11月26日(水)に、3rdアルバム『Triangle』をリリースするDIAURA。発売後、すぐに全国ツアーDIAURA単独公演2014「Vanishing the Triangle vision」がスタートする。ファイナルは、1月31日(土)中野サンプラザホール。ここでは、最新アルバム『Triangle』の全曲解説を中心にお届けしたい。
 

撮影：菅沼剛弘 / インタビュー：長澤智典
Photographs by Takehiro Suganuma / Interview by Tomonori Nagasawa

――3rdアルバム『Triangle』が、誕生!!「人が心に抱え持つ闇の心情」を様々な視点から。しかも、ミニマム/グローバルいろんな捉え方で描写した歌たちが、ここには詰め込まれていませんか??
yo-ka　たとえ「小さい視点で物事を見ている歌詞」でも、それは、「広い視点で物事を捉えたときに見えてくる"一角"」のことを指しているんですね。狭いと思える事柄でも、実は「広い視点で捉えた中にある事柄の一つ」だったりもする。しかも、その一角だけをフォーカスしても、広い視点で見た場合、他のいろんな事象が重なりあった結果、その狭い事柄が起こった可能性だってあり得ること。
　今回『Triangle』に収録した曲たちは、そういう視点であらゆる物事を見据え、書いています。

――人が生きる意味や価値観、その生き方に対しても、様々な視点のもと、いろんな問いかけを、このアルバムの中ではしていきました。
yo-ka　前アルバム『FOCUS』もそうでしたが。今回も、実際に起こった事件からインスパイアされて書いた内容も多々あります。
　「今」をしっかりと伝え、その物事をいろんな視点から切り取ってゆく。そのうえで、その事柄の中にある「闇」の側面だったり、みずからに起こり得れば、自分の身に降りかかるかも知れない題材を歌にし、「今の時代を生き抜く術」を。今を生きている自分たちがどうあるべきかを、前アルバムの『FOCUS』以上に深く突き詰め、今回の楽曲たちに投影しています。

――『Triangle』というアルバムを聞いたことで、何故、先行シングルとして『ホライゾン』を出したのか?!。その理由も見えました。
yo-ka　7月に『Silent Majority』と『ホライゾン』2枚のシングル盤を同時リリースしたんですけど、先にこの2枚の作品を提示したことで、『Triangle』というアルバムを聞いたときに『Silent Majority』と『ホライゾン』に込めた想いをより深く感じれるようになったというか。余計に、痒いところ(伝えたい想いの真相)に手が届く曲たちとしてアルバムの中でも存在感を放つようになったのは、自分たちでも感じていたこと。でもそれは、最初から狙いを持ってやっていたことでもありました。

――この『Triangle』を聴くことで、会場/通販限定発売した『Menace』、『Silent Majority』『ホライゾン』の流れの持つ意味が明瞭に見えてきましたからね。
yo-ka　流れを予測してのこととはいえ、自分たちでも、アルバム用の楽曲を描き重ねるごとに、伝えたかった意志や流れが明確に定まったというか。作品を作り進めるごと、そこは見えていたことでした。
　DIAURAというバンドが、今のシーンの中で。今の時代に何を残し、何を伝えるべきなのか?!。それをしっかり見定めたうえで、楽曲やメロディー、言葉にしていった。その実感と自信は、確かに持っていること。
　
――『Menace』も、『Triangle』に描き出す"心の驚異"を指し示す、一つの予告的な楽曲になっていたんですね。
yo-ka　『Menace』は、この『Triangle』というアルバムの始まりを告げるアンセムだった。『Triangle』へ繋がる最初の警告であり、警鐘を鳴らす意味も、この楽曲の裏テーマとしてあったこと。なので、この『Triangle』の中で『Menace』を聴くと、また当時とは違った印象で聞けると思う。だからこそ、この中に並べる意味があるわけなので。

――ここからは全曲解説を進めたいなと思います。冒頭を飾ったのがインスト・ナンバーの『Triangle Vision』であり、強いメッセージ性を書き殴った『ID』になります。
佳衣　物語の始まりは、すごく大事だと思います。とくに1曲目は、如何に、そこから続く曲たちの世界へ引き込んでゆくかの最初の手引きとなる存在。インスト・ナンバーの『Triangle Vision』は、『Triangle』というアルバムに綴った世界へ入り込んでゆくうえですごく深い意味を持った、良い入り口となる作品になりました。続く『ID』は、あまり今の時代の中には無い楽曲になったんじゃないかと思います。
　『ID』は、最初から歌物の1曲目にしようと制作していたわけではなく。アルバム用に制作した曲を幾つも並べていく中、「これが幕開けの歌に相応しい」という全員の意志が一致したことから、この位置を得た楽曲です。それくらいのインパクトを持った。でも、新しさの中にもDIAURAらしさが見える、この『Triangle』というアルバムを象徴するに相応しい作品になったと思います。
yo-ka　『ID』の歌詞は、先に『ホライゾン』があったからこそ書けた内容。『Triangle』というアルバムを通し、問題提起をしてゆくうえでと言うか。聞いた人それぞれに「みずからの意志確認をしてゆく楽曲にしよう」と、『ID』を制作。『ホライゾン』を通してDIAURAが提示した一つの答えや問いかけに対して、「本当にその通りに自分は受け止めて良いのか?!」。そういう視点も持った楽曲なんです。
　今の世の中に蔓延している視点の本質の中には、自分が『ID』に象徴として描いた面が強くあるのではないか?!。「生きる意味」や「人、一人の存在の大きさ」など、言葉で言うのは簡単ですけど。「人の命の尊さ」さえも、相手に問いかけて伝わる社会なのか社会じゃないのか、伝わる国なのか国じゃないのか。この大きな世界の中、その人の置かれた環境によって、同じ「命」でも捉え方や見え方、意味あいは全然違ってくる。

――確かに。
yo-ka　僕らは日本で暮らしているからこそ信じられることでも、それが国を変えても同じとは限らない。たとえ僕らは希望的な言葉として捉えてたとしても、国が変われば人の意識や捉え方も異なるように、時には絶望にさえ見えてくる。それは、日本人同士が持つ価値観の違いに対しても言えること。
　自分たちが信じていることを、異なる環境や文化を持つところに行っても同じように言えるのか?!。その言葉を、ずっと信念を持って信じ続けていけるのか?!。同じ言葉やメッセージであっても、聴く人の育ってきた環境や捉え方、価値観によって、その意味は全然変わってゆく。たとえ希望的な言葉として投げかけようと、その人の捉え方によっては絶望的に受け止める人もいる。
　この『ID』は、『ホライゾン』を通して伝えた想いの、その隅にある一角を引っ張りだし、さらに深く突っ込んで表現した楽曲なんです。

――国が変われば価値観も変わること。文化や風習、宗教の違いでも、いろんな風に捉え方の視点は変わってゆくことですからね。
yo-ka　よく、「音楽は楽しいもの」と言うじゃないですか。もちろん、そうであると思います。でも、『Triangle』を制作していく中、自分がそれぞれの楽曲の歌詞に込めようとしている想いは、けっして楽しいだけのものではない。むしろ、聴く人によってはすごい心の傷となる作品になると感じていました。でも、とことんそういう感情をぶつけることで。投げかけた想いを感じ、考えを巡らせることで、聞いた人それぞれにいろいろ感じることが生まれてもいく。音楽には、そういう領域があるからこそ良いわけで。そんなことを考えさせる楽曲に『ID』はなったと思います。
 

――♪無差別殺傷Time(ショータイム)♪♪あなたはこの現実に何を思い生きているの?♪と想いを投げた『ID』の後に続くのが、心の中の驚異(Menace)が覚醒してゆく『Menace』になります。この流れにも、深い意味を覚えました。
yo-ka　先に佳衣も言ってたように、『ID』はけっして頭へ据えるために作った楽曲ではなかった。とはいえ、『ID』『Menace』と続けて聞いたときに、すごく綺麗な巡り合わせを感じれた。『ID』と『Menace』というそれぞれのピースは、最初から並び会う形で作り上げられていた。そんな相性も覚えたことから、冒頭にこの流れを作りました。 結果的に、歌詞の面でも、互いに作用しあう意味を持ったものになった手応えを、僕ら自身も感じています。

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