Shock Edge Vol.11 渋谷REX公演 ライブレポート!
新鋭バンドが鎬を削り合う!!
「Shock Edge Vol.11 -stylidh wabeへの道-」ライブレポート
新鋭バンドの登竜門イベント「Shock Edge Vol.11 -stylish waveへの道-」が6月28日(日)渋谷REXにて開催された。今回はthe Raid./えんそく/AvelCainをゲストにベル/CLØWD/Sick2が登場。新鋭バンドが鎬を削り合った激戦の模様をレポートします。
TEXT:河内香奈子
□Sick²
トップバッターはオーディエンスを捲し立て挑発的なステージングをぶつけたSick²。パラパラを踊るように歌うダンスナンバー「CLUBSICK」で火蓋を切ると、白いニットスウェットを着たジェネ(Vo)の先導のままに踊るオーディエンスのフラッシュリングがミラーボールのように色彩を乱射する。”ジェネさま絶対”の掛け声の下、楽器隊も演奏をやめ踊り始めたりと、登場早々から独特の世界観をぶつけてきたSick²は一転して、ヘヴィかつ攻撃的な「VOID」で激しいモッシュを巻き起こした。会場に中指を立て言葉にならない叫びをぶつけるジェネを前に、オーディエンスは激しく髪を逆立てていく。
MCでは、会場を暗転させると朗らかに話すロッシー(Dr)を早口にジェネが捲し立てたり、バックステージを語るとまるでラジオのような掛け合いを繰り広げる。そんなMCの勢いのまま、どこか歪でメルヘンなサウンドに乗せ社会風刺する「ロデオドライブ」へと雪崩れこむと、アイドルのようにペンライトをくるくると閃かせるジェネは真顔でオーディエンスを罵倒し続けていた。最後は煽りの勢いのままラストを迎えようとしたところ、同期が停止するアクシデント。そこはジェネが突然のダンシングタイム&捲し立てで場を繋ぐと「ヴィデオドローム」へと駆け込み、シャウトに合わせて拳をぶつけさせヘッドバンキングで暴れさせると狂乱の祭りを起こす。最後までオーディエンスへと媚びるどころか煽り続けたSick²。ロッシーが最後ににこやかな笑顔で挨拶をする緩急もまた見物。
[SET LIST]
1.CLUBSICK
2.VOID
3.ロデオドライヴ
4.ヴィデオドローム
□CLØWD
続いて登場したのは、池袋EDGEワンマン公演がチケット発売と共に即ソールド。来年1月にバンド発足1年にして渋谷O-WESTでのワンマン公演が決まっていることで注目を集めているCLØWD。
冬真(Gt)&庵(Gt)が打ち込むドラムタムが幕が切り開くと、アップナンバーな「WAKE UP」へと駆け込む。雄々しく手を広げ歌うKOU(Vo)を筆頭にステージ上で激しく舞うように奏でる5人は初っ端から激しく会場を揺らしてみせる。庵のラップタイムで勢いを加速させると、ゆったりとしたサウンドに合わせてクラップした「四人五脚」では、一転してウォール・オブ・デスで激しくオーディエンスをぶつかり合わせたりと急激な緩急の連続に思わず体が揺れ動いてしまう。CLØWDのステージングにはオーディエンスを楽しませる趣向が凝らされているが、5人を含め会場に居る全員が”楽しむ”ということに重きをおかれているのだろう。MCではKOUが「ここから2週間ライブができないのが凄い嫌で。だから、今日と言う日に何も残さず俺たちの思いで埋め尽くしてやる」と宣言。その勢いのまま、ラウドなサウンドが奥底に眠る感情を引きずりだす「セブンスセンス」へと流れ込む。重厚感あるサウンドに乗せ会場を大きく揺らすと、冬真&庵のユニゾンが駆け巡り、猟平の色気あるベースサウンドに心掴まれ、疾走するドラムサウンドが一体感を作り出す。
「叶わない夢などないということを俺たちCLØWDが証明してやるよ」――最後はそんな言葉を象徴するような雄大なサウンドが染み渡る「キミトボクラ」で締めくくった。ヴィジュアル系という枠に囚われず、自由に音楽を楽しむこのバンドは大きな可能性を感じさせてくれた。そして、それに胡坐をかくことなく謙虚に歩むCLØWDだからこそ、ソールドという形で夢を託しオーディエンスが応えているのだろうと感じられた。
[SET LIST]
1.WAKE UP
2.四人五脚
3.セブンスセンス
4.キミトボクラ
□ベル
3番手は”歌謡サスペンス”をコンセプトに掲げどこか懐かしさを感じるメロディアスな楽曲を武器とするベル。受話器を取る音が流れると昭和モダンなSEの中、黒い法被を羽織ったメンバーが登場。乗っけからレトロな雰囲気を纏ったアップテンポなナンバー「やってない」でオーディエンスを右へ左へくるくると舞い踊らせる。正人(Dr)のシンバル音がまるでチンドンのような音を奏でると祭りのような雰囲気を作り出し、そこへ明弥(Ba)が彩を与えると、夢人(Gt)が攻撃性を加え三位一体のサウンドを作り出す。続けて、哀愁漂うギターサウンドが印象的な「ノンフィクション」へと流れ込む。どこか懐かしさと切なさを感じるサウンド、ハロ(Vo)の芯のあるのびやかな歌声がライブハウスを歌謡ショウのステージへと変える。そして、「バイバイ」ではザクザクとしたギターサウンド、重厚感あるベースサウンドのユニゾンを弾けさせると、”バイバイ”の歌詞に合わせ無数の掌が舞い踊った。
ラストは軽やかでダンサブルなナンバー「スローヱモーション」でくるくるとタオルが宙を舞い、激しく会場を揺らしてみせた。ベルは「stylish wave CIRCUIT'15 夏の陣」にほぼ全箇所参戦。そして、10/18に新宿ReNYにて1周年ワンマンを開催する。彼らの昔懐かしいステージへと足を運んでみてはどうだろうか?
[SET LIST]
1.やってない
2.ノンフィクション
3.バイバイ
4.スローヱモーション
□AvelCain
4番手は悲哀と情念が宿るサウンドで狂乱の渦を巻き起こしたAvelCain。ステージ上に張り巡らされた「絶望」の半紙。おどろおどろしいサウンドの中、赤子の泣く声が響いた時点で既にAvelCainが空間を絶望的に支配し始めていた。重々しく心を奈落へと落としこむ「蛇と姑獲鳥」からライブの幕が開けると、無機質なようで悲痛さを帯びた業-karma-(Vo)の歌声が空間へと這いずり回る。暗転した空間にゆりかごのがちゃがちゃとした音が鳴ったかと思えば、業の悲痛な叫びが心を引き裂く。そして、空間を劈くような絶叫が響くと「PSYCHO」にて激しく髪が舞い上がる。楓-kaede-(Gt)と禅-zen-(Ba)が織りなす痛快なサウンドに発狂したように暴れ続けるオーディエンス。
「今日も明日も僕だけ見ていればいい」――暗転した空間で絶叫するようにメンバーの名を叫ぶ声が響くと、再び光が射し混み黒い傘を差した業-karma-の姿が目前へと現れ重低音が魂の奥底まで染みわたる「ID」へと流れこむ。悲哀を帯びた重低音が重く胸へと突き刺さる。そして、カランコロンと「手毬唄」が流れると、業-karma-は紙風船を客席へとそっと落とし、情念の籠った叫びに乗せ激しく髪が舞い上がる。ラストは手と手と繋ぎ”はないちもんめ”で遊ばせる「花一匁」で会場を大きく揺らしてみせると、AvelCainは闇をも凌駕する圧倒的な存在感を示してくれた。
[SET LIST]
1.蛇と姑獲鳥
2.PSYCHO-サイコ-
3.ID
4.手毬唄
5.花一匁
□えんそく
5番手は絶望を飲み込むコミカルな笑劇を繰り広げ、抜群の演奏力を披露したえんそく。「みんなおいで!楽しいえんそくを始めるよ!」という陽気な女の子の声と共に幕が開けると、盆踊りの姿勢で静止した星子さんが登場。華麗な舞を披露すると、後ろからぶう(Vo)が現れると星子さんの首元へチョップを食らわせる。そんな茶番から「夜泣く!噂の赤んぼ少女」を繰り出すと、えんそくの時間へといつの間にか飲み込まれていた。高い演奏力で重厚感あるレトロなサウンドを響かせていくその表情は実にコミカルで目が離せない。ジャジーなサウンドが響き渡ったかと思いきや、ぶうの「ぶっ殺せ!!!!」という叫びを合図にウォール・オブ・デスを起こしオーディエンスを激しくぶつかり合わせたのは「Dancers.」。決めに合わせて手を上げ壁にめり込む勢いで左右に分かれるステージ上にくすくすと笑いが起こりながらも、会場全体をいつの間にか輪へと加え踊らせていくえんそく。
MCでは「こんなにスタイリッシュじゃない我々がゲストでいいのかい!!!!」という煽りの勢いのまま、クラオカユウスケ(Gt)、Joe(Gt)、ミド(Ba)が織りなす攻撃的なサウンドに乗せ”ゴリラ”と連呼する「ゴリラの丘」へと流れ込む。タイトルに面食らっていたところに正統派なヴィジュアル系サウンドでヘッドバンキングを起こし、サビはメロディアスに聴かせる、えんそくの持つ力・意外性が集約されたエモーショナルな楽曲だ。ラストを締めくくった「スーパーゴードン」では、会場の中心となる人へペンライトを渡すと、ぶうの「出発進行!!」の掛け声と共に、ペンライトを中心にサークルモッシュを起こしてみせた。ぶうが「脱線事故だー!!」と叫ぶと暴走機関車(えんそく)はシュッシュとステージの外へと捌けて行った。この日は予行練習を含めて3度のサークルモッシュを起こしたが、えんそくのワンマンに足を運ぶとこれが延々と繰り返されるとのことなので、是非とも足を運び耐久レースへと参加してはいかがでしょうか。
[SET LIST]
1.夜泣く!噂の赤んぼ少女
2.Dancers.
3.ゴリラの丘
4.スーパーゴードン
□the Raid.
この日のトリを務めたのはthe Raid.。ヴォーカル星七の不調により、代打でex.LUCHe.斗真がサポートヴォーカルとして登場。熱気高まるステージングを繰り広げてくれた。
水が水面へと滴る涼しげな音が響き渡ると、メンバーが登場。デジタルな電子音と淡く繊細なサウンドがコントラストを描く「純潔ピラニア」からライブはスタート。激しく拳を打ち付け、モッシュ・折り畳みを起こす勢いにヴォーカル不在の代わりにステージ、オーディエンスが一体となって盛り上げようとする熱意を感じた。bo_ya(Gt)のヘヴィなギターサウンドが切り開いた「欠落LOVER」では、斗真が時折り歌詞を忘れてしまいながらも、笑みを浮かべサポートするメンバーの姿を前にオーディエンスは激しく暴れ続けていた。
「どすこーい」という定番のMCで盛り上げたbo_yaに続き、「衣装は我らが星七社長のなんですが、フィット感がいいやんと思ったんですけど、『ピラニア』のジャンプでウエストがおっちゃんの方が大きいからあばばばばってなってん」とにこやかにコメントすると、「それは俺への当てつけか」とbo_yaの反感を斗真が買う事で笑いが起こる会場内。そんな一コマもありつつも十分すぎるほどに温まった会場に、煌めき溢れるサウンドから幕を開ける「色彩モノクローム」でモッシュを起こす。途中、歌詞を飛ばしてしまい申し訳なさそうにする斗真をオーディエンスは勢いよく暴れることで暖かく受け入れることで、会場全体に笑顔が舞っていた。ラストは「HEARTLESS」で激しく髪を舞い上がらせると、サビではのびやかなメロディに合わせてタオルがくるくると舞いあがった。最後はthe Raid.のライブでは定番の「レイダースの輪」を作り、トリに相応しい大盛況を起こし幕を閉じた。
[SET LIST]
1.純潔ピラニア
2.欠落LOVER
3.色彩モノクローム
4.HEARTLESS
□トークショー
ステージの最後には各バンドの代表者である、ジェネ、KOU、ハロ、業-karma-、ぶう、星七での「トークショー」を開催。星七は歌う事はできないが、話すことはできるということで「ライブ続きで喉に炎症を起こしてたんですけど、回復に向かっているので7月からはライブに出させてもらえればと思って。持つべきものは友達だなと思いました」とのメッセージを届けた。そして、じゃんけんで勝ち残った人に代表者からの豪華プレゼント企画も行われました。
新鋭バンドが鎬を削り合ったこのイベントから本戦「stylish wave」へ駒を進めるバンドは出るのだろうか!? 今後のバンドの動向に注目しつつも、この夏始まる「stylish wave CIRCUIT'15 夏の陣」の勢いに乗り遅れることなかれ!
(TEXT:河内香奈子)
NEXT EVENT
Shock Edge Vol.11-stylish waveへの道-
2015年6月20日(土)大阪RUIDO OPEN 16:00 / START 17:00
2015年6月28日(日)渋谷REX OPEN 16:00 / START 17:00
前売り¥3,500- / 当日¥4,000- (消費税込み)
※オールスタンディング / 入場整理番号有 / ドリンク代別
<出演>
【6月20日】AvelCain(ゲスト) / ジン(ゲスト) / ベル / Crimson Shiva / The 3rd Birthday / Synk;yet
【6月28日】the Raid.(ゲスト) / AvelCain(ゲスト) / えんそく(ゲスト) / ベル / Sick² / CLØWD