the GazettE ‘15.3.10 LIVE at 日本武道館 13TH ANNIVERSARY 13-THIRTEEN-
3月10日(火)にthe GazettEが日本武道館を舞台に、結成13周年を祝したライブ「13TH ANNIVERSARY 13-THIRTEEN-」を行った。
日本武道館の周辺には、メンバーの使用モデルを展示した「楽器展」ブース。
実際にメンバーが使用した楽器に触れ、写真撮影が出来る「撮影」ブース」。13周年を記念し、この日だけ展示した「13周年パネル展」ブース。
メンバーへ13周年のお祝いを書き込める「メッセージボード」ブースを設置。開場前から、そのブースを目当てに数多くのファンたちが足を運んでいた。
文:長澤智典
「Ⅰ」「Ⅱ」「Ⅲ」…。ライブは、巨大なスクリーンに映し出された数字の文字がカウントアップされるごと、舞台後方へ設置した巨大な十三段の階段へ一段一段スポットライトが当たる形で始まった。
重厚な…いや、メンバーの弾きだすとても重苦しい音が場内中を漆黒に塗り潰しだした。やがて十三階段の先に大きな演説台と一緒にRUKIが姿を現した。まるで何かを唱え、アジテートしてゆくように台上で続けてゆく。
場内を埋めつくした観客たちの視線が、すべて頭上のRUKIへ注がれていた。その姿はまるで、この空間を支配する総裁者のようにさえ見えていた。
西洋では不吉として厭味嫌われる「13」という数字。宗教的な観点や、異なる視点からでも「13」は不吉な数字として避けられる傾向が強い。
反して、「未知数」というポジティブな面で受け止められる説もある。とはいえ大概は、先にも触れたネガティブな意味で捉えてゆくことがほとんどだ。
今年で結成13年目を迎えるthe GazettE。彼らが単に周年を記すために「13-THIRTEEN-」という言葉を持ってきたのでは無いことは、容易に想像出来ようこと。
ただし、そこへ込めた深い意味や想いは、これからの彼らの活動を通して次々と明かされていく。その話は、後に改めよう。
舞台中央にスッと飛び出たRUKI。
ライブは『INSIDE BEAST』へ。ヘヴィでノイジックなマーチングサウンドが流れ出すと同時に、観客たちが一斉に踊り騒ぎだした。その後も『VORTEX』や『Worthless War』『Psychedelic Heroine』など、ライブの前半部分には、最近のthe GazettEらしさを象徴するラウドに疾走してゆくバイオレンスなサウンドを魅力にした曲たちを設え、観客たちの気持ちを激情させ続けていた。
ラウドな音の唸りが身体へ響くたびに、頭振り乱し騒がずにはいれない気分。そんな鋼の音の洪水に交じり、初期the GazettEナンバー『赤いワンピース』をさりげなく組み込み、観客たちに嬉しい高揚もたらす刺激も与えていた。
スケールあふれた音のウネリの中へ観客たちを巻き込んだ『Crycify Sorrow』。荒れ狂う葵のギターの唸った渦の中へ嬉しく溺れた、重厚な『Sugar Pain』。
中盤には、哀切な表情を持った楽曲たちを集約。切々とした声色を持って歌いあげた『reila』、嘆くように歌が胸を貫いた『QUIET』、ダブな要素も魅力にした雄大な広がり描いたダークナンバー『虚無の終わり 箱詰めの黙示』と、ここにも13年の歴史の中の断片を散りばめながら、表現の深化ぶりを提示。あえて多岐に渡る時代の楽曲を並べることで、短い時間の中からさえバンドの表現の変化を感じ取れたのも、嬉しい見どころだった。
ザクザクとした音を突き刺したフリーキーな『MY DEVIL ON THE BED』より、ライブは、感情を荒々しく掻き立ててゆく熱狂のブロックへ。
「頭ブチ切れるまで辞めねぇぞ!!イケるかお前らー!!」。
RUKIの煽りを合図に叩きつけた『VENOMOUS SPIDER'S WEB』では、舞台上と客席の間でヘドバンや折り畳みを軸に据えた熱狂のバトルが繰り広げられていた。
「BREAK×4」の声が飛び交ったヒステリカルでサイコティックな『ATTITUDE』。『HEADACHE MAN』では、思いきり脳天へ鉄槌振り下ろされたくらいの衝撃を実感。
『DISCHARGE』で会場中がヘドバンの嵐に包まれれば、RUKIが「お前らの首をよこせ!!」と叫び叩きつけた緩急抱いた『Filth in the beauty』まで、後半から終盤にかけては、まさに重厚で重量感を持った音で脳細胞を震撼させてゆく"激ロック"な熱狂ナンバーを次々と放ち、会場中を熱狂の渦へと巻き込み続けていた。
アンコールでは、『TOMORROW NEVER DIES』のよう、ラウドグルーヴな音を軸に据えて以降に誕生した楽曲も交えてはいたが、『春雪の頃』のような活動前半時期の歌物曲も登場すれば、the GazettEのライブではお馴染み、止まぬ煽りが続いた『関東土下座組合』や、会場中がモッシュしたりと暴れ祭りと化した『LINDA~candydive pinky heaven~』と、活動初期から熱狂には欠かせない曲たちを披露。さらに最後には『未成年』も演奏。思わぬ楽曲の登場に、観客たちも覚める熱狂と興奮に溺れ続けていた。
Wアンコールでは、"泣き"と"攻め"/"激烈"と"高揚"な要素をミックスさせた、ラウドでドラマチックな『新曲』も届けてくれた。この表情が、今年8月にリリースとなる8THアルバム『DOGMA』に繋がっていくのか?!。そこは気になるところだ。
ここまで駆け足で紹介してきたが、この日のライブを通して改めて感じたのが、彼らは13年間の歴史をこの日のライブへ集約することで、改めて自分たちの根底にある意識を確認しようとしていたのではないか??ということだった。
この13年間の歩みの中、サウンド面での転換期というのは間違いなくあったこと。でも、意識的な面での変化は??と言うと、表現面での多様さは生まれながらも、根底にある「向かう意識」には、一切の振れがないことを実感。何時だって彼らは、腐った世界をスプレーで塗り潰しながら歩み続けてきた。
だからこそ『未成年』を歌いながら、自分たちの表現へ向かう足元は何もぶれちゃいないことを示したかったし、自分たちでも確かめたかったのではなかろうか??。これはあくまでも私的な想いのように、彼らの意図はまったく違うところにあるのかも知れない。13年間のバンドの歩みを示したうえで、最後に新曲を奏で未来へ踏み出した姿勢を掲げた姿に、いろんな想いを想像してしまった。
「THE BEGINNING OF OMINOUS YEAR」(不吉な年の始まり)という言葉を掲げ、6つの動きを見せてゆくthe GazettE。きっとこの日のライブの真意も、その後の展開に触れることで説き明かされてゆくのかも知れない。
[セットリスト]
1. 13 STAIRS[-]1
2. INSIDE BEAST
3. VORTEX
4. Worthless War
5. Psychedelic Heroine
6. 赤いワンピース
7. Crucify Sorrow
8. Sugar Pain
9. reila
10. QUIET
11. 虚無の終わり 箱詰めの黙示
12. MY DEVIL ON THE BED
13. VENOMOUS SPIDER’S WEB
14. ATTITUDE
15. HEADACHE MAN
16. DISCHARGE
17. Filth in the beauty
アンコール
1. 春雪の頃
2. TOMORROW NEVER DIES
3. 関東土下座組合
4. LINDA~candydive pinky heaven~
5. 未成年
ダブルアンコール
1. 新曲
the GazettE Official Site
2015.03.11.19:00 starting PROJECT : DARKAGE
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