INTERVIEW

えんそく ロングインタビュー 第2回(全4回)「タウンページが伝えたいのは電話番号。つまり、伝えたいテーマはずーっと変わらないってこと。」

えんそく


最新シングル『神様は盲点色』も絶好調。6月6日には、筋肉少女帯のカヴァー曲も含むミニアルバム『僕の宗教へようこそ~Welcome to my religion~』を発売するえんそく。5月下旬よりスタートする、えんそくのメンバーの地元で公演を行う単独公演行脚「アイツが町に帰ってきた~The boy is come back to town~」にも、ぜひ足を運んでいただきたい。


撮影:菅沼剛弘 / インタビュー:長澤智典
Photographs by Takehiro Suganuma / Interview by Tomonori Nagasawa


 

『神様は盲点色』は「なんてシンプルな曲だ」と思っていたけど、話を聞いてると「確かにややこしいことをやってんなぁ」と思えてきた(笑)。

 

――現状、最新シングルとなる『神様は盲点色』。この楽曲を作るきっかけや理由を聞かせてください。

クラオカユウスケ 今回は『神様は盲点色』というタイトルが先行でしたね。そこから、じゃあ連想するものは何か…って、作曲したときに、あんまりハイテンポの曲ではないなぁと思って。

ぶう 最初は、格好いいハード目な曲も候補に上がっていて。でも、「今までのえんそくのシングルにないものにしたいな」という話になり、当時候補に上がっていた曲は全部「やめ」となったんだよね。

クラオカユウスケ その結果、今のテンポ感の曲になりました。

ぶう 楽曲自体も、やまだかつてないポップな感じになりましたからね。
 

――ポップと言いつつも、かなりひねくれた、いきなり展開をブチッと変えてゆくトリッキーさも持っていますよね。むしろ、そこがえんそくらしいんでしょうね。

ミド 久々に「えんそくらしい」っちゃ「らしい」曲ですね。
 

――1曲の中で変態的なドラマを描いてゆく。転調どころじゃないバチッと曲を切り離しては、まったく違う曲を張り付け、また元の展開へ繋げてゆく大胆さ。そこが、えんそくらしさですもんね。

ミド メンバー自身は、それをすげぇ当たり前のこととして自然にやっていますけど。確かに、言われた通りなんですよね。「最近、このやり口はやってねぇな」という気はする。何より、他ではない曲の展開っすからね。
 

――場面が変わることでテーマ性にも深みが出る。

クラオカユウスケ うちら、とくに意識はしていなかったんですよね。そう言われてハッとしたというか、なるほどねという…。

Joe そんなに不自然さや違和感は感じずでしたね。

ぶう むしろ、素直に作ったよね。

SIN ………。
 

――えんそくは、普通の曲を作りませんからね。

ぶう そうなのかも知れないっすね。

Joe 多少トリッキーなくらいでは、メンバー間で「それ、普通だね」となっちゃうんですよ。そうメンバーに言われて、「確かに普通だね」となり、そこから別な方向性を曲の中へ加えたりというのは、よくあります。
 

――過去に作りあげた数あるアルバムを聞いていても、当たり前の曲がないですから。

Joe ただ、えんそくの場合、どれを当たり前と定義するのかも難しいんですけど。本人たちの中にはつねに、「どっかにひと捻り、ワンフック付けなきゃ」という意識がありますからね。
 

――ひと捻りどころじゃないですけどね(笑)。

クラオカユウスケ こっちがひと捻りのはずが、リスナーからしたら800捻りだったり。

ミド もうねじ切れてる(笑)。

Joe ねじ切れすぎてます(笑)。

SIN それが「えんそくの曲は複雑」と言われる由縁なのかも知れないです。

ミド 『神様は盲点色』は「なんてシンプルな曲だ」と思っていたけど、話を聞いていると「確かにややこしいことをやってんなぁ」と思えてきた(笑)。

ぶう 確かに。何故なら、他のバンドさんの曲をカヴァーするとすごく覚えやすい(笑)。えんそくの曲は、覚えるまでが大変だからね。

 

 

 

新曲の振りはもう覚えましたけど、どんなものです?って顔してる(笑)。

 

――えんそくファンも、この複雑怪奇さを普通に感じているんでしょうけど。一般人からしたら、えんそくの曲は愕然とするくらい複雑怪奇でミステリーですよ。

ミド やっぱ、とっつきづらいんですね。
 

――むしろ、そこがえんそくの面白さじゃないですか。

ぶう 次はもっとシンプルな曲を作ろうか。

ミド サビしかない曲(笑)。

クラオカユウスケ サビ・イントロ、サビ、イントロ、サビサビサビ(笑)。
 

――シンプル過ぎる曲は、むしろ、えんそくらしくないですからね。ファンたちも、つねに濃い楽曲を求めているんじゃないですか?

ミド 確かに。振りとかも、より難しいのを欲しがりますからね。ライブで新曲を振り付きで披露をしても、「もっと難しいのを持ってこいや」って顔をしていますから。

Joe これくらいじゃ温いと。

ミド もう覚えましたけど、どんなものです?って顔してる(笑)。

Joe もっともっと困難なやつをと…。
 

――そこに、見えないバトルがあるんだ。

ミド お客さんもそういう気持ちで楽しんでくれていれば最高ですよね。
 

――まさに、えんそく独自の世界観をみなさんが欲していますからね。『神様は盲点色』はまさに、そこをしっかり突いた曲だなぁと感じました。

ぶう そっかぁ、俺、『神様は盲点色』ってやまだかつてないほどポップな歌だと思っていたよ。

Joe わたしも、ストレートでポップだなぁと思っていたんですけどねぇ。
 

――確かにつかみはありますけど、一般的なポップとは概念が違いますから。

Joe やはりえんそくは、何処か擦れているんですかね。
 

――だからこそ、えんそくらしくていいんじゃないですか?

ミド そうっすよねぇ、みんなと同じことをやってもね。

Joe 一つくらいこういうバンドがいた方が…。

SIN いいんです。

 

 

 

タウンページが伝えたいのは電話番号。つまり、伝えたいテーマはズーッと変わらないってこと。

 

――『神様は盲点色』の歌詞に詰め込んだテーマも気になります。

ぶう テーマを持って書いてはいますけど、僕の場合は、ずっと同じことを曲の中へ書いているんでね。手を変え品を変え、そのときに掲げたテーマへなんとなく沿う言葉として、変わらぬメッセージを繋げているだけなんで。

ミド まぁ、タウンページみたいなもんですよ。
 

――えっ、タウンページですか?

ミド ページを開けば業種が変わっていく。でも、載っているのは全部電話番号でしょという。

ぶう 基本的に伝えたいのは電話番号。つまり、伝えたいテーマはずーっと変わらないから、聞く人によっては「今回もまた同じことを歌ってんな」という感じではありますからね。
 

――最近のライブもそうですけど、何処か宗教がかった表現をいろいろ示していません?

ぶう そこは世代的な影響もあるのか、僕ら世代の場合、そういう音楽的な事象へジェネレーション的に影響を受けて育った面もあるんですよ。1990年代末頃にリスナーであったし、その頃、一番感受性の強い少年期を過ごしてきたこともあって、こういう(宗教や政治的な)音楽ネタも身近にあったこと。えんそくを始める前にも、ミドと一緒に「うちらもそういうことをテーマに表現活動をしていこうか」と話をしていたくらいだったからね。

ミド えんそくを始めるときも、今やっているようなテーマを打ち出しながら始めようかという話もあったくらいだったからね。

ぶう それこそ、今のように頭に「怪電波をキャッチするアンテナをつけよう」など。そういう意識や表現は、今日(こんにち)までずーっと一貫してあったこと。それを今は、その (●教体的な)部分だけに焦点を当てている感じだからね。

ミド しかも、すごい剥き出しの状態でね。

ぶう そこが今回は剥き出しになっただけで、こういうテーマは、ずーっとえんそくの中にあれば、表現し続けてきたことだったなと思います。
 

――手を変え品を変えやってきた結果、今の形に落ち着いたわけだ。

ぶう そうですね。結果、今が一番余計なエッセンスなく表現出来ているのかな??。伝えたい想いの軸にあったものが、『神様は盲点色』以降の活動にはけっこうぶっ太く出ている気がしていますからね。

 

 

 

俺たちが100万人に寄せていってもね。そんなバンド、世の中へ腐るほどいるから、そういう人らに任せておけば良いこと。えんそくがそれを求めてしまったら絶対に面白くないんですよ。

 

――お客さんは、今のえんそくが掲げ表現しているテーマを、どう思っているのでしょうか??

ぶう まぁ賛否両論あると思うんですよ。今、僕らが表現していることって、すごく賛否両論が出ること。だけど、俺らはロックバンドをやっているわけだから、万人からの賛が取れなくても良いと思ってる。そこを気にしてもしょうがないから、同じように(本質を理解したうえで)悪のりをして楽しめる奴、ここに集合って感じではありますね。
 

――反体制を皮肉り、揶揄していくのがロックな姿勢でもありますからね。

ぶう そうなんですけど。俺たちもそろそろ、ギリギリ危ないかなと思っていて。
 

――えっ、それはどういうことですか?

ぶう ホントに世の中、今は窮屈じゃないですか。SNSとか、すごい窮屈なんですよ。誰も知らないところで、俺らを好きな人たちとだけで楽しんでいるうちは良かったし、そういう感じで活動を続けてきたんですけど。最近は徐々に、俺たちの存在が世間にも見つかってきたというか…。

ミド いろんな締めつけが厳しくなってきている。
 

――SNSへの書き込みの賛否を気にしてしまう?

ぶう いや…。

ミド まったく。文句があるなら直接言ってくれたほうが、実際にその人の話を聞きますし、面と向かって話もするんですけど。誰もそうはしてこない。

ぶう 僕ら、サザンオールスターズやMr.Childrenのようなバンドじゃないから、無理に100万人を喜ばせなくてもいいんですよ。もちろん、100万人を喜ばせたくないわけじゃないですよ。100万人が俺らのベクトルを理解してくれるようになればいいなと思ってる。ただし、俺たちが100万人に寄せていってもね。そんなバンド、世の中へ腐るほどいるから、そういう人らに任せておけば良いこと。えんそくがそれを求めてしまったら絶対に面白くないんですよ。

理想を語るなら、俺たちのベクトルがぶれずに、いかに100万人に理解してもらうかが大事なわけで。最初は否(ぴ)の人もね、だんだん「こいつらならいいか」というか、「なるほど、こういう面白みか」となってくれればそれでいいなと思ってる。

ミド そんな、頭ごなしに否(ぴ)らないでほしいですよね。

クラオカユウスケ 最初から否(ぴ)らないで欲しい。

ミド まぁ、否(ぴ)ってもいいんですけどね(笑)。

ぶう 世間は、本質を知る前に、単なる噂や書き込みだけですぐ否(ぴ)るからねぇ(笑)。

ミド わかりやすくリアクションしてくれれば、なるほどそうかってなるんだけど。

Joe 賛にしても否(ぴ)にしても、とにかく直接言って欲しいです。

 

第1回第2回第3回第4回
第3回は1月23日更新予定

 

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[収録曲]
1.神様は盲点色
2.その後のペテン師(新色Ver.)
3.神様は盲点色~カラオケVer.~

 

 

 

えんそく故郷単独公演行脚
「アイツが町に帰ってきた~The boy is come back to town~」

5月26日(日) TSUTAYA O-WEST
6月8日(土) 横浜7th AVENUE
6月9日(日) 山梨甲府KAZOO HALL
6月15日(土) 仙台MACANA
6月16日(日) 青森Quarter
6月23日(日) 心斎橋VARON

 

EVENT SCHEDULE

1月9日(水) 柏PALOOZA
1月12日(土) 神戸VARIT.
1月13日(日) 岡山IMAGE
1月14日(月祝) 高松MONSTER
1月20日(日) 渋谷REX
1月30日(水) 新宿LOFT
2月2日(土) 仙台darwin
2月10日(日) 長野CLUB JUNK BOX
2月11日(月祝) 今池3STAR
2月16日(土) 名古屋EL.L
2月17日(日) 静岡LIVE ROXY
2月18日(月) マイナビBLITZ赤坂
2月23日(土) 高松DIME
2月24日(日) 大阪BIG CAT


 

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