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Crack6 冬会2021 千・聖しこの夜~聖夜にSay Yeah!~ライブレポート

Crack6

Crack6のライブはロックな熱さや、癒されるような温もり、そして確かな愛に彩られたものである

寒い季節にこそ、より実感できる熱さや温もり。そして、確かな愛。今宵、渋谷ReXにて開催されたCrack6 CLUB NEO会員限定LIVE[Crack6 冬会2021 千・聖しこの夜~聖夜にSay Yeah!~]の中にあふれかえっていたのは、そういったとても大切なものたちばかりだったと言えよう。  いかにもクリスマス当日らしく、ハッピーなジングルベルのSEにあわせてステージ上へと登場したCrack6の面々は、シャンパンの開栓をするかのようなハジける勢いで、まずは「Bang! 」を場内へと威勢よく放つことに。ハンドマイクを手にしたMSTRのパフォーマンスも、初っぱなからいきなりのフルスロットル状態だ。また、次いでの「破壊不可能」ではMSTRが定番のVシェイプギターを手にした状態で歌いだし、エンディングには華麗なるタッピングソロも披露。かれこれオリジナル楽曲は20年も前からあるものであるにも関わらず、今もって色褪せることのない「電撃ミサイル2006」も相変わらず派手でカッコイイ!
「元気ですか?冬会、やってまいりました!みんなの顔が見られて僕は嬉しいですよ。今夜は[Crack6 冬会2021 千・聖しこの夜~聖夜にSay Yeah!~]ということで、集まってくれて本当にありがとうございます。配信をご覧になっている画面の向こうの皆さんも、こんばんは!どうも、ジョニー・デップです(笑)。今日はクリスマスですからね、楽しんでいきましょう。僕も楽しみたいと思います。まぁ、こんな時代なんで普段だったら僕が「Yeah!」って言ったら、みなさんも「Yeah!」って返してくれるわけなんですが、ここ2年くらいはイレギュラーな状態といいますか。でも、みんなが今してくれてるみたいに拳をあげるんでもいいし、拍手でもいいし、とにかくイイ感じのリアクションを僕は求めてますんで、よろしくお願いします!」  なお、ここからはMSTRとTENZIXXとによる“裏拍からの拳”についてオーディエンスに対してのレクチャーがなされ、それを受けての「Break the Darkness」では場内の一体感がさらに増したことは言うまでもない。英詞が多いだけに強いロック感が漂う「1996」、いなたいリフをSHIGE ROCKSとエクスプローラータイプのギターを持ったMSTRがかけあうイントロからスタートした「Realistic Pillow」と、どうやらこの夜のセトリはなかなか豪快なメンツが揃えられている模様。
「いやー、やっぱライヴはいいっすねぇ。とはいえ、こんな状況になりまして、もはや2年近くですか。こちら側からすると何時まで経ってもちょっと見慣れない光景だし、みなさんからしても違和感はあると思います。(中略)でも、まだ用心するのに越したことはありません。我々も感染予防に関しては凄く積極的にやってますので、みなさんもぜひ健康を維持しながら…って、こんなことロッカーぽくないからあんまり言いたくないなぁ(笑)」  このあたりのセルフツッコミは、MSTRならではと言ったところか。むろん彼の気持ちは察するにあまりある。 「まぁ、2019年の冬会では握手会とかサイン会とかもやってたわけでね。今となってはあれが遠い昔みたいに思えます。その後、コロナ禍になってからはPENICILLINの方も含めて一時はどうするんだこれ?!何も出来ないのか??ってなりましたけど、そこからはとにかく「やるしかない」って考えて、いろんな批判を受けてもいいやと思って動きだしたんですよ。音源作って、CD出して、みんなに買ってもらって、お互い支え合おうみたいな。ほんと必死ではあったんですが、みなさんのおかげでピンチには陥らなかったし、幸いなことにメンバーも今のところは誰もコロナには罹ってません。ひとつ言えるのは、これはみなさんの愛のおかげなんですよ。さっきやった「Break the Darkness」で〈壊れた世界を 愛だけが救う〉って歌ってますけど、ほんとそうだと思うからね。俺が年を取ったせいもあるのかな(笑)。いやでも、ハッキリ言うけどこれは愛だよ。20代とか30代とかで「愛ですよ」なんて言ってたらちょっと嘘くさいけど(笑)、ある意味この年で今コロナ禍を経験したことで、ひとつの真実気付かせてもらえた気がしてます」  普段は飄々とした語り口を得意とするMSTRの、素直な本音をここで聞けたことはファンの方々にとって非常に嬉しいことだったのではないかと思われる。と同時に、このあとMSTRがセミアコギターで織りなす優しい響きを活かしながら歌ってみせた「アネモネ」が、じわじわと聴きての心に沁みわたった場面もこのライヴにおける重要なポイントだったと言えるはず。  もっとも、JIRO 6の刻む心地よいリズムから始まったセッションでは一転してのパーティーモードへと場の空気がシフトしていくことになり、グルーヴ感をたっぷりと堪能出来た「No Solution 」や、21年6月に発表されたアッパーにして先鋭的な最新シングル曲「SPEED FREAKER」では、2021年の誕生日で50歳を迎えたとは思えないほど良い意味でオトナゲナイMSTRのやんちゃなロッカーっぷりが発揮されたのだった。  ちなみに、この日の出で立ちについてMSTRは衣装に赤を多く取り入れている点、髪に緑のメッシュが入っている点、いつものゴーグルの横にオーナメントを添えてある点をさして“クリスマスツリー仕様”であることをアピールしたうえで、本編ラストに向けては以下のような煽りを展開。 「クリスマス当日にライヴっていうのも、そんなにないことなんでね。今夜はクリスマスですよ、みんな! 盛り上がっていきましょう!!!」  聖夜の厳かな雰囲気とはかなりほど遠いヘヴィでラウドでな「Crazy Poker Face」をブチかましつつも、〈未来は僕らが描こう ハレルヤ〉と旧約聖書や新約聖書における感嘆詞が歌詞に含まれている「ジキルの空」をはさみつつ、疾走するロックチューン「Set Me Free」で一旦ステージ上をハケたあとに、ほどなくして始まったのはお待ちかねのアンコール。
 ここではメンバーそれぞれがサンタ風のコスチュームをまとっており、MSTRは赤白のフーディーケープ姿で冬会恒例の「Falling Over You」をしつとりと歌いあげてくれたのだが…もともと1996年11月にソロ名義での3rdシングル表題曲として世に出た頃から、何度聴いてもこの曲はつくづく普遍的で素敵が過ぎる。これぞ冬には欠かせない1曲だ。  一方、MCにおいてはMSTRらしさが全開になった駄洒落まじりグッズ紹介や、FC旅行の告知、PENICILLIN30周年についての話題が語られたあと、ここからについての宣言がMSTRからあったことも忘れてはならない。 「もちろん、PENICILLIN30周年と共にCrack6も並行して動きます。これからもみなさんに愛を供給していきたいと思ってますので、2022年はまたみんなで遊ぼうよ!じゃあ、最後はみなさん今日とてもいい子だったので千聖サタンではなく千聖サンタでいきたいと思います!!」
 かくして、この夜のライヴを締めくくったのは10年前に発表されたアルバム『Butterfly Effect』の最後を飾っていた曲でありながら、今この時代にもそぐう希望の歌として聴けた「マリーゴールド」。
「Merry Chiristmas!!ありがとうございました!!!」  付け加えるなら、場内ではここからさらにFC名にもなっている「NEO」がもう1曲だけ特別に演奏されたものの、いずれにしても2021年の聖夜に開催された[Crack6 冬会2021 千・聖しこの夜~聖夜にSay Yeah!~]がロックな熱さや、癒されるような温もり、確かな愛に彩られたものであったことは間違いない。そして、Crack6は2022年もきっと無限の愛と共に在る。 

TEXT:杉江由紀
PHOTGRAPHER:折田琢矢

★インフォメーション★
Crack6 冬会2021
グッズ通信販売中!
〆切:1月7日(金)23:59まで https://ddj.official.ec/

オフィシャルHP https://www.crack6.jp/

★セットリスト★

「Bang! 」
「破壊不可能」
「電撃ミサイル2006」
「Break the Darkness」
「1996」
「Realistic Pillow」
「アネモネ」
Session
「No Solution 」
「SPEED FREAKER」
「Crazy Poker Face」
「ジキルの空」
「Set Me Free」

-ENCORE 1-
「Falling Over You」
「True Sympathy」
「マリーゴールド」

-ENCORE 2-
「NEO」