独りぼっちでしたけどね。小6とかでロックを聴いたり、ギターを弾いたりしている人はいなかったから。

――音楽やロックに目覚めたのは、いつ頃でしたか？
HIZAKI：僕は幼稚園くらいからクラシックが好きだったんです。頻繁にクラシックを聴くような家庭環境ではなかったけど、テレビとかから流れてくるクラシックが、すごく好きだった。特にバイオリンの音が好きで、バイオリンをやりたいとか、ピアノをやりたいと親に言ったけどダメと言われて、習わせてもらえなかったんです。その後、僕が小6くらいの時に兄貴がギターを弾くようになるんですよ。兄貴のギターを自分もいじるようになったのが、音楽を始めたきっかけです。

――小6というのは早いですね。なにか楽器をやりたいという気持ちが強かったことがわかります。
HIZAKI：元々バイオリンとかピアノを習いたいという気持ちがあったし、幼稚園とか、小学校では音楽の授業で楽器に触れる機会があるじゃないですか。オルガンとか、リコーダーとか。それが楽しかったから、ギターも弾いてみたくなったんです。ただ、どんな楽器にしても人の曲をやるのがすごく嫌いだったんですよ。だから、持った瞬間から、これで自分の曲を作りたいという気持ちになっていた。なぜかはわからないけど、とにかく人の曲をやるのが嫌だったんです。

――ということは、ギターを始めてからすぐに曲作りを始めたのでしょうか？
HIZAKI：始めました。ギターを弾くようになる前からLOUDNESSとか、X JAPANとかが好きだったけど、初心者がコピーするには難しいじゃないですか。特に僕はバッキングよりもソロを弾きたいと思っていたから、こんなん弾けるわけないやろうと思って。それで、自分でエクササイズ的なものを作ったりするようになるんです。今は練習用のフレーズとかをネットとかで簡単に知ることができるけど、昔は情報が少なかったから。僕は地元が滋賀の田舎だったこともあって、教則本とか音楽雑誌すらあまりない状態だったんです。だから、自分で考えるしかなかったんですよね。

――自分なりに練習フレーズなどを考えることが、曲作りにつながっていったんですね。ということは、最初の頃はギター・リフを作ったり、コード進行を考えたりという感じだったのでしょうか？
HIZAKI：そう。それに、歌メロを考えるのが好きだったので、当時からメロディーも作っていました。

――おおっ！　音楽的に、かなり早熟な少年だったといえますね。
HIZAKI：その代わり、独りぼっちでしたけどね。小6とかでロックを聴いたり、ギターを弾いたりしている人はいなかったから。その後中学生になってからギターにどっぷりハマって、めちゃくちゃ練習していたんですよ。その頃にはようやく周りの人も楽器を始めたりしていたけど、一緒のレベルでやれるヤツが全然いなかった。だから、ずっと独りぼっちでした。

――妥協して、友達とバンドを組んだりすることもなく？
HIZAKI：なかった。友達はみんな僕がギターを弾くのを見にきていました。すげぇヤツがいる…みたいな感じで（笑）。高校に入ってからはバンドブームだったこともあって楽器をやっている人が結構いて、バンドを組んだんですよ。でも、バンドというのは周りのレベルに合わせないと成り立たないじゃないですか。周りに合わせてレベルを下げる必要があったし、ちょうど高校に入った頃にパンクとか、グランジとかが流行りだして、テクニックがあるのはダサいみたいな状態になったんです。ギター・ソロはダサいという空気もあったし。僕は一貫してメタルとか、メタル寄りのヴィジュアル系……要は、激しくて、テクニカルなものが好きだったけど、周りの友達はパンクとか、グランジの流れに乗っていた。だから、バンドをやっていても楽しくなくて、高校生の頃は冷めていましたね。

――そういうツラさは、よくわかります。そこで嫌になって、音楽から離れてしまわなくて良かったなと思います。
HIZAKI：正直、もうやめようかなと思ったこともありました。でも、高校を卒業した頃から京都のライヴハウスにいったり、京都の音楽シーンに触れたりするようになって、そうするとすごく上手い人とかがいるわけですよ。そこで、ようやく自分が求めていたレベルの人達と出会えたし、京都のヴィジュアル系はメタルの人が多かったんです。そういうシーンに触れてモチベーションが上がって、もう1度音楽をやろうという気持ちになりました。それで、僕の地元の先輩で京都で活動していた人と一緒に、ヴィジュアル系のバンドを組むんです。初めてのヴィジュアル系だったけど、僕は高校の頃からライヴをする時はいつもメイクをしていたんです。だから、ヴィジュアル系に違和感は全くなくて、スンナリ入っていけました。

――なるほど。ということは、10代の頃から自身のスタイルはできあがっていたことになりますね。
HIZAKI：その頃から今に至るまで、なにも変わっていない（笑）。高校時代からライヴをするときは必ずメイクをして、スカートを穿いていましたから。

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