星子さんが、the Raid.のシングル『籠女唄』のMV(https://www.youtube.com/watch?v=XEDGwRkVzrI)へ出演しているのはご存じだろうか??。なぜ、the Raid.が星子さんをMVへ起用したのか…。
現在、全国ワンマンツアー「見栄と現実」も行っているthe Raid.。MV話はもちろん、バンドの近況について星七とbo_yaが語ってくれた。

インタビュー：長澤智典
Interview by Tomonori Nagasawa

 

普段の星子さんは役柄とは180度違う優しい方。なのに、あんな変態役を演じてくださって…

 

――星子さんが『籠女唄』のMVへ出演しています。なぜ星子さんを起用したのか、その理由から教えてください。

bo_ya　前シングル『青酸カレ』のときにも、僕らはYOUTUBERのはてにゃん君に出てもらったりなど、the Raid.のMVでは、あえて異ジャンルの人たちを起用し、異なるジャンルのファンたちにもthe Raid.のことを知ってもらったり、話題性を集めることを仕掛けてきました。

今回の『籠女唄』ではおじさん役が必要だったことからキャストを探してたんですけど、イメージにバチッとハマる人がなかなかいなくって。そんなときに星七が、「星子さんがいいんじゃないか、bo_yaさんちょっと聞いてみてよ」と言い出しまして。確かにイメージ的に星子さんなら似合うなと思ったことから、その時点で役柄の設定は決まっていながらも、あえてそれを隠し「星子さん、新作のMVにエキストラとして出ていただけませんか?」と聞いたところ、「the Raid.のためなら喜んで」と言ってくださいました。
 

――その時点では、権力やお金で女性を手中に納める役柄とは伝えていなかったんですね。

bo_ya　それを言ってしまったら、門前払いを食らってしまうかなと思って。なので、役柄については徐々に明かしていこうという作戦を取りました。
 

――その詳細は、いつ明かしました?

bo_ya　当日の収録前から少しずつジャブは打ってたんですけど、具体的な役柄については当日でした。しかも監督さんに、「星子さんをうまく誘導して欲しい」ともお願いをしておきました。星子さん自身は、自分の役柄を聞いてだいぶ苦笑いというか、出演をためらっていたんですけど。「愛するthe Raid.のためなら」と言って、最終的には快く引き受けてくださいました。

映像では怪しい役柄を演じてきってくださいましたけど。カメラのまわってないところでは、凌辱する役柄の女性に対しても優しく、とても紳士的にふるまっていましたからね。
 

――実際に上がった映像を観ていると、まさにハマリ役だなと感じました。

bo_ya　ホント、そうなんですよね。普段の星子さんは役柄とは180度違う優しい方。なのに、あんな変態役を演じてくださって…。

星七　星子さんは、海外にヴィジュアル系の魅力を発信するヴィジュアル観光大使をやっていらっしゃる方。そんな方を、あの役柄で使うとはNGすれすれのようなこと。でも、星子さんを、あえてそういう役柄で使うことに斬新さや話題性があるわけですからね。実際に映像をYouTubeにアップしたら、数多くのバンギャルちゃんたちやバンドマンたちから、「えっ、あの星子さんが…」という反応が返ってきてましたからね。まさに『籠女唄』のMVは、星子さんが出演してくださったおかげで成り立てば、話題性も集められたMVになったなと思っています。

 

 

 

これから先だって本数が増えるかも知れないと考えたら、あえて明確な本数を示すことはやめてしまいました。

 

――the Raid.は現在、来年3月まで続くワンマンツアー「見栄と現実」の真っ最中になります。今回も、すさまじい本数をぶち込んでいません??

bo_ya　実は8月にも、無料ワンマンツアーをやっていました。あのときは、まだまだthe Raid.として集客の弱い地方だったり、昨年のツアーから外れてしまった地域を選んでまわったんですけど。どこの会場へも予想以上の人たちが来てくれたように、とても意味のあるツアーになりました。
 

――ここ何年かのthe Raid.は、年中ツアーをしていません?

bo_ya　普通のバンドさんの2-3倍は生き急いでます。

星七　ここ2-3年はワンマン公演を中心に毎年100本以上ライブをやれば、今年の8月で47都道府県2巡目を達成したように、今のロックバンドの中でも一番全国を舞台にワンマン公演をやっているバンドがthe Raid.じゃないかと思ってる。
 

――47都道府県を2巡したのもすごいけど。the Raid.の場合、東京や大阪では毎月のようにワンマンをやっていれば、地方にも頻繁に足を運んでいますもんね。

星七　初めて「47都道府県ツアー」をやったときもそうだったんですけど。ただ全国を一周するのではなく、その間にも、「せめて主要都市は月に一回はやりたい」という想いから東名阪の本数を増やし始めたり、「同じよう福岡や仙台だってレイダース(ファン)のために増やさなきゃいけないだろ」という考えから、さらに地方でのライブ本数を増やし始めたら、「47都道府県ワンマンツアー」と言いながらも60本以上やってましたからね。

今やっている「見栄と現実」ツアーも、当初は70本台で発表していたのが、いろいろ会場を追加していくうちに、現在は82本まで増えました。これから先だって、本数が増えるかも知れないと考えたら、あえて明確な本数を示すことはやめてしまいました。
 

――それがすごいよね。

星七　ただ、自分たちでもどんどん本数を増やし続けているように、再現なく何処まで増えてしまうのかが怖いんです。
 

――東京にはほとんど居ない状態じゃない?

星七　地方を中心に公演を行っていますけど、毎月東京でワンマンを行えば、大阪でも2ヶ月に1回はワンマンをやっているように、東京に関しては2週間に1回のペースくらいでは戻っています。しかも空いてる日にはインストアイベントを行ったりと、つねにファンたちと出会える機会を作っています。

bo_ya　正直、休みはまったくないんですけど。それ以上に僕らは、レイダースとの触れ合いの時間を何よりも大切にしていたいので。

 

 

 

一陽は「ハンドルは絶対に他の人には握らせない」というプライドを持ってるからな。

 

――今やっている「見栄と現実」ワンマンツアーですが、合間にワンコインツアーも組み込んでいますよね。

星七　今回、同じ地域でも複数回まわる場所を幾つか作っています。たとえば北海道で説明するなら、札幌では通常料金だけど、初めて行う函館ではワンコインにしたり。通常料金の場所の近郊をあえてワンコインにして、そこで興味を持ってもらった人たちを、複数回訪れる近場の会場へプチ遠征しながら遊びに来てほしいなということから、そうしています。
 

――ちなみに星七さん、機材車には一緒に乗って移動してるんですか?

bo_ya　一緒やったり、別行動やったり。今回のツアーは割と地方を細かくまわっているせいか、いつもよりも機材車には多く乗ってます。

星七　地方によっては、ライブが終わって次の場所へ移動しようにも、終電が早く移動できないことも多々あるんですよ。もしくは、乗り換えの関係で、あきらかに機材車で移動したほうが早い場所とか。僕は煙草が嫌いなのに、うちのメンバー4人とも吸うから本当は機材車には乗りたくないんですよ。メンバーたちだって、リラックスするために煙草を吸うように、それを「やめて」というのも違うだろうし。だから単独で行動してるんですけど。さすがに場所によってはおとなしく機材車に乗って行動もしています。
 

――地方でプライベートな時間あったりするんですか?

星七　プライベートな時間はないです。僕に関しては、ライブが終わったらその地方でおいしいご飯を食べることがマイブームだから、お酒の呑めるメンバー(テンシ&一陽)と一緒にお店へ行ったりはしています。bo_yaと由羽はインドア派なんで、ホテルに籠もりっきりですね。
 

――bo_yaさん、ホテルで何やってるんですか?

bo_ya　曲作りをしたり、ケータイで漫画を読んでたり。個人的には、ホテルで一人ゆったりつくろぎたい性格なんですよ。それに、僕はガソリンがすぐ切れてしまう。その点、星七は底無しのパワーを発揮していく人なんでね。

それ以前に、地方公演ってライブをやる前にインストアイベントもやることが多いから、朝6時には起きてメイクを始めたりしなきゃいけないんですよ。だから、ホテルにいるときは本当に貴重な睡眠を取れる時間なんですね。だから僕は、そこを何よりも重視しています。
 

――星七さんは、睡眠時間を削って遊んでる人?

星七　そう、どんなにしんどくても、どんなに眠くても、睡眠時間さえ削れば、その地域のことを知れるじゃないですか。それこそ「めっちゃ眠たいな」と思っても、5分だけ横になって寝るだけでも体調ってぜんぜん違うんですよね。だから僕は、そうしています。
 

――一陽さんは運転がありますよね。それでも睡眠時間を削って遊んでるんですか?

星七　一陽は「ハンドル握って運転してるほうが楽や」っていう変な人なんで。

bo_ya　この間も、佐賀県から東京までずーっと一人で運転してましたからね。彼は、ハンドルを握ることにプライドがあれば、それを自分の使命感として胸に掲げている人なので。

星七　確かに、そうだ。一陽は「ハンドルは絶対に他の人には握らせない」というプライドを持ってるからな。そんな一陽に向け、ファンの子たちが「大変です」「心配です」と声をかけたりメッセージを投げてくれるんだけど。そういう言葉が届くたびに元気になるし、その声が嬉しくて彼は絶対に運転席を譲らないんですよ。まぁ、譲られても、一陽以外免許証を持ってないんで運転できないんですけど。

 

 

 

自分たちが活動することでレイダースたちが喜んでくれるのなら、僕らはいくらだってプライベートな時間を削って頑張りたいなと思ってる。

 

――the Raid.って、どんどん自分たちを過酷な環境へと追い込んでいません?

bo_ya　これだけ過酷な日程でもこなせるのは、何処に行っても大勢のお客さんたちが待っててくれているからなんですよ。CDの売上枚数だって毎回伸びているように、それだけ多くのレイダースたちがthe Raid.のライブや音源を待っててくれてるのなら、僕らはその期待に「もっともっと」と応えたくなる。それに、一度「47都道府県ワンマンツアー」を経験したら、今度はそれを最低ラインに考えて何事も行動してしまう。それも大きいんだと思います。

星七　今はもうバンドの用件がないと、逆に不安で仕方がない。普通バンドさんって、オフィシャルツイッターが数日動かないなんて当たり前じゃないですか。でもthe Raid.のオフィシャルツイッターは毎日動いてる。それだけ発信したい想いや情報が日々あるからなんだけど。それに今は、自分たちで会社を立ち上げ、全員がthe Raid.の活動で生計を立てている。自分たちの好きなことで生活をするためや、自分たちが活動することでレイダースたちが喜んでくれるのなら、僕らはいくらだってプライベートな時間を削って頑張りたいなと思ってる。
 

――全国各地に大勢のファンたちが待っていますからね。

星七　それが嬉しいんですよ。よくライブ後に集合写真を載せてるんだけど。いろんな地域で、ここまでお客さんを入れた写真をアップしてるバンドって、自分たちで言うのもなんなんですけど、なかなかいないですからね。
 

――そんなお二人から、最後にメッセージをいただきましょうか?

bo_ya　今やってるいるツアーから『弟切草』という会場限定シングル盤を発売しているんですけど。この楽曲を手がけたのが由羽くんで、見た目も曲調も思いきり正統派なヴィジュアル系をしているように、何時もとはひと味違うthe Raid.を味わっていただけると思います。

ライブに関しても、値段設定も含め、僕らは初めての人たちでも入り込みやすい環境を作っているように、近くにthe Raid.が来たら、ぜひ会いに来てください。

星七　11月にも新しいシングルを発売します。これは全国流通盤になるように、何処でも買えるので安心していてください。しかも、自分たちの中でもかなりの自信作になっているので、詳細の発表を楽しみに待っててください。

ライブに関してですが、いくら全国各地を細かくまわると言っても、場所によっては、どうしても次のライブまで半年以上感覚が空いてしまうこともあります。僕らは、活動を続けている限りは、47都道府県を何巡だってしたいし、それぞれの県の中でも細かく場所を広げていきたいなと思っています。そうは言っても、東京のように毎月というわけにはいかないし、本当に限られた回数になってしまうことは正直いなめない。だからこそ、とくに遠征はしなくてもいい。自分らの地元にthe Raid.が来たときはぜひ会いに来てください。僕らは、つねに1本1本の出会いを大切にライブをしているように、もっともっといろんな仲間たちと繋がりを築いていきたいなと思ってるので…。

 

 

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