INTERVIEW

清春 ロングインタビュー 第1回 「もうバンドやっている場合じゃないなと。」

清春


清春というアーティストは誰にも似ていない。黒夢、sadsでヒット曲を放ち、男性ファンにも熱く支持される一方で、2003年には清春としてソロデビュー。バンドでの攻撃的でひりひりした側面とは異なるアンニュイで大人な世界観を打ち出した。また今でこそ珍しくないことだが、ファッションリーダーとしても定評があった清春は自身のブランドを早くから立ち上げ、ブランドオーナーとして活躍。近年では彼の音楽に通じる空間を具現化した会員制のバー「BABYLON TOKYO」のプロデュースも手がける。多岐にわたる活動にも関わらず、“清春”は“清春”だ。バンドであろうがソロであろうがアーティストイメージに全く手垢がつくことがなく、広い世代の後輩からリスペクトされ続けている。昨年の10月に50才の誕生日を迎えた清春がシーンでサヴァイヴしてきた視点とそのバランス感覚に迫る。


インタビュー:山本弘子
Interview by Hiroko Yamamoto

カメラマン:宮脇進 / ヘアメイク:諏訪内めぐみ
Photo:Susumu Miyawaki / Hair&Make up:Megumi Suwanai


 

■もうバンドやっている場合じゃないなと。

 

——清春さんのアーティスト人生とそのバランス感覚という大きなテーマで話を伺いたいと思います。2018年10月に50才の誕生日を迎えられましたが、50才という年齢はいつ頃からリアルになってきましたか?

清春:48才ぐらいからじゃないですか。“もう後がない”と。
 

——40才になったときと重みは違いましたか?

清春:バンドをやっている場合じゃないなという気はしましたかね。

 

——というのは?

清春:ミュージシャンとしてはやっていいんだけど、バンドマンとか嫌だなというか(笑)。僕はバンド(黒夢、sads)が復活してから清春としての活動も並行してやっていたので、40才からの10年間はバンドとソロを行ったり来たりしてたんです。数ヶ月バンドで歌って、ソロに戻るとか。そうすると如実に違いを感じるの。バンドはスピーディで激しい曲が多いので歌い方も違うしね。
 

——バンドではシャウト気味に歌うことが多いですものね。

清春:そう。ソロの場合は声を歪ませたりしないので優しい歌い方をする曲も多い。でも、若い頃のようにバンドで得たもの、ソロで得たものを持ち帰ることもなくなってきたので。
 

——両方やっていることでの相乗効果がなくなってきたという?

清春:そういうふうに前向きにとらえて活動するのではなく、バンドはバンドでわりきってやる。この5年ぐらいはそうでしたね。再結成して以降はどう終わればいいのか手探りでやってきたのかな。
 

——終わりを見据えての活動という意味でわりきって活動していたということですか?

清春:最初はやる気だったんですけどね。でも若くないから“これから行くぞ!”とか“有名になるぞ!”っていうことでもないので、何年かたつと“今回のツアー、この会場は何人入るのかな?”とか、そういうことしか物差しがなくなってくる。別に後ろ向きなわけじゃないんですけど、一緒にやっているのはバンドマンなんですよね。ソロのメンバーにはバンドをやっていないサポートミュージシャンやスタジオミュージシャンもいるんですけど、その違いをツアーの移動中や空き日に感じましたね。
 

——バンドマンとサポートやスタジオミュージシャンの違いは何でしょう?

清春:今の若いコはミュージシャンという言い方はしないのでバンドマンって言いますけど、僕にはそれが人種というかジャンルみたいな言葉に響いてました。僕はバンドマンはバーとか喫茶店で雇われて演奏している人たちみたいに捉えていて、ライブハウスで活躍している人たちはバンドマンじゃないと思っているんです。僕でいうと“黒夢”というバンドを組みましたっていう話で。バンドマンってすごく中途半端な言い方に感じる。だってバンドをやっているから音楽ができるかっていうと必ずしもそうじゃないですか。
 

——例えばスタジオの仕事をするミュージシャンは譜面が読めて、オーダーにすぐに対応できるスキルと柔軟性がある。そういう意味でプロフェッショナルな姿勢が求められますよね。

清春:そうですね。バンドはボーカル、ギター、ベース、ドラムとかで成り立っているけど、「ホントにギター弾けるの?」ってなると「や、バンドなんで」みたいな逃げが許されるところがあるというかさ。だから、ギタリストとかミュージシャンという言い方でいいのよね。特に僕らみたいなジャンルのバンドマンという言葉にあやふやなものを感じますね。
 

——今、話してくれたことはバンドをやっている人たち全てに当てはまることではないけれど。

清春:バンドとソロの違いについて話したわけではないんです。50代に突入してバンドからは卒業したい。まぁ皆さんも50になるまでにそうしたほうがいいんじゃないですかね。
 

——それは音楽を続けていくためですか?

清春:そうですね。ミュージシャンって音楽家っていう意味じゃないですか。そういうことをバンドとソロを行き来する中で考えましたね。
 

——清春さんは30代でソロデビューしましたが、ソロでの活動の積み重ねの中で感じたことでもあるんでしょうか?

清春:感じるのは日本の音楽ファンの人たちはバンドが好きな人が多いってことですかね。団体戦というか。だから、ソロになると苦戦する場合が多いんですけど、そこは音楽の中身をいかに充実させるかだと思うんですよね。
 

——なるほど。清春さんの中には攻撃的な面とロマンティックでメランコリックな面があって、そのバランスをとるためにバンドとソロが必要なのかと思っていましたが、それは違うんでしょうか?

清春:違いますね。激しくやるのは得意ですけど、身体をフルに使って歌うのは何才までできるんだろう?って。もちろん鍛えたほうがいいんだろうけど、音楽はスポーツじゃないですから。ただスポーツ的な側面があるのは確かで、それはバンドのほうがより求められますよね。
 

——ステージを動き回って歌うわけですからね。

清春:お客さんもダイブするし。身をもって言えるのは20~30代のミュージシャンと同じステージをやっているつもりでも昔の自分のビデオを見たりすると動きが速かったりするんですよ。
 

——瞬発力が違うと。

清春:そうですね。ファンの人も一緒に年をとっていくので、それは良しとしてもいくら身体を鍛えようが動きは鈍っているので、いかに音楽にシフトチェンジしていくかでしょうね。もっとハートフルというか。歌声やニュアンス、歌詞や細かい動きで表現していくことに重きを置いていく。それがベテランのミュージシャンには不可欠なところじゃないかと思います。音楽を続けていくのであれば。
 

——さっきバンドからソロにシフトして成功するのは難しいとおっしゃっていましたが、清春さんは両立させたアーティストだと思うんです。ただ、若い頃はそんなに先のことまで考えない。清春さん自身も黒夢でデビューして、のちにsadsを結成して当初は生き急いでいるイメージがあったと思うんです。それこそ早死にしてもおかしくないようなファストな生き方というか。でも、どこかで考え方が変わったタイミングがあるから歌い続けている今があると思うんですよね。

清春:走り続けているように見えても僕の中では走る速度はかなりスピードダウンしてますからね。「頑張って走らなきゃ」と思っていたのは35才ぐらいまでじゃないかなぁ。
 

——人によって理由も時期も様々だと思いますが、どこかで転機が訪れますよね。

清春:僕の場合は東條さん(雑誌「FOOL’S MATE」編集者)が亡くなったというのもあって彼へのレクイエム的な気持ちでバンドを復活させようという気持ちが強かった。それはひとりの人間としての想いで、がむしゃらに「やるぜ!」っていう感情とはけっこう遠かったんです。
 

——最初に結成したときのモチベーションとは明らかに違いますよね。

清春:だから、人生としては「どこまで元気でいられるんだろう?」って感じながらやっていますけど、バンドとしてミュージシャンとして走り続けるっていうのはもうないです。ただ、その分、人として親として40代、50代の男性として“まわりはこうだけど、自分はどうあるべきか?”とか、そういうふうにみんななっていくんじゃないかと思うんですよ。それはファンの人も同じでさ。
 

——ファンの人も結婚したり、子供を育てていたり、親の面倒を見たりとか生活が変化していきますからね。

清春:そう。若いバンドのファンの人には理解できないことかもしれないけど、月日がたてばわかることだと思っていて、たまたま僕らは早く経験しているだけ。僕らも先輩の気持ちはまだわからない。ただ、やり続けている中で見えてくることはいっぱいあると思います。今、30代〜40代のミュージシャンの焦りや悩み、小さな喜びは僕も少なからず経験していると思うから後輩の葛藤はうっすらわかるけど、自分で打破するしかないわけで。
 

——いろいろ乗り越えてきたから、言える言葉ですね。

清春:読んでいる人たちは僕が黒夢でデビューした時代を知らない人も多いと思うし、響かないかもしれないけど、音楽を続けることができたら通る道なので僕のインタビューは読んでおいたほうがいいと思いますよ(笑)。
 

★第2回は2月13日(水)更新予定!club Zy.チャンネルでは2月11日(月)から先行配信。
第1回第2回第3回

 

   INFORMATION   
 
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OPEN 17:30 START 18:30
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3月1日(金) 名古屋ダイアモンドホール
OPEN 17:30 START 18:30
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3月20日(水) 梅田CLUB QUATTRO
OPEN 18:00 START 18:30
(問)大阪ウドー音楽事務所:06-6341-4506

4月2日(火) 名古屋CLUB QUATTRO
OPEN 18:00 START 18:30
(問)大阪ウドー音楽事務所:06-6341-4506

4月6日(土) 渋谷CLUB QUATTRO
OPEN 17:30 START 18:00
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※FC限定公演。

 

■EVENT SCHEDULE

「GBGB2019」
6月29日(土)、30日(日) 高崎アリーナ

OPEN : 11:00 / START : 13:00 / 終演 20:00 (予定)

■出演アーティスト
6/29(土):ROGUE / SILENT SIREN / 清春 and more
6/30(日):ROGUE  and more

http://gbgb.jp/


 

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