INTERVIEW

星七(the Raid.)ソロ・ロングインタビュー! 第1回(全4回) 「ヴィジュアル・シーンは低迷していると言われ続けているので、自分達でどうにか盛り返したいという思いが僕の中には強くある。」

the Raid.


 

大好評を得ているニコ生ラジオ【居酒屋はくえい】。9月4日に放送された同プログラムにゲストで招かれたthe Raid.の星七(vo)に、ラジオ収録と併せて単独インタビューを行った。the Raid.は始動時から完全自主製作で活動しているバンドでいながら、来年からメジャー・フィールドに歩を進めることになる。このことからは彼らが強い意志やこだわりを抱いてバンドと向き合っていることがうかがえる。the Raid.が歩んできた道のりやコロナ禍の中での活動、今後の展望などについて、バンドのブレインを担う星七に語ってもらった。

 

Interview:村上孝之

 

僕らのバンドはコンセプトを持たないことをコンセプトにしているんです。

 

――今日はthe Raid.の過去、現在、未来について話を聞かせていただきますので、よろしくお願い致します。the Raid.は2011年に始動しましたが、どんなふうに結成されたのでしょう?

星七:僕はthe Raid.というバンドが人生で初めて組んだバンドなんです。それまで音楽活動はしたことがなくて、人前で歌ったこともなかったんですよ。ただ、音楽自体は好きでした。ガチに音楽をやっている方に比べたら本当に薄くて、カラオケで歌う程度ですけど、音楽が好きだなという気持ちがあった。あとは、モデルをしながらいろんなアーティストさんのライブに招待していただいて、よくライブを観にいっていたんです。そうすると、アーティストというのはすごくカッコいいんですよね。

紙面の中から発信するモデルと違って、アーティストは1音“ジャーン!”と鳴らしただけで、お客さんが“ブワァーッ!”と湧く。それを目の当たりにして、自分がやりたいのはモデルじゃなくて、ミュージシャンだなと思ったんです。そんなふうに音楽をやりたいという気持ちはずっとくすぶっていたので、バンドをやらないかと誘われたときはやると即答しました。

 

――本当にやりたいことが見つかったんですね。the Raid.を結成したときは目指す音楽性やバンド像などは見えていたのでしょうか?

星七:最初は、そういうものは全くなかったですね。特にヴィジョンがない状態から始まって、活動していく中でいろいろなことを見出していったんです。結成当初は他のメンバーが主体になって音楽性とかを考えていたけど、いろんなことが見えてきてからは僕が一番中心になって、こういう音楽をやろうよとか、次はこういうテーマでいこうよといったことを決めるようになりました。

 

――the Raid.が進むべき方向が見えた時点で掲げたコンセプトなどは、ありましたか?

星七:僕らのバンドはコンセプトを持たないことをコンセプトにしているんです。方向性がブレているように思われることもありますけど、シングルごとに全く違うことをやっていきたいというのがあって。たとえば、血みどろの曲だったり、和風の曲だったり、キラキラしたアイドルみたいな曲だったりというふうに、シングルごとにコンセプトを変えています。ただ、どんなコンセプトで楽曲を作るにしても一貫して、聴きやすいメロディー・ラインにするということはキッチリやっている。

ヴィジュアル系はシャウトとかを使うバンドさんもいらっしゃいますし、僕達もガンガンにシャウトが入っている曲もありますけど、基本的にメロディー・ラインを大事にしています。キャッチーなメロディーを押し出して、ヴィジュアル系に偏見がある方にもスッと入っていきやすい音楽ということを心がけていますね。

 

――多彩でいながら説得力があるのは、完成度の高い楽曲が揃っていることの証といえます。とはいえ、どんなに良いバンドでも、すぐに頭角を表せるものではないですよね。活動の初期はthe Raid.の名前を広めるために、どんなことをされましたか?

星七:僕は、バンドを始める前はモデルをやっていたんです。コンビニにも並んでいるような雑誌で8年くらいモデルをやっていたので、モデルが音楽をやるということに対して偏見を持たれることがすごく多かったんですよね。それを打ち消すために、まずは自分がビラ配りをしようと思って、ビラ配りを始めました。

 

――本当に? ビラ配りをすると、ちょっと荒んだ気持ちになりませんか?

星七:なりますね。無視されることが多いし、ビラを手にしても全く見ないで、その場で捨ててしまう人とかもいて。でも、the Raid.を始めたときにメンバー達は僕の見え方を一番心配していたので、ここは僕がやるしかないなと思ったんです。対バンとかをしても、他のバンドのお客さんが僕らを観てくれないことがあったりしたんですよ。当時はちょうど元モデルの人とか、芸能人の人……亡くなってしまいましたけど、桜塚やっくんさんとか、岸田健作さんといった多少名前のある人達がヴィジュアル系をやり始めた時期で、僕も“どうせ、お前も同じやろう”という見られ方をしたんですよね。

それを、どうしても覆したくて、これは自分の本気さを伝えないとダメだと思って、ビラ配りをすることにしました。気持ちが折れそうになっても続けたことで、少しずつ自分の思いが伝わっていったし、ビラを見てライブにきてくれる人とかもいたんですよ。だから、やって良かったと思う。それに、ビラ配りは今もやっています。

 

――えっ、そうなんですか?

:はい。ただ、最初の頃はヴィジュアル系の大きなアーティストさんのライブがあると会場までいってビラを配っていたけど、今は全く違うフィールドの方達……たとえば、DA PUMPさんだったりとか、ジャニーズの方だったりとかのライブの後にビラを配っています。

 

――芯の強さを感じます。話をthe Raid.の結成初期に戻しますが、地道なビラ配りなどと平行して、ライブの質も高めていったんですね?

星七:ライブに関しては、僕は経験がなかったので経験値を積もうということで、とりあえずライブをガンガンやっていました。とはいえ、やはり歴のある人達には全然劣るので、普通にライブをやっているだけではお客さんの心を掴むのは難しいと判断したんです。なので、そこからは話題作り的なところで、なにかできることはないのかといろいろ模索を始めました。

いろんなことを試しながらライブを重ねていって、パフォーマンスの面でも、技術的な面でも多少自信がついたところで、楽曲もより自分達の世界観を反映させていこうという話をしたんです。今はコンセプトがないことがコンセプトになっているけど、当初はそれは言ってなかったんですよ、自信がなかったから。自信が持てるようになったので自分達らしくやっていこうということになって、そこからは僕がこういうことをやりたいとメンバーに発信するようになりました。

 

――バンド経験がなかったのに短期間で自主的にいろいろなことを提案するようになったことからも、バンドが肌に合っていたことがわかります。活動の拠点を東京に移したのは、いつ頃だったのでしょう?

星七:2015年くらいだったかな。なるべく早い時期に東京に拠点を移したいと思っていたし、the Raid.はメンバー・チェンジをしたことがあって、新しいメンバーが東京在住だったんです。そのタイミングで、みんなで上京してきました。

 

――東京にいくということはバンドとして大きな決断でしたか? それとも自然な流れという感じだった?

星七:僕自身は元々モデルをやっていたときによく東京にいっていたし、東京は日本で一番大きな市場なので、東京で勝負したいという気持ちがずっとありました。東京で勝負して勝つことができればどこでも勝てるし、東京で成功しなければ、どこでも通用しないと思っていたんです。それに、時間というのは限られているじゃないですか。誰もが歳は取っていくわけで、旬の時期を逃したくなくて、早く上京したいと思っていた。だから、メンバー・チェンジがあったときに、すぐに腹を括って東京にいこうと決めました。

 

――メンバーの皆さんも迷いはなかったんですね?

星七:みんなも同じ気持ちでした。ただ、最初はお金がないので、僕が家を借りて、そこに全員で住むことにしたんです。そうやって、なんとかやりくりしていた。今は自分達で会社を立ち上げて組織としてやっているのでビジネス・パートナーという感覚の強いつき合いをしているけど、当時はただの友達だったので楽しくやっていました。

今のほうが衝突することは多いですね。遊びじゃないから。本気でやっていることだからこそ喧嘩もするし、寿命ということも考える。ダラダラ遊びでバンドをやる分には“なぁなぁ”でやっていけるけど、そういうスタンスではやっていないから。だから、メンバー同士で衝突することが増えたけど、僕はそれは健全なことだと思っています。

 

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