INTERVIEW

SUGIZO ロングインタビュー 第1回(全4回)「LUNATIC FEST.は、きっと近年稀に見る衝撃的なフェスになると思うよ。」

SUGIZO

25周年ツアーを終え、そのファイナルともいうべき画期的な大イベント「LUNATIC FEST.」を控えているLUNA SEAのSUGIZOに、超ロング・インタビュー。
本日発表されたばかりの「LUNATIC FEST.」についてや、LUNA SEAやX JAPAN、JUNO REACTOR、ソロ・ワークスと多岐にわたる彼の活動、さらにはギタリスト会や平和活動、シーンに対する愛情、プライベートな一面まで、じっくりと話を聞かせてもらった。
この20年間、常にシーンの最先端を走り続け、世代やジャンルや既成概念の壁を壊し続けてきたSUGIZOのほとばしるエナジーは、約2時間半に及んだインタビュー中に発した数々の言葉の端々から伝わってくる。
彼が様々なツールを用いて発信する想いを、是非、あなたの目で耳で心で感じとってほしい。
 

ポートレート撮影:Zhang Jingna / インタビュー:大島暁美
Portrait by Zhang Jingna / Interview by Akemi Ohshima

 

とにかくエンターテインメント・ビジネスが、純粋な表現やアートに対して間違っている方向に進んでいる。だから、本気でやっているミュージシャンたちが一堂に会して、シーンを震撼させたいと思った。


――LUNATIC FEST.の出演バンドが発表になりましたね! まず、このフェスをやろうと思ったきっかけを教えてください。
SUGIZO ヴィジョン自体は何年も前からあった。現代の音楽シーンって、本気で音楽をやってるバンド、ミュージシャンたちが、90年代のようには報われない。今、本気で音楽に命をかけているミュージシャンたちは、メジャーのシーンで大きくなりたいという気持ちすら、最初から持ってない奴らが多い。
 彼らは皆インディーやアンダーグランドというシーンでやっていて、メジャーな音楽シーンはジャニーズやAKBやEXILEのようなメガな存在だけが跋扈しているという現状が、果たしていいのだろうか?と思うわけですよ。
 俺たちが20代で突っ走ってた90年代は、本気で音楽に魂を捧げた人には、ちゃんとそれ相当の結果や見返りがあった。まあそれが目的でも本末転倒ではあるけれど、命を懸けて音楽をやって、自分の表現をし、続けていたら、気がついたら武道館や東京ドームやチャートの上位に食い込むような時代だった。
 別にヒットチャートを制することだけが音楽の正しさじゃないし、他者と競争することは重要ではない、と今の俺は思うけれど、そうはいいながらも、今、本気のミュージシャンたちがないがしろにされすぎている状況は腹だたしい。
 音楽シーンは=(イコール)ビジネスで、ビジネスとして勝つものだけが優遇され、そうじゃない表現やアートはただのアンダーグランドなものとして追いやられてしまう。それはロック&ポップ・シーンだけではなくて、ダンスもジャズもクラッシックのシーンも含まれる。今は昔よりもその傾向が顕著になってきている。
 とにかくエンターテインメント・ビジネスが、純粋な表現やアートに対して間違っている方向に進んで来ている。だから、本気でやっているミュージシャンたちが一堂に会して、シーンを震撼させたいと思ったんです。アンダーグランドも超メジャーも、志やアティテュードは同じ同志が集まる。
 最近、よく取材などで「今のロックバンドは、元気がないですよね」っていわれるんだけど、俺は今の若手のロックバンドたちは本当にすごくカッコいいと思っている。ただ昔みたいにチャートの上位にいたり、ビジネス的に大成功を手にするチャンスが減ってきただけで、俺は20歳年下のバンドに驚愕しますよ、本気で。素晴らしいアーティストが、無数に存在している。
 でも、そういうことを俺がいうのも、実はおこがましいのかもしれないな。若手のバンドたちが素晴らしいから、そこで俺たちがどうこうする必要はないと思っている。けれどLUNA SEAの今の立ち位置からなにかできることがあるはずだし、LUNA SEAにしかできないこともあると思っている。
 うちらが影響を受けてきた偉大な先輩達や、深い繋がりがある身近な仲間たち、そしてうちらから影響を受けてきた若手、そのあらゆる世代のミュージシャンのちょうど真ん中にLUNA SEAがいて、俺たちが唯一このシーンでインターフェイスに、ハブになり得ると思ったんだ。それをうちらがやるべきだなと思ったんだ。
 さらにこのフェスにはもう一つこだわりたいことがある。それは(出演者が)ルナティックであること。つまり、狂気をはらんでる奴ら。太陽の光ではなくてダークネスをはらんでるミュージシャンを集めたかった。方向性をある程度フォーカスすることによって、集結されたエネルギーは強烈なパワーにつながると思う。
 昔でいうと、LSB(1994年に、LUNA SEAとSOFT BALLETとBUCK-TICKが3バンドで行った伝説のツアー)がニュアンスが近い。そのフェス版を、ちょうどLUNA SEAの25周年アニバーサリー・イヤーのクライマックスに実現させたかった。

――具体的には、いつ頃から構想を考えていたんですか?
SUGIZO 3年くらい前かな。

――それだけ準備期間が必要だったということですね?
SUGIZO そうだね。25周年の最後になったのは、たまたまタイミングが合ったからなんだけど。本当は、5月29日(LUNA SEAが初ライヴを行った記念日)にやりたかったんだけど、会場が取れなかったんだ。

 

 

 

「狂って欲しい」。明日を担う若いアーティストにも、俺たちを支えてくれるお客さんにも、いいたい言葉はこの一つだけ。

 

――確かに、上の世代と下の世代をつなぐ存在って、LUNA SEAしかいないかもしれません。
SUGIZO そうなんだ。上とどっぷりいい関係を保っていて、下とも意気投合できるというと、LUNA SEAしかいないと思うんだ。我々は、ちょうど中間の立場なんだよね。

――そこで、「立ち上がらねば!」みたいな?
SUGIZO やっぱり爆発したいじゃない。ドキドキしたいじゃない。もちろん、それがビジネスとして成功すれば嬉しいけど、ほとんどのフェスがビジネス優先なので、アティテュードや概念が核となっているフェスをやりたかったんだ。
 アーティストによるアーティストのためのフェスという点では、オズ・フェスに近いかもしれない。ジャンル感が、すごく大事。

――でも、「狂気をはらんでいる」という基本路線はあるとしても、出演バンドのジャンルはバラバラですよね?
SUGIZO ああ、ジャンルという言い方は、間違ってたね。「アティテュード」。音楽の表面的なスタイルは、関係ない。俺たちが思うルナティックなヤバさを持つバンドという風に、とらえてもらいたい。

――バンドに声をかけ始めたのは、いつくらいですか?
SUGIZO 1年くらい前からかな。

――実際に各バンドに声をかけてみて、反応はどうでしたか?
SUGIZO すごく面白がってくれる人も、感動してくれる人も、「なるほどー」って一回飲み込む人も、いろいろいたよ。かなりいい感じで、バンドが集まったと思う。

――選んだ基準が「狂気をはらんだバンド」というところが、LUNA SEAらしいですね。
SUGIZO 俺たちはロックのルナティックな部分にすごく影響を受けて、そこで育ってきてるからね。DAVID BOWIE、JAPAN、PINK FLOYD、LED ZEPPELIN……、多くのパンクやニューウエィヴのアーティスト。その陰鬱な世界観に取り憑かれ、育ってきた。やっぱり、「闇」。僕らが表現する世界は。
 重要なのは表層的ジャンルではなくて、アティテュードです。

――お客さんにとっては初めて見るバンドも多いと思うんですが、どんな風に感じてもらいたいと思いますか?
SUGIZO 狂って欲しい。今、ちょうどNHKの大河ドラマにもなってるけど、吉田松陰の有名な言葉「諸君、狂いたまえ」、が今俺が投げかけたい心情をひとことで言い表しているな。明日を担う若いアーティストにも、俺たちを支えてくれるお客さんにも、いいたい言葉はこの一つだけ。松下村塾みたいな気持ちだな(笑)。
 世の中を変えていく人たち、風穴をあけていく人たちって、その時点での常識からは逸脱してる人たちが圧倒的に多い。それは、ロックに限らず、政治でも社会でも他の様々アートでも。逸脱してる奴らが、世の中を底辺から強引に壊していき、クリエイトしていく。今のエンターテイメント・シーンには、まさにそのエネルギーが必要だと思う。エンターテイメントの中で俺らが発信する言葉や考え方や生き方がとても重要で、それが受け手の人たちの人生を導くことになるかもしれない。
 今回、出演するアーティストはすべてアティテュードとして、素晴らしい強さと誇りを持っている。俺がやりたいのは、お客さんは大変だろうけど、開演から終演までずっとその場にいなくては気がすまないようなフェス。いわゆる普通のフェスのように、興味のあるアーティストだけ一生懸命見て、そうじゃないアーティストは休憩タイムとなっている、ということは、このフェスではできないような。方向性を定めることによって、フェス全体が一瞬たりとも緩まない空間になるはず。

 

 

 

この歳になって来ると、シーン全体がより良き方向に進んでほしいと、切に願うようになるんだよね。LUNATIC FEST.は、きっと近年稀に見る衝撃的なフェスになると思うよ。

 

――すべてのステージを見たくなるフェスって、珍しいですよね?
SUGIZO そうね。それは多くの大きなフェスが、エンターテイメント性重視で組まれているからじゃないかな。もちろんそれは興行という意味では正しいこと。表現やアティテュードを軸に組まれたイベントって、少ないからね。うちらだったら、それができるかもしれない、と思ったんだ。

――たしかに、ポリシーがあるフェスって、最近、少ないです。
SUGIZO ビジネスが中心だから、それは正しいこと。でも我々は、フェス・ビジネスで一儲けしようとは思ってないから(笑)。

――SUGIZOくん自身、他のバンドのライヴを観たいんじゃないですか?
SUGIZO 観たいね。俺が直接つながってないバンドもいるし、知り合いでもライヴを見たことがない若いバンドもいるし。メンバーがあまり面識がなくても、すごくLUNA SEAをリスペクトしてくれてるバンドもいるしね。ただ、大方よく知ってる仲間。
 出演バンドは、知ってますか?

――はい、発表されているバンドは知ってます。
SUGIZO 他のメンバーも俺も、いろいろ飛び入りできたらいいな、と思ってるんだ。KA.F.KAにも出たいし。

――考えていると夢が広がりますよね! DIR EN GREYもSUGIZOくんは、親交が深いですし。
SUGIZO 飛び入りしたことは、ないけどね。打診してみようかな。そういう交差、ジャムなどは、現実的に可能であればどんどんやりたいな。

――お客さんの反応も、楽しみですね。
SUGIZO みんながどんな顔をするのか、本当に楽しみ。すべての出演バンドが、LUNA SEAと深く結びついているからね。後輩であり仲間でもあるGLAYやSIAM SHADE。そのどのバンドも今では伝説になっているという現実がすごいことなんだけど、うちらにとってはたまたま自然なつながりだったというのが面白い。DIR EN GREYやMUCCはもっと下で、俺にとっては若手です(笑)。

――今回、さらに若手のバンドもたくさん出演しますね?
SUGIZO メンバーみんながいろんないいバンドを紹介してくれて、どんどん出演者が決まっていった。

――さっき、閉塞している音楽シーンに風穴を開けたいといってたけど、LUNA SEAって常にそれを繰り返してきましたよね?
SUGIZO 当時は、それが普通だったからね。そういう革命意識を持ったアーティストが、今は少ないんだと思う。そういうアーティストを見ても、自分とは関係ないと思う人も多いだろうし、それはそれで悪いわけではないけど、ちょっと寂しい。
 それにこの年になって来ると、シーン全体がより良き方向に進んでほしいって願うようになるんだよね。シーンはシーンで、自分は自分でって、わけて考えることができなくなってきた。LUNATIC FEST.は、きっと近年稀に見る衝撃的なフェスになると思う。

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   INFORMATION   

 

LUNATIC FEST. 2015年6月27日(土)・28日(日) 幕張メッセ 2Days
LUNATIC FEST.特設サイト http://lunaticfest.com/

【LUNATIC FEST.】
2015年6月27日(土)・28日(日)
OPEN 9:30 / START 11:00 / END 20:00(予定)※時間は変更になる可能性があります
会場:千葉県 幕張メッセ 国際展示場 1~4ホール
チケット料金:各日15,500円(入場チケット¥15,000+ドリンク代¥500/税込)
チケット一般発売日:2015年5月30日(土)~
プレイガイド:e+ / ローソンチケット / チケットぴあ / CNプレイガイド
※未就学児童入場不可 ※オールスタンディング ※再入場可 ※整理番号・ブロック指定無し
※アーティストの出演日、及び出演ステージが変更になる場合がございます。
※出演アーティストのキャンセル、変更による払い戻しは致しません。予めご了承ください。
※当日はリストバンド引換後のご入場となります。(会場外の引換場所にて事前引換えとなります。開場時間の1時間前から開始予定です。)
※LUNATIC FEST.は、3STAGE制になります。各エリア共、十分な広さを設けておりますが、場合によっては、入場規制を掛けさせていただく場合もございます。予めご了承ください。
問:LUNATIC FEST.実行委員会 0180-993-122(24 時間テープ対応)


◆2年ぶりとなるライヴ映像作品「Live on A WILL」6月24日発売!
バンド結成25周年を記念して行われた全国ツアーから、2014年5月29日の代々木第一体育館、同年12月21日さいたまスーパーアリーナ、12月23日横浜アリーナ、そしてツアーファイナル2015年3月14日大阪城ホール、アリーナ公演4ヶ所の模様から、最新オリジナルアルバム「A WILL」(2013年12月11日発売)収録楽曲をアルバム収録順に構成。
DVD初回限定盤プレミアムパッケージには、本作のライヴDVDより音源のみを抽出し、ボーナストラックとしてRYUICHIがギターも奏でる「Lost World」を追加収録したライヴCDを付属。

【初回限定盤】
DVD+CD / PREMIUM PACKAGE/ダブルデジトレイ仕様予定
価格:税込¥9,698(税抜¥8,980)品番:UPBH-9527
DISC1(DVD)収録内容:
1. Anthem of Light 
2. Rouge
3. The End of the Dream
4. MARIA 
5. Glowing 
6. 乱
7. absorb 
8.Metamorphosis 
9.銀ノ月
10.Thoughts
11. Grace 
※収録予定会場:代々木第一体育館 / さいたまスーパーアリーナ/ 横浜アリーナ / 大阪城ホール

DISC 2(CD)
DISC 1のライヴ音源CD
※ボーナストラックとして横浜アリーナ公演で演奏された「Lost World」のライヴ音源を収録

【通常盤】 DVDのみ
価格:税込¥7,538(税抜¥6,980)品番:UPBH-1386
DVD収録内容:初回限定盤DISC1(DVD)と同内容

【Blu-ray】
発売日:7月22日 形態:Blu-ray
価格:税込¥8,618(税抜¥7,980)品番:UPXH-1021
Blu-ray収録内容:通常盤DVDと同内容



JUNO REACTOR Japan Tour 2015

【大阪】
2015年5月19日(火)
開場:19時00分 / 開演:20時00分
会場:BIG CAT

【名古屋】
2015年5月21日(木)
開場:19時00分 / 開演:20時00分
会場:BOTTOM LINE

【東京】
2015年5月22日(金)
開場:19時00分 / 開演:20時00分
会場:TSUTAYA O-EAST

チケット料金:前売り¥5,800(税込) / 当日¥6,500(税込)
※別途要ドリンク代(大阪公演¥600 / 名古屋・東京公演¥500)
席種:オールスタンディング(整理番号付き)
チケットぴあ、ローソンチケット、イープラスの各プレイガイドにて前売券発売中
公演詳細URL→ http://www.mandicompany.co.jp/pg285.html
お問い合わせ:M&Iカンパニー 03-5453-8899(平日10:00~18:00)

 

 

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【 SUGIZO OFFICIAL WEBSITE 】
http://sugizo.com/

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http://www.lunasea.jp/