INTERVIEW

ギターとベースを一本の楽器で同時に表現。ハイパーバリトンギターを手に音楽シーンへ殴り込みをかけた男、佐倉仁とは…。

ギターとベースを同時に演奏できるハイパーバリトンギターを開発。忍者ギタリストの異名のもと、同ギター唯一の奏者であり、ヴォーカリストとしても活動している佐倉仁。先日、DVD「Diablo~終わらない愛の歌~」を発売。同曲の楽曲配信もスタートした。
 音楽の道での大成を目指しながらも、その志を閉じ、別の道へ。異分野で成功を手にした彼は、心の奥底に封印していた野望の箱を紐解き、みずから開発したハイパーバリトンギターを手に、ふたたび音楽の舞台で勝負してゆくことを決意した。佐倉仁が今に至るまでの道のりを、彼の言葉を借りてここに紹介したい。


LIVE PHOTO: 咲々さなえ
TEXT:長澤智典



自分は「音楽を生み出すために生まれてきた」。
 

――しばらく音楽の道から遠ざかっていた佐倉さんですが、なぜ、ふたたび音楽活動を始めたのか。まずは、そこから教えていただきたいなと思っています。
佐倉:もともと音楽の道で大成しようと人生のすべてを注ぎ込み音楽活動へ命を賭けていたはずなのに、28歳のとき、とあるきっかけから別の道へ進むことになりました。そのときは「絶対にもう一度、この道へ戻ってくる」と誓っていたのですが…。あれから15年も歳月を重ねると、封印した気持ちを思い起こすこともなくなっていたんですね。いや、正直に言うなら、そこに触れずにいたと言ったほうが正しいと思います。
  別の事業を立ち上げ、そこで活動を押し広げてゆく中、芸術家たちのサポート活動も行なっていたように、芸術などの表現分野には強い感心を抱いていました。ただし、音楽に関しては、触れてしまうといろんなことを思い出しそうで、あえて遠ざけていた面もあったと思います。そんな支援活動の中、とあるトークショーの活動のお手伝いに参加したときのことでした。登壇していた方が、「人はみんな、心の引き出しにしまっているものがある。昔やりたかったものが、そこにはしまってある」と語っていたんですね。その言葉を聴いたとき、「そういえば、俺も心の引き出しにずっとしまいっぱなしのものがあった」と、きつく結んでいた紐が一瞬にして解け、想いが沸き上がった。それが、音楽活動でした。

――その言葉が、佐倉さんを突き動かす引き金になったわけだ。
佐倉
:そうなんです。その言葉をきっかけに、「ここでふたたび音楽活動へ向きあわなかったら、一生後悔を背負ったまま俺は死んでしまう」「その後悔を残さないためにも、もう一度音楽と向きあおう」「やる以上は徹底的にやりきろう」という強い意思が沸き上がりました。

――本業も忙しい中、本気で音楽活動へ向きあうのは、だいぶ精神力も肉体も削られる試練になりますよね。それでもやりたかったわけですね。
佐倉
:もちろんです。趣味として音楽をやることが悪いとは思いませんけど、自分は「音楽を生み出すために生まれてきた」という自負を持って過去に活動をしていました。なのに、その役割を終えないまま自分の人生の幕を閉じるなんて絶対にしたくはなかった。そのうえで、「ふたたび挑戦するからには、人がやっていないことを武器に勝負をしないと世界には出ていけないし、勝てない」と思い、そこでギターとベースを同時に演奏できるハイパーバリトンギターを制作。実際に今、ハイパーバリトンギターは自分が唯一の演奏者。これから、この楽器を世間へ広めようとしているとはいえ、第一人者であるのも事実のように、唯一無二の武器を手にふたたび音楽シーンへ舞い戻り、勝負のための活動を始めたのが、ここへ至るまでの経緯になります。
 

自分たちが一つのメディアという形を取りながら、どんどん音楽を発信していこうと思っている。
 

――佐倉さんは今、ご自身のアーティスト活動はもちろん。先に上げたハイパーバリトンギターを軸に「The Baritonist」という「楽器販売及び楽器をベースとした文化の創造」を目的としたブランドを立ち上げました。加えて、定期イベントを行なう形を取りながら、「次世代のアーティスト育成ブランド」となる「NEXT GENERATION」もスタートしています。
佐倉:二つのブランドの立ち上げにも理由があると言いますか。「The Baritonist」は、先に上げたのが理由ですが。いざアーティスト活動を始めようとなったとき、知人の紹介でビジュアリストの柳延人さんと出会いました。柳さんのメイクによって、何時もの自分とは異なるアーティストとしての姿に変貌できることが大きな自信になったというベースがありつつ。僕のヴィジュアル面や、ハイパーバリトンギターという一風変わった楽器を手にした表現に興味を持つ人たちが僕のもとへ集まりだしました。その方々が、今回DVD初盤及び配信リリースした「Diablo~終わらない愛の歌~」の楽曲を手がけてくださった尾崎豊さんのプロデューサーであった樫原伸彦さんであり、今の僕の活動を影でサポートしてくださる、著名なミュージシャンを数多く手がけてきたプロデューサーであり作詞を担当した池永康記さん。演奏面でも、氷室京介さんのプロデューサーでもあるSilky Voiceこと井上純さんがドラムを叩けば、同じく、氷室京介さんのLAST GIGでギターを弾いていたYukihide YT Taakiyamaさんが参加してくださいました。そうやって今も、音楽を介していろんな人たちとの繋がりが増え続けています。
  その繋がりが、僕自身の音楽活動の広がりを作っていくのと同じように、僕自身も、いろんな若手アーティストから諸先輩方にまで繋がりや支援の手を伸ばし、一緒に今の音楽シーンに面白いムーブメントを起こそうと思い、それで「NEXT GENERATION」というブランドを立ち上げたわけです。今、行なっているイベントには、若手アーティストはもちろん。これまでに多くのミリオンヒットを出し続けてきた経験豊富な方々も交え、親子両世代で刺激を受けながら楽しめる形を取っています。
  他にも、経験豊富で実績のあるシンガーやアーティストの方々を迎えたスクールの開業も行なう計画を進めれば、音源やMVなどの映像制作から流通まですべてを請け負い、自分たちが一つのメディアという形を取りながら、どんどん音楽を発信していこうとも思っています。

――佐倉さん、早くもハイパーバリトンギターに続く新しい楽器を作り上げ、それを来年からモニター展開してゆくそうですね。
佐倉
:サクラキャスターのことですね。こちらはギターとベースの両方の要素を持った3本弦の三味線のような楽器になります。これも、ギターとベースの音が同時に出る仕様になっています。このサクラキャスターを、2020年に、とある大手カラオケチェーンの旗艦店に置き、画面から流れる歌詞とコードに合わせサクラキャスターを弾いて歌ってもらおうと、今、話を進めているところです。「The Baritonist」に関しては、北米やアジア各国で行なわれる楽器フェアにもブースを出店し、より世界へハイパーバリトンギターやサクラキャスターをアピールしてゆくつもりでいます。
 

大事な人を守るためには悪魔にでもなる。
 

――先日発売になった「Diablo~終わらない愛の歌~」の魅力も聴かせてください。
佐倉
:僕は、一度音楽を辞め、ふたたび始めた背景があるように、「Diablo~終わらない愛の歌~」には「再生する」という意味合いを込めています。それこそ、「大事な人を守るためには悪魔にでもなる」と歌っているように、けっして悪魔になるわけではなく(笑)、「置き忘れていたものを取り戻す戦いをしてゆく」僕自身の強い決意を歌詞へ記していただきました。きっと、同じような想いを抱いてる方はたくさんいると思います。その人たちの心を突き動かす歌になって欲しいのはもちろん。佐倉仁としても新たな始まりを告げる歌となったように、とても感慨深い想いを持ってこの歌を受け止めています。

――佐倉さんが本気で攻めてゆく姿勢が、今、どんどん形になり始めているんですね。
佐倉
:そうなっていますし、もっとそうしていきたいです。僕が今見ている視線は、国内よりも世界。佐倉仁としての活動を通し、日本の音楽を。引いては、日本の音楽文化を海外の人たちへ積極的に発信していきたい。そのための戦いを、今始めたところです。1月16日からアメリカのアナハイムで開催される世界最大の楽器ショー“NAMM Show”にブースを出展し、パフォーマンスもありますよ。現地からSHOWROOM配信も予定しています。
これからも、僕自身の活動を追いかけ続けてもらえたら、とても嬉しく思います。2020年も、いろんなアクションを示しますので。

佐倉仁 twitter
https://twitter.com/BaritonistTokyo
佐倉仁 Web
http://baritonist.tokyo 
佐倉仁 YouTubeチャンネル
http://bit.do/eMHiG 
佐倉仁 Instagram
https://instagram.com/zinlucysuicide/ 

Diablo~終わらない愛の歌~ 配信サイト情報


https://linkco.re/amp/rZNvxQyE

Diablo~終わらない愛の歌~ YouTube short ver.動画
https://youtu.be/XZPqFWNfl9s

ハイパーバリトンギター紹介YouTube動画
https://youtu.be/gnAQx2llIYs

NEXT GENERATION twitter
https://twitter.com/BaritonistStaff
                         
★インフォメーション★
2020年1月17日(木)
SHOWROOM配信スタート!
「佐倉仁のカオスワールド」
https://www.showroom-live.com/ZinSakura

2020年2月25日(火)
桜人祭presents
「NEXT GENERATION vol.5」
四谷Honey Burstにて開催