現在、最新シングル『ミーハーを葬る唄』を手に、「Sick² 69箇所+シックスナイン+690円ワンマンツアー『××の舐め合い』」を実施中のSick²。彼らの激動な日々を追いかけた。

撮影：菅沼剛弘 / インタビュー：長澤智典
Photographs by Takehiro Suganuma / Interview by Tomonori Nagasawa

 

「今回のツアー楽しかった、また味わいたい」と思っていたところへ、何ヶ月後かにふたたびやってくるという流れも組み込みたかったんですよね。

 

――昨年は、初の「47都道府県」を通し全部で50本のツアーを行ないました。今年はさらにスケールを上げ、69本のワンマンツアー「69箇所＋シックスナイン＋690円ワンマンツアー『××の舐め合い』」を用意し、現在実施中です。まずは、なぜこのツアーを計画したのかから聞かせてください。

ジェネ★　最初は単純に、「昨年と一緒は嫌だし、昨年よりも本数を減らすのはどうかなぁ」という気持ちもあって。かといって倍に増やしてもなぁというのも違うだろうし。それに、ツアーの名目というか、作品のリリースを絡めつつもツアー自体に意味を持たせた、しかも「語呂合わせ的なもので、何かいいタイトルはないかなぁ」と思っていたところから構想はスタートしました。
 

――そこから…。

ジェネ★　69ヶ所演る「69箇所＋シックスナイン＋690円ワンマンツアー『××の舐め合い』」と題したシックスナインツアーを思いつきました。そのタイトルを決めた後から、具体的な日程や細かい内容を組み始めたんですけど。こういうのって、後からタイトルを決めて無理やり理由付けをするよりも、先にタイトルを決めてからいろいろ計画を具体化したほうが、いろんな面で計画を練りやすいんですね。まして、「意味もなく全国をまわるだけじゃ違うなぁ」という気持ちも強かったこともあって、先にタイトルを決めた次第でした。
 

――なぜ、「シックスナインツアー」だったのかも気になります。

ジェネ★　語呂の良さも理由の一つにはあるんですけど。ただ、どんなに語呂が良くても、スカイツリーが634mだから634(むさし)ツアーと題して634本まわるとかって現実的では無いじゃないですか。それよりも、前回は50本だったんで50本に近い数字で、バンドの持っているイメージや世界観、歌詞に近いものは…と考えた上で、「自由にいろんな意味をあてはめられる言葉は何なのか」と頭をひねってゆく中、「シックスナインツアーがいいんじゃないか」と。

その言葉が持つ卑猥でアダルトな感じを通しいろんな捉え方が出来れば、ちょっとエロチックな表現もSick²の歌詞には登場することもあるように、そういう部分も盛り込んでいけるかなぁというのがスタート地点でしたね。

大志　せっかく長い期間ツアーに出るんで、中には2周したい地域もいろいろとあったんですね。 これが「47都道府県ツアー」になると、ツアーで一度触れたら、このツアーが終わるまで地元には来てくれないんだとなってしまう。今回は、半年かけてじっくり全国各地をまわりたかったからこそ、幾つかの場所にはなってしまうけど、「今回のツアー楽しかった、また味わいたい」と思っていたところへ何ヶ月後かにふたたびやってくるという流れも組み込みたかったんです。そういうのを考えたときに、69本という数字が最適かなぁとなりました。

 

 

 

西日本を襲った豪雨のときに、僕らちょうど鹿児島から島根県までの移動時期でした。

 

――今回も、ツアー中にいろんな事件はあったのでしょうか?

ジェネ★　取材を受けてるツアーの半分以上を超えた時点での話にはなるんですけど、今のところ、事件らしい事件はなかったね。
 

――昨年が、いろいろあり過ぎましたからね。

ジェネ★　前回は自動車事故から祭-まつり-の骨折など、いろんな事件や事故が多すぎました。もちろん、小さい事件や事故はあるんですけど。強いて言えば、西日本を襲った豪雨のときに、僕らちょうど鹿児島から島根県までの移動時期だったんですね。あのときは…。

大志　九州から出れないんじゃないないか…という心配がありましたからね。

ジェネ★　普通は鹿児島から島根って高速道路も使って8時間で行けるところを、あのときは17時間かかったんで。豪雨によって高速道路を降ろされれば、下道でも通行止めがあったり。ナビを見てもよくわかんなかったりなど、あのときの移動は大変だったね。

関門海峡も、僕らが着く頃には無事に通れるようになっていたんですけど、移動してる当初は閉ざされていたから「本当に九州から出られるか」と心配しながら移動していたように、僕らにとっても心配を含む事件にはなったんですけど。あの時期は、集中豪雨の被害や影響によってライブに来れない人もいれば、何より、西日本豪雨自体が社会的な影響を与えた災害でしたからね。さすがに自然災害だけは、防ぎようがないこと。たとえ時間を要そうとも無事に移動出来たぶんだけ、僕らはラッキーだったかも知れないです。だって、ツアーの経路によっては、本当に行けないということも十分にあり得たことでしたからね。
 

――祭-まつり-さんは、今回は完璧な状態でツアーをまわってるんですよね。

祭-まつり-　すっごい幸せです。ホントに幸せです。昨年は序盤の時期から松葉杖をついてのツアーだったんで、こうやって普通に二足歩行出来るって、本当に幸せ過ぎて最高ですよ。
 

――今回のツアーでの印象深いことがあったら、ぜひ教えてください。

祭-まつり-　前回、足を骨折したことから座ってライブをやる機会が多かったんですよ。それもあって、今回のツアーで各地をまわりながら、「昨年はこの箱、座りながらライブをやってたなぁ」ということをよく思い出しています。しかも、今回は視界が広がれば、観てた目線も変わったように、そこも新鮮なこと。何より座ってと立ってでは、お客さんの熱の捉え方も、熱の伝わり方も全然感覚が違うんです。それがすっごく楽しいように、その違いを一番感じていることが俺の中では印象深いことです。気持ちのうえでは、まさにリベンジツアーです。
 

――たくまさんも、お願いします。

たくま　まっつん（祭-まつり-）が昨年のツアーで骨折したことから、ライブ中に座って弾いてる姿を鮮明に覚えてて。でも今年は「あいつ立ってるぞ」という気持ちになってますね。

祭-まつり-　それ、どう反応すればいいの(笑)。

たくま　…今回のツアーは、とくにトラブルもなく。あっ、昨年の「47都道府県ツアー」のときに、大分にうにしゃぶの美味しいお店があって、俺とまっつんの2人でそれを味わったんですけど。今年も味わいたくて2人で向かったんですよ。なのに、行ったら定休日でした。大分とかなかなかライブで行けないから、今回すっごく楽しみにしていたのに食べれない…。

祭-まつり-　あんときは、激凹みしたよね。あれはつらかったなぁ。

たくま　あれが一番つらい事件でした。

 

 

 

1回くらい幽霊を見てみたいよね。どの面下げて俺らの前に出てくるんだろうね。

 

――泊まったホテルで事件があったりは?

たくま　事前に泊まるホテルを調べてたら、「幽霊が出る」と書いてある箇所が幾つかあったんですね。俺、全く霊感がないから、ぜひ幽霊に逢いたい派なんですけど。いまだに一度も会ってないです。

ジェネ★　1回くらい幽霊を見てみたいよね。どの面下げて俺らの前に出てくるんだろうね、俺に恨みあんのか、俺、なんかした?って。

祭-まつり-　アハハッ。

ジェネ★　確かに、1回くらいは見たいよね。

たくま　見たい。そしたら信じる派に変わるからね。

ジェネ★　だって、幽霊みたって死ぬわけじゃないでしょ。

たくま　とあるホテルに、一部屋だけ赤文字で印された、よく幽霊が出ると言われる心霊部屋みたいなところがあったんですね。そこが、運悪くまっつんの部屋に当たってしまって。彼はとても怖がっていたから、変わりに俺がその部屋に泊まったんですけど。そこに泊まっても何も起きなかったんですよ。それくらい、俺の霊感は0%ですからね。

大志　でも、別の日に、とあるホテルの部屋に入ったとたん、「ゴキブリが出たー」とたくちゃん（たくま）が騒ぎだして、俺がたくちゃんと部屋を変わったこともありました。

たくま　心霊は俺が担当するから、虫系はろっしーが担当してって感じだよね。

大志　幽霊はOKでも、虫は無理みたいな。

ジェネ★　虫の霊はどうすんだ??

たくま　それは駄目だなぁ（笑）。

――大志さん、事件は?

大志　どうっすかねぇ、ツアー中盤に一度腰を痛めまして、2本ほど、ライブ中にコルセットを巻いたうえでドラムを叩いたことがありました。YOSHIKIさんは首にコルセットを、俺は腰にコルセットを巻いてドラムを叩いたように、それってYOSHIKIさんかろっしーかみたいな伝説話ですよね。

ジェネ★　そのコルセットは、昔、僕が痛めたときに使ってたコルセットです。

大志　コルセットでのプレイは、伝説を作るドラマーなら誰もが通る道ですからね。コルセットをつけないと、伝説のドラマーにはなれない。だから俺はもう、伝説に王手っす。

――王手の、その先が気になります。

大志　あとは売れるだけです。

ジェネ★　YOSHIKIさんは売れてからコルセットを巻いてたけどね。

大志　まぁまぁまぁ、そこは先にやっといたということで。これで東京ドームをやれば、ろっしー伝説が始まりますよ。

 

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