【stylish wave CIRCUIT’17 冬将軍 <カウントダウン前夜祭>】 ライブレポート!(2017年12月30日 渋谷REX)
毎年恒例、冬の一大イベント「stylish wave CIRCUIT 冬将軍」。今年も全20組のバンドが出演。12月30日に渋谷REXで行われたイベントへ出演したのが、Vexent/DAMY/CANIVAL/シェルミィ/Axkey/ハクビシン/ラミエル/FIXER/IGGY/BabyKingdom/未完成アリス/午前五時の殺意。以下へ、当日の模様をお伝えします。
TEXT:長澤智典
□午前五時の殺意
トップを飾ったのが、九州をベースに活動中、午前五時の殺意。物悲しいピアノの旋律からの始まり。演奏陣が音を放つと同時に、楽曲は一気に轟きだした。激しい表情とサビに描いた泣きな歌メロが魅力的、『君ノ罪ト僕ノ罰。』は大きく揺れ動く感情の痛みを具現化した楽曲だ。嘆きと叫びと激烈な音が混じり合う歌は、触れた人の気持ちを荒々しく掻き乱してゆく。
その荒々しい興奮は、『メアリーの殺害予告』へ受け継がれた。疾走した勢いを加速させるように、身体をつんざく音を突きつけるメンバーたち。サビ歌がメロディアスなのも嬉しいポイントだ。時にヘドバンを、時にモッシュをと、午前五時の殺意はノイジックな音で観客たちを煽り続けていった。
演奏は止まらない。激しく唸る演奏は、ダークでアグレッシブな『独裁と愛』へ受け継がれた。悪辣で轟音シンフォニックな演奏を通し、観客たちを上気した熱で彼らは呑み込んでゆく。徹底して攻めな姿勢を通し、初めて触れた人たちさえも午前五時の殺意の描く熱狂の世界へ引き込んでいく。そして…。
この日が、午前五時の殺意としてのラストライブ。その活動の幕を閉じる歌として、彼らは最後に別れの歌『デパス』を差し出した。豪厚な音をベースにしながらも、感情壊れそうな切な心模様を歌いあげてゆく。「さよなら、どうか…」その言葉が、痛みとして心に刻まれていった…。
[SETLIST]
1.君ノ罪ト僕ノ罰。
2.メアリーの殺害予告
3.独裁と愛
4.デパス
□BabyKingdom
カラフルな姿と重なるよう、大阪から来たBabyKingdomが妖しい極彩な音の色を放ちだした。冒頭を飾った『奇々怪々歌』から、BabyKingdomは摩訶不思議な異世界へ観客たちを連れてゆく。異次元に広がるのは、モンスターたちがはしゃぐ宴の広場。いつしか大勢の人たちが、一緒に身体を揺らし浮かれ祭っていた。
ハイカラな調べとノイジックな音が混じり合う。気持ちを高揚させる激しさと、胸をスカッとさせるキャッチーな歌を魅力にした『ハイカラ』だ。途中には、メンバーらと一緒に観客たちがその場で走り出す場面も。激しく明るい高揚歌へ導かれ、一緒に楽しくはしゃぎ倒したい。共に振りをしながら笑顔で一つに溶け合ってゆく様も含め、なんてパーリーな気分へ染めてくれる連中だ。その楽しさ、病み付きになる?!
雅なダンスロックナンバーの『カマッチャイナ!』の演奏が始まると同時に、メンバーやファンたちが扇子を振りまわし、艶やかな宴の中ではしゃぎだした。その演奏は、黒い感情などすべて消し去り、無邪気に騒がずにいれなくしてゆく。いつしか大勢の人たちが、BabyKingdomの演奏に合わせ、ガンガンにテンションをアゲちゃっていた。終始、身体を揺らし祭り上がりながら、笑顔に包まれてゆく。そう、もっともっとかまって欲しい!!
最後を彩ったのは、眩い光を解き放つ超ポップでカラフルで開放的な。でも、しっかり重量感も携えた『HeartBeat』だ。鼓動がウキウキ疼きだす、いや、いつしか激しく高鳴り始め、気がついたら気分がすっきり晴れ上がっていた。ここは、むっちゃ笑顔とハッピーをくれる王国だ。観客たちがぴょんぴょん飛び跳ねていたのも、納得だよ。
[SET LIST]
1.奇々怪々歌
2.ハイカラ
3.カマッチャイナ!
4.HeartBeat
□FIXER
ドス黒い衝動と衝撃。その音の塊は、Jeyの痛いスクリームを通し、一瞬で観客たちの意識を暴発させた。凄まじい勢いで爆走する重厚な演奏、その上へ、グロウルと胸に刺さるメロ歌を巧みに混ぜ合わせ、FIXERは豊かな表情を塗り重ねてゆく。『孤働-into the vortex-』は、FIXERの魅力を濃縮した楽曲だ。最初から身体は激しく揺れながら、何時しか感情揺さぶる歌に熱い気持ちの高揚を覚えずにいれなかった。
「もっともっと揺らせ!!」、ドラムビートとシンクロするように産まれた手拍子。激しく躍動する演奏に合わせ、右へ左へ観客たちが飛び跳ねてゆく。黒い熱狂の宴を描き出した『sublime dystopia』だ。重く唸る衝撃の中へ身を浸していると、アドレナリンが身体中を勝手に走りだす。もっともっと、ぶっ飛んだ熱い衝動を身体中へぶち込んでくれ!!
「お前たちの胸の内に溜まっているドス黒い汚い感情をすべて曝け出してくれ」、その言葉を証明するように、激烈重厚で暗黒な音を叩きつける『ARBITER』を演奏すると同時に、フロアー中が暴れ倒す人たちの波に呑み込まれていった。いや、激しく暴れる人たちと、その様に圧倒されボーッと立ち尽くす人たちがフロアーには混在していた。そのコントラストがFIXERのライブらしくって素敵じゃない。
「全員でニャンニャンしようぜ」、最後もFIXERらしく激熱な『envy kitty dance』を頭上から思いきり叩きつけ、最重量級なパーティへと巻き込み、観客たちを熱狂に甘える小悪魔な子猫ちゃんたちへ塗り替えていった。FIXERの作り出す黒い暴動は、病み付きになる楽しさだ。
[SET LIST]
1.孤慟 -into the vortex-
2.sublime dystopia
3.ARBITER
4.envy kitty dance
□AxKey
解散を間近に控えたAxkey。みずから「解散、そんなの知らねぇな」と語れば、彼らはしんみりした空気を取り払うように、触れた人の気持ちへ熱いエナジーと昂る想いを注ぎ込むよう『【NEEDLESS】』を突きつけた。タオルを振りながら騒ぐ観客たち。ヤンチャな悪ガキ共は、この場にいる人たち全員と気持ちを一つに繋ごうと、沸き上がる情熱を演奏と歌声にぶつけてきた。
その気持ちの波を受け止めたのか、続く『DAHLIA』では大勢の人たちが身体を大きく揺らし、全身から吹き上がる熱を駆ける演奏へ寄り添えていた。沸きだす感情を思いきりぶつけたい、メンバーらも剥きだした裸の気持ちを舞台上から降り注ぎ、熱狂にまみれることを共に楽しんでいた。
Axkey流のダンスナンバーの登場だ。重さを携えながらもカラフルな音の粒が舞台上からあふれだした。『24/7』に合わせ頭上高く両手を掲げ、飛び跳ねながら熱狂の踊り子と化すファンたち。つかみを持った歌に心がグッと惹かれながらも、身体を揺らすダンスロックに導かれ、無邪気にはしゃがずにいれなかった。
最後は、キャッチーな歌と胸を熱く昂らす演奏を魅力にした『アイシア』だ。歌を心に染み込ませながらも、今は、ただただ身体を揺らし共に熱を感じあいたい。激しい感情の中から滲み出る優しさ、そこへ悪ガキどもの素直な素顔を覚えていた。Axkeyと出会える日は限られている。その1回1回を大切にしてくれ。
[SET LIST]
1.【NEEDLESS】
2.DAHLIA
3.24/7
4.アイシア
□ラミエル
美しき白い衝動…「幸せを振りまきに来ました」、ラミエルのライブは華やかで軽やかに舞い踊る『happy day』から幕を開けた。その歌声と演奏は、心や身体を一気に浄化し、気持ちをふわっと舞い上がらせる。ウキウキ弾む気分とシンクロするように、フロアー中の人たちも演奏に合わせ飛び跳ねれば、両隣の人たちと手を繋ぎ、右へ左へ軽やかにステップを踏んでいた。自然と笑顔になれる、それって素敵な魔法じゃない?! こんな魔法なら、もっともっとラミエルにかけてもらいたい。
「羽ばたいて」、重さを携えながらも、ラミエルはフロアー中の人たちの心に翼を授け、ともに大空へ飛び立とうと誘いをかけてきた。感情に高揚を与える『アノニマス』に合わせ右へ左へ、ときには上へと軽快にステップを踏む観客たち。何時しか掲げた両手は羽ばたく翼となり、ラミエルの演奏へ導かれながら心地好く飛び続けていた。
続く『jealous』では、一変。ラミエルは歪んだ音を激しく叩きつけ、この空間をヘドバンの渦や折り畳みの風景へ塗り替えていった。激しさへ身を委ねながらも、胸をグッと揺さぶるメロディアスな歌に刹那を感じずにいれない。その汚れなき黒い熱狂へ、強く惹かれ溺れてゆくことが快楽だ。
「僕たちは1枚の絵を描きたい」、最後にラミエルは、フロアー中の人たちの心をふたたび浄化し、心地好く空へ連れだすように『with you』を届けてくれた。なんて哀な色を抱いた、気持ちを上げてゆく歌だろう。歌に魅了され、歌に酔い、歌に心が溺れてゆく。体感的な熱狂も悪くはない。でも、やっぱし歌に心震わせたい。それを示してくれるラミエルが、とても愛おしい。
[SET LIST]
1.happy day
2.アノニマス
3.jealous
4.with you
□未完成アリス
美しく毒々しいビジュアルとは裏腹に、なんてめっちゃキャッチーでつかみの強い歌を届けるバンドだ。未完成アリスが冒頭にぶつけた『2次元ラヴァーズ』は、胸をグッとつかむ歌と疾走する演奏にハートを射抜かれる、最高にポップで刺激的な楽曲だ。ライブに於ける体感的な衝動も魅力に据えようという狙いか、華やかな演奏は全速力で駆けるに相応しい勢いを持っている。その激しさの上で胸をくすぐる歌を届けてゆくんだもの、笑顔ではしゃぐのも納得だ。
勢いを加速させるようにぶつけたのが、『花一匁』。大勢の人たちが頭上高く掲げた手の花を咲かせ、右へ左へモッシュ。勢いと気持ちを熱く揺さぶる歌が交じり合い、興奮や高揚というウネリを作りあげてゆく。未完成アリスは、ハイウェイをぶっ飛ばし続けるときの高揚した感覚にも似た極上のロックパーティを描く連中だ。
演奏は止まらない。未完成アリスはフロアー中の人たちの身体を右へ左へくるくるまわせば、その場でキャッキャッ跳ねさせていく。このパーティ、一切休ませないどころか笑顔だって絶やさない。甘い刺激に絶叫を上げずにいれない『I Scream』を全身で嘗め尽くしながら、大勢の人たちがメンバーらに黄色い絶叫の声を返していた。
最後にメッセージ性の強い『良音』を演奏した頃には、大勢の人たちが未完成アリスの作り上げた胸くすぐる熱いロックパーティの虜になり、夢中で咲き続けていた。その光景を目にし、ゴキゲンなパーティを作りあげる未完成アリスという存在がやたら気になっていた。
[SET LIST]
1.2次元ラヴァーズ
2.花一匁
3.I Scream
4.良音
□ハクビシン
「あなたの心の隙間、お埋めいたします」の言葉を合図に、ハクビシンのライブはスタート。その心の隙間を埋めるように、彼らは轟音渦巻く『幸せなら手を叩こう』をブースト。轟く重厚な演奏の中へ巧みに転調重ねるドラマを描き、彼らはサビで一気に心を開放させてきた。激しく暴れ狂い、熱狂へ乱れ咲きながらも、サビ歌で気持ちを昇華してゆく巧みな展開へ、いつしか会場中の人たちが踊り騒ぐ狂人と化していた。
「心の隙間を埋めるのは簡単だ、声を出せばいいんだよ」。観客たちが一斉に頭上高く掲げた両手を打ち鳴らし出した。そして…『スキマニュアル』の演奏が暴発すると同時に、一斉に左右へモッシュ。轟音の渦の中、無我夢中で騒ぎ祭れ、そうすることで心の隙間が埋まるだけではなく、その心に熱狂の芽が吹き、花が咲いてゆく。いつしか、フロアーの一番後ろの人たちまでが大きく手を振り、躍動する演奏に合わせステップを踏んでいた。
「あの子は私を裏切った、絶対に許さない。私と同じ不幸を味あわせてやる」、フリーキーでラウドな演奏が暴走。『フレネミー右手の法則』が感情の血管をぶち切らせ、全力で頭を振らせていた。毒々しいメッセージを毒々しい演奏に重ね合わせ、ハクビシンは激しく毒づいてゆく。痛く汚い感情を熱狂で代弁する姿こそ、ハクビシンが存在してゆく理由なのかも知れない。
最後は、アカペラな歌始まりの『リコリス』だ。哀切な歌へ演奏が重なると同時に、楽曲はラウド/ダーク/ホラーな様相を呈した怨念めいた楽曲へ。心慟哭するように歌いあげる、その歌声が胸にグッと突き刺さってきた。ハクビシンは心の叫びを歌や演奏に変えてゆく。その音が激しいのも、それだけ心が激しく泣き、揺さぶられていくからだ。
[SET LIST]
1.幸せなら手を叩こう
2.スキマニュアル
3.フレネミー右手の法則
4.リコリス
□IGGY
なんて勇ましい演奏だ。激しいのは、当たり前。その激しさをIGGYは勇壮な姿へ昇華し、楽曲へ猛々しくぶつけてゆく。『スサノヲ』が解き放たれたとたん、フロアー中へ騒ぎ狂う人たちの大きな波が産まれていた。何より、疾走する激しい演奏の中へ、彼らの抱くロックロンロールな魂の叫びを覚えずにいれなかった。煽り系ではない、衝動的なロックの魂を、彼らは重量級な演奏に乗せ突きつけてゆく。その姿勢こそがIGGYのISMだ。
その意志を、さらに熱に変え突きつけるように、IGGYはロックナンバー『Overflow_』をアグレッシブにぶつけ、観客たちの理性をぶち壊しだした。演奏に合わせ、観客たちが右へ左へ思いきり跳ね続けてゆく。轟音の渦に身を任せ、全力で騒ぎ狂いたい。それが、何よりも極上な音楽のディナーなんだもの。
凄まじい音の洪水が一気に襲いかかった。『曼陀羅』の中へ詰め込んだ音の衝撃が、否応なく熱狂の中へ引き込んでゆく。熱気には熱気で返さなきゃ戦えない、一緒にイキきることも出来やしない。だからこそメンバーも観客たちも、求めあうように熱した感情の拳をぶつけあっていた。両手を高く掲げ、激しくヘドバンやモッシュを続けていた。
これまでの熱狂を抱きしめるように、IGGYは胸をキュッと疼かせるミドルテンポな『OVER』を演奏…ドラムが猛々しく轟くと同時に、楽曲は勢いを持って爆走。IGGYらしいアグレッシブで破戒力満載なロックンロールナンバーへ昇華していった。轟音響かせながらもサビ歌で胸をギュッとつかんでゆく手腕はさすがだ。熱き血潮たぎる感情を詰め込んだ歌詞も、心へ昂る勇気を注いでゆく。この歌を旗に掲げ、共に明日へ向け絶叫したい。それくらい熱く生きた証を、IGGYのライブを通し僕らは感じていた。
[SET LIST]
1.スサノヲ
2.Overflow_
3.曼陀羅
4.OVER
□CANIVAL
その音は、一瞬にして頭をかち割った。とても泣きな歌メロを持った楽曲だ。『孤独癖のメメントモリ』の何処に惹かれたって、嘆くような美しくも哀切な歌。でも、その歌を包み込む演奏は、凄まじく破壊的だ。もちろんスクリームも混ぜているように、かなり挑発的な姿勢を見せている。その衝撃が強いからこそ、逆に、歌へ気持ちがぐっと引き寄せられてしまうのも事実だ。
「走るぞー」、その声を合図に流れた『毒ロマンス』に合わせ、観客たちが右へ左へ駆けだした。演奏は、さらに勢いと激しさを増してゆく。その轟音に身が溺れながらも、手綱をつかむよう気持ちは歌へ惹かれていた。CANIVAL、哀切さと刹那を背負ったなんて破壊的なバンドだ。
その瞬間、会場には激しく振り回される髪の毛の渦が荒々しく渦巻いていた。『INVIDIA』が理性を壊し、フロアー中の人たちを野獣に変えてゆく。激しく駆け続ける演奏へ全力で挑みながら、でも、ときどき耳をギュッとつかむ歌に気持ちは揺さぶられていた。それ以前に、フロアー前方の人たちは暴れることに無我夢中だったようだが…。
最後の『クソガキ、ツキニナク。』まで、CANIVALは観客たちを轟音渦巻く熱狂の中へ引きずり込み、終始暴れ狂わせていった。フロアーをめいっぱい使い遊び騒いでいた。フロアー後方には、ただただ圧倒されジーッと立ち尽くしていた人たちもいた…いや、その姿もまた、CANIVALに圧倒され見入られ、歌に気持ち惹かれていたからに違いない。
[SET LIST]
1.孤独癖のメメント・モリ
2.毒ロマンス
3.INVIDIA
4.クソガキ、ツキニナク。
□DAMY
DAMYもまた、ド頭から暴れ狂う舞台劇の中へ観客たちを連れだした、凄まじい破壊力を持って舞台上から轟音が客席へ降り注いでゆく。でも、激しい音の唸り以上に、歌がしっかり心を踊らせていた。『虚言癖』を通しDAMYは、ただ暴れるだけではない、騒ぐ中にも心を嬉しくはしゃがせてゆく。そこがDAMYの音楽に惹きつけられる大きな魅力だ。何より、会場が一体となり折り畳みやモッシュしてゆく光景は見ていて圧巻だ。
凄まじいスクリームからの始まりだ。ドス黒い熱狂と絶叫で会場中を痛く塗りつぶすように、DAMYは『汚物』をぶつけてきた。「死ね死ね死ね」と連呼する声と破壊力満載な演奏に刺激を受け、全力で暴れ倒す観客たち。溜まった感情をすべてぶち蒔けてこそイキ(生き)きれる。
DAMYも演奏を一切止めるごとなく、次々と凄まじい音の唸りを叩きつけてきた。DAMYは、とてもメッセージ性の強いバンドだ。生きることの根源へ響く言葉を、彼らは轟音に乗せぶつけてゆく。『吐瀉と代償』では、観客たちを座らせヘドバンさせる様も描きだしていた。それ以上に、凄まじいヘドバンの嵐を会場に作り上げていった。
最後にDAMYが示した「生きてる」『理由』でも、互いに熱狂の中で剥き出しの感情をぶつけあうことで、その答えをDAMYは探し求め、観客たちへ提示していった。フロアーでウォール・オブ・デスしてゆく観客たちは、きっとその答えの一つを見つけていたに違いない。そうやって暴れ狂い自分を開放することが、生きる意味の一つだということを…。
[SETLIST]
1.虚言癖
2.汚物
3.吐瀉と代償
4.理由
□シェルミィ
演奏が毒々しい?、いや、シェルミィに関しては、彼らが突きつける想いやメッセージにとても毒々しさを覚えてゆく。楽曲に合わせ、騒ぐのは当たり前。その楽曲の奥に潜んだシニカルなメッセージを受け止めてこそ、シェルミィの世界観を存分に味わえる。『ファッションマイスリー』を通し、彼らは想いをアジテートしてゆく。その言葉の数々に、みずからの生き方を重ね合わせたとき、あなたは何を感じるだろうか? でも今は、胸はしゃがせる演奏へただただ溺れているのも素敵な快楽だ。
続く『フラッシュバック炉利ポップ』では、タイトル通りポップでカラフルな表情を全面に押し出しながらも、ライブバンドらしい煽りの姿勢も重ねてきた。シニカルなメッセージを毒々しく…いや、シェルミィは思いきり毒づいてゆく。次々と表情を変える楽曲の持つドラマ性も魅力だ。曲はキャッチーでつかみを持ちながら、でも本質は、ピュアな心を隠し持ったダーティさ。だからこそ、彼らに強く惹かれてゆくのかも知れない。
心の弱い人たちへ、不条理な世の中へ毒づきながらも、彼らはいろんな心の弱さや不条理さえ肯定してゆく。無数の扇子舞い踊る場内。シェルミィは心の弱い人たちの痛みへ痛みを持って寄り添うように、想いを綴った『優しい世界』を突きつけた。でも今は、楽しさの中へ身を浸し、笑ってすべてを忘れていればいい。それが正解なのかはわからないけど…。
「哀しいときとかつらいときとか、自分は何て人に伝えればいいのかわかりません」。最後にシェルミィは、今にも心壊れそうな哀切な気持ちを吐き出すように『哀しい日はいつも雨』を届けてくれた。悲しみを抱いた言葉の一つ一つが胸へ痛く優しく寄り添ってゆく。とても心に染みる、何度も繰り返し聞きたくなる歌だ。胸に響く歌には、いつも痛い想いが描かれている。だからその歌を、そんな歌たちを届けてくれる存在を愛おしく思えてゆく。シェルミィ、とてもとても気になるバンドだ。
[SET LIST]
1.ファッションマイスリー
2.フラッシュバック炉利ポップ
3.優しい世界
4.哀しい日はいつも雨
□Vexent
トリを飾ったVexentのステージは、暗黒のパーティへ観客たちを引き込むように『WELCOME TO THE DARKNESS』からスタート。演奏が始まると同時に、観客たちがフロアーを目一杯使い右へ左へはしゃぎだした。ダークでアグレッシブ、でも何処かキラリと光るキャッチーさを持った激なダンスロックナンバーを通し、Vexentはこの場を騒ぎはしゃぐダンス会場へ塗り変えていった。
「ぶち上がってイクぞ!!」、Vexent流激烈なダンスロック曲『#CARRY』に合わせ、フロアー中の人たちが天高く手を振り上げ、無邪気な笑顔で飛び跳ね、大きく身体を折り畳みだした。タテなノリとヨコなグルーヴを巧みにミックスしなら、Vexentはビジュアル系的な解釈を持ったラウドなダンスロックを作り上げてゆく。初めて触れた人でも、すぐに熱狂へ溶け込み、いつしか踊り騒ぎだす。それを瞬時に作りだせるところがVexentの魅力だ。
「イケんのかー!!」、続く『Dystopia』では高速ラウドビートを叩きつけ、観客たちの頭をガンガンに振らしだした。どちらが先に限界を迎えるか、互いに全力と全力の魂をぶつけあい、体力と気力の限界まで熱狂を闘わせてゆく。それこそが、戦いを挑むライブらしい様じゃないか。煽りパートでは、観客たちが両手を繋いで跳ねれば、場内でくるくるまわる光景や絶叫のやりとりも生まれていた。
Vexentも、一切演奏を止めることなく興奮と熱狂を突きつけてゆく。その熱狂は、『オメガ』でさらに熱を発していた。轟音ダンスシンフォニックな『オメガ』に触発され、大勢の観客たちが拳を突き上げ火照った感情をぶつけてゆく。限界を越えるまで上がり続けたい。もっともっと空高く飛び跳ね続けていたい。
最後は、やはりこの歌だ。キャッチーな始まり、でも真虎のスクリームを合図に楽曲は一気に暴走し始めた。『哀なんて青春。』が轟くと同時に、フロアーは暴れ騒ぐ観客たちのバトルによりグチャグチャに乱れてイッた。胸を熱く昂らせるキャッチーなサビ歌に、拳突き上げエールを送りながら、暴れのパートでは、誰もが感情の留め金をぶっ壊し全力で騒ぎ続けていた。この熱狂、最高じゃないか!!
この日の熱狂は、翌日の「stylish wave COUNTDOWN '17-'18」公演へと受け継がれていった。
[SET LIST]
1.WELCOME TO THE DARKNESS
2.♯CARRY
3.Dystopia
4.オメガ
5.哀なんて青春。
▶NEXT EVENT
stylish wave CIRCUIT'18 春の嵐
◆2018年3月3日(土) 渋谷REX
【出演】レイヴ / Vexent / JILUKA / シェルミィ / ハクビシン / てんさい。/ DiSPiИA
◆2018年3月17日(土) HEAVEN'S ROCKさいたま新都心VJ-3
【出演】レイヴ / アンフィル / Vexent / マイナス人生オーケストラ / シェルミィ / ハクビシン / FIXER
◆2018年3月24日(土) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
【出演】レイヴ / アンフィル / Vexent / JILUKA / シェルミィ / CANIVAL / BabyKingdom
◆2018年4月7日(土) 大阪MUSE
【出演】レイヴ / Vexent / シェルミィ / CANIVAL / てんさい。/ Leetspeak monsters / Rides In ReVellion
◆2018年4月8日(日) 名古屋ell.FITSALL
【出演】レイヴ / Vexent / シェルミィ / CANIVAL / てんさい。/ Leetspeak monsters
◆2018年4月28日(土) 高田馬場AREA
【出演】:レイヴ / アンフィル / 甘い暴力/ MORRIGAN / Vexent / シェルミィ / JILUKA