PS COMPANY PRESENTS『攻撃ハ最大ノ防御ナリ。』5時間半ぶっ通し、狂乱のお祭り騒ぎ。
4/5(日)PS COMPANY PRESENTS『攻撃ハ最大ノ防御ナリ。』
@オリンパスホール八王子
PS COMPANYクルー全体を上げたお祭りとなったこのイベントは、タイムテーブルの事前公開や、出演メンバーによるアイテム販売企画の実施。楽屋芸人による舞台の裏側動画の公開や、転換中の先輩後輩入り乱れたトークのコラボレーションなど、様々な方向性から来場者を盛り上げようと試行錯誤が施されていた。結果を先に述べるのであれば、それだけの思いが詰められたイベントが大成功しない訳がない。
当初予定されていた日比谷野外音楽堂からオリンパスホール八王子へと舞台を変えるアクシデントにも見舞われたが、この日の天候は曇天のち雨。幸いととるか皮肉ととるか。そんなもの臨戦態勢で挑んだ彼らの姿を見ていたら取って足るものではなかった。イベントタイトル通り、「攻撃」一貫のステージングを魅せた全12組が、春の大嵐を呼ぶ狂乱のお祭り騒ぎを巻き起こした。その模様をここにお伝えしよう。
TEXT:河内香奈子
■レイヴ
トップバッターを飾ったのはレイヴ。3月に九州から上京したばかりの彼ら。初となるホールの舞台で披露したのはキャッチーな疾走感のある『ヨクバリーゼ』。物応じしないレン(Vo)のアグレッシブなステージングに答えたのか、会場内は早くも火が付いたようにヘッドバンキングが巻き起こった。続く『Day×Bye×day』では、ビビッドに彩られた爽やかなメロに乗せ”君に見せたい 見せなきゃいけない景色がある”と歌う。6/19(金)に池袋EDGEにてワンマンを行うレイヴ。そこに留まらず更なる舞台を目指して歩んでいきたいという彼らの決意が感じられた。
そんなステージに突如として野球ユニフォームにニーハイを着用した”ニーハイブラザーズ”こと、ダウト幸樹(Vo)とSCREW鋲(Vo)が登場。ニコニコ生放送で行われた特別番組内で結んだ公約を実行しにきたというのだが、恥ずかしいのか内また気味に客席から距離を取ろうとする2人。ちらっと見える絶対領域に客席からは血管の浮かぶ勢いで歓喜の声が上がった。最後は会場が一体となり、レイヴ恒例の掛け声「サディスティック!!」と叫ぶと暖かな拍手で包まれた。
■the LOTUS
紫のサーチライトがなにかを探し出すように怪しく会場をぐるぐると見渡す中、白いマントを被ったthe LOTUSがフロアを通り抜け登場。その姿を露わにすると、『A.P.O』が高らかに始まりを告げた。激しくヘッドバンキングをするオーディエンスの目前で、楽器隊が一糸乱れぬ動きで自らの楽器と共に大きく回転するパフォーマンス。サイバーパンクのような無機質な世界を描きだすサウンドにレイ(Vo)の凛とした声が重なることで激情という名の色を付ける。そんな世界を夜と例えるならば、続く『Grace』はその夜の中から抜け出そうと手を差し伸べるような光の瞬きを感じる曲だ。「一緒に夢を描こうか」――この舞台で堂々のステージングを見せた彼らならば、8/28(金)に行われる新宿ReNYワンマンの舞台も確かな現実へと変えてくれるのではないだろうか。そんな片鱗を感じられた。
■BORN
BORNの代名詞である『RADICAL HYSTERIA』で幕を開けると、「八王子を壊す」と猟牙(Vo)が曲中に宣言し、ホールの特性を生かし着席させたオーディエンスを合図と共に激しくジャンプさせるなど破天荒なステージングを魅せる。続く『THE STALIN』ではK(Gt)、Ray(Gt)の攻撃的なギターサウンドに迎合され激しいヘッドバンキングを巻き起こすと、独裁者へと祈りを捧げるように折り畳みの波がさざめく。『SKIN』では紫の照明に照らされた淫靡な空間で怪しく蠢くように掌が舞った。「前半ライブを見ていたけれど、まだまだいけるな。まだまだ温いなと思いました」煽りの勢いのまま流れ込んだ『DEMONS』で再び激しく髪を舞い上がらせると、『Criminal Berry』では操り人形のようにガクガクと関節を揺らす猟牙に導かれるように乱舞するオーディエンス。ラスト『ケミカルロマンス』ではフロアを闊歩する猟牙を逆ダイの渦が取り囲んだ。BORNは4/26(日)新宿BLAZEでワンマン公演を行う。たった5曲で八王子の地を支配した彼らならば、新宿BLAZEで最上の破壊を見せてくれるだろう。
■花見桜 幸樹
4番手には、先ほどのニーハイ姿とは打って変わってきちっとした真紅のジャケットに身を包んだ花見桜 幸樹が登場。2月に日本歌謡デビューをしたばかりの花見桜は、初の生演奏を背負っての歌唱となる。バックバンドにViViDよりRENO(Gt)、Kraよりタイゾ(Gt)とこのイベントならではの豪華なギター隊を率いると、『雪國』のアコースティックカバーを披露。柔らかに哀愁を引き立たせるアコースティックの音色に、花見桜の芯のある歌声が重なり絶妙なハーモニーを奏でた。デビューシングルである『アイラブ東京』では、花見桜の掛け声に”こうちゃん!!”とレスポンス。フロアへと降り立った花見桜が手を振り歩いて回るなど歌謡ショーさながらのファンとの温かな掛け合いを見せた。
■テキーラ東京
中国の皇帝さながらの出で立ちで登場したのはテキーラ東京。そのバックにはチャイナドレスを着た女性二人とオーケストラを率いている。「ここにいる全員は幼少の頃よりカンフーを嗜んでおります。それを皆様にご覧いただきましょう」そう宣言すると、俊敏にカンフーの舞を披露する彼ら。一対何が起こるのかと騒然とする会場に、テキーラ東京が打ち出したのは米米CLUBのカバーである『King-Fu Lady』。ジャジーなオーケストラのサウンドと弾けるバンドサウンドが融合した曲調に合わせて、バラライカKU(Vo)はパンチやキックを模した舞を披露するなどアグレッシブに動き回る。駆け抜けるロックナンバー『空中ブランコ』でモッシュを引き起こすと、新曲『恋ポタージュ』を披露。まるで喜劇の一場面を見ているかのような不思議な空間を作り上げた。毎月クラブチッタ川崎にてワンマン公演を行っている彼らの元を訪れれば、更なる衝撃と笑劇が待ち受けているであろう。
■ViViD
4/29(水)パシフィコ横浜公演をもって解散が決定しているViViDはこの日が最後のイベント出演となった。メジャー進出への決意を表明した曲である『「夢」~ムゲンノカナタ~』からライブはスタート。『Winding Road』ではシン(Vo)が一人一人を見つめるように会場を見渡し”これから先の旅路で誰も置いていかない”と思いを届けているようだった。重低音が重くのしかかるラウドなロックナンバー『vanity』で会場を大きく揺らすと、跳ねるようなベースが始まりを告げた『RIDE on time』では、身に秘めた激情を解放するように唸りを上げるRENO(Gt)、RYOGA(Gt)のギターに合わせ拳が天高く突き上げられた。「終わるからこそ伝えられることがあるし、終わるからこそ見れる景色がある」と告げた『Good Morning World』では眩い閃光の中で反響する嫋やかな音色とともに、終わりを迎えようとするViViDだからこそ生み出せる、”新たな目覚めがあるのではないか”という予感が感じられた。

転換の幕間にアロハシャツに半ズボン、サングラスを着用したトロピカルな装いのやまぴかりゃーが「はいさーい!!」と沖縄から!?の来場。「ワンマンツアーのファイナルという体」「スマホを見ながら歌います」と笑いを誘うと、新曲『アメリカン・ショートヘア』を披露。島国の朗らかさを感じるメロディーに合わせてタオルがくるくると宙を舞った。切なさを感じさせるピアノの音色が告げた『ねこまっしぐら』。猫の気持ちになって歌った属種を超えたラブソングをスコーピオンSASORI(NAOKI)とタランチュラ(景夕)の奏でる甘く切ないハーモニーでしっとりと歌い上げた。曲中、手振りを交えて「にゃにゃにゃ」と愛らしいコール&レスポンスが登場する場面も。照れることなくやりきった彼らに賞賛の拍手を送りたい。
■SCREW

そんな陽気さが漂う空間を喝采と絶叫で黒く染め上げたSCREW。手を大きく交差させ祈るように幕を開けた『Barbed wire』では冒頭から激しいヘッドバンキングの嵐が巻き起こる。その前方で赤く点滅する照明が”こいつらは危険だ”と警告しているようだった。切りつけるような和己(Gt)のギターが開示した『DIE・KILLER・DEAD』では、鋲(Vo)の狂気的な囁きに脳を犯されたかのように激しく頭を振り乱すオーディエンス。「うちらドMなんでもっと沢山の声をぶっかけて下さい」と告げた鋲に絶叫が飛び交う中、「チャックが開いていたので待ってください」と笑いが起こるギャップも彼らの魅力の一つ。4/22(水)にリリースするミニアルバム『昏睡』のリードトラック『ANITYA』では、儚く幻想を描く世界にテクニカルなサウンドで現実を投影する。狂乱のパーティーチューン『FUGLY』でサイケデリックな照明に照らされ踊り狂うと、ラストは『VEGAS』で怒涛の嵐を起こし会場を揺らした。
■ダウト

野球アナウンス音声が開幕を告げると、情緒を感じるはんなりとしたメロディーの『中距離恋愛』でファンファーレを鳴らす。幸樹(Vo)の色気を感じる指運びで遊ばせるように客席を揺らめかせると、「俺たちに感電してくれますか?」と告げた『感電18号』でムード歌謡とバンドサウンドが見事に混合した音色でエレクトロな刺激を与えた。「人生は?」という問いかけに”バラ色!!”とコール&レスポンスで一体感を作った『バラ色の人生』。色とりどりに照らされる空間でタオルが天を舞う光景がなんとも華やかさに彩られていた。そんな光景を朱殷に染めたのが『MUSIC NIPPON』。ジリジリと追いつめるかのような鋭い歪みを奏でるギターサウンドに合わせ、”NIPPON”と叫ぶと今まで秘めていた荒々しい感情を露わにさせた。ラストは爽やかに駆け抜ける『フェンダー』。眩い白光の元でダウト流の応援歌を贈った。最後はバンドサウンドに乗せた『三三七拍子』で会場が一丸となりその場を締めると、マイクを口元から話した幸樹が「愛してるぞー!!」と肉声で感情の高ぶりをぶつけた。
■WK

ヴォーカル猟牙(BORN)、ギターRENO(ViViD)、ベースK(BORN)、ドラム靖乃(Kra)から構成されるこのイベント限定のバンドWK。白い衣装を纏った彼らは『White White White』でイベントタイトルにも用いられている「攻撃と防御」をワードにしっとりと歌う一方で、「靖乃はとてもいい人 でも本当は変な人」と自己紹介がてら彼らの二面性を暴露。パンキッシュなロックナンバー『Kick Kick Kick』では、意味もなく「Happy new year!!」と猟牙が叫び、暴れ狂う。この日限定のバンド、曲もオリジナルにつきなんでもござれの自由奔放。途中、花見桜 幸樹が登場したり、猟牙が客席へと降り立ったり、即興で歌詞を作って歌ったり。その結果、持ち時間10分を超えていたのだが、生モノであるからこそ産み出される破天荒な魅力と各自の卓越とした演奏力が抜群の説得力を与えた。このバンド、ヴィジュアル系に変革をもたらす存在となるのでは?と期待してしまったのは筆者だけではないだろう。
■NAOKI

黄色い閃光の元、身体に重いビートを刻みこむベースが衝撃を与えた『どうかしてるぜ』。荒々しくエッジの効いたサウンドに負けじと、反骨精神を体現するようなしゃがれたNAOKI(Vo&Ba)の歌声が痛い程に燻る思いを訴えた。笑いを交えたベテランならではのMCで会場を更に惹きつけると、『Shyな君へ』に突入。ハードな音の中に優しさを感じるラブソングを真っ直ぐな視線と共にぶつけた。そんな思いに触発されたように天高く拳を打ち付けるオーディエンス。7月に東名阪を回るツアーを開催することを告知したNAOKIは、惜しむ声に見送られつつもステージから去った。
■Kra

トリを飾ったのはKra。結良(Ba)のベースが空間に重く圧し掛かり不規則なリズムを与え、反響した『artman』でKraの歪んだワンダーランドが開演。激情渦巻く捻じれた空間で軽やかにステップを刻みにこやかかに歌う景夕(Vo)の姿がなんとも異質さを演出していた。靖乃(Dr)が奏でるドラムが道しるべとなった『不思議な世界からの招待状』では、舞踏するように跳ねるリズムに自然と身体が揺れ動く。一曲の中にミュージカルの全編が集約されているような感覚。目まぐるしく表情を変える展開を描きだせるのが彼らの魅力の一つだろう。タイゾ(Gt)のアグレッシブなギターから流れ込んだ『例え』では、パレットに並ぶ色とりどりの絵の具のようにカラフルな音色をオーディエンスへと塗りたくった。次の曲で終わりであることを告げると惜しむ声が上がる。「一つ格好いいこと言っていいかな?後輩たちの為にさ、時間を短くするものだよね先輩って。本当はテキーラが出てたからとかそういう……げふん」そんな茶目っ気のあるMCからラスト『エキストラキングダム』へ。水中に淡い光が射しこむような柔らかさを持つメロディーを、感情的ながらも柔和な景夕の歌声が酸素のようにすっと胸に浸透した。

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