5月16日に最新シングル『生殖ノ経典』を発売するメリーバッドエンド。同じく5月には、東名阪を舞台にメリーバッドエンド初東名阪主催『殺神遊戯-vol.1-』を実施。6月30日には、名古屋ell.FITS ALLにて単独公演も決まっている。今の名古屋ヴィジュアルシーンを牽引しているメリーバッドエンド、その魅力をここにお伝えしよう。

インタビュー：長澤智典
Interview by Tomonori Nagasawa

警察に職務質問されるのはロキ様だけやけどね。
 

――ロキ様は、「天界で悪さをしすぎて追い出され、堕ちて来た神」なんですよね。
ロキ　そう、天界の神らによって人間界へと堕とされた、我様も神の一人である。

――天界から追い出されるほど、とんでもないことをやらかしたのでしょうか?
ロキ　我様としてはそうでもないと思っているのだが、天界では、どうもそういう認識ではなかったようだ。我様にとってはちょっとしたジョークでも、それが、天界ではジョークとして通じなかったと言えば良いかな、そこは…。

――メリーバッドエンドのメンバーを成す、スカーフェイス/奇凛/ヒロムさんとは、人間界で出会ったわけですよね。
ロキ　そう。我様は神である。人間という種族からすれば、神とは何でも出来る存在というイメージがあるようだ。でも本来の神という存在は、「信仰があってこそ、力を発揮していける」まして我様は、けっして有益な神ではない。むしろ、天界から堕とされたことで力を奪われてしまった。
我様を人間界へ追放した天上界へ復讐をしようと企てているのだが、復讐しようにも、今の人間界の中では、本来の神としての力を発揮できない。それを発揮するためには数多くの人間の信仰心が必要となる。その「信仰心」を求める手段を探していたときに出会ったのが、「音楽」だった。「この音楽という使い勝手の良い道具を使い、人間どもの信仰心を集めよう」、そう意志を固め、楽器を弾ける奴を探し出そうといろんな奴らを探し始めたのが、そもそもの始まりだ。

――音楽との出会いは大きかったんですね。
ロキ　音楽の世界では、ステージという舞台へ向かい、信仰心を投げかけている奴らが多い。そこに強く惹かれてしまった。

――信仰心を集めるうえでは、それこそ宗教家や政治家でも良かったと思うのですが、なぜ音楽家だったのでしょうか。
ロキ　宗教家が最適なのは、我様もわかっていること。まして我様は神である。とはいえ、「俺は神だ」と宣言し、新しい宗教を説いたところで、人間界では、どうしても変質者扱いを受けてしまう。言われたよう、政治家という手もあるかも知れないが、そこは宗教感とは異なる視点で人間どもを操っている手段。そう考えれば、一番宗教感があり、なおかつ人々の信頼を得られ、しかもすぐに始められるのが音楽だった。

――確かに。それにしても、怪しいメンバーばかりを集めましたよね。
ロキ　まぁ、おかげでよく警察に止められてしまうがな。
ヒロム　警察に職務質問されるのはネ申だけやけどね。

警官どもは我様を「反社会的な存在」として怪しんでいる。
 

――ロキ様、そんなにも警官に職務質問を受けてしまうんですか?
ロキ　まぁ、職務質問を受ける回数は、人よりも多いようだ。
ヒロム　神なんで、人とは異なる異様なオーラを放っている。この方くらいだよ、普通に歩いてるだけなのに、「ちょっといいですか?」と止められるのは…。
ロキ　この間も「今、ちょっとよろしいですか」と声をかけられたな。

――そこは神であるように、存在感を匂わすオーラはやはり人間とは違いますからね。
ロキ　自分では、あまり自覚はないのだが…。むしろ我様は、世を忍ぶ姿で信者を集めねばならない立場。だからこそ、あえて地味な格好で慎ましく世間へ溶け込んでいるつもりだし、なるたけ目立たないように街中を歩いてるつもりなのだが、なぜか警官という連中に、よく声をかけられてしまうんだ。

――だってロキ様、地味な性格にはなれないでしょ。
ロキ　まさにな。

――それだけ目立つということは、信仰心を求めてゆく活動のうえでは、逆に魅力となるんじゃないですか?
ロキ　その通りだ……いや、警察官というのは、人間界で言う、法律を犯す人たちを見つけ出し、未然に犯罪を防ぐ役割を担っているわけではないか。

――はい、その通りです。
ロキ　その警察官に声をかけられるということは、警官どもは我様を「反社会的な存在」として怪しんでるということ。それは、イメージ的には良くないではないか…。
 

今でもスカーフェイスは、性欲も食欲も盛んな奴なんで。
 

――ロキ様、ぜひ、メンバーそれぞれの出会いの話を聞かせてください。
ロキ　最初に出会ったのが、スカーフェイスだった。もともとはただのギター好きなバンドマンであった。確かにテクニックは凄まじいが、そのままの性格ではつまらない存在ということから、もっと独特な個性を形作ってやろうと思い、その頃はまだ天界から堕ちてきたばかりで神としての能力も今以上に身についていたことから、我様の力で彼の命を奪わせていただいた。そのうえで、復活に当たり、人間の中にある「食欲」と「性欲」の部分を極度に強化。かつ、「人間の不浄な心を吸収するたびに身体が大きくなる」というシステムを組み込み、我様が神造魔神「贖いのスカーフェイス」として作り替え、ふたたび命を与えてやったわけだ。

――だからスカーフェイスさんは、どんどん身体が大きくなっているんですね。
ロキ　2年前にメリーバッドエンドを始めた当初のスカーフェイスと比べてもらえれば一目瞭然だが、あの頃よりも今は、ふたまわりは大きくなっているからな。
ヒロム　完全にそうやな。今でもスカーフェイスは、性欲も食欲も盛んな奴なんで。
ロキ　神は人々に夢を与えねばならない存在。そのメンバーらも、同じような使命を担っているわけだが、スカーフェイスは「太っていてもヴィジュアル系バンドができる」という夢を与える生物としても存在しておる。

――そこ、すごく大きな希望になると思います。
ロキ　世の男どもの中には、「ヴィジュアル系バンドをやりたいけど太っているから無理」「太っているからヴィジュアル系バンドが好きとは言えない」という変な風潮があるようだが、それをスカーフェイスはすでに凌駕しておる。そんな彼の存在を通し、少しでも人々の認識を変えられたらなと我様は思っている。
スカーフェイス　ｵﾚｦ…ﾐﾅﾗｴ...。

――スカーフェイスさんは、ロキ様へ命を奪われたわけですが。本当は、人間として生きていたかったのでしょうか?
スカーフェイス　ｿﾘｬ…ｼﾆﾀｸ…ﾅｶｯﾀ...。
奇凛　かわいそうなスカーフェイス。

――もし人間に戻れたら、どうしたいですか?
スカーフェイス　....ｲｹﾒﾝﾆ…ﾅｯﾃ...ﾒｽﾆ.....ﾁﾔﾎﾔｻﾚﾀｲ...。
奇凛　でも、スカーフェイスは人間に戻っても、痩せないと思う。
スカーフェイス　...ﾓｳ…ｶﾀﾎｳﾉﾖｸ…ｶﾞﾐﾀｻﾚﾚﾊﾞ……ｷｯﾄ....。。。

――でも、今は普通のヴィジュアル系バンドマンのように日々食事制限などすることなく、思いきり食事も女性も食べられるから、そこは幸せじゃないですか?
スカーフェイス　...…ﾃﾞﾓ…ﾒｽ…ｸｴﾃﾅｲｶﾗ……ｼﾆｿｳ……。
ヒロム　ほんま、欲望のままやな。
奇凛　欲望のままに生きる…でも、それって大事なこと。

自分のオモチャとしても最適のように、奇凛をメリーバッドエンドのメンバーへと任命。「ステージの上で何もしなくていいから、そこに居ろ!!」命令し、今も舞台に立たせている。
 

――スカーフェイスさんを殺してまでメンバーにしたのも、それだけギターの演奏面に惹かれるものがあったからなわけですよね。
ロキ　スカーフェイスは演奏面での引き出しが多い奴。ただ、人間のままだと感情をコントロールするのが面倒なので、自分の意のままに操れるようにと、神造魔神に造り変えてしまったわけだ。

――さすが、悪な神ですね。続いて出会ったのが…。
ロキ　奇凛。音楽を通して自分への信仰心を集めようと思ったとき、一番適したスタイルがヴィジュアル系バンドだと判断し、この世界へ、まずは布教活動を求めだしたわけだが。ヴィジュアル系バンドを行ううえで、女形の存在はとても重要だと、同じく判断。
奇凛は、とても良い感じで無能であり、いじめがいもあれば、自分のオモチャとしても最適のように、奇凛をメリーバッドエンドのメンバーへと任命。「ステージの上で何もしなくていいから、そこに居ろ!!」と命令をし、今も舞台に立たせている。

――奇凛さん自身、その役割に対してはどのように思っています?
奇凛　あっ…(次回へ続く)

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