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BORN 2016.5.26 Zepp DiverCity【SUPER BLACK MARKET】ライブレポート!

BORN

5月26日(木)、Zepp Diver City Tokyo。場内は満員の観客たちで埋めつくされていた。この瞬間を逃したら、もう二度とBORNという存在には会えない。誰もが感傷的な想いを胸に、この会場へ足を運んでいたのだろうか!? 始まる前までは、メンバーたちも感傷的な気持ちを抱えながら舞台へ向かっていた。

と書き出してみたが、3時間40分、2回のアンコールを含め全部で41曲演奏したライブを振り返ったときに出てくる素直な気持ちは、「そこに居たのはいつものBORNだった」という言葉だ。下手な感傷に浸るわけでもなく。ただただ、目の前にいる観客たちと全力で音の殴り合いや、絶叫のハグを交わしあう、いつもの全身全霊で観客たちと対峙してゆくBORNの姿が、そこにはあった。

もちろん、そこには感傷的な想いだって存在していた。もちろん、8年間の歴史の歩みの中から選び抜いた曲たちを演奏したんだもの。訪れた一人一人の心の中にも、その人がBORNと出会い、歩み続けてきた中で惚れ込んだ曲たちが流れれば、いろんな想いを胸に抱きながら熱狂していたことだろう。BORNのライブの体感数が多い人ほど、流れる曲ごとにいろんな熱狂の汗や風景を身体や感覚が思い出していただろう。それは、当たり前に感じること。でも、言い方を変えれば、音源やライブを通し、BORNと一緒に歩み続けていれば、BORNの楽曲へ触れるたびに、その感覚はいつだって甦ってくる。

 


この日に関しては、殊更その想いを強く抱いていた人たちが多かった。だから、誰もが全力で騒ぎまわっていた。舞台上のメンバーたちも、ずっとけしかけ続けていた。それでも、あえて言わせていただきたい、この会場にあったのは、いつもの、全力で暴れた倒したBORNのライブだったということを。

解散に有りがちな涙なんて、この日はなかった。メンバーらも、余計な別れを惜しむことなく。むしろ、そんな感傷へ浸るくらいなら、どこまでヘトヘトになれるかと自分たち自身と勝負していた。最後の楽曲を歌いきった後に、ヘトヘトになりながら猟牙がいち早く楽屋へ引き上げたのも、感傷に浸る以前に、とことんまで気力と体力を使い果たし、今にも倒れそうだったからの行動だったと想像する(もしかしたら、涙を見せるのを隠すため早めに引き上げたのかも知れないが)。

そう、演り切ったんだよ、彼らは。最後の最後に猟牙が舞台上で叫んだ「Zepp、討ち取ったり!!」という叫びは、自分たち自身が本当に納得の行く形でBORNの幕を閉じれたからこそ出てきた言葉じゃないかと推測する。

 


余談になるが、この記事は、ライブを終えて自宅へ戻り、その日の夜中に書いている。こうやって書きながら感傷に浸るというよりも、火照った熱狂が先に甦ってくるのも、いつものBORNのライブを観たときと同じ感覚だ。きっと時間が経てば感傷的な気持ちは出てくるだろう。それはファンたちだって同じこと。もちろん、客電の付いた会場で二度と戻らないアンコールの声を上げ、感傷に浸っていた人たちも実際にはいた。でも、帰り際の観客たちの表情の多くが、身体から湯気を発するヘトヘトな身体を引きずりながらも、とことんまで暴れきった達成感を覚えた表情をしていた。駅構内では、しゃがみながら水分補給をしている人たちも相応にいた。それって、「演りきったライブの姿」。BORNが、いつの時代の中でもライブを通して自分たちに、そして観客たちに求めていた理想とする関係。それをBORNは、最後まで示しながら、8年間の歴史に幕を閉じていった。

 

さすがにこれだけでは、ライブ未体験の人たちも納得はすまい(この日は映像を撮っていたので、いずれLIVE DVD化される)。なので、もう少しライブについて触れておこう。




この日のライブは、まるで闇の淵から這い上がるような雰囲気のもと『Extremely waltz』から幕を開けた。「くたばるまでやろうぜ!!」、叫ぶ猟牙。続く『Vermin's cry』からは、攻めの姿勢に徹したBORNの姿がそこにはあった。『more Deep』『鴉』『Rotten cherry』と加速度的に勢いと激しさが増してゆく。「俺らでぶっ飛んだ景色を作ろうぜ!!」「SEXしようか!!」と煽った『モザイク』まで、彼らは荒ぶる姿勢のままノンストップで攻め続けていた。客席では観客たちが終始暴れ狂っていたのは、言わずともなこと。

フリーキーでメロウ&サイコティックな『剥愛のスローモーション』に、どっぷりとした闇のウネリの中でまどろんだ『FACE』や哀愁メロウなバラードの『foxy foxy』、トランシーでラウドなグルーヴを描いた『BECAUSE』に大きな音の唸りを作りあげた『愚弄』など、中盤には、BORNの持つ多彩な表情を提示していた。


「今日のテーマは、ただ一つ。暴れろということ」。その言葉通りの興奮を導き出そうと突きつけた『THE STALIN』からは、ラウドな音を剥き出しでぶつかってきた。猟牙が客席へダイブした『RED DESIRE』、重音の宴繰り広げた『Criminal Berry』。「Son Of A Bitch」のやり取りも交わした『Son Of A Bitch』。『GOD COLLAPSE』では、猟牙がジャジーでソウルフルな鍵盤演奏も繰り広げながら、BORN流のソウルミュージックを描いてくれた。

「BORNという一つの塊になろうぜ!!」。猟牙の煽りに続き流れた歌物ダンスグルーヴ曲『BLASTED ANIMALS』を通して場内に作ったアゲなパーティムード。『felony』からは、ふたたび牙を剥き出しにゴリゴリな姿勢でBORNのメンバーらは客席へ挑みかかっていた。ふたたび猟牙がダイブした『BREAKTHROUGH』。会場中がヘドバンの嵐に包まれた『DIRTY STACKER』ではサビ歌で合唱も起きていた。「BORNの骨を拾ってくれるか!!」。最後の『DEMONS』では、メンバーも観客たちも、理性をかなぐり捨て、ただただ本能のままに頭を振り乱し暴れ続けていた。ここまでで、全部で21曲。でも、この日はこれがまだ半分というメニュー。

 


最初のアンコールは、『THE AMTHEM』からスタート。『オルタナ』を合図に、BORNのライブはらしい爆裂なモードへシフト。タオルを振りまわし、場内に熱気を攪拌させた『乱刺℃』。絶叫のエールが場内中にこだました『SATISFACTION?』では、場内中が乱れ狂ったヘドバンの光景に染め上げられていた。

「ひたすらライブを演り続けてきた結果、俺らは何にも変えがたいものを得てきたと思います。ただただ楽しい、そんだけだよ!!」「BORNにはいろんな曲がある。気持ちに染みるように贈ります」。猟牙の言葉。その発言に続いて披露したのが、艶やかで哀愁味を持った『春煌花-SAKURA-』。なんて心に紅を差す表情なんだろう。せめるように、滑るように駆けだしたメロウな歌物『Deep Affection』。歓喜のパーティを描き出した暴れナンバー『Recall the mind』。「お前らが(ライブで)死ぬために作った曲だ!!」。アンコールの最後にぶつけたのが、ヘヴィグルーヴなドラマ作りあげた『SUICIDAL MARKET~Doze of Hope~』。「ここが、お前らと築きあげた最高の景色だ」と叫んだ猟牙の言葉が、場内に生まれた確かな答え。理性なんて言葉はとっくに彼方へ飛んでしまってたよ。そうさせてくれるライブこそがBORNの真骨頂。それが、気取りなど一切存在しない、互いに感情を裸に熱く激しく求め抱き合った何時ものBORNの"らしい"姿。

 


2回目のアンコールは、美しいバラード『ProudiA』から始まった。あえて感涙導く歌から始めるところが、つねに嬉しく期待を裏切るBORNらしさ。実際に涙浮かべ心で受け止めていた人たちも居た…までは正直わからなかったが、そういう想いで『ProudiA』を受け止めていた人たちも居たと思いたい。

ここからは、最後の第四コーナーを曲がり、ただただ気力と体力の限界へ挑むバトルをけしかけるのみ。激しいトランスなグルーヴ音を導き、場内に躍動の合図を贈った『MOTHER』。会場中をまたもヘドバンの狂った渦に導いたパワフルなロックンロールナンバー『Devilish of the PUNK』を合図に、BORNは唸りを上げ猛々しく駆けだした。モッシュナンバー『with hate』では、デスボも用いてガンガンに観客たちを猟牙は煽っていた。「死ねー!!」の絶叫をぶつけた、『MAD whistle』を通した激しくノイジーな音と感情のバトル。猛り狂った感情へさらに暴動のエナジーを注ぎ込んだ『黒蟻』では、振りまくる頭の動きでグツグツと沸騰している様が場内に広がっていた。その熱狂りに刺激され、ダイブしてゆく猟牙。

「モンキーしようぜ!」。会場中の人たちがモンキーダンスに嬉しく興じながら、全力で跳ね続けた『SKIN』。「オーオーオーオーオー」の雄叫びが会場中を支配した、情熱と情念渦巻くむさ苦しくクレイジーな男祭りを導きだした『殉恋歌』。ここで、さりげなくKのバースデーも祝う猟牙。

「Kくん、誕生日おめでとう。でも、この流れを止めたくないからケーキとか出てこないけどさ」と猟牙も語っていたように、誰も、この滾った感情を止めたくはなかった。舞台上も、客席も、本当にイキきるまでぶっ飛び続けていたかった。だからこそBORNは、ここで強引でフリーキーな『[B.D.M]』を突きつけ、絶叫と熱狂をけっして途切れさせなかった。たとえ喉が枯れようが、叫び続けないと。いや、叫び続けていたかったし、そうしないと凄まじい熱気の渦にみずからが叩き潰されそうだった。


高まった気持ちのままにメロウに歌い上げた『-&-』。「お前らとはまた会えそうな気がします。それまでお互い成長しあっていきませんか!?」。その約束が果たして確かなものになるのか、幻なのか!? それは口にした猟牙自身もわからないこと。ただ、そう口にしたくなるくらい、また、熱狂のライブという続きを見たい気持ちに支配されていたメンバーらが、そこには居た。

「絆をもっと深めていこう」、『RADICAL HYSTERIA』が飛び出した。巨大な会場が揺れるくらいの勢いで観客たちが左右にモッシュし続ければ、『RADICAL HYSTERIA』に合わせ騒ぎまくっていた。むしろ、誰もが野獣と化し、互いに、剥き出しの野生を迸らせながら全力で騒ぎ倒していた。そうしたい、ただただ、そうやって熱狂に恍惚を覚え続けていたかった。そこには理性も理屈も必要ない。誰もが感覚のみを剥き出て騒ぎまわっていた。最後の『ケミカルロマンス』まで、絶叫の宴はけっして止まることがなかった。いや、終わってさえも絶叫は場内にしっかりと染みついていた。

「BORNは永遠に不滅です。一生、BORNを背負っていくから」。その言葉こそ、彼らがこれからの人生の中、つねに胸に張り付けたエンブレムになっていくことだろう。


BORNというバンドの人生は、ここで終わりを告げた。でも、やっぱし言わせてもらいたい。変な感傷など一切なく、ただただ暴れ狂いながら、また明日も続く興奮を与えながらライブの幕を閉じたBORNだからこそ、変な感傷が甦ってこないんだよ(時間が経てば変わるだろうが)。それがBORNという形では無いとはいえ、また、こんな熱狂を感じれそうな気がしてならない。きっと、それでいい。永遠に続きの熱狂を期待させてくれる彼らに、涙なんて似合わないからさ。

TEXT:長澤智典


■BORN 8th ANNIVERSARY SPECIAL ONEMAN LIVE
【SUPER BLACK MARKET】Zepp DiverCity(仮) 2016.08.22 Release!!

PSBO-0128 / 9,720円 (税込)

[収録曲]
未定

[販売期間]
2016年5月27日(金)12:00〜2016年9月26日(月)23:59

詳細はBORN OFFICIAL WEBSITEをご覧ください

【BORN OFFICIAL WEBSITE】
http://www.indie-psc.com/born/