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stylish wave CIRCUIT'15 夏の陣“今宵狂乱” 初日・高田馬場AREA公演ライブレポート!

AvelCain Synk;yet ギガマウス ベル 黒百合と影 ALIVE

 

夏の風物詩、「stylish wave CIRCUIT'15 夏の陣 "今宵狂乱"」の口火が7月4日(土)高田馬場AREAにて狂乱と共に切り落とされた。ベル / ギガマウス / 黒百合と影 / AvelCain / ALIVE / Synk;yet(O.A)が繰り広げたその模様をここにお届けしよう。
TEXT:河内香奈子(Kanako kouchi)
 

 

□Synk;yet-シンクイェット-(O.A.)


「さあ、始めようか」――この日のオープニングアクトを務めたのはSynk;yet。初日の皮切りを告げた「[Re]:birth」でシンフォニックなメタルサウンドを莉希(Vo)の凛とした歌声で澄み渡らせると、ジャジーな中にヘヴィな重厚感を持つ「An die Freude」でのびやかな空間を作り出すSynk;yet。

「この中には初見の人も多いと思いますが、僕たちの武器であるこの歌を刻み込んでください」そう莉希が告げると、「Cross of sin」へと流れ込む。舞うように奏でる唯依葉(Gt)、静観した瞳で激情をサウンドに投影する俐乃(Gt)、身に秘めた衝動を叩きつける栞(Ba)、薄く笑みを浮かべ骨太なサウンドを構築する皇司(Dr)の4人が奏でる重厚なサウンドにのびやかな莉希の声が重なることで、Synk;yetの楽曲は物語を作り出す。ラストは「Messiah」で会場が一体となって手を高く掲げると、思いと決意を刻み付けた。Shock Edgeから早くも本戦、stylish waveの舞台へと駒を進めたSynk;yet。彼らが感じた課題は多いであろうが、ここから更なる高みへと進める可能性を感じさせてくれた。

[SET LIST]
1.[Re]:birth
2.An die Freude
3.Cross of sin
4.Messiah


□黒百合と影


続いて登場したのは、予測不可能なステージングで狂乱を刻み付けた黒百合と影。「黒百合と影、始めません」の影アナウンスで絶叫を求めると暗転の中、「「浴槽」」が流れだしいつしか黒百合と影の空間へと飲み込まれていた。ランドセルを背負った烏名鳴(表現者)がステージ上で激しく体を痙攣させるのを目前に、黒(Gt)&こよみ(Gt)のシャウトに合わせ激しく拳を打ち付けるオーディエンス。続いて、こよみが奏でるギターサウンドが重く切りつける「チヒロちゃんの眼球舐め」で大きく会場を揺らすと、鳴は”卑猥”と描かれた半紙をオーディエンスへと順に食らわせ、最後は自ら咀嚼。瞬間に活きる変幻自在な彼らのステージングを前に、なにかを予測することは無意味だと突きつけられる。

オルゴールの繊細な音色が流れたかと思いきや、悲壮と狂気を孕んだ「「月蝕」」が始まりを告げる。夢月(Dr)の疾走するドラムサウンドに合わせてヘドバン/折り畳みを繰り出すと、黒百合と影は暴力的なまでに五感全てに衝撃を与えていく。「-それは規則正しい不眠症-」では、現実から背けるように重厚なサウンドに乗せ哀哭し、「「未遂」」ではけたたましいサイレンを響かせモッシュを巻き起こす。自らの手首へと噛みつき自虐する鳴はチグハグな笑みを浮かべ、その手首を見せつける。そんな常軌を逸脱した空間は、黒の奏でるサウンドが四肢へと巻き付く「ギチギチ」で終わりを迎える。鳴は「ここ死んでないよな? ここで叫べ」と心臓をマイクで叩きつけ訴える。ここでは、余計な事を考えることなくお互いが持つ激情をただ一つぶつけ合うことが全てなのかもしれない。

[SET LIST]
1.「浴槽」
2.チヒロちゃんの眼球舐め
3.「月蝕」
4.-それは規則正しい不眠症-
5.「未遂」
6.ギチギチ



□ALIVE


2番手はノイジーでメルヘンなBGMと共に登場したALIVE。オープニングナンバー「FULLCOLOR REVOLUTION」では、デジタルで弾けるサウンドに合わせモッシュを起こすと、フラッシュリングがキラキラと会場内に彩を与える。ポップでカラフルなサウンドが持ち味のALIVEならではのキラキラした空間に高揚を隠すことなく感情を解き放って行くと、要(Gt)と奈緒(Gt)が交互にサウンドを響かせることでコントラストを描いた「BUG_NOISE.zip」では、激しいヘドバンで熱狂を作り出す。ただ激しいだけじゃなく、どこかカラフルさを併せ持つサウンドが心へすっと落ちてくるのが心地いい。ソラ(Vo)の先導のままにダンスした「HONEY TRAP」では、ALIVEの持ち味であるポップなサウンドにR&Bチューンなサウンドが絡み合い苦みを感じさせると、るゝ(Ba)のベースサウンドが深みを与えていく。

MCでは、関東近郊はどこまでか?と白熱の議論を繰り出した奈緒が「最近よく言うんだけど、元を取ろうぜ。そうしたらマイナスにはならないから。0から上を目指す勢いで楽しんでくれたら嬉しいです」と語ると、疾走するサウンドに乗せ遊ばせる「ever」で後半戦の幕を開く。少しづつALIVEの空間へと足を踏み入れようと手を伸ばすものが増えていくなか、そんな手を一つ残らず見落とさぬよう笑みを浮かべ柔らかな声を届けることで手を差し伸ばすソラ。そんな暖かな空間に打ち出したのは、ALIVE流のお祭りナンバー「夢ノ華」。祭囃子に乗せて掌をひらひらと舞わせ、モッシュを起こし、オーディエンスを座らせてウェーブしたりと軽やかに遊ばせていくと、迷う手もALIVEへと引き込んでいく。ラストは歪な夢の国へと誘う「オトギバナシ」でヘドバンの嵐を巻き起こすとアグレッシブに暴れてみせた。

[SET LIST]
1.FULLCOLOR REVOLUTION
2.BUG_NOISE.zip
3.HONEY TRAP
4.ever
5.夢ノ華
6.オトギバナシ



□ギガマウス


3番手はトリッキーにオーディエンスを遊ばせたギガマウス。SEと共にユッキー(Gt)、seiya(Ba)、ライ(Dr)が登場すると、ユッキーの掛け声のままにリズムセッションで勢いを付けると、式(Vo)が颯爽と姿を現す。まるで、ワンマンのような空気感を作り出すと、ユッキーとseiyaの我武者羅な煽りに合わせて弾ける笑みと共に中指を立てる「GIGA SPEAKER」でギガマウスのパーティロックは幕を開ける。seiyaが奏でる軽快ながらも重厚なサウンドが切り開いた「プラトニック」では、ギガマウス流のディスコナンバーに乗せタオルがくるくると天高く舞う。ユッキーの多彩なサウンドメイキングから打ち出される意表を突くパフォーマンス、seiyaのエモーショナルにグルーブを描く骨太なサウンド、いたずらな笑みを浮かべるライの攻撃力の高いサウンドに式の艶やかな歌声が重なることで強烈な存在感を刻み付けていく。この日披露された新曲「夕顔」では、ギガマウスが折り込みとともに配布していたうちわを手にしたオーディエンスは、どこか哀愁漂う歌謡ショウのような雰囲気を持ち合わせたメロディに合わせゆらゆらと閃かせる。式の凛とした中に悲壮感漂う歌声とユッキーの芯の通った歌声とのツインヴォーカルがより楽曲の色を引き立てる。百面相するように様々な音楽性をぶつけてくるギガマウスにいつしかぐっと心を掴まれていた。

ライの「タカダババエリアーようこそー!!」という煽りから始まったMCでは、式がメンバーにキラーパスを食らわせつつも7/22発売の新曲「ジャパニーズサンダー」の振付を指南し、その勢いのままに楽曲へ流れ込む。ギガマウスからの黄色い閃光を一身に受けたオーディエンスはその刺激的なサウンドに触れた瞬間、体を激しく揺らすとその閃光と一体となり高田馬場に激しい雷鳴を撃ち落していた。途中、星子さんへの感謝の気持ちを忘れないようにと”星子サンダー”を食らわせるユーモアを持たせつつも、ラストは「監獄ロックメン」でモッシュ、逆ダイ、ヘドバンの応酬と共に無邪気に大暴れを見せた黄色い4人。この夏、各地に雷鳴を運び、大嵐を巻き起こすであろうこのバンドに注意する事をここに示す。

[SET LIST]
1.GIGA SPEAKER
2.プラトニック
3.夕顔
4.ジャパニーズサンダー
5.監獄ロックメン




□ベル


4番手はメロディアスな楽曲を武器にレトロなサウンドを届けたベル。軽快な手拍子が始まりを告げた「やってない」では、昔懐かしの柔らかなメロディに合わせてくるくると掌が舞うと、ボサノバ調の歌謡メロディに乗せゆらゆらと揺れた「熱帯夜」へと流れ込む。夢人(Gt)、明弥(Ba)が対面すると笑みを浮かべながらステップを刻む姿もありながら、どこか耽美でジャジーな空間に酔いしれる。ベルはヴィジュアル系が持つサウンドと歌謡曲を混合させる、ヴィジュアル系に新たな側面を見出すバンドだ。

MCでは、ハロがリハーサル前に起こった自販機に纏わる夏らしい事件(?)を語ると、会場内に一気に静寂が訪れる。それに対して、「stylish wave、初すべりしました!!」と高らかに声を上げたハロに「……これずっと続けるの?」と薄らと笑みを浮かべながらも不安気な声を上げる夢人。今後もこのすべり芸が続くのかどうかは、実際に会場へ足を運び体感してほしい(笑)。

そんなMCがありながらも、夢人のギターサウンドがロマンティックに心躍らせる新曲「涙傘」を披露すると、再びベルが描き出す”歌謡サスペンス”な世界へと誘う。夢人の繊細ながらも芯を持ったギターサウンド、祭りを感じるチンドンのような正人(Dr)が奏でるサウンド、明弥の軽快なグルーブを描くサウンドが三位一体のメロディーを奏でると、踊るようにくるくると団扇や掌が舞いひらめく。続く、哀愁漂うレトロな歌謡ナンバー「午前3時の環状線」では、楽しげに音を奏でるメンバーを前に、オーディエンスも笑顔で答えると暖かな空間を作り出した。「バイバイ」では一転して激しい熱を描き出すと、どこか狂気を孕んだメロディに揺れ乱れる。ラストは会場内を跳ね回るメロディーに乗せ、タオルをくるくると舞わせ遊んだ「スローヱモーション」で締めくくった。ベルが描き出すどこか毒気を感じる歌謡ショウに招かれてはどうだろうか?

[SET LIST]
1.やってない
2.熱帯夜
3.涙傘
4.午前3時の環状線
5.バイバイ
6.スローヱモーション



□AvelCain


トリを飾ったのはAvelCain。”絶望”に埋め尽くされたステージに姿を現した業(Vo)は「今日のstylish waveは、くだらない」と一蹴すると、これまで作り上げられた空間を断絶するような叫びと共に「花一匁」へと流れ込む。どこか孤独を感じる花一匁で激しく躍らせると空間を歪に再構築する。ノイズ走る業の独白から始まりを告げた「片思い」では、舞うように奏でる楓(Gt)のサウンドと冷淡に奏でる禅(Ba)のサウンドが、切なさを積み上げる業に激しさを増長していく。暗転した空間に”好き、嫌い”のカウント共に何かを引き千切る音と共に、鐘が鳴り響くと「午前二時」が告げられる。業の「そんなのでお前らの一日は終わりか? お前らの一日はこんなもんかよ」という挑発を食らいながら、手首を激しく打ち付けるオーディエンス。悪意が増幅する轟音を紡ぐと、拒絶するように激しく髪を舞わせた「蛾」では、声にならない叫びで暴力的に会場を支配する。狂気が渦巻くなか最後に告げられたのは「懺悔、寡黙ナル君ニ…」。髪を乱れさせ狂乱の渦を巻き起こすと、途中で静かに歌うことをやめ一転を見つめ座り込む業。それでもなお暴れる事をやめぬオーディエンスはただ、狂っていった。

[SET LIST]
1.花一匁
2.片想い
3.午前二時
4.蛾
5.懺悔、寡黙ナル君ニ…


この初日を皮切りに、全国13か所を巡る「stylish wave CIRCUIT'15 夏の陣 "今宵狂乱"」。ほぼ全箇所を周るバンドも多い中、OAやその地方ならではのバンドも出演する。少しでも興味を持ったならばこの乱舞繰り広げるイベントへ足を運んでみてはどうだろうか?
(TEXT:河内香奈子)

 

NEXT EVENT

stylish wave CIRCUIT '15 夏の陣 "今宵狂乱"
7月4日(土) 高田馬場AREA
【出演】ベル / ギガマウス / 黒百合と影 / AvelCain / ALIVE / Synk;yet(O.A)
[握手会]ギガマウス

7月5日(日) 柏PALOOZA
【出演】ベル / ギガマウス / AvelCain / ALIVE / えんそく / Synk;yet(O.A)
[握手会]えんそく

7月11日(土) HEAVEN'S ROCKさいたま新都心 VJ-3
【出演】ベル / ギガマウス / ALIVE / えんそく / 黒百合と影
[握手会]ALIVE

7月12日(日) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
【出演】ベル / ギガマウス / ALIVE / えんそく / ジン
[握手会]ジン

7月18日(土) 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
【出演】Lycaon / Black Gene For the Next Scene / ギガマウス / ALIVE / ジン
[握手会]Black Gene For the Next Scene

7月19日(日) 長野CLUB JUNK BOX
【出演】Lycaon / Black Gene For the Next Scene / ギガマウス / ALIVE / ジン
[握手会]Lycaon

7月20日(月・祝) 高崎CLUB FLEEZ
【出演】GOTCHAROCKA / ベル / AvelCain / ALIVE / ジン / CLØWD(O.A)
[握手会]ベル

7月22日(水) HEAVEN'S ROCK 宇都宮VJ-2
【出演】GOTCHAROCKA / ベル / グリーヴァ / AvelCain / ALIVE / CLØWD(O.A)
[握手会]GOTCHAROCKA

7月23日(木) 仙台darwin
【出演】Jin-Machine / ベル / グリーヴァ / ギガマウス / the Raid. / AvelCain
[握手会]グリーヴァ

8月1日(土) 名古屋E.L.L
【出演】Lycaon / FEST VAINQUEUR / ベル / 黒百合と影 / ジン / The 3rd Birthday(O.A.)
[握手会]ジン

8月2日(日) 京都MUSE
【出演】FEST VAINQUEUR / ベル / ジン / 少年記
[握手会]FEST VAINQUEUR

8月11日(火) 岡山CRAZYMAMA KINGDOM
【出演】FEST VAINQUEUR / ベル / the Raid. / AvelCain
[握手会]the Raid.

8月13日(木) 福岡 DRUM Be-1
【出演】FEST VAINQUEUR / ベル / ギガマウス / パノラマ虚構ゼノン
[握手会]べル

8月15日(土) 大阪BIG CAT
【出演】FEST VAINQUEUR / ベル / グリーヴァ / ギガマウス / the Raid. / AvelCain / 黒百合と影
※大阪公演では終演時間の関係上、握手会の開催はありません

[各公演共通]
OPEN 16:00 / START 17:00(O.A.は16:25~)
チケット:前売り 3,700(tax in)  当日 4,200(tax in)
※オールスタンディング、入場整理番号有り
※ドリンク代別途(代金は各会場ごとに異なります)
※購入されたチケットの定価以上での売買、またそれを試みる行為を禁じております。
転売されたチケットは無効とし、ご入場をお断りする場合もございますので予めご了承下さい。