を超えていくから 待っててくれよ”

感情が溢れ出し、歌も演奏も音源以上にエモーショナルに響く。その音を、言葉を、想いを、取りこぼすことなく受け止めるオーディエンス。

「14周年、そして20周年、50周年、100周年に向けて頑張ります。ひとまず、次はO-Crest、売り切ってみせます。Chantyでした、どうもありがとう。」

惜しみなく送られる拍手とメンバーコールに応え、お立ち台から“おまえたち”に拍手を送り返した4人は、笑顔で手を振り深く一礼してステージを後にした。

ステージが暗転しても、鳴り止まないダブルアンコールを求める声はEND SEをも掻き消しながら響き続ける。全力でChantyを求めるその声は、メンバーを再びステージへと呼び戻した。

「最高です、ありがとう。」手にしたギターを爪弾きつつ、芥が言葉を紡ぐ。

「長いこと生きていると、“悔しい”もすぐうやむやにしちゃうから。なんとなく生きちゃってると、“目指したいもの”も見失っちゃうからさ。わかってるんだよ、自分の気持ちに嘘をつけないことって。でも、目の前の現実は変わらなくて。だったら、どうするか・・・後ろ指差されても、やるしかねえだろ!」

熱量高く放った言葉に同意するように打ち鳴らされたドラムの音に少しだけ笑みを浮かべると、「見てろよ!なぁ、五反田BLAZE。居場所を教えてくれ!」と叫ぶ。

「on drums、shota!on bass、野中 拓!on guitar、白!on vocal、芥!」そしてフロアを指差し、「改めて、今日この瞬間まで生きて辿り着いてくれてありがとう!」お立ち台に駆け上がった白と野中がギターとベースを、そしてshotaがスティックを高く高く掲げる。「最愛の気持ちをぶつけ合いたいと思う。ラスト、『透明人間』!」

拳を突き上げるオーディエンス、白のギターが唸りを上げ、shotaがシンバルを乱れ打つ。野中が「来いよ!」と声の限りに煽り、「感情の螺旋、こんなもんじゃねぇぞ!ぶつけてくれるか、BLAZE!」と芥が叫べば、負けじと食らいつくフロア。全てを出し尽くす場内のボルテージは最高潮へと達し、この日のライヴは幕を閉じた・・・はずだった。

ドラム台に集まりエンディングを迎えたかと思いきや、マイクスタンドに戻った芥が「もう1曲やりたいと思っちゃったから、お祭りの曲やりましょうか!」と提案して、shotaが笑顔でリズムを刻み出す。

それに合わせて一斉に手拍子を始めたフロアと「まだ騒げます?遊ぼうぜ!これで本当に最後、声を聞かせてください」とコール&レスポンスを繰り広げ、「最後だから1人ずつやりましょう!」と各メンバーにマイクを向ける。気合い漲る男らしい煽りを聞かせ、芥を驚かせた白。喉が限界を迎えドリンクを差し出されるも、口に含んだ水を芥の顔面に吹き出し爆笑を誘った野中。ドラムセットの向こうから、可愛いとカッコいいが混ざった煽りで盛り上げたshota。

「最後、でっかい声聞かせてくれるか!踊りましょうBLAZE、『やんなっちゃう』!」

声を上げ、左右にモッシュし、タオルをまわして、ジャンプして。全力で楽しむオーディエンスの姿を、客電を全開にして目に焼き付けるように見つめる4人。

「一瞬で終わるんだよ、心許ないからさ、まだまだ踊れるか?」

ステージもフロアも1曲丸々笑顔だったのではないかと思ってしまうほど、ひたすら“楽しい!”で満ち溢れたボーナスタイムのような時間は、13周年を締め括るにふさわしい幸福に溢れた光景だった。

「Chantyの夏、そして、あなたの夏、9月18日をもって終了!目の前にある1本1本を一番大切なライヴとして、またあなたのいる街に向かっていきたいと思います。その気持ちは一生変わらない!どうもありがとう、Chantyでした!」

予定されていなかったWアンコールまで含めて23曲もあったことが嘘のように、あっという間に感じた2時間ちょっと。今のChantyを詰め込んだベストなセットリストで初めての会場を染め上げ、“最新が最強”をしっかりと更新した彼らは14年目へと歩み出した。

「僕は“微熱”のまま走っていくつもりはありません。おまえたちと“灼熱”を作りに走っていきたいのです。」

『微熱』初披露時の、芥の言葉を思い出す。

13年続けてきたバンドが、改めて「2027年4月9日・Spotify O-Crestワンマンをソールドアウトさせる」という明確な目標を掲げて決意表明したことの意味と強さを、絶対に忘れずにいたいと思う。

正解や不正解で図り切れるものではないからこそ、なんとなく息をしてやりすごしてしまわないように、当たり前じゃない毎日の繰り返しに麻痺してしまわないように。

“あなたの自慢のバンド”になるために、自分たちの気持ちに嘘をつかないために、どんな時もChantyはChantyのやり方で。

これは終わりじゃなく始まりの夜。

あなたの待つその場所まで、4人は何度だって夜を超えて走り続けていく。


文:富岡 美都(Squeeze Spirits)